昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2 作:ゆーじ(女神候補生推し)
「ゲイムギョウ界の人々はゲームをしながら平和に暮らしていました。しかしそれを脅かすものがいましたモンスターです」
モンスターは基本的に人間や女神の敵として認知されている異形の生命体。
人や作物を襲い害をなす。
その姿は大型化した植物や昆虫、動物などの他にドラゴンなどの我々の世界では空想上生き物も存在する。
中にはロボットやゲイムギョウ界独自のデータ系と呼ばれる、先ほど話に出た紙に書いた絵のような生き物や、テレビ画面に映ったようなほとんど厚みのないものもいる。
「モンスターは人々を襲いました。人々は抵抗しましたがモンスターはとても強く歯が立ちません」
ネプギアの声を聴きながら、ロムとラムは話の続きが気になるらしく、「どうなっちゃうんだろ?」とラムが言うと、「気になる(どきどき)」とロムがそれに続く。
「追いつめられた人々は必死に祈りました。【どうか安らかにゲームを楽しめる平和をお与え下さい】と。その時一つのゲーム機が空に浮かび上がりキラキラと輝き始めました」
ネプギアが更に読み続けると、「「おお~!」」とロムとラムが感嘆の声を上げる。
「ゲーム機はとても美しい女性の姿になりました。その女性はとても強く、あっという間にモンスターを倒してしまいました、人々は喜びの声をあげます【女神様】と」
ネプギアが読みながら絵本のページをめくる。
すると今度は女神様と思われる女性が描かれていた、「おおー、女神様だ」とラムが言うと、「きれい……(ほれぼれ)」とロムが続く。
二人とも女神の絵に釘付けのようだった。
ネプギアはロムとラムが落ち着くのを待ってから絵本の続きを読む。
「女神様は強いだけでなく、とても賢い女性でした。女神様はその知恵で人々をまとめ上げ国を作りました。女神様はその国を【プラネテューヌ】と名付けました」
ユニが、「その本、プラネテューヌの本なの?」と質問すると、「プラネテューヌの図書館にあったのを借りてきたのよ」とラムが答える。
続けてロムが、「ネプギアちゃんに貸出カード借りたの」と言う。
プラネテューヌとは先ほど出てきたラステイションと同じくゲイムギョウ界の国の一つである。
ロムとラムはプラネテューヌに住んでおらず、プラネテューヌにはネプギアの住んでいるので彼女の図書カード借りたのだ。
ユニはロムとラムの回答に、「なるほどね」と納得するとネプギアに向かって、「それで終わり?」と質問する。
「まだまだページがあるから続くみたいだよ」
ネプギアはユニの質問に答えると続きを読み始める。
「人々が女神様を褒め称えて信仰すればするほど、女神様の力は強くなりました。そうしていく内にプラネテューヌはどんどん大きくなりました」
ネプギアがページをめくると女神を褒め称えている民衆の絵が描かれていた。
「シェアエネルギーってやつね」
ユニが腕組みをしながら納得するように頷くと、ネプギアが、「うん、シェアエネルギーは女神の大切な力の源だからね」と続く。
ゲイムギョウ界の女神は住人からの信仰を【シェアエネルギー】という力にして受け取ることができる。
女神はこのシェアエネルギーを自らの力として国や国民たちを守り導き、人々の信仰が途絶えない限り、女神は不老不死として半永久的に存在することができる。
ネプギアは絵本のページをめくると続きを読み始める。
「しかし、そこで事件が起きました。なんと女神様は一人ではなかったのです。他にも四人の女神様がいてそれぞれ国を持っていたのです」
絵本にはプラネテューヌの女神に立ちはだかるように四人の女性が描かれている。
「四つの国は【ルウィー】、【タリ】、【ピジョン】、【カルディア】と呼ばれました」
更に絵本を読み続けるネプギアにラムが嬉しそうに、「あっ、ルウィーが出てきた」と声を出すと、「ルウィーどうなるのかな?(どきどき)」とロムもそれに続く。
ロムとラムはルウィーに住んでいるので自分の国が出てきたのが嬉しいのだろう。
「ラステイションはまだ出ないみたいね。プラネテューヌとルウィーに比べれば歴史は浅いから仕方ないか」
ユニは少し残念そうにしながら言う。
彼女の言う通りラステイションは比較的新しい国なのでまだ出てこないようだった。
「そういえば、タリって聞いたことがあるような……」
ラムが腕を組んで考え込むと、「確か、神次元にあった古い国だったと思う」とロムがラムの疑問に答える。
ラムは右の手のひらを左手のこぶしでポンと叩くと、「そうそう、それそれ。さすがはロムちゃん」と思い出したように言う。
神次元と言うのは以前にネプギアが迷い込んだ別の次元で、ネプギアはそこで様々な事件を解決して戻って来たのだ。
ちなみにネプギア達が今住んでいるこの次元は超次元と呼ばれている。
「ピジョンとカルディアは聞いたことがないわね」
ユニはあごに右手を当てながら考え込むと、「ルウィーとタリと合わせて、紀元前のゲイムギョウ界の四国家だったって、いーすんさんに聞いたことがあるよ」とネプギアが答える。
ロムが、「きげんぜん?」と首を傾げ、ラムが、「賞味期限前にちゃんと食べること?」と質問する。
ユニは少し呆れた声で、「違うわよ。今のG.C.より前の時代だから紀元前って言うの」と説明すると。
更に、「G.C.は今のゲイムギョウ界の繁栄の元を作った二代目のルウィー女神の文子様の誕生した年に合わせて作られたんだよ」とネプギアが続く。
G.C.【ジーシー】とは我々の世界では西暦を現すA.D.と同じく年の呼称に使われる。
ロムが、「ルウィーの文子……様がゲイムギョウ界の元を作ったの?」と質問する。
それに対して、「うん、ゲイムギョウ界の存在が他の世界に認められ始めたのは、二代目ルウィー女神の文子様とその妹の音子様の活躍のおかげなんだよ」とネプギアが答える。
ゲイムギョウ界は以前よりあったが、その存在が広く認められたのはルウィーという国の二代目女神の力があってこそであった。
勿論、彼女だけの力ではないが、一番の功労者と言って差し支えないだろう。
「ところで、じーしーってなに?」
今度はラムが左手を上げて質問すると、「ゲームの世紀。Game Century【ゲーム・センチュリー】の略よ」とユニが答える。
先ほどと同じように、「紀元前はB.G.で、Before Game【ビフォー・ゲーム】になるの」とネプギアがそれに続く。
西暦がイエス・キリストの誕生年からと定められたことと同じように、ルウィーの二代目女神の活躍を称して彼女の誕生年の翌年をゲームの世紀の始まりとして、G.C.と名付けたのだ。
今まで出て来た、ゲイムギョウ界という世界、マーリョというキャラクター、文子と呼ばれる女神。
これらのキーワードで西暦1970~80年頃の生まれの方は何か思い当たる節があると思う。
察しの通り、ゲイムギョウ界は我々の住む世界のコンピューターゲームと深い関わりがある世界だ。
ルウィーの二代目女神の文子は1983年に発売した有名家庭用ゲーム機のゲイムギョウ界での姿となる。
その為、西暦1983がG.C.の始まりになる。
昔は現実世界とゲイムギョウ界の時間の流れの早さは別々になっていたが、ここ最近になって現実世界とゲイムギョウ界の時間の流れが完全に同期した。
それにより、西暦2019年の現在のゲイムギョウ界もG.C.2019年となっている。
尚、ゲイムギョウ界の太陽暦も今はグレゴリオ暦が使用されており、一年は約三百六十五日となり一日も同じく二十四時間となる。
気候は雪国であるルウィーを除けば、現実世界の日本と同じく春夏秋冬の順で季節が巡って来る。
「それじゃあ、プラネテューヌは紀元前の国にならないの?」
ロムとラムの質問に答え終わったユニが話を戻してネプギアに質問する。
それに対してネプギアは、「うん、プラネテューヌの初代女神様とルウィーの二代目女神様は同い年の生まれなんだって」と答える。
「紀元前の国の中ではどこが一番古いの?」
ラムがネプギアとユニの間に身を乗り出しながら質問すると、「いーすんさんは、タリって言ってたよ」とネプギアが答える。
続けてロムは、「じゃあ、タリがゲイムギョウ界で一番古い国?」と質問する。
ネプギアはゆっくりと首を左右に振ると、「ううん、それより前に、オデュッセイアって国があって、これがゲイムギョウ界の初めての国って言われているんだって」と答える。
ユニは腕を組んで、「アンタ、なかなか物知りね」と感心すると、「最近は、いーすんさんに歴史も習ってるんだ」とネプギアは嬉しそうに言う。
ユニはネプギアの知識にライバル心が刺激され、ネプギアはユニに褒められたのが素直に嬉しいようだ。
ネプギアとユニは、仲の良い友人としても互いを高めあうライバルとしても良好な関係を築き続けていた。