昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2 作:ゆーじ(女神候補生推し)
ネプギア達とボークの戦いは続いていた。
「ええい! 何故勝てない! 相手は魔女だぞ!!」
ボークのスライム触手が執拗にネプギアを襲うが、M.P.B.Lとゲハバーンの二刀流で全て捌かれる。
「くそっ!! 何故だ何故だ!!」
地団駄を踏んで悔しがるボーク。
「お姉ちゃんを解放して降伏して下さい。そうすれば命までは取りません」
ネプギアが凛とした声でボークに降伏勧告をするが、「黙れぇぇぇぇぇぇ!!」とボークは激昂しながら、更にスライム触手でネプギアを攻撃する。
「はあっ!!」
ネプギアは華麗な二刀流で触手を切り落とした。
(邪神の力は強力だけど、ボーク自身は戦いの素人。勝てない相手じゃない)
ネプギアはそう思うとボークとの距離を詰める。
「くっ、来るなぁ!!!」
ボークは近づいてくるネプギアに恐怖で顔を歪めながら、再びスライム触手を伸ばす。
「無駄です!!」
しかし、先程と同じようにネプギアの二刀流で切り落とされる。
それを見たニャラルトホテプが、「ダメだよ、ボーク。そんなワンパターンな戦い方じゃ」と忠告する。
続けて、「僕が教えた、アレを使ってごらん」とアドバイスすると、「あれですな」とボークがニヤリと笑う。
「なに? 何か奥の手があるの?」
カタールを構えて警戒するアイエフ。
するとボークが右手を上げて、「ふっふっふっ!! 開け! 神聖なるドエロージン空間よ!!」と叫ぶ。
「ち、力が抜けるです~……」
コンパがへたり込み、「くっ……これは一体!?」とアイエフも片膝をついてしまう。
「この神聖な空間の中では、私のような清く正しい者は強化されるが、貴様等のような魔女は弱体化されるのだ~」
ボークが勝ち誇ったように宣言するが、「正確には、美しいものはパワーダウンし、醜いものはパワーアップするだけどね」とニャラルトホテプが訂正をする。
「……どうやら、ニャラルトホテプが言ってることの方が正しそうね」
アイエフがそう言うと、「ど、どうするですか? ピンチです~」とコンパが慌てだす。
「それそれそれーーー! 聖なる力の前に屈するがいい!!」
スライム触手を伸ばしてくるボーク。
触手はあっという間にネプギアの四肢を拘束してしまう。
「くうっ……」
苦しそうな呻き声を上げるネプギア。
「くっくっくっ……私はパープルハート様との神聖な契りを結ぶのに忙しい身。貴様など汚らしい魔女に構っておれん。早々に手足を引き裂いて殺してやるわ」
ボークはそう言うとネプギアの四肢を引っ張る。
しかし、ネプギアは、「無駄です。その空間は私には通じません」と冷静に言い返す。
「生意気なぁ! 死ねーーーー!!」
激昂したボークは触手で思いっきりネプギアの四肢を引っ張ろうとする。
同時にネプギアが叫ぶ。
「意気軒昂!! 開け昂次元っ!!!」
ネプギアの言葉と共にネプギアの背中に薄紫色の透き通った光の羽、【昂翼】が現れる。
昂翼が一つ羽ばたきをすると、ネプギアの四肢を拘束していたスライム触手は解けるように消え去ってしまう。
「なっ、なっ、なにぃぃぃぃぃ!?」
驚愕の顔を見せるボーク。
それに対してネプギアは、「その空間は、邪空空間すらも封じることが出来る昂次元の前では無力です。諦めて下さい」と凛とした声で言い放つ。
「へぇ……そうか。その力でダゴン達を倒したんだね」
ニャラルトホテプが落ち着いた声で関心を示す。
「ドエロージン空間は邪空空間を人間でも扱えるようスケールダウンさせたモノだから、邪空空間を破れるならドエロージン空間なんて通用しないね」
冷静に分析するニャラルトホテプ対して、ボークは顔を真っ青にして、「ど、ドエロージン空間が通用しない!? ど、どうすれば!!」と慌てふためく。
「うーん……あとは自分の力で何とかするしかないね」
ニャラルトホテプがそう言うと、「む、無責任ですぞ!」とボークが悲鳴に近い抗議の声を上げる。
ボークの抗議の声にニャラルトホテプは、「知らないよ。君が勝手に始めたことだろ?」と迷惑そうな声を上げる。
「お姉ちゃんを解放して投降して下さいっ!」
ネプギアが強気の声で再びボークに降伏勧告をする。
「ひ、ひぃぃぃ!? 来るな来るな~~!?」
ボークは怯えた声を上げると、スライム触手を伸ばしてくる。
ネプギアはスライム触手をM.P.B.Lとゲハバーンの二刀流で斬り落としながらボークとの距離を一気に詰める。
「言いましたよ、私は投降して下さいって」
ネプギアはそう言うと、右手のM.P.B.Lを一瞬でポーチに収納し、「ギアナックル!!」と右ストレートパンチでボークを殴る。
「はぶっぽっ!?」
ボークは思いっきり吹き飛ぶと、壁にぶつかりズルズルとずり落ちる。
ボークは、556,787のダメージを受けて、【Over kill】の表示と共に戦闘不能になる。
「お姉ちゃん、大丈夫!?」
ネプギアは素早く、M.P.B.Lを呼び出すと、ブレード部分を使ってネプテューヌの拘束を解く。
「助かったわ。ありがとう、ネプギア」
ネプテューヌがそう言いながら立ち上がると、「これで一件落着です~」とコンパが言う。
しかし、アイエフは、「まだよ」と言ってニャラルトホテプに視線を向ける。
ニャラルトホテプは意外そうな顔をすると、「僕かい? 僕は戦うつもりはないよ」とお手上げのポーズで首を左右に振る。
「なら、投降かしら?」
アイエフの質問に、「それも嫌だな。それにまだ戦いは終わっていないよ」とニャラルトホテプが言う。
「どういうことですか?」
ネプギアがニャラルトホテプに質問すると、「君達が探してるプルルート。今、随分とピンチみたいだね」とニャラルトホテプは涼し気な声で言う。
それを聞いたネプテューヌは、「ぷるるん!? あなたぷるるんのこと知ってるの? ぷるるんは今どこにいるの!!」と質問をする。
「プルルート達は、今、神次元のプラネテューヌで僕の配下のサオヤクと戦っているけど、ドエロージン空間に苦戦しているよ」
ニャラルトホテプがそう言うと、何もない空間に画面が現れる。
そこには傷ついた神次元の女神達が表示され、次に奮戦している、アクダイジーン、コピリーエース、ワレチューが映った。
「予定外の援軍が来たようだけど、サオヤク達の勝利は揺るがないだろうね」
ニャラルトホテプの言葉通り、奮戦しているアクダイジーン達も次々に襲って来るサオヤクの手下に消耗しているようだった。
「助けにいなきゃ。私の昂次元ならドエロージン空間を破れる!」
ネプギアは慌てて部屋を出て行こうとするが、「そうはいかないよ」とニャラルトホテプが冷たい声を出す。
「なによ? アンタには戦う意志はないんじゃなかったの?」
アイエフはそう言いうと、ニャラルトホテプに向けて拳銃を構える。
「僕にはね。でも、彼はどうかな?」
ニャラルトホテプがそう言うと、倒れていたボークが操り人形のような挙動で立ち上がる。
「まだやろうっていうの?」
アイエフは今度は立ち上がったボークに拳銃を向ける。
しかし、立ち上がりはしたが、ボークは白目を剥いており、だらーんと垂れ下がった手はまるでゾンビのようだった。
「こ、怖いです~」
その姿にコンパは恐怖で体を震わせる。
「ニョグタ、もう我慢しなくていいよ。そいつはもういらないから喰らっちゃっていいよ」
ニャラルトホテプがそう言うと、ボークの足元からスライム触手が伸びて来て、それがボークの全身に絡まる。
同時にボークの体が激しく捻じれる。
「まさか!!」
慌ててボークに駆け寄るネプギア。しかし、ボークの体の捻じれは直ぐに限界に達する。
(間に合わない!? こうなったら!)
ネプギアはそう思うと、一気にプロセッサユニットのブースターを噴射させてボークに体当たりをする。ボークの体はゴムマリのように跳ね飛ばされるが、何とかスライムからは解放できたようだ。
「そんなヤツ助けたって何の意味があるんだい?」
ニャラルトホテプがつまらなそうに言う。
「酷い……ボークはあなたの仲間じゃないんですか?」
ネプギアが怒りに震えた声でニャラルトホテプに抗議する。すると、「仲間? 冗談は止めて欲しいな。僕は彼を利用していただけだよ」とニャラルトホテプは冷静に言い放つ。
「さて……そろそろ、おいとまさせて貰おうかな」
ニャラルトホテプがそう言うと、「逃がさないわよ!」とアイエフが拳銃を放つ。
カキン! カキン!
しかし、スライム触手がニャラルトホテプを守るように立ち塞がり銃弾からニャラルトホテプを守る。
「ありがとう、ニョグタ。後は君の好きにやっていいよ」
ニャラルトホテプがスライム触手に向けて言う。
それと同時にニャラルトホテプの姿が消えてしまう。
ボークを殺したスライム、【ニョグタ】がネプギア達を警戒するように、うねうねと動く。
「ネプギア、コイツはわたしが引き受けるわ。あなたはぷるるんを助けに!!」
ネプテューヌが太刀を構えながら言うが、「ダメだよ。このモンスターも邪神、邪空空間を使って来てる。私が居なくなったら邪空空間で無敵になっちゃう」とネプギアが答える。
「せめて、ぷるちゃん達に援軍が送れればいいんですけど~」
コンパがそう言うと、「ダメよ。送ったところで、ドエロージン空間の影響で力が出せないわ」とアイエフが言う。
アイエフは続けて、「醜い仲間がいれば……」と呟くが、そこで何か思いついたように顔を【はっ】とさせる。
その様子を見たネプテューヌが、「あいちゃん、何か思いついたの?」と質問すると、「ええ、ネプギア! 大きいネプ子と連絡をとって!」とアイエフが言う。