昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2 作:ゆーじ(女神候補生推し)
翌日。
G.C.2019年6月24日 月曜日の早朝。
(……少し早く起きすぎちゃったな……)
目が覚めたネプギアは時計を見ると、いつもより早い時間に起きていた。
時計を見ると午前五時を指していた。
(少しお散歩でもしようかな?)
ギャザリング城には昨日来たばかりなので、城内の間取りも良く分かっていない。
その為、少し散歩でもしようと思ったネプギアはパジャマのまま部屋を出る。
「あ、ネプギア」
部屋を出ると同時に隣の部屋のドアが開き、ユニが出て来た。
「おはよう、ユニちゃん」
ユニに近づいて挨拶をするネプギアにユニも、「おはよ」と返す。
「その恰好はジョギング?」
ネプギアはユニに問いかける。
ユニは黒いノースリーブのランニングウェアに同じく黒いスパッツと動きやすい恰好をしていた。
左の二の腕には黒いアームバンドが付いており、そこに携帯ゲーム機U.N.Iが付いていた。
「そうよ」
ユニがそう言うと、「ユニちゃん、スポーティーでカッコいいよ」ネプギアは目を輝かせてユニの姿を褒める
「ま、まあ、当然よね」
髪をかき上げてポーズを決めるユニ。まんざらでもないご様子。
「もしかして毎日ジョギングしてるの?」
ネプギアは話をジョギングに戻すと、「そうよ。ここに来たからって休むわけにはいかないし」とユニはネプギアの質問に答える。
努力家の彼女は毎朝のジョギングを欠かしたことは無い。
「そうなんだ……私も一緒に行っていいかな?」
ネプギアは少し考えると、ユニに同行を申し出る。
普段はジョギングとかしていないが、ユニが一緒なら楽しいと思ったらしい。
「いいけど、あんまりノロノロしてたら置いてくわよ」
ユニは内心凄く嬉しいが、いつも通り少し素直になれず、ちょっと突き放す言葉を言ってしまう。
「うん、頑張るね。それじゃあ、ちょっと待ってて」
ネプギアは部屋に引き返すと、Nギアを取り出して素早く操作しインターネットショップのamazoo.nepに接続する。
「どうせだったら、ユニちゃんとお揃いがいいよね」
ネプギアはスポーツウェアの項目を検索し、ユニが着ているものと似たようなランニングウェアを購入する。
支払いが終わると、Nギアのアイテム欄に購入したランニングウェアが登録されているので、ネプギアはNギアを操作してそのウェアを選択するとネプギアの目の前にランニングウェアが現れる。
ネプギアはパジャマを脱いで、ランニングウェアに着替え始める。
「お待たせ」
手早く着替えを済ませたネプギアの姿はユニと同じく、白いランニングウェアにピンクのスパッツに着ており、髪はリボンで結んでポニーテールにしていた。
ユニと同じように白いアームバンドにはNギアが装着されている。
「オッケー、じゃ行くわよ」
ユニはそう言って先を歩き出すと、「えー……ユニちゃん、何かないの?」とネプギアが不満そうに頬を膨らます。
ユニは振り返ると「何かって?」と不思議そうな顔をする。
「……感想とか……」
ネプギアはポツリとそう呟く。
どうやら運動着をユニに褒めてもらいたいらしい。
自分は褒めたのに不公平だと感じたようだ。
「あー……似合ってる似合ってる。可愛いわよ」
ユニはネプギアの言いたいことを察したようで、おざなりであるがネプギアを褒めておく。
「はぁ……全然心がこもってない……」
ネプギアは溜息を吐くとガッカリと肩を落とす。
どうやらリテイクをご希望のようだ。
(しょうがないわね……)
ユニはそう思いながらも、ネプギアに付き合うことにする。
「んんっ……」
ユニは小さく咳ばらいをすると、「とっても可愛いわ。ポニテもよく似合ってるし」と先程のおざなりな態度とは真逆の感情をこめた明るい声で言う。
「ホント! ありがとう、ユニちゃん」
ネプギアは嬉しそうに目を輝かせる。
ロムとラムの前では年上の手前、こうやってユニに甘えることが出来ないが、今は二人きりなので存分に甘えてしまったのだ。
ユニもユニで、ネプギアが二人きりの時に見せてくれるこういう子供っぽい態度が気を許してくれている感じがして好きだった。
城内を進み城門から外に出るネプギアとユニ。
「走るってなると、やっぱり橋かな?」
湖に囲まれたギャザリング城の走る場所というと橋の上ぐらいだと思ったネプギアがそう提案すると、「そうね、橋の上を往復しましょ」とユニもそれに同意する。
「いつもどれぐらい走ってるの?」
ネプギアが質問すると、「5キロは走ってるわ」とユニが答えると「わー! ユニちゃん凄い」ネプギアは胸の前で両手を合わせてユニを褒める。
「じゃあ、この橋片道五百メートルぐらいあるらしいから五往復しようよ」
ネプギアはNギアを取り出して地図を確認してそう提案すると、「ええ、いいわ。そうしましょ」とユニが頷く。
「まずは準備体操だね」
ネプギアはそう言うと両手を組み高く上に上げて伸びをして準備体操の用意をする。
すると、「二人なんだから、ストレッチもしましょ」とユニが提案してくる。
「うん、いいよ」
ネプギアがそう言って頷くと、「じゃ、ラジオ体操第一やるわよ」とユニが言う。
ゲイムギョウ界にもラジオ体操はあり、スタンダードな準備運動として普及している。
「「いっちに、さんし」」
ラジオ体操を始めるネプギアとユニ。
ネプギアとユニは声に合わせて二人で体操をする
準備体操が終わると、ストレッチをする為に二人で背中合わせにして手を組む、ネプギアとユニ。
「ユニちゃんの背中あったかい」
ネプギアはユニの背中のぬくもりを感じて嬉しそうにする。
「じゅ、準備運動したからじゃないの」
ネプギアのストレートで好意的な感想に戸惑ってしまうユニ。
まずはネプギアが自分の背中にユニを乗せる。
「ユニちゃん、軽いー」
ネプギアはユニを持ち上げると驚いたように言う。
「当たり前でしょ。ちゃんとベスト体重維持してるんだから」
ユニが得意そうにそう言うと、ネプギアはユニを降ろしてと今度はユニがネプギアを背中に乗せる。
「アンタは少し太ったじゃないの?」
ユニがイタズラっぽい微笑みを浮かべてそう言うと、「えー! そ、そんなことないよ!」と焦るネプギア、不摂生な生活をしてはいないが特別ダイエットをしている訳ではないので、もしかしてと思ってしまう。
「冗談よ。馬鹿ねー」
ユニが焦るネプギアに対して面白そうに笑うと、「もー、ユニちゃんの意地悪ー」とネプギアは抗議の意を表すように浮いた足をバタバタさせる。
「ちょ……暴れないでよー」
暴れるネプギアを何とか降ろすユニに対してネプギアは、「だって、ユニちゃんが悪いんだもーん」と頬を膨らます。
相変わらずユニと一緒だとネプギアは年相応の顔を見せる。
「次は前屈ね」
ユニがそう言うと「うん、まず私が押すね」とネプギアが言い、ユニは後ろを向いて腰を下ろすと両足を広げる。
ネプギアは目の前に座ったユニの背中を軽く押す。
「いっちに、さんし、ユニちゃん、柔らかーい」
ネプギアはしなやかに曲がるユニの体に感心すると、「これぐらい当然よ。もっと強く押してもいいわよ」とユニが言う。
ネプギアが押す力を強くするとユニの体はペタッと地面に付く。
「次は私だね」
ユニの背中を押し終えると今度はネプギアがユニの前に座る。
「そーれ!」
一気にネプギアの背中を押すユニに、「いたた、ユニちゃん、痛いってば! もっと優しく~」とネプギアは痛そうに悲鳴を上げる。
どうやらユニのようにはいかないようだ。
「これぐらい我慢しなさい」
ユニに押され、ネプギアは何とか体が地面に付く。
運動を毎日続けているユニとはやはり差があるようだった。
ストレッチを終えたネプギアとユニは橋の前に立つ。
「最初はアンタのペースに合わせてあげるわ」
ユニがそう言うと、「ありがとう、ユニちゃん」とネプギアは嬉しそうに微笑む。
そしてネプギアは足を前に出して軽く走り始める。
「へー、なかなか速いじゃない」
ユニはネプギアのペースが思ったより速くて感心したようだ。
「そうかな」
ネプギアはユニに褒められて嬉しそうにそう言うと、二人は仲良く並走する。
そのまま橋を二往復したところで、「それじゃ、そろそろ本気出そうかしら」と言ってユニがペースを上げる。
「えっ……待ってよ、ユニちゃん」
ペースを上げるにユニに置いて行かれるネプギア。
「最初だけって言ったでしょ。それにノロノロしてたら置いてくって言ったじゃない」
ユニは更にペースを上げてネプギアを突き放すと、「もー! ユニちゃんの意地悪ー!」と言いながら必死に追いつこうとするネプギア。
「むむっ! 意外とやるわね」
思いっ切り突き放したと思ったネプギアがすぐ後ろに付いて来ていることに驚くユニ。
「私だって、負けないんだから」
苦しそうに息をしながらも追いすがるネプギア。
「それでこそアタシのライバルよ」
ユニは嬉しそうニヤリと笑ってネプギアを見る。
そのまま二人は走り続け、五往復を走り終える。
「ふぅ……やっぱり、ユニちゃん速いね」
走り終えたネプギアは両手を太ももの上に置いて、ゼイゼイと息を切らす。
「そりゃ、毎日やってるんだから、初日のアンタに負けたら落ち込むわよ」
それに対してユニはまだ余裕があるように涼し気に答える。
「ふー……何だか爽快な気分」
ネプギアは体を起こすと額の汗を右手で拭う。
「朝早く走るのって気持ちいいでしょ? 良い汗かいたって感じがして」
ユニはそんなネプギアを見ながらそう言うと、ネプギアはにこやかな顔をして「なるほど。良い汗かいてストレス発汗だね」と自信満々に言う。
発散【はっさん】と発汗【はっかん】をかけたダジャレのようだ。
「アンタ……そのダジャレいつになったら止めるの?」
ユニが腕を組んでジト目でネプギアを見ると、「ええー? ダメだったかな? いい感じだと思ったんだけど……」とネプギアは残念そうに眉を八の字に曲げる。
「全然ダメよ。発汗なんて普段使わない言葉を使って、またロムとラムに説明するのが目に見えてるわ」
ユニが腕を組みながら右手の人差し指を上げてそう指摘すると、「う~」とネプギアはうらめしそうな目でユニを見る。
「前々から言ってるけど、アンタにダジャレなんて似合わないし向いてないわよ」
ユニがお手上げのポーズで首を左右に振りながらそう言うと、「そうかなぁ……」とネプギアは腕を組みながらあごに右手を当てて首を傾げる
「そうなの」
ユニはそんなネプギアを押し込むように少し強い声色でそう言うと、「じゃあ、ユニちゃんはダジャレを言う私と言わない私どっちが好き?」とネプギアが質問してくる。
「なによ? その質問は?」
目を丸くして予想外の質問に驚くユニに、ネプギアは上目遣いで、「だって自分じゃ上手く決められないから、ユニちゃんの好きな方にしようかなぁって……」と言う。
「え、えーと……」
突然の質問に狼狽えるユニに、「ねぇ、どっち? どっちの私が好き?」とネプギアが答えを急かす。
「ど、どっちも!」
ユニが思わずそう言うと、「え? どっちもって……」とネプギアが小首を傾げる。
「あ……」
勢いとは言え大胆なことを言ってしまったと思ったユニは思わず右手で口を覆う。
しかし、ネプギアにはちゃんと聞こえたらしく、「ユニちゃん…そんなに私のこと思って…」と目を輝かせてユニを見つめる。
「か、勘違いしないでよね! アタシがそれぐらいで友達の優劣を決めるなんてありえないんだから! べ、別にダジャレを言うネプギアも可愛いとか全然思ってないんだからねっ!」
ユニは右手でネプギアを指差しすると思いっきり早口でまくし立てる。
「そうだよね。ごめんねユニちゃん、変な質問して、ユニちゃんに嫌われたら嫌だなーって思ったら、つい……」
そんなユニの言葉を素直に受け入れたネプギアが謝ると、「そ、そう! 別に嬉しくないけど! ホントなんだからね!」とユニはそっぽを向いてしまう。
「ところで、私も毎日ジョギングしようと思うんだけど……ユニちゃん、明日からも付き合っていいかな?」
ネプギアがユニに期待を込めた目でそう言うと、「…いいけど」と素っ気なく返すユニ。
内心凄く嬉しいのだが、素直に態度に出せる性格じゃない。
「ありがとう、じゃあよろしくね」
ネプギアが嬉しそうにそう言うと、ユニは、「ええ」と言って頷く。
そのままギャザリング城に戻るネプギアとユニ。
シャワーを浴びた頃には丁度朝食の時間になっていた。
「「「「いただきますー」」」」」
今日も全員が食卓に着いて食事を始める。
「うん、朝運動するとご飯が美味しい」
ネプギアは嬉しそうに手を動かす。
「そうでしょ。気分も爽やかになるし、良いことずくめよ」
ユニも嬉しそうにそれに答える。
「ネプギアちゃん、ユニちゃんと何かしたの?」
ロムは首を傾げて尋ねると、「朝のジョギングをしたんだよ」とネプギアは素直に答える。
「えー! ズルいわよ! どうしてわたし達を置いて行くの~」
ラムが頬を膨らませる。
その様子は子供達に内緒で美味しいものを食べた両親だが、そのことが子供達にバレてしまい責められているように見えた。
「アンタ達は寝てたでしょ」
ユニは至極当然のことを言うが、ラムは、「起こしてくれればいいじゃない」と文句を言う。
「ごめんね。起こしちゃ悪いかなって思ったから」
ネプギアはラムにやんわりと謝ると、「……明日もするの?」とロムが上目遣いでネプギアを見つめてくる。
「うん」
ネプギアはロムの質問に素直に頷くと、「じゃあ、連れてって!」とラムがせがむ。
「起きれるの? 朝早いわよ」
そんなラムにユニは釘を刺すとラムは、「起きれるもん!」と元気よく言いロムも、「起きれる」と強気に言う。
どうしても付いて行きたいロムとラム。
ネプギアとユニだけで何かをするのは同じ女神候補生として置いて行かれるようで嫌なのである。
幼いなりに彼女達も置いてかれないよう必死なのだ。
「じゃあ、明日から一緒に行こうか?」
ネプギアが優しくそう言うと、「わーい!流石はネプギア」とラムはバンザイして、「ネプギアちゃん優しい(ぽっ)」とロムは頬を赤く染める。
「プラエも来るといいわ」
ラムが明るい声で誘うが、プラエは俯いて、「プラエも行きたいけど……」と呟く。
そこに隣のあんみつが、「プラエ様はあまりお体が強くありません。朝から激しい運動は出来ないでしょう」と残念そうに言う。
「そうなんだ。ゴメンね、プラエ」
ラムが申し訳なさそうに謝ると、「ううん、プラエの体が弱いのがいけないの。誘ってくれてありがとう」とプラエが答える。
「取材ってことで、私も行っていいかな?」
ファミ通が立候補すると、「はい、いいですよ」快く返事をするネプギア。
しかし、その隣のユニは少し面白くない顔をしていた。
「……せっかく、ネプギアと二人になれる時間が見つかったと思ったのに……」
ユニは小さな声で独り言を言う。
ユニはネプギアが二人きりの時に見せてくれる少し子供っぽいところが好きだった。
ネプギアを独占できる時間が見つかったと言うのにそれが無くなってしまったのが不満なのだ。
ロムとラムのことを邪険にしている訳ではないのだが、二人きりになれる時間が欲しいのが正直な気持ちだ。
しかし、ネプギアこういう誰にでも優しいところも好きなの特に反論はしない。
「ユニちゃん、何か言った?」
ネプギアはユニが何か言ったような気がするので質問するが、「な、何でもないわよ、早く食べましょ」と言ってユニは朝食を口に運ぶ。