昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2 作:ゆーじ(女神候補生推し)
イストワールの執務室を出たネプギアはそのままプラネタワーを降りて、プラネテューヌの街へ出かける。
プラネテューヌの街はプラネタワーを中心に、白を基調しつつ薄紫などの明るい色をした独創的な形の建物が多くある。
その光景は近未来のようで、ゲイムギョウ界一の先進国家と呼ばれるに相応しい街並みであった。
ネプギアはプラネタワーから出ると歩道を歩く。
近未来的な見た目の街であるが、施設は現実世界の日本の街と大きく変わりがない。
歩道には人々が歩き、その横にはビルや商店が並び、車道には車やバイクが通っている。
現在ゲイムギョウ界はG.C.2019の三月二十七日水曜日。
快晴で風も無く、ネプギアは穏やかで温かい春の匂いを感じながら日当たりの良い歩道をゆっくりと歩いて行く。
ネプギアは幼い頃からイストワールから女神としての立ち居振る舞いを教え込まれ、自然と優雅な動作を取ることができる。
過度に格好良く見せるようなものではなく、あくまで自然な動きである。
清楚で可憐なネプギアが姿勢よく淑やかに綺麗な髪を揺らしながら歩く姿は、それだけで行きかう人々を振り向かせる。
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ネプギアは暫く歩くと、【ギルド】と書かれた看板のある店のような建物の前で立ち止まる。
ネプギアが左腕に着けた服と同じカラーをした可愛らしい腕時計を確認すると、時間は九時五十分だった。
建物のシャッターは開いているが、開店時間のopenの表示が10:00となっているので、律義な彼女は店側と通行人の邪魔にならないように端に寄って開店を待とうとする。
すると店の中から、店員と思われる紺のジャケットを羽織った中年でやせ気味の男性が、まだ作動していないガラス張りの自動ドアを手で空けてくる。
「おはようございます、ネプギア様。今日もお早いですね」
男性は軽く頭を下げてネプギアに挨拶をすると、「おはようございます。今日もクエストを探しにきました」ネプギアも丁寧に軽く一礼して挨拶を返し、簡潔に用件を伝える。
ネプギアはユニ達やイストワールなどの親しい人達には少し砕けた態度で接するが、普段は礼儀正しく前述したようにイストワールに教え込まれた礼儀作法をキチンと守っている。
今も、姿勢正しく両手は下に降ろし右手を左手でカバーするように前で重ねており、可愛らしくも上品な印象を受ける。
「どうぞ中にお入り下さい」
男性は自動ドアをネプギアが通れる広さに開けるとネプギアを招き入れる。
「ありがとうございます」
ネプギアはお礼を言うと素直に自動ドアをくぐり店内に入った。
男性はこの店の受付担当のようで、ネプギアを招き入れると奥の受付カウンターに入る。
「ネプギア様は、ご自分からお仕事を探しに来ていただけるので本当に助かりますよ」
受付の男性はネプギアの方を向いて、にこやかに話しかける。
女神と呼ばれているが、現在のゲイムギョウ界の女神は、今のように人間とのコミュニケーションを普通におこなっている。
しかし、十年ほど前は、女神は人間との距離をおいており、人前には女神化という変身した姿で現れ、今のネプギアという人間の姿は世を忍ぶ仮の姿であったのだ。
主な理由は騒がれずに自由に行動が出来ることと、女神化していない隙を突かれた暗殺を避けるためであった。
現に天王星うずめが女神だった頃は、人間の姿でリアカーを引いたりするパフォーマンスを見せたりしたが、それが仇になり反対勢力から何度か暗殺をされそうになったことがある。
それにより近年は女神化する前の人間時の姿は非公開が普通だった。
しかし、当時の女神達の敵であった【犯罪組織マジェコンヌ】に対抗する為の旅で、その姿はゲイムギョウ界の住人の知るところとなってしまった。
主な原因はネプギア達女神候補生が人間の姿のままで女神と名乗りコンサートに出演したり、姉である守護女神達が互いの人気の優劣を競う為に選挙を開いたことなどだ。
その為に今は開き直って人間の姿のままでテレビなどのメディアに出演したり、ライブなどのイベントもしている。
「少しでも早く困ってる人を助けたいですし、それに直接ギルドに来ないとわからない依頼とかもありますから」
ネプギアは受付の男性に向けてそう答えると、ゆっくりと歩いて備え付け端末に移動するとタッチパネルを操作し始める。
ギルドは冒険者にクエストを仲介したり、何かあったときに情報を提供してくれるという組織である。
クエストの内容は多種多様で、大はモンスター退治から小は犬の散歩や草むしりまであり、要約すれば【何でも屋の仲介業者】になる。
ギルドは冒険者には手に負えないようなモンスター退治を、教祖を通して女神にクエストを依頼をする。
その為、待っていればネプギアの元にクエストの連絡は来るのだが、ネプギアは少しでも姉やゲイムギョウ界の人々の力になりたくて、こうして足しげくギルドに通っている。
彼女は自分宛てに届いたクエストは昨日の内に済ませており、今はフリーなのでギルドまで直接足を運んで自分にできるクエストはないかを探しているのだ。
今でこそ直接足を運ぶまでになったネプギアだが、十年前の犯罪組織に対抗する旅を始めたころはギルドの存在すら知らず、友人のアイエフに色々と教わっていた。
受付の男性はそんなネプギアの横顔を嬉しそうに眺めている。
プラネテューヌの街中でもそうだったが、彼女の可愛らしくも上品な振る舞いは人々を惹きつけるものがある。
立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花と言うのはネプギアのような子のことを言うのだろう。
更に毎日真面目に仕事を探しに来るとくれば好感度が高いのも当然だ。
しかし、彼女も昔からここまで真剣にクエストに取り組んでいた訳ではない。
以前からしっかり者で自分の仕事はちゃんとしていたが、自分の分が終わると大好きな姉のネプテューヌの世話を焼いていた。
それが、少し度が過ぎておりイストワールの悩みの種であった。
それが変わったのが、神次元に行ってからである。
今までは殆ど姉と二人きりだったが、神次元にはネプテューヌと気が合う【プルルート】という女神がいた。
ネプテューヌはプルルートと遊ぶことに夢中になり、それによりネプギアと過ごす時間が減ってしまった。
最初はネプギアも寂しいとは思ったが、姉も楽しそうな姿に満足し、ネプテューヌの世話が減ったことによる空いた時間に、女神の仕事に励んだり同居する子供の面倒を見ていた。
ネプギアは一人で女神の仕事に励む内に、仕事をして人の役に立つことや人に感謝されることへの喜びと素晴らしさを改めて知ることになる。
そして女神の仕事をとてもやりがいのある仕事だと思うようになる。
その後に天王星うずめとの出会い、命がけで世界を守ろうとする彼女の生き様に強い影響を受けて、更に女神に対する意識を高めて行く。
現在、うずめは自らが生み出した零次元と心次元を復興する為に日々努力を続けており、ネプギアもそれに負けないよう更に仕事に打ち込むようになる。
甘えん坊の彼女は今のネプテューヌの世話を焼きたい気持ちが無くもないが、仕事に励むことでネプテューヌも喜ぶので基本的には仕事をすることを優先している。