昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2 作:ゆーじ(女神候補生推し)
「姉さまはクールだけど心の中に熱い情熱を持っている人だから、ゲイムギョウ界は常に戦い続け、強いものが治めるべきだって言ってた」
プラエが更にしゃべり続ける。
ネプギアは、今はプラエの話を聞くべきだと思い、彼女の言葉に耳を傾ける。
「でも、プラエはそれは少し違うと思ってた。それを姉さまに言ったら、じゃあ、プラエはどうしたい? って質問されて、その時プラエは何も言えなかった」
プラエの独白が続く。
ネプギアは真剣にプラエの話を聞きながら、彼女の目を真っ直ぐに見つめる。
「姉さまは何も言えなかったプラエにこう言ったの。【私が戻らなくなって十年経ったら、プラネテューヌを訪れろ。そこにお前の求める答えと進むべき道がある】って」
プラエは両手を胸に当てて、「その時は、姉さまが居なくなるなんて嫌って、泣いて話が終わっちゃったけど……次の日から姉さまは帰って来なかった」と悲しそうに言う。
「……ネプギアお姉さん、教えて。プラエの求める答えと進むべき道を」
プラエはネプギアの目を真っ直ぐに見つめ返す。
彼女は姉の言った言葉を信じ、その答えを持つ者がネプギアだと確信したようだ。
「………」
ネプギアは暫くの間黙ったままだった。
プラエに言うべき答えを真剣に考えているのだ。
普段の彼女なら他人の運命を決めるような重大な選択肢に尻込みしてしまうところだが、今の彼女は違った。
(プラエちゃんの為に、私の想いを乗せた言葉を!)
ネプギアはプラエのことを知りすぎたし、何より今さっき彼女を護ると誓ったのだ。
ユニやうずめは、このように迷いのないネプギアは誰よりの強いと言っている。
「私も、プラエちゃんとおんなじだよ。プロテノールさんの考えは少し間違ってると思う」
ネプギアがそう言って小さく頷くと、プラエは少し明るい表情を浮かべる。
「話は少し変わっちゃうけど、ネプギアンダムの作られた世界は機界フレイラルって言って、昔は高度な機械による文明を誇ったの」
ネプギアは更に話を続け、プラエも静かに話に耳を傾ける。
「召喚獣として呼び出すロボット達もどれもカッコよくって凄い武器を持ってた。でも、大規模な戦争によって荒廃しちゃって廃墟の世界になっちゃったの」
ネプギアはそう言いながらNギアを操作してホログラムを呼び出す。
そこには倒壊したビルや壊れた工場の並ぶフレイラルの光景と、フレイラルから呼び出される強そうな戦闘用ロボットの数々が映っていた。
プラエはそのホログラムを真剣な顔で眺めながら、「だから戦い続けるのはよくない?」と質問をする。
「うん、そうだね。でも、それだけじゃないの」
ネプギアはそう言うと、「ある日、そんなフレイラルの最新鋭の護衛ロボットを私の召喚獣してくれるって言われた時、すごいワクワクした」と続ける。
プラエは再び大人しくネプギアの話に耳を傾けた。
「その時出来たのが、このネプギアンダムなんだよ」
ネプギアの言葉に、「最新鋭???」とプラエが訝しげに首を傾げる。
「私も最初はそう思った。もっと自由とか正義とか運命みたいな感じのロボットが出来ると思ってたから」
ネプギアがそう言うと、「自由? 正義? 運命???」とプラエは更に意味が分からないと言った感じの顔をする。
「あっ、分かりにくいよね、ごめんね。とにかくカッコよくて、武器がいっぱい付いてるのを想像してたの」
ネプギアが説明をすると、「あっ、うん。プラエもそう思ってた」とプラエがようやく理解できたという顔をした。
「正直すごくガッカリしたけど、フレイラルの人達は【ネプギアンダムこそが、より良い未来を作るロボットだ】って自身満々だったから、とりあえずそのまま受け取ったの」
ネプギアはそう言った後少し恥ずかしそうに右人差し指で右の頬をかく。
「でもね、ネプギアンダムのマニュアルを見て、私、自分がすっごく恥ずかしくなっちゃったんだ」
ネプギアの態度と言葉に、「どうして?」とプラエは不思議そうに問いかける。
「そこには、人の役に立つこと、困っている人を助けること、人を護ることが山ほど書かれていたの」
ネプギアは静かに胸の中心に両手を重なるように当てながら目を閉じる。
「その時、私、気付いたの。いつの間にかロボットを戦いの道具として見てたことを。本当のロボットは人を幸せにする物であるべきだって」
ネプギアの言葉にプラエも【ハッ】と驚いた表情を浮かべ、「プラエもそう思った……そうだよね。人を幸せにするロボットの方がいいよね」と【うんうん】としきりに頷く。
「ネプギアンダムには、世界を戦争によって荒廃させてしまったフレイラルの技術者の人達の後悔と警告の意味が込められていて、それを私に伝えようとしてくれたんだって思う」
ネプギアはしみじみと言うと、「それに固定火器をたくさん積むより、シンプルな素体に換装パーツを付ける方が拡張性や汎用性が……」と早口にしゃべり始める。
プラエが慌てて、「お姉さん、お姉さん、話がズレてるよ!」と止めると、「はうあっ! ご、ごめんね! ロボットのことになるとつい我を忘れちゃって……」と正気に戻るネプギア。
「こほんっ……」
ネプギアは咳払いをして気を取り直すと、「私はそれを見て女神も同じなんじゃないかって思ったの」と言う。
「女神も遥か昔から、人々を護る為、ゲイムギョウ界の覇権を握る為に戦い続けて来たけど、それだけじゃダメなんだって」
ネプギアは祈るように目を閉じて両手を組んでしゃべり続ける。
「女神の持てる力を戦いや国の発展で争うことに使うだけじゃなくて、調和と協調に使えばゲイムギョウ界をもっと良くできるんじゃないかって」
そう言ったネプギアをプラエは尊いモノをみるような目で見つめていた。
「私達女神だけじゃなくて、信者の人たち。それに今は悪いことをしている人たちやモンスターですら心を入れ替えて手を取り合って暮らせる世界」
ネプギアはゆっくりと目を開けて、「私は女神の力をそんな世界を作るために使いたい。今はお姉ちゃんに甘えて目の前の人達を護るだけで精一杯だけど、いつかきっと!」と力強く宣言する。
「それに、超次元現象を使えば、ゲームの世界から別のギョウ界とかにも調和と協調による平和を呼び掛けられると思うの。だから、私はこの夢を諦めない」
ネプギアがそう言い切ると、「それだよ……!プラエの求めてた答えと進むべき道は、やっぱりネプギアお姉さんが持ってた!!」とプラエがネプギアの両手を握る。
「お願い。プラエをネプギアお姉さんの側に置いて。プラエ、エスパーだから役に立つよ!」
プラエが熱っぽくそう言うと、「でも、お姉さんは?」とネプギアが問いかける。
プラエは静かに首を左右に振ると、「プラエもそこまで子供じゃないよ。十年も帰って来なかった姉さまがすぐに見つかるなんて思ってないよ」と答える。
更に、「諦めた訳じゃないけど、姉さまはネプギアお姉さんに協力しながら見つける。多分そうした方が見つかると思うの」と言う。
「そっか……」
ネプギアはそう言うと、プラエの手を握り返し「それじゃあ、プラエちゃん、私に力を貸してくれる?」とプラエに問いかける。
プラエは満身の笑顔で、「うん! もちろんだよ」と頷いた。