昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2   作:ゆーじ(女神候補生推し)

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#212 裏プラネテューヌ

 翌日、G.C.2019年8月13日 火曜日

 

 

 ネプギア達は朝のトレーニングと朝食を済ませると、アイエフのバイクとコンパの車とファミ通のワゴン車でクエストに向かった。

 

向かった場所は【裏プラネテューヌ】と呼ばれるプラネテューヌの北の街外れだ。

 

以前は都市計画が進められていたが、ネプテューヌが開発費60憶クレジットのゲームを作ろうとしたりして財政を傾かせたり、犯罪組織の横行やキセイジョウ・レイの侵略が起きた為、計画が遅滞し放置されてしまった場所である。

 

 

「ここがタレコミのあった犯罪組織の残党共の住処ね」

 

 

 アイエフが二階建ての町工場のような建物を見ながら言うと、「たれこみ?」とロムが首を傾げ、「焼肉? それともうなぎ?」とラムが質問すると、「そのタレじゃないわよ。タレコミは犯罪行為とかの情報を、密かに知らせることよ」とユニが答える。

 

 

「開拓計画で森の隠れ家を追い出された後に、ここに住み着いたらしいよ。近隣の住人が迷惑しているみたいだよ」

 

 

 ファミ通が説明をすると、「こんなところを根城にしていたのね」とニトロプラスが忌々し気に言い、「悪の秘密基地にしてはショボイなー」と日本一が不満そうにすると、「所詮は落ち目の集団ですの」とがすとが答える。

 

建物自体の大きさは学校の校庭程あるが、開発計画が遅滞した為に建設途中の場所は所々あり、いくつか鉄骨が剥き出しの部分がある。

 

 

「それも今日で終わりだよ。私達が来たからにはすぐに追い出してやるんだから」

 

 

 ゴッドイーターが意気込むと、「ワレチューもいるのかな? 上手く連れ戻せればいいんだけど……」とビーシャが不安そうに言うと、「絶対に連れ戻しましょう。わたしもお手伝いするです」とコンパが励ますように言う。

 

 

「人手も増えたし、逃げられないように突入するチームと逃げ道を塞ぐチームの二手に分かれようか?」

 

 

ファルコムが提案すると、「そうですね。それがいいでしょう」とイストワールが頷く。

 

 

「上手く戦力を分散しないとですね」

 

 

 ネプギアはそう言うと、「まずは戦力確認ですね」と言いながらNギアを取り出すと、「みなさんのレベルを教えて下さい」と言う。

 

メンバーはそれぞれのレベルをネプギアに伝えると、「えっと……ファルコムさんが55で他の人は40から42ですね」とネプギアがNギアにデータを書き込む。

 

 

「ヒーラーのロムちゃんとコンパさんは別々のチームがいいから……」

 

 

 ネプギアはNギアを操作して、パーティーメンバを分けると、「これでどうでしょうか?」とイストワールにNギアを見せる。

 

 

「……ネプギアさん達女神候補生を中心とした主戦力で正面から突入して、ファルコムさんを中心とした別働隊で逃げ道を塞ぐのですね」

 

 

 イストワールが画面を見ながら質問すると、「はい」とネプギアが答え、「良い編成だと思います」とイストワールがネプギアに微笑みかける。

 

 

「それでは、日本一さんとがすとさん、それにゴッドイーターさんとニトロプラスさんとビーシャさんは私達に付いて来て下さい」

 

 

 ネプギアがそう言うと、女神候補生達と呼ばれた五人がネプギアの側に集まる。

 

 

「それじゃあ、あたし達は逃げ道を塞ぐよ」

 

 

 ファルコムがそう言うと、アイエフ、コンパ、ファミ通、イストワール、プラエの五人がファルコムの側に集まり、五人は工場の裏手に回る。

 

 

「腕がなるね」

 

 

 ゴッドイーターが右手の拳で左手の手のひらを叩くと、「邪悪、断つべし」とニトロプラスが冷たい声で言い放つ。

 

 

「ちょっと、ワレチューは殺されたら困るんだけどー」

 

 

 ビーシャがニトロプラスに抗議するが、「助ける必要ある? 何度も裏切ってるんでしょ」とニトロプラスは変わらず冷たい声で言う。

 

 

「寝返る奴を信用しないって言うのはわかるけど、ワレチューにはまだ帰れる所があるんだよ」

 

 

 ビーシャがニトロプラスに訴えると、「善処はするけど、保証はしないわ」とニトロプラスは素っ気なく答える。

 

 

「私と日本一さんとゴッドイーターさん、それにニトロプラスさんは前衛、後衛はユニちゃんを中心に、ロムちゃん、ラムちゃん、がすとさん、ビーシャさんでお願いします」

 

 

 ネプギアがフォーメーションを決めると、ユニが、「わかったわ。任せて」と言い、前衛の四人が前に立ち、その後ろに後衛の五人が続く形で工場の入り口に向かう。

 

 

「それじゃあ、突入!」

 

 

 日本一が勢いよく扉に手を掛けるが、「あれー? 開かないよー?」と不思議そうに言う。

 

 

「鍵ぐらい掛かってて当然ですの」

 

 

 がすとが呆れたように言うと、「じゃあ、あたしのキックで蹴破ってやる!」と日本一が後ろに下がって助走を付けようとするが、「待って下さい。これぐらいの鍵ならすぐに開きますから」ネプギアが慌てて日本一を止める。

 

 

「針金でちょちょいのちょいとか?」

 

 

 ゴッドイーターが質問すると、「このドアは電子ロックですから針金じゃ開きませんよ」とネプギアが答えながらNギアを取り出し、それをドアに貼り付ける。

 

 

「まさか……キー・センサーにも使えるのそれ?」

 

 

 ユニが恐々と質問すると、「うん、アノネデスさんから色々教えて貰って自作のアプリ作ったんだ」とネプギアがドヤ顔で答えるとNギアの画面をタッチしてアプリを起動する。

 

 

「きーせんさー?」

 

 

 ラムが不思議そうに首を傾げると、「電子ロックのパスワードが解析できるアプリだよ」とネプギアが生き生きと説明する。

 

すると、「ネプギアちゃん、スパイみたい(こそこそ)」とロムが嬉しそうに微笑む。

 

 

「凄いんだけど、女神様がこんなことしていいのかなぁ……」

 

 

 日本一が微妙な顔で言うと、「爆破した方がよかったですか? プラスチック爆弾も雷管もありますけど?」とネプギアが真面目な顔で日本一に尋ねる。

 

 

「そういう問題じゃないと思いますの……」

 

 

 がすとが呆れ顔で言うと、「まぁ、ネプギアのメカオタは特殊な趣味だから」とユニが困り顔でフォローするが、「ユニちゃんのガンマニアも特殊だよー」とネプギアが不満そうに口を尖らせる。

 

 

「それで、どうなの?」

 

 

 ニトロプラスが冷静にネプギアに尋ねると、「解析完了しました。今開けますね」とネプギアが解析した番号を素早く入力すると、【プシュ】と音と共に扉が横にスライドして開く。

 

 

「おお! すごーい」

 

 

 ラムが嬉しそうにバンザイすると、「ネプギアちゃん、えらい(ぱちぱち)」とロムが拍手をし、「ネプギアなら、戦闘中にロボットのOS書き換えちゃいそうだね」とビーシャが感心する。

 

 

「それじゃあ、改めて突入だー!」

 

 

 日本一が元気よく言うと、「おー!」とビーシャがそれに続くが、ニトロプラスが怪訝そうに、「静かにして。敵に感付かれるわ」と注意する。

 

 

「その通りですの。日本一とビーシャは少し頭を使うのですの」

 

 

 がすとがニトロプラスに同意すると、「でも、正義のヒーローは正面から正々堂々と挑むべきだよ」と日本一が持論を言うと、「あたしは正義のヒーローのつもりなんて、これっぽちもないわ」とニトロプラスが冷たく答える。

 

 

「善因には善果あるべし、 悪因には悪果あるべし。因果応報、天網恢恢。それがあたしの信念よ」

 

 

 ニトロプラスがそう言うと、「おおっ! よく分からないけど、カッコイイ!」と日本一が目を輝かせ、「むむっ……なかなかの名乗りだね」とビーシャが腕を組んで唸る。

 

 

「どういう意味?」

 

 

 ロムが不思議そうに首を傾げ、「引火ぼうぼう? いんもうかいかい?」とラムも首を傾げると、「がくっ……」とクールなニトロプラスも膝を折ってしまう。「この子達には悪気はないのよ。よくあることだから気にしないで」とユニがフォローをする。

 

 

「えっと、良いことをすると良い結果が起きて、そのことを善因善果。悪いことをすると悪い結果を招くってことを悪因悪果。それを総じて因果応報。天網恢恢は決して悪事を見逃さない、悪事はいずれ必ず報いを受けるって意味だよ」

 

 

 ネプギアが丁寧に説明すると、「カッコイイ」とロムが感心し、「滅殺仕事人みたーい」とラムが喜ぶ。

 

【滅殺仕事人】とは、悪人達に苦しめられた人々が最後の手段として仕事人と呼ばれる殺し屋に依頼をし、仕事人が悪人どもを痛快かつ爽快に成敗する時代劇だ。

 

 

「私のだってカッコいいよ」

 

 

 ゴッドイーターがそう言うと、「なになに?」とラムが関心を示す。

 

ゴッドイーターは、「こほん……」と咳ばらいをすると、「命令は三つ。死ぬな。死にそうになったら逃げろ。そんで隠れろ。運が良ければ不意を突いてぶっ殺せ!……だよ」と答える。

 

 

「あれ? 四つ?」

 

 

 ロムが不思議そうに首を傾げると、「あはは……そうだね」とゴッドイーターが恥ずかしそうに右手で後頭部をかく。

 

 

「遊んでないで早く行きますの」

 

 

 がすとが呆れた声で言うと、ネプギア達は建物の中に慎重に入って行く。

 

一階は作業場になる予定だったらしく、がらんどうとしている。

 

ネプギア達は警戒しながら前進していくと、「待って、見張りがいる」とネプギアがNギアのレーダーを見ながら呟く。

 

ネプギアの言う通り、建物の二階に続く階段に犯罪組織の灰色のコートを着た一人の男性がウロウロしているのが見える。

 

 

「一人か……。麻酔弾で眠らせる?」

 

 

 ユニが銃を構えながら言うと、「いや、ここはあたしに任せて」とニトロプラスが前に出る。

 

 

「何するの?」

 

 

 ビーシャが尋ねると、ニトロプラスは左手を見張りに向けると、「幻惑・肉塊の幻想」と呟く。

 

 

「何も起きないよ」

 

 

 日本一が怪訝そうな顔をすると、「すぐに効果が出るわ」とニトロプラスが落ち着いて答える。

 

すると。見張りがガタガタと震えだして両膝を付いてうずくまる。

 

 

「これで大丈夫よ」

 

 

 ニトロプラスはそう言うと、悠々と歩きだして、うずくまる見張りの横を通り過ぎる。

 

 

「何をしたの?」

 

 

 ゴッドイーターが見張りを見ながら不思議そうに尋ねると、「今、コイツは目を覆いたくなるような醜い肉塊にまみれた世界を見ているわ」とニトロプラスが涼しい顔で答える。

 

ニトロプラスは幻惑の術を得意とし、幻惑を見た相手は状態異常やデバフの効果が掛かる。

 

 

「精神攻撃は基本ですの」

 

 

 がすとが感心したように言いながら見張りの横を通り過ぎると、「……それ子供向けと思われたアニメなのに、主人公が頻繁に犯罪行為をしたりする悪役みたいなヤツじゃなかったけ……」と日本一が困った顔で言う。

 

 

「鳳凰の青銅聖戦士も精神攻撃使ってたし、いいんじゃないかな」

 

 

 ビーシャが開き直ってそう言うと、ネプギア達も見張りの横を通り過ぎて、二階に上がる。


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