昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2 作:ゆーじ(女神候補生推し)
「ゲイムギョウ界は遥か昔に誕生しました」
ロムとラムは真剣に絵本を見ながらネプギアの声に耳を傾ける。
「最初は0と呼ばれる数字しかありませんでした」
ユニは机に両肘を置き両手を組んで大人しくネプギアの声を聞いている。
「そこに1という数字が生まれてきました。0と1は協力して二進数作り、様々な数字を生み出しました」
ネプギアがそこまで読むとラムが突然手を上げて声を上げ、「【にしんすう】ってなに?」と質問をする。
元気で積極的な上に好奇心旺盛なラムは疑問に思ったことはすぐに質問してくる。
「おさかなの仲間?」
ロムが小首をかしげてそう言うと、その勘違いが面白かったのかネプギアが【くすり】と優しく微笑むと口を開く。
「そのニシンじゃないよ、数字の2に、進む【すすむ】の進に数、【かず】の数で二進数」
ネプギアはそう言ってやんわり否定しながら正確な答えを言うと、「0と1ですべての数字を表現する方法よ」とユニが更に説明を付け加える。
しかし、ラムが不思議そうに首を傾げながら、「えー? 数字って1から10だよね」と反論する。
「ラムちゃん、0から9だと思うよ」
ロムが少し自信なさそうにラムに向かって言うと、「え? そうなの?」とラムが意外そうな表情を浮かべる。
ネプギアは、「うん、ロムちゃんの言う通りだよ」とゆっくりと頷き、「数字には0が必要だし、10は1と0の組み合わせだから」と続ける。
ラムはハッと驚いた顔をすると、「そっか! すごーい! さすがはロムちゃんね」と嬉しそうにロムを褒める。
ロムも嬉しそうに、「えへへ(てれてれ)」と顔を赤くする。
ネプギアはその二人の光景を楽しそうに眺めながら、「普段私達が使っている数字は、0から9の十個の数字を使った十進数」と説明を始める。
話ながらネプギアは両手を胸の前に出して、右手の人差し指を立てて1を作り、左手は親指と人差し指で0を作る。
「二進数は0と1の二つだけで数を数えるの」
ネプギアがそう言うと、ロムとラムは不思議な物を見るような目でネプギアの両手を眺める。
ネプギアは優しい声で、「0があって1があって、次は桁が上がるの。その代わり2進数は桁が一つ左へ移動する毎に値の重みが2倍になるの」と説明を続ける。
ロムとラムはネプギアの話を真剣に聞いている。
「だから、2を現すのは【10】」
ネプギアはそう言うと、右の人差し指と中指を立てて2を作った後に、両手の指を広げて10を作る。
ラムは難しい顔で、「じゃあ、3は?」とネプギア尋ねる。
「3はさっきの10に1を加えて【11】」
ネプギアは右の人差し指と中指と薬指を立てて3を作った後に両手の指を広げて10を作り、その後で右手の人差し指を上げて1を作り11を表現する。
今度はロムが少し困った顔で、「4は?」とラムと同じようにネプギアに尋ねる。
「4になるとまた桁を上げて値の重みを2倍にして【100】ってするの」
ネプギアが今度は右手の親指だけ伏せて4を作ると、今度は左手の人差し指で宙に100を書くようにして説明を続ける。
言葉と一緒に右手と左手を巧みに使って説明をするネプギア。
彼女は右利きだが様々な経験を積んだ末にほとんど両利きに近いので左手の動きもスムーズである。
「じゃ、じゃあ……5は101?」
ロムが少し自信なさそうにもじもじ言うと、「あたりだよ。凄いねロムちゃん!」とネプギアはやや大げさにロムを褒める。
ロムは顔を赤くして、「えへへ……(てれてれ)」と照れると、「なら、6は110でしょー!」ラムが自信満々に言うと、「ラムちゃんもあたり。すごい、すごい!」とネプギアは拍手をして褒める。
ラムは腰に手を当てて、「これぐらい当然よ」と嬉しそうに笑う。
ユニはそんな三人を見つめながら溜息を吐いて、「相変わらずのメカオタぶりね」と呆れたように言う。
ネプギアはユニの方に振り向くと、「えー? これぐらい普通だよ、それにこれはメカじゃなくてコンピューターの話だよ」と口を尖らせて反論する。
清楚な見た目からは少し意外だが、彼女は機械やコンピューターが好きで色々と勉強をしている。
ユニも見た目からは想像できないが銃器の類が好きで収集している。
銃への興味からネプギアとユニは趣味が合って、二人でジャンクショップやガンショップを回って買い物をすることがある。
「それにユニちゃんだってできるよ、例えば【1101】は?」
ネプギアがユニに質問する。
ネプギアはユニのことを友人としても一人の人ととしても高く評価しているので、ロムとラムより少し難しい問題を出す、
ユニがしばらく考え始め、「えっと……は8+4+0+1で13かしら?」とユニが答えると、「あたり! さすがはユニちゃん」とネプギアが手を叩いて拍手をする。
「うー! 何となくはわかったけど、大きい数字になるとちんぷんかんぷんよー」
ラムはユニのように少し難しい問題にスラリと答えが出なかったことを少し悔しそうに首を左右に振りながらそう言う。
ロムも、「わたしも……ちょっと難しい(しゅん)」と落ち込んでしまう。
二人とも二進数の基礎は理解できたようだが、数が多くなると理解が追いつかないようだ。
「でも、どうしてこんな暗号みたいなことするのー? 桁が多くてわかりづらいじゃない」
ラムが不思議そうに首を傾げて言うと、「うん、不思議?」とロムも小首を傾げる。
ネプギアは二人に同意するように頷くと、「そうだね。私達には少しわかりづらいよね」と言う。
ラムは、「じゃあなんでー?」と質問すると、「桁が多くてもコンピューターには0と1の二つの状態の組み合わせで数値を表現する二進数の方がわかりやすいの」とネプギアが答える。
ネプギアは続けて、「この本でもゲイムギョウ界には0と1しかいなかったから、0と1が頑張って二進数で色々な数字を生んだんだよ」と説明しながら話を絵本の方に戻そうとする。
「「おおー」」
ネプギアの説明を理解できたロムとラムが揃えて感嘆の声をあげる。
その反応を見たネプギアは本の続きを読み始める。
ロムとラムに物を教えながら本を読んであげるその姿は、まるで教育テレビのお姉さんのようだ。