昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2   作:ゆーじ(女神候補生推し)

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#127 ネプギアコール全開

 その頃ネプギアはユニに手を引かれるまま街中を歩いていた。

 

 

「ユニちゃん、どこまで行くの?」

 

 

 ネプギアはユニに手を引かれながら質問する。

 

 

「人が沢山見えるところよ」

 

 

 ユニは辺りをキョロキョロ見渡しながら良い場所が無いか探しているようだ。

 

 

「それなら飛べばいいじゃない」

 

 

 話を聞いていたラムが、さも名案かのように元気良く左手を上げて言うと、ロムも、「空から見ればたくさん見えるよ」とラムに同意する。

 

 

「街中でいきなり変身するのはちょっと……ねぇ? ユニちゃん」

 

 

 ネプギアは二人のアイデアに対して遠慮気味にそう答えるとユニに同意を求める。

 

街中で変身するのは目立ちすぎると思ったようだ。

 

 

「それいいわね。飛ぶわよ、ネプギア」

 

 

 しかし、ユニはネプギアの言うことを無視するかのように光り輝く。

 

この場で女神化をしようというのだ。

 

 

「え? ちょ、ユニちゃん!?」

 

 

 ユニはネプギアの制止も聞かずに変身が完了すると、ネプギアを両手でお姫様抱っこして飛び上がる。

 

 

「ユニちゃん、待ってー!」

 

 

 ラムがそう言って光り輝いて女神化するとユニの後を追って飛ぶ。ロムも、「置いてかないで(いそいそ)」と言って女神化をするとラムの後を追う。

 

 

「ユニちゃん、急にどうしたの? 街の人もみんな見てるよ」

 

 

 ネプギアはそう言いながらユニの顔を見上げる。

 

突然のユニの行動に驚いたネプギアだが、お姫様抱っこはまんざらでもないようで、いつの間にか両手をユニの首に掛けていた。

 

 

「ほら、アンタも変身しなさいよ」

 

 

 ユニはネプギアの質問には答えずに変身を催促するが、ネプギアはお姫様抱っこが惜しいようで、「もうちょっとこのままで……」と上目遣いで言う。

 

 

「あんまりモタモタしてると落とすわよ」

 

 

 しかし、ユニには上目遣いの効果が無いらしく冷静な声で脅してくる。

 

 

「わわっ! するする! ちょっと待って!」

 

 

 ネプギアは慌てて女神化をする。

 

ユニはネプギアの女神化を確認すると、ネプギアをお姫様抱っこから降ろす。

 

そんなことをしている間に地上ではいきなり変身して飛び上がったネプギア達を驚きの目で見ていた。

 

 

「一体何が起きたんだ?」

 

「女の子達が突然光ったと思ったら飛び上がって…」

 

「鳥だ! 飛行機だ! ……いや、女神様だ!」

 

「うおおおお! 女神様ーーー!」

 

 

 混乱していた住人達もネプギア達が女神だと気付くと空に向かって大歓声を上げていた。

 

 

「みんなーー! お祭り楽しんでるー!」

 

 

 ユニは大声で地上の住人に問いかける。

 

 

「楽しんでるぞーー!」

 

「女神様ありがとうーーーー!」

 

 

 住人たちは精一杯声を張り上げながら手を振ってユニに答える。

 

 

「声が小さい! もっと腹の底から声を出して! ほら、みんなでネプギアコールよ!」

 

 

 しかし、ユニは住人たちを更に煽るとネプギアコールを要請する。

 

 

「ネプギアコール?」

 

「どうすればいいんだ?」

 

 

 戸惑う住人達にラムが、「ネプギアコールはネプギアを応援する時に使うのよ!」と説明をする。

 

 

「女神様を応援……?」

 

「そりゃ、女神様には感謝してるから応援したいけど……」

 

 

 ざわざわと声を上げる住人達、やる気はあるようだ、その様子を確認したラムは、「今教えてあげるわ! こうよ。ネープギア! ネープギア! ネープギア!!」と大声でネプギアコールの手本を見せる。

 

 

「ほら、ロムちゃんも一緒に!」

 

 

 ラムはロムの方に振り向いてそう言うと、ロムは頷いて、「うん! ネープギア! ネープギア! ネープギア!!」とロムも一生懸命声を出す。

 

 

「ネープギア、ネープギア?」

 

 

 住人達はぎこちなくネプギアコールを始めるが、その姿はまだ恥ずかしさが残っており声も小さい。

 

 

「ホラホラ! 声が小さいわ。もっと腹の底から絞り出すのよ! ネープギア! ネープギア!!」

 

 

 ユニは再び住人達を煽ると、自分でも大声でネプギアコールを始める。

 

 

「よっしゃ! 俺達もやるぞ! ネープギア! ネープギア! ネープギア!!」

 

「ネープギア! ネープギア! ネープギア!!」

 

「ネープギア! ネープギア! ネープギア!!」

 

「ネープギア! ネープギア! ネープギア!!」

 

 

 ユニに煽られた住人たちは次々と精一杯の大声でネプギアコールを始める。

 

騒ぎを聞きつけて集まってきた他の住人もそれに続く。

 

 

「聞こえる? この歓声がみんなネプギアを歓迎しているのよ。これがアンタのやってきた成果よ」

 

 

 ユニはネプギアコールを一旦止めると、住人達の歓声に耳を傾けながら、ネプギアに諭すように言う。

 

 

「ユニちゃん……」

 

 

 ネプギアはユニと見つめ合いながら呟く。

 

人が沢山見えるところに来たいというユニの意図を理解し、それに感謝をしているようだった。

 

 

「感じるでしょ? みんなのシェアエネルギーを」

 

 

 ユニはネプギアと見つけ合い続けながら、優しい声でそう言うと、ネプギアは胸に両手を当てて目を閉じ、「うん、感じる。凄い力を感じるよ」と答える。

 

ネプギアの瞳には先程までの暗い悲しみの色は無く、明るい光りに満ちてた。

 

 

「みんなの想いの力、シェアエネルギーは嘘はつかないわ。アンタはそれだけ慕われているのよ」

 

 

 ユニはウインクしてそう言う。

 

シェアエネルギーは人々の真摯な信仰から生まれるもの。

 

このネプギアコールから湧き上げるシェアエネルギーはネプギアの心を温かい気持ちで満たしてくれていた。

 

 

「そうだよ、ネプギアちゃん」

 

 

 ロムもネプギアコールを一旦止めて、ユニの言うことに同意すると、ラムも、「ネプギアは凄いと思うわ」と素直にネプギアを褒める。

 

 

「ロムちゃん、ラムちゃん、ありがとう……」

 

 

 ネプギアは励ましてくれた二人にお礼を言うと、目に溜まってきた右目の涙を手で拭う。

 

ユニ、ロム、ラム、そして神次元のプラネテューヌの住人達の想いが胸に響き感極まって感涙したのだろう。

 

 

「ちょっと文句言われたぐらいでクヨクヨしてるんじゃないわよ。全部が全部100点満点なんて出来るわけないんだから」

 

 

 ユニはそう言うと、右手の親指でネプギアの左目から流れて頬に伝っていた涙を拭ってあげる。

 

 

「一つの問題に囚われて足を止める方がよっぽど悪いわ。それだったら100点じゃなくても、どんどん目の前の問題に取り組みなさい」

 

 

 ユニは右手をネプギアの頬から離すと、そう言ってネプギアの左胸を右手の手の甲でポンと叩く。

 

 

「90点や80点……いや、60点やそれ以下でもいいのよ。取れなかった分はアタシたちがフォローするから」

 

 

 ユニのその言葉で再び感極まったネプギアは自分の左胸に置かれたユニの右手を両手でギュッと握ると「……うん、ありがとう……ユニちゃん」と涙声でお礼を言う。

 

 

「みんなで助け合いだよ」

 

 

 ロムはそう言うと、ユニの右手を握ったネプギアの両手の上に自分の右手を置くと、ラムが、「そうよ。わたし達の一番の特技はチームワークなんだから」と言ってロムの手の上に自分の左手を重ねる。

 

 

「アンタは自分を信じて前に進めばいのよ。アタシ達はネプギアについて行くわ」

 

 

 ユニがそう言うと、ラムは、「そうよわたし達女神候補生は【いちねんらくしょー】なんだから」と自信満々に言うが、即座にユニから、「それを言うなら一蓮托生」と訂正を受ける。

 

 

「もぅ……ラムちゃんったら……ふふっ……」

 

 

 ネプギアはいつものラムの言い間違いが微笑ましくて笑顔を浮かべると、ロムが、「ネプギアちゃんが笑った。ラムちゃんのおかげだね」と嬉しそうに言う。

 

 

「いえーい! わたし、お手柄!」

 

 

 ラムは嬉しそうにそう言うと重ねた手を離して飛び跳ねて喜ぶ。

 

 

「ラムちゃん、えらいえらい」

 

 

 ロムも手を離すと手を叩いてラムを褒める。

 

 

「ユニちゃん」

 

 

 ネプギアはユニの名前を呼ぶと彼女の右手を握った両手をゆっくり離し、そのままゆっくりユニの背中に両手を回して、ギュッと抱き着く。

 

ユニもネプギアに応えるように、両手でネプギアの背中に抱き返す。

 

 

「また、ユニちゃんに助けてもらっちゃった……」

 

 

 ネプギアがユニの耳元でそう囁くと、ユニは、「いいのよ。何度でも助けてあげるわ。前にも言ったでしょ? アンタの面倒なことはアタシが全部受け止めてあげるって」と優しい声で囁く。

 

以前にネプギアが落ち込んだ時、ユニは同じ言葉を彼女に向けている。

 

それはユニにとって、神聖な約束であり誓いであったのだ。

 

 

「うおおおおお! ネプギア様とユニ様がーーーー!」

 

 

 その光景を地上から見ていた住人たちが更に湧き上げる。

 

 

「やはりギアユニか!」

 

「何言ってるのユニギアでしょ!」

 

「順番違うだけじゃん」

 

「その順番が大事なの!」

 

 

 住人達は口々にネプギアとユニとの熱烈な友愛ぶりに声を上げて讃える。

 

 

「ユニちゃんばっかりズルーーイ! わたしも!」

 

 

 ロムに拍手してもらってご満悦だったラムだが、ネプギアとユニが抱き合っていることに気付くと、ネプギアの背中に飛び乗るように抱き着く。

 

 

「わたしも混ぜて」

 

 

 更にロムもネプギアの腰に両手を回して抱き着いてくる。

 

 

「これは、おねロリか!」

 

「しかも双子サンドイッチ! たまらん!」

 

「神の4Pだあああああ!」

 

「尊いーーーーーー!」

 

「尊過ぎて眩暈がするわ……」

 

 

 地上の住人達はその光景を眺めて更に沸き上がり、中には倒れる者まで出てきた。

 

 

「これはこれは……いいネタを仕入れたぞ」

 

 

 住人の中に混じっていたファミ通はパシャパシャと写真を撮りつつ、メモをとっていた。

 

記者の嗅覚で良いネタがあるだろうと、ネプギア達の後を追って来たのだ。

 

 

「よしっ! 今回もゲリラライブしちゃおう!」

 

 

 ラムが大声でそう言うと、「うん、プラエちゃんとミクちゃん呼んでみんなで演奏しようよ」とロムが賛成する。

 

 

「いいアイデアね。ネプギア、アタシ達の音楽で、このお祭りを更に盛り上げるわよ」

 

 

 ユニがそう言うと、「うんっ!」とネプギアは満身の笑顔で頷いた。

 

 

 こうして感謝祭は幕を閉じた。

 

ネプギア達は翌日、超次元に戻りユニ達もそれぞれの国に帰っていった。

 

 

 後日発売されたファミ通の記事では、女神候補生達の活躍と神次元の感謝祭のことが書かれていた。

 

人々は女神候補生達の活躍とその友情に関心を示し、神次元に対しても女神候補生達を架け橋に友好的な関係を築けるのではないかと言う好意的な意見が多くでるようになった。


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