昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2   作:ゆーじ(女神候補生推し)

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#122 アイリスハートの信者

 大量の景品を手に入れて射的の屋台を後にしたネプギア達。

 

相変わらず、ロムとラムとピーシェが先導する形でネプギア達がその後ろをついていく。

 

 

「脳筋だと思ったこの子が、金魚すくいや射的ができるなんてね~」

 

 

 アノネデスは感心したようにピーシェの後ろ姿を眺めながらそう言うと、キセイジョウ・レイも、「意外な一面ですね」と驚いた様子を見せる。

 

ちなみに脳筋とは【脳みそまで筋肉】という意味で、思考が単純な肉体派の人を指して言う。

 

元気一杯で大騒ぎする力持ちのピーシェは頭脳派のアノネデスの目には脳筋に見えるようだ。

 

 

「それにしても、ロムちゃんとラムちゃんって面倒見がいいのね~。助かるわ」

 

「私とアノネデスさんはあの子のペースに合わせることすら難しいですから……」

 

 

 アノネデスとレイは楽しそうに遊んでいるピーシェをホッとした目で眺めている。

 

 

「私もロムちゃんとラムちゃんがここまでピーシェちゃんのこと見てくれるとは思いませんでした」

 

 

 ネプギアがあごに手を当てて不思議そうにそう言うと、ユニも、「なんか急に大人っぽくなったわよね」と同じく不思議そうに言う。

 

 

「お二人とも、ネプギアさんとユニさんの真似をしているのではないでしょうか」

 

 

 そこにイストワールが話に入ってくる。

 

 

「私達の真似ですか?」

 

 

 首を傾げるネプギア。

 

 

「ロムさんとラムさんが昨日の晩御飯の時に屋台の話をしてくれたではありませんか。ネプギアさんとユニさんが優しく教えてくれたと」

 

 

 イストワールが昨日のことを思い出すようにそう言うと、ユニが、「そういえばそうですね」と頷く。

 

 

「お二人とも、教えてくれたネプギアさんとユニさんを尊敬して、ピーシェさんにも同じように教えてあげたいと思ったのではないでしょうか?」

 

 

 イストワールはニッコリ微笑むとネプギアとユニにそう言う。

 

 

「それだったら嬉しいです。何だか私とユニちゃんの想いが連鎖してるみたいですね」

 

「そうね、ちょっと嬉しいかもね」

 

 

 ネプギアとユニは嬉しそうにイストワール解釈を受け取る。

 

 

「いやー、やっぱりお祭りはいいねー」

 

 

 ネプテューヌは先程の射的の失態ことなどすっかり忘れてタコ焼きを頬張っている。

 

 

「ネプ子、あんまり食べ過ぎると太るわよ」

 

 

 アイエフは大量の食べ物を食べるネプテューヌの姿を見て呆れながら忠告する。

 

 

「うんうん、なかなかいい絵が撮れてるよー」

 

 

 ファミ通がロムとラムとピーシェの写真を撮っていると、横からコンパが、「また、ギアちゃん達のいい記事書いて下さいね~」とお願いする。

 

 

「みんな楽しそうでよかったね~ふぁ……」

 

 

 うつらうつらと歩くプルルート。

 

 

「プルルートさん、こんなところで寝たらダメですよ!」

 

 

 そんなプルルートを注意する神次元のイストワール。

 

他のメンバーたちの思い思いにお祭りを楽しんでいるようだ。

 

 

「この催しは神の意志に反している! 即刻中止せよ!」

 

 

 そんな中、拡声器で不穏な言葉が飛んでくる。

 

 

「……なぁにぃこれ? 人が気持ちよくお散歩してたのにぃ~」

 

 

 あらかさまに不機嫌になるプルルート。

 

その後ろにはどす黒いオーラが立ち込めているようだった。

 

 

「わー! ぷるるん、ステイッ、ステイッ! まだだッ、まだだッ!」

 

「落ち着いて下さい、プルルートさん」

 

 

 ネプテューヌと神次元のイストワールは必死にプルルートを抑える。

 

 

「あっちの方から聞こえて来たわね」

 

 

 アイエフが声が聞こえた方向を向くと、ファミ通が、「行ってみよう」と言い、ネプギア達は声のした方向に向かって行く。

 

声のした方向に向かうとベレー帽をかぶり軍服に身を包んだ、吊り上がった目をしたやや血色の悪い瘦せた男が居た。

 

 

「私の名前はバントリュー・ボーク! 女神アイリスハート様とパープルハート様の代弁者なり!」

 

 

 男が拡声器を使って叫んでいた。

 

 

「うわ、バントリュー・ボークだって、セコそうな名前だねー」

 

 

 ネプテューヌは呆れながらボークと名乗った男性を冷ややかな目で見る。

 

確かに野球のルールを知っている人から見ればセコそうな名前ではある。

 

 

「このプラネテューヌは美しく華麗で才覚と人望に溢れるアイリスハート様とパープルハート様のものである!」

 

 

 ボークは拡声器を通して話を続ける。

 

 

「あれ? もしかして、わたし達褒められる?」

 

 

 ネプテューヌは意外そうな顔で首を傾げるが、「でも、あんな感じの悪い人に褒められても嬉しくないかも~」とプルルートが不機嫌そうに言うと、「激しく同意!」とネプテューヌも力強く頷く。

 

パープルハートがネプテューヌの女神化した時の名前で、アイリスハートがプルルートの女神化した時の名前である。

 

 

「その神聖な地で、半人前の出来損ないの下級神……いや、神などと呼ぶのもおこがましい小娘どもの祭りを開くなどアイリスハート様とパープルハート様に対する冒涜である!」

 

 

 ボークが続けて痛烈に女神候補生達の批判をすると、アイエフが、「なんですって!」と激昂して飛び出しそうになる。

 

 

「あいちゃん、落ち着くです。難しくてわたしには何を言ってるかわかりませんが暴力はよくありません~」

 

 

 コンパはアイエフの腰を後ろから抱きしめて止める。

 

普段はクールなアイエフだが友達思いであり、友人であるネプギア達がバカにされては黙ってはいられない。

 

ましてや、アイエフの目から見て何の非も無いどころか真面目に仕事に励んでいる彼女達が不当に貶められているのだから猶更である。

 

ちなみに同じ友人のネプテューヌはバカにされても怒るには怒るが、アイエフ自身がネプテューヌの放蕩ぶりを叱る側なので、その沸点はかなり高い。

 

 

「……ユニちゃん、もしかして私達……」

 

 

 ネプギアが不安そうにユニに話しかけると、ユニは不機嫌そうに腕を組んで、「ええ、完璧にディスられてるわね」と吐き捨てる。

 

 

「えー? なんでなんでー!」

 

 

 ラムが憤慨して抗議すると、ロムは悲しそうに、「わたし達なにも悪いことしてないよ……(うるうる)」と泣きそうな顔になる。

 

 

「これがアノネデスの言ってたプルルート様寄りの過激な信者ってヤツかな?」

 

 

 ファミ通はあごに手を当てながら考える仕草をする。

 

 

「まさか本当にやらかすとはね~」

 

 

 アノネデスはやれやれと言わんがばかりにお手上げのポーズで首を振る。

 

 

「ど、どどうしましょう!」

 

 

 キセイジョウ・レイはおろおろと狼狽してしまう。

 

女神に協力する七賢人として何かをすべきなのだろうが、気弱な彼女はどうしたら良いのか分からないようだ。

 

 

「とりあえず様子を見ましょう」

 

 

 イストワールが落ち着いてそう言うと、神次元のイストワールも、「今警備兵に通報をしましたらから、みなさん落ち着いて下さい」とそれに続く。

 

 

「わかりました……」

 

 

 アイエフが落ち着きを取り戻すと、コンパは、「ふぅ……あいちゃんが落ち着いてくれてよかったです」と言ってアイエフの腰から手を離す。


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