昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2 作:ゆーじ(女神候補生推し)
ザシュッ!
刀が切り裂く音が部屋中に響き渡る。
床に倒れるネプテューヌ。
「お姉ちゃん!!」
「ネプテューヌさんっ!!」
そこへ、ネプギアとイストワールが走って駆けつけてくる。
プラネタワーの入り口で、あんみつに気絶させられた警備の兵を見て、慌ててここまで来たのだ。
ファミ通には入り口で待機してもらいつつ、警備の兵を看てもらっている。
ネプテューヌはうつ伏せになって、ピクリとも動かない。
「そんな……お姉ちゃん……」
ネプギアが絶望の声と表情で崩れ落ちる。
「浅い!?」
突然、あんみつが叫ぶ。
「馬鹿なあれを避けられる筈は……」
あんみつがそう言うと同時に、「とりゃーーーー!」と倒れていたネプテューヌがあんみつに飛び掛かる。
ネプテューヌはあんみつを掴むと、「くんずほぐれつ! モンゴル相撲ーーーー!」と縦四方固めを決める。
「お姉ちゃん、それ柔道だよ」
ネプギアが律義にツッコミをしてくる。
ネプテューヌの無事を理解できたようで落ち着きを取り戻したようだ。
「ネプテューヌさん! 服! 服がっ!」
イストワールが慌てた声で叫ぶ。
よく見ればネプテューヌの服は正面から袈裟斬りに切り裂かれており、その状態で寝技に持ち込んだせいか服が破れてしまい下着姿になってしまっている。
あんみつの刀が切り裂いたのはどうやらネプテューヌのパーカーワンピだけだったようだ。
「服なんて、あとあと! それよりこのお姉さん、賊だよ賊! 賊って言っても珍走団の方じゃないからね」
ネプテューヌがそう言うと、あんみつは、「このようなところで捕らわれるとは……プラエ様、お助けできず申し訳ありません」と呟く。
どうやら、ネプギア達が来た上に縦四方固めが極まったことで潔く諦めたようだ。
「プラエ……?」
ネプギアがあんみつの言葉に首を傾げながら、縦四方固めでネプテューヌのお腹に隠れた彼女の顔を覗き込む。
「あっ! 葛切あんみつさん!」
プラエに見せてもらった写真のあんみつにソックリだったので、思わず声を上げる。
「え? もしかしてお知り合い」
半裸のネプテューヌが不思議そうに首を傾げる。
しかし、油断して縦四方固めを緩める気がないのは、さすが熟練の戦士だ。
「お姉ちゃんにはまだ話してなかったけど、今日迷子で知り合った子の保護者なの」
ネプギアが簡単に説明をすると、「なに? かどわかしたのではないのか?」とあんみつが質問してくる。
「誤解です! 私はプロテノールさんを探しに来たプラエちゃんに協力しただけです!」
ネプギアが両手を胸に当てて、自らの潔白を証明するよう精一杯訴える。
「だが、街の者は【女神様がまた新しい幼女に手を出した。想像が捗るぜ。夏の祭典は女神様のおねロリ漫画で決まりだぜムッハーーー】と言っていたぞ」
それを聞いたイストワールは頭が痛いと言わんがばかりに右手で額を押さえると、「それは情報の入手元が悪いです……」と呟く。
さすがのネプテューヌも縦四方固めを解くと、「なんで、そういう特殊性癖なお兄さん達の言うこと真に受けちゃうかな~」とハの字眉毛の困った顔をする。
「え? え? ……どういうこと?」
話についていけず置いてけぼりなネプギアはイストワールとネプテューヌを交互に見ながら質問をする。
「ほら、ルウィー寄りなプラネテューヌ民の中には、ネプギアがロムちゃんとラムちゃんにエッチなことしてるように見える人もいるんだよー」
ネプテューヌがそう言うと、ネプギアは激しく首を左右に振って、「エッチなことなんてしてないよ。たまにお泊りして、一緒にお風呂入って寝るだけだよ」と言って慌てる。
「や、その時点で特殊性癖なお兄さん達の妄想は限界突破のR-18なんだって。で、そこにプラエちゃんって子が加わって、ネプギアのおねロリハーレムが充実しちゃった感じ」
ネプテューヌが何も知らないネプギアに呆れるように言う。
R-18の【R】とは【Restricted(リストリクティッド)】の略で【制限、規制】などを意味する単語である。この場合はポルノ関係の意味だ。
そして、おねロリはお姉さんと少女という組合せのカップリングを示す。
つまり、ネプギアが年下好き同性愛者で、新しい女の子に手を出したと【一部】の界隈で話題になっていたものを、あんみつが信じてしまったのだ。
「えっ? えっ!? えーーーー?」
ネプギアはネプテューヌの言うことに理解と理性が追いつかず、ぐるぐる目で慌てながら、頭から蒸気が噴き出すぐらい真っ赤になってしまう。
そこへ突然何者かが割って入る。
激しいブレーキ音で停止したのは、ネプギアンダムであった。
「エマージェンシー! エマージェンシー! マスター。プラエサマノゴヨウダイガアッカシテオリマス」
そう言うネプギアンダムの両手には、「はぁはぁはぁ……」と苦しそうな呼吸をするプラエが抱かれていた。
「プラエちゃん!」
ネプギアは一瞬で正気に戻り、プラエの手を握る。
「AEDデソセイヲシマシタガ、スイジャクガヒドイデス」
ネプギアンダムがそう言うと、「プラエ様! まさか時間を!?」とあんみつが大声で叫ぶ。
「みえたの……あんみつが、ねぷ、てゅー、ぬ、さんをこげつけんで、きるところ……、だから、すこしでいいから、あんみつのじかんをおそく……くはっ!」
プラエが息も絶え絶えで言うと、「私のせいでプラエ様がご無理を……」とあんみつがガクリと肩を落とす。
完璧なタイミングであった、あんみつの対空迎撃が外れたのはプラエがあんみつの時間を遅くしたせいだったのだ。
だが、それを考慮しても、あれを紙一重で避けたネプテューヌの反射神経と幸運は並外れたモノだろう。
「ファティーグがレベル3です。そこのソファーで休ませてください!」
イストワールがそう言うと、ネプギアンダムが優しくプラエをソファーに寝かせる。
「プラエちゃん、もう少し我慢して。私が治してあげるから」
ネプギアはそう言うと、「グラングランクエクエイクノームル……」と呪文を唱え始める。
「ネプギアさん? ファティーグに効く魔法は、まだ発明されて……」
イストワールがそう言うと、「だから新しく作りました」とネプギアが詠唱の合間に手短に答える。
イストワールが、「えっ!?」と驚きの声を上げる。
「発芽の力よ、我が声に応え、衰弱した者を救え……! スプラウト!!」
ネプギアが魔法を発動させると同時に彼女の手が緑色の光に包まれる。
光がプラエを包み込むと、プラエの呼吸がゆっくりになって、「あ……」と言いながら目を開ける。
「なんと!?」
あんみつが驚きの声を上げる。
「植物の発芽のエネルギーを人為的に与える……だから、スプラウト」
イストワールが驚きつつも、ネプギアの使った魔法を解析する。
「よかった。効いてくれた」
ネプギアがホッと息をすると、「ネプギアお姉さん凄い!」とプラエが抱きついて来る。
「ネプギアお姉さん大好き! ちゅっ、ちゅっ」
更にネプギアの頬に何度も接吻をしてくる。
「ふ、ふふふしだらな!! やはり、かどわかして!!」
顔を真っ赤にして激高するあんみつに、「……これじゃあ、特殊性癖のお兄さん達に誤解されるのも仕方ないよねー」と呆れた声でお手上げのポーズをするネプテューヌ。