昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2   作:ゆーじ(女神候補生推し)

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#134 シェア回復計画

 ネプテューヌが動画を投稿してから三日が経った。

 

G.C.2019年6月17日 月曜日。

 

ここはプラネタワーの会議室。

 

そこにはネプギアにネプテューヌ、イストワールにアイエフにコンパ、それにファミ通が円卓に座っていた。

 

 

「ネプテューヌさんの動画の件は何とか丸く収めることが出来ました」

 

 

 まずはイストワールが口を開く。

 

 

「良かった。何とかなったんですね」

 

 

 安堵するネプギアにイストワールが、「ネプギアさんの作ったシェアエネルギー効率化プログラムを公表したおかげで、プラネテューヌ全体への風当たりは弱くなりました。そのお陰です」と少し嬉しそうに言う。

 

娘の自慢をしたい母親の心境なのだろう。

 

 

「ネプギア、またお手柄じゃない」

 

 

 アイエフがそう言ってネプギアを褒めると、「ギアちゃん偉いです~」とコンパも続いてネプギアを褒める。

 

 

「ウチの雑誌で公表したから、ウチの売り上げが伸びて大感謝だよ」

 

 

 ファミ通が嬉しそうに言うが、「えー? またネプギアばっかり褒められるパターン~? 扱い良すぎない」とネプテューヌは不満そうに口を尖らす。

 

 

「えっと……私に言われても」

 

 

 ネプギアは困り顔でたじろいてしまう。

 

 

「ネプ子も褒められるようなことすればいいのよ」

 

 

 アイエフが正論を返すが、「でも、そういうダメダメなところもねぷねぷのいいとろです」とコンパが言いながらネプテューヌを抱きしめる。

 

 

「コンパがそういうならそれも悪くないけどさ~」

 

 

 ネプテューヌはコンパの胸に顔をうずめて、その抱き心地で機嫌を直したようだった。

 

 

「ところで、ボークはどうなったの?」

 

 

 ファミ通が思い出したかのように手をポンと叩くとアイエフに尋ねる。

 

ボークは諜報部に拘束されたので、アイエフが知っているのだろうと思ったのだろう。

 

 

「ああ、アイツね……」

 

 

 アイエフは思い出すのも馬鹿馬鹿しいような顔つきで額に手を当てる。

 

 

「本当に困った人でした……」

 

 

 イストワールも、どっと疲れた顔をしてため息をつく。

 

アイエフとイストワールは拘束したボークに尋問をしたことを話し始める。

 

 

 ことは三日前にさかのぼる……。

 

場所はプラネタワー内の諜報部に割り当てられた六畳ほどの部屋の中。

 

椅子に座るボークにイストワールが厳しい視線を向けていた。

 

 

「あなたの名前はバントリュー・ボーク。神次元のプラネテューヌの在住者、間違いありませんね」

 

 

 イストワールは厳しい声色でボークに詰問する。

 

 

「ボークなど知りませんな。私はパープルハート様を信仰する敬虔な信者、ススキ=トキユキです。善良な一般市民に対してこのような無法な扱いはパープルハート様の意思に背くことになりますよ」

 

 

 ボークはイストワールの詰問に対して偽名を使って答える。

 

その余裕がある態度は本気で自分に非が無いと思っている様子だった。

 

 

「嘘は自分の首を絞めることになりますよ? 私はあなたのことを知っているんです」

 

 

 イストワールは偽名を使うボークに内心呆れながらも厳しい声で詰問を続ける。

 

 

「なにを根拠に? 証拠はあるのですか?」

 

 

 ボークはニヤニヤと笑いながら、余裕を持った態度を続ける。

 

その様子は自分の偽造工作に絶対の自信があるようだった。

 

 

「いいでしょう。アイエフさん入って来て下さい」

 

 

 イストワールがそう言うと部屋のドアが開きアイエフが入ってくる。

 

 

「久しぶりね。アイリスハートにあれだけこっぴどくやられたのに、まだ懲りてないの?」

 

 

 アイエフは呆れた口調で冷めた視線をボークに向ける。

 

 

「きっ、きき貴様はあの時の邪教徒!」

 

 

 ボークはアイエフの姿を見ると、驚きで目を大きく開き驚愕の表情を浮かべる。

 

 

「フッ……もう尻尾を出したの? 知らぬ存ぜぬで押し通せば、アンタの間抜けな猿芝居もまかり通ったかも知れないのに」

 

 

 アイエフは鼻で笑うと、嘲笑してボークを挑発する。

 

 

「くっ……何故貴様がここに……」

 

 

 ボークは悔しそうにそう言って唇を噛むとアイエフを睨みつける。

 

アイエフの挑発が相当堪えたようだ。

 

 

「私は超次元のプラネテューヌの諜報部員なの。あの時はパープルシスター様達の護衛で神次元に居たのよ」

 

 

 アイエフは自分の挑発に予想通りどころか予想以上のリアクションを取るボークに、ほくそ笑みながらそう言うと、ボークは、「なっ、なななな……」と言いながらブルブルと体を震わせる。

 

 

「三人の女神様を貶めるようは発言をするようネプテューヌさんを誘導したあなたの行為は不敬罪の幇助にあたります!」

 

 

 イストワールは自分の立場を理解したであろうボークに対して指差ししながら糾弾する。

 

 

「不敬罪? 心外ですね。この世界で敬う価値があるのはパープルハートであるネプテューヌ様とアイリスハートであるプルルート様のみ」

 

 

 ボークは開きなったように唇を歪めてそう言うと、アイエフは、「アンタの価値観なんて興味ないわ。大人しく服罪しなさい」とピシャリと言い放つ。

 

 

「私に罪を問うなど、アイリスハート様に背くことになりますよ? 私はアイリスハート様に洗礼の儀式を受けてスティグマータを刻んでいただいたのですから」

 

 

 ボークがそう言うと、アイエフは、「スティグマータですって!?」と驚いた声を上げる。

 

中二病の彼女は聖痕を意味するスティグマータの言葉に敏感に反応した。

 

 

「ふふっ……今お見せしましょう」

 

 

 ボークはニヤリと笑うと両手で服を掴んで胸元を見せる。

 

 

「……それがスティグマータ??」

 

 

 アイエフは拍子抜けしガッカリした表情で言う。

 

ボークの胸にはプルルートに鞭打ちされた跡が残っていた。

 

プルルートもかなりヒートアップしてたのか、それとも相手が男だから手加減しなかったのか、鞭の跡はクッキリと残っている。

 

 

「あの行為を洗礼の儀式って思えるなんて、どういう神経してるのよアンタは……」

 

 

 アイエフはプルルートの鞭打ちを思い出しながら、頭を抱えて呆れ果てた表情で言う。

 

 

「ああ……あの甘美な時を思い出すだけで体が熱くなる……」

 

 

 ボークはプルルートに鞭打ちされていた時のことを思い出したのか光悦した表情を浮かべ、口の端にはヨダレが垂れていた。

 

 

「……そう言えばアンタ、マゾに目覚めたんだっけ……」

 

 

 アイエフは冷めた視線をボークに向ける。

 

プルルートに鞭打ちされたのに信仰を止めるどころか更に熱烈に信仰する理由がよく理解できたようだ。

 

 

「あなたが自分の行為をどう思っていようと、この超次元では許し難い罪です。その罰は軽くはありませんよ」

 

 

 イストワールはこれ以上ボークに付き合っていられないと言わんがばかりに話を打ち切る。

 

 

「ふん! 邪教徒の言うことに従う道理は……はっ! そうか!」

 

 

 ボークは反抗的な態度を取りながら、突然なにか思い付いたように立ち上がる。

 

 

「なに!?」

 

 

 アイエフはボークが何か仕掛けてくるのかと思い身構える。

 

 

「全ては魔女の汚い罠だったのだな! 卑怯だぞ邪教徒め!!」

 

 

 ボークは興奮気味にイストワールとアイエフに罵声を浴びせる。

 

 

「何を言い出すの? 追い詰められて頭おかしくなった?」

 

 

 アイエフは興奮するボークに冷ややかな視線を向けながら、右手の人差し指をこめかみの近くに置いててくるくる回す。

 

くるくるぱーのジェスチャーだろう。

 

 

「とぼけるな! 私の作ったネプテューヌ様の傑作動画を貴様らが大量の工作員を使って情報操作して評価を貶めたのだろう! ネプテューヌ様と私が称賛される筈だった未来を捻じ曲げるとはどこまでも汚い!!」

 

 

 ボークはそう言うと、心底悔しそうに歯ぎしりをする。

 

 

「はぁ……よくもそこまで自分の都合の良いように想像の翼を広げられるわね」

 

 

 アイエフはそう言って、お手上げのポーズで首を左右に振りながら呆れ果てる。

 

 

「あなたの言うことはただの被害妄想です。あの動画に寄せられたコメントは世界中の人々の正直な意見です」

 

 

 イストワールは冷静にボークに説明するが、「黙れ黙れ黙れ! 私は騙されんぞ! そうやって情報操作を続けて、ネプテューヌ様が治めるべき世界を魔女の手に委ねるつもりだな!」ボークは聞く耳を持たず喚き散らす。

 

 

「しかし、私は負けない! 貴様等が想像を絶する卑怯な罠を仕掛けてこようが、怯むわけにはいかない、ネプテューヌ様とプルルート様が治める正しい世界が訪れるその日まで私は戦い続ける!」

 

 

 ボークは声高々に絶叫する。

 

その姿は自分が悪と戦う正義のヒーローだと陶酔しているようだった。

 

 

「どうします?」

 

 

 アイエフは頭を抱えながらイストワールに質問する。

 

その様子はボークの狂気ぶりに呆れ果てているようだった。

 

 

「とりあえず、身柄を神次元に引き渡しましょう。恐らく元職員の立場を悪用して無断でゲートをくぐったのでしょうし」

 

 

 イストワールがそう言うと、「精神病院の方がいいんじゃないですか?」とアイエフが皮肉っぽく言う。

 

 

「こちらで起こした事件もあらましも説明して、それも踏まえて神次元の司法で裁いてもらいましょう」

 

 

 イストワールがそう言うと、部屋のドアが開き屈強な二人組の男が入ってきてボークを連行する。

 

その間ボークは終始、イストワール達に対する暴言と自己陶酔の言葉を言い続けていた。

 

ボークはその日の内に神次元に引き渡され、その後裁判により禁固刑が言い渡された。

 

 

「……と、言うことです」

 

 

 話終えたイストワールは少し疲れた様子だった。

 

恐らくその時のことを思い出したのだろう。

 

 

「あんなのに騙されるなんて、ネプ子も焼きが回ったんじゃないの?」

 

 

 アイエフが呆れながらそう言うと、「えー? わたし、タバコなんて吸わないよー」とネプテューヌが言い返す。

 

どうやら、タバコを使った暴力行為と勘違いしたのだろう。

 

ちなみに焼きが回るとは頭の働きや腕前が落ちることを言う。

 

 

「とにかく、騒ぎは収めることができましたが、プラネテューヌのシェアは大きく下がってしまいました」

 

 

 イストワールは話を戻すとキーボードを叩く。

 

するとホログラムで折れ線グラフが出てくる。

 

 

「グラフがどんどん右上にあがって行くです~」

 

 

 コンパの言う通りモニターに映ったグラフは緩やかであるが右肩上がりを続けていた。

 

 

「あ、急に直角に落ちちゃいましたね」

 

 

 ネプギアが少しガッカリしたような口調で言う。

 

一時期は緩やかに右肩上がりを続けていたが、急に直角に落ち込んでいた。

 

 

「これがここ最近のプラネテューヌのシェアの変動です」

 

 

 イストワールがグラフの説明をすると、ファミ通が、「右上に上がって行ったのがネプギア様の効果で、直角に落ち込んだのがネプテューヌ様の炎上かな?」と分析をする。

 

 

「その通りです」

 

 

 イストワールはファミ通の分析が当たっていることを告げる。

 

緩やかに右肩上がりはファミ通によるネプギアの記事の効果で、直角に落ち込んだのがネプテューヌの動画の炎上のせいだった。

 

 

「ネプギアとファミ通の努力が台無しね」

 

 

 アイエフは素直な感想を言うと、「上手く行くと思ったんだよー。今は反省している」とネプテューヌが珍しく自分の非を認める。

 

この数日で珍しく怒ったコンパによるつきっきりで説教を受けて頭が冷えたらしい。

 

 

「今日、みなさんに集まっていただいたのはプラネテューヌのシェア回復の一大プロジェクトに協力して欲しいからです」

 

 

 イストワールがコンソールを叩くと画面が変わる。

 

 

「わかった! わたしの動画の第二段を出すんだね!」

 

 

 ネプテューヌはそう言うと、右手の指をパチンと鳴らし自信満々の顔でVサインを決めるが、「そんな訳ないでしょ!」とアイエフに即刻ダメ出しをされる。

 

 

「次こそは上手く行くと思うんだよ、時代の波が来てるね。乗るしかない、このビッグウェーブに! とにかく次は来る!」

 

 

 ネプテューヌは椅子の上に立つと、サタデーナイトフィーバーのポーズを決めてそう言うが、「アンタはギャンブル依存症か?」とアイエフに呆れられる。

 

 

「ギャンブルものの主人公は最初負けても最後には神懸かり的なイカサマとか強運で必ず勝って大儲けするって決まってるんだから」

 

 

 ネプテューヌはサムズアップを決めながらそう言うが、今度はネプギアが、「強運はともかくイカサマはダメなんじゃないかな……」と至極当然のことを言う

 

 

「ダメでも最後には黒服の優しいおじさんがめぐんでくれるよ」

 

 

 ネプテューヌは諦めずに説得を続けるが、「めぐんでもらう程落ちぶれている時点でアウトでしょ……」とアイエフが呆れながら言う。

 

 

「ねぷねぷ、全然反省してないです~」

 

 

 激しい身振り手振りで自己アピールするネプテューヌを見ながら、コンパはそう言って苦笑いをする。

 

 

「ネプテューヌさんの根拠のない自信に国の命運を掛ける訳にはいきません」

 

 

 今度はイストワールもダメ出しに加わる。

 

それと同時に新しいホログラムが映る。

 

 

「これはゲイムギョウ界の地図ですね」

 

 

 ネプギアが画面に映るものがゲイムギョウ界の地図だと気付く。

 

 

「何か印が付いているね。これはルウィーとラステイションとの国境付近かな?」

 

 

 地図には印が付いており、ファミ通はその場所を付け加えるように言う。

 

 

「この辺りで、一大プロジェクトをするようなことってありましたっけ?」

 

 

 ネプギアが小首を傾げながらそう言うと、コンパも不思議そうに、「森と山しかないですー」と言う。

 

ネプギアとコンパの言う通り、この場所はプラネテューヌ、ラステイション、ルウィーの三国の首都から離れており辺境と言っても差し支えなかった。

 

 

「ここを開拓してラステイションとルウィーとの交易都市に発展させるんです。しかもプラネテューヌ主導で」

 

 

 イストワールが全員の疑問に対して説明をすると、アイエフが腕組みしながら、「それは……確かに出来れば、プラネテューヌへの関心が高まってシェアが上がりそうですね。でも、そんな簡単に出来るんですか?」と言う。

 

アイエフはイストワールの案を理解したようであるが、そんな簡単に出来ることには思えなかった。

 

 

「そうだね。開拓の資金、人員は勿論だけど、プラネテューヌ主導ってそんな簡単に出来るの?」

 

 

 ファミ通もアイエフと同意見であるようだった。

 

 

「少なくともラステイションとルウィーは黙ってませんよ?」

 

 

 アイエフがファミ通に続けて言う。

 

アイエフの言う通り、他の国も自国の名を上げるチャンスを指を咥えて見ているとは思えなかった。

 

四つの国はゲイムギョウ界全体の危機には協力するものの基本的は競争相手なのだから。

 

更に都市を作るとなったら、ラステイションとルウィーは自国の領内に入るので否が応でも協力せざるを得ない。

 

それをプラネテューヌの主導でと、美味しいところを持っていかれたら堪らないだろう。

 

 

「私は出来ると思っています」

 

 

 しかし、イストワールは懸念を杞憂だと言わんがばかりに落ち着いた声で言うと、「それはそうだよねー。主人公のわたしがいるんだから! わたし、開拓も得意だよー!」とネプテューヌがいつものドヤ顔で名乗り出る。

 

 

「流石はお姉ちゃん」

 

 

 ネプギアはネプテューヌの自信満々な態度に両手を合わせて感心の声を上げる。

 

 

「まずは地面を平坦にして、国民に家を建てさせたりして繁栄させて……」

 

 

 ネプテューヌは人差し指を上げながら説明を始めると、ネプギアは、「うんうん」と嬉しそうに頷く。

 

ネプテューヌがやる気を出したのが嬉しいようだ。

 

 

「他の国には地震とか毒沼とか火山とか洪水とかして嫌がらしてー」

 

「え?」

 

 

 しかし、急にネプテューヌの話の雲行きが怪しくなって来て、ネプギアは思いっきり首を傾げてしまう。

 

 

「最終的にはハルマゲドンで他の国の国民を全員滅ぼせばいいんだよね」

 

 

 ネプテューヌがそう言って右手で小さくガッツポーズを決めるが、「ほ、滅ぼしちゃダメだよ!」とネプギアはネプテューヌを止めるように両手を横に振ってあわあわする。

 

 

「……こんな女神に主導を握らせてくれるとは思えないんですけど……」

 

 

 頭を抱えるアイエフ。

 

確かにハルマゲドンなどと言っている相手に任せてもらえるとは思えなかった。

 

 

「ネプテューヌさんは当てにしていません。今回は勿論ですが、ネプテューヌさんにこういう内政的な仕事は向いていませんから」

 

 

 イストワールが落ち着いてそう言うと、「えー……わたしの評価って武力マックスで他が壊滅的な武将のイメージ? 呂布とか張飛とかそんなポジション?」とネプテューヌが不満そうに口を尖らせる、

 

 

「そう言って差し支えありません」

 

「ひどっ!」

 

 

 イストワールの冷ややかな言葉にダメージを受けるネプテューヌ。

 

 

「この計画は、ネプギアさんの双肩に掛かっています」

 

 

 イストワールはそう言いながらネプギアを正面に見据えると、ネプギアは驚いた顔で、「私ですか!?」と言う。

 

話の中心が自分になり驚きを隠せないようだ。

 

 

「正確にはネプギアさんを含む女神候補生の皆さんです」

 

 イストワールがそう言うと、ネプギアは、「みんなと一緒に?」と首を傾げる。

 

イストワールがまだ詳細を説明していないこともあり、何をするのか想像すら出来ないようだ。

 

 

「ネプギアさん、私を信じてこの計画に協力してくれませんか?」

 

 

 しかし、イストワールはネプギアの困惑をよそに願い出る。

 

 

「………」

 

 

 黙って考えるネプギアに、「プラネテューヌの……いえ、ゲイムギョウ界の未来の為にネプギアさんの力を貸して下さい」とイストワールは頭を下げる。

 

続いてアイエフが、「大変そうだけど、ネプギア達なら出来るわ」と言うと、コンパも、「わたしも応援してるですー」言い、ファミ通も、「ネプギア様なら大丈夫! 私が保証するよ」と三人共ネプギアの背中を押してくれる。

 

ネプテューヌはファミ通を横目で見ながら「うーん……ファミ通の大丈夫って怪しくない? 天使の騎士がレベルアップの度に攻撃力が下がるとか」と言う。

 

ファミ通は右手で後頭部を掻きながら「ネプテューヌ様は辛辣だなー。昔のことじゃないですか」と恥ずかしそうに言う。

 

どうやらネプテューヌはファミ通の過去の失敗を知っているらしい。

 

 

 

 ネプテューヌはネプギアの方に目を向けると、「でもさ、ネプギアなら大丈夫だよ。わたしも信じてるから」とウインクしながら言う。

 

皆に背中を押されたネプギアは暫く考えた後に、「……わかりました。正直自信ないですけど、やってみます」と頷くと、イストワールは、「ありがとうございます」嬉しそうに頭を下げる。

 

 

「アイエフさん、コンパさん、ファミ通さん、みなさんにはネプギアさんを支えて欲しいのです。お願い出来ますか?」

 

 

 イストワールは三人を見渡しながらそう言うと、アイエフが、「わかりました」と頷き、コンパは、「任せて下さいー」と小さく両手でガッツポーズをし、ファミ通はあごを右手で掴みながら、「これは絶対良いネタになるよ。是非協力させて」と言う。

 

 

「では、詳細の説明をします」

 

 

 説明を開始しようとするイストワールに、「ちょっと! 主人公をスルーとかありえなくね?」とネプテューヌが不満そうに言う。

 

 

「ネプテューヌさんは、プラネタワーでゲームしたりお菓子食べたりお昼寝してて下さい」

 

 

 イストワールはネプテューヌの不満を気にも留めずに冷静にそう言うと、「よし! 任された!」とネプテューヌは力強くサムズアップする。

 

 

「……いいんですか?」

 

 

 怪訝な顔のアイエフに、「下手に関わると、本当にハルマゲドンのボタン押されそうですし」と声をひそめるイストワール。

 

ていのよい戦力外通告なのだが、自由に遊べることに気を取られたネプテューヌは気にも留めない。

 

 

「確かに……」

 

 

 頷いて納得するファミ通。

 

ファミ通もこの短い期間にネプテューヌの特色を分かってきたようだった。

 

その後、イストワールを中心に全員で計画の詳細を話し合った。


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