昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2   作:ゆーじ(女神候補生推し)

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#43 優等生

「いやーー! 凄い凄い。予想を遥かに上回る大活躍だね」

 

 

 レジャーシートを敷き全員が座ると、ファミ通は嬉しそうにネプギアに話しかける。

 

 

「正直、もっと初々しくて危なっかしい感じを期待してたんだけどさ」

 

 

 ファミ通が苦笑いをしながらそう言うと、「えっ……? そうなんですか、ごめんなさい」とネプギアが期待に添えられなかったことを素直に謝る。

 

 

「いやいや! いい意味で期待外れだよ。これならプラチナ殿堂入りの記事が書けそうだよ」

 

 

 ファミ通は慌てて両手を左右に振って否定をする。

 

ちなみに【プラチナ殿堂入り】とはファミ通達が書いている雑誌にある週刊ファミ通のゲーム及び記事の評価である。

 

高い評価の物は殿堂入りとなり、その中でもランクがあり、シルバー→ゴールド→プラチナの順でランクが高い。

 

つまりプラチナ殿堂入りとは、ファミ通がネプギアで最高の記事を書けると称賛しているのだ。

 

 

「そ、そんな面白い記事が書けるんですか? 私で?」

 

 

ファミ通の言葉に驚きを隠せないネプギアだが、「私から言わせてみれば今の活躍で面白い記事が書けない方が不思議だよ」とファミ通はさも当然かのように平然と言い放つ。

 

 

「でも、私はお姉ちゃんみたいに凄い強い訳じゃないし……」

 

 

 ファミ通の言葉にネプギアは自信なさそうに答える。

 

 

「何言ってるんですか? 私のフォローに見事なタンクの立ち回り、それに素早い索敵からの見事な遠距離攻撃と爆弾による防御壁、さらには強力な合体魔法。隙がありませんよ」

 

 

 ファミ通はネプギアに詰め寄り熱弁をするが、「そうでしょか……」とネプギアは自信なさそうに首を傾げてしまう。

 

 

「ネプギアさんは、近接攻撃においては斬、突、打。射撃攻撃においても貫通、爆発。魔法においても火、水、風、土、氷、雷、光に闇に無属性どれも万能にこなせますよ」

 

 

 そこにイストワールが自信満々に口を挟んでくる。

 

ちなみに片手にはネプギア特製のイストワール用の小さなおにぎりが握られていた。

 

 

「おおー! 流石ですね」

 

 

 ファミ通はイストワールの説明に嬉しそうにメモを取る。

 

ゲイムギョウ界の戦闘スタイルは基本的には三つある。

 

一つはファミ通やあんみつが得意とする前衛に出て戦う近接攻撃。単体への威力が高く、技を使うのにスタミナを使うのでペース配分が重要となる。又、後衛に敵を近づけない為の足止めも請け負う。

 

二つ目は先程ネプギアが行ったGビットやボム等による射撃攻撃。弾丸などの飛翔物を飛ばすので、近接攻撃が届かない場所からの攻撃や高い部位などをピンポイントに狙い撃ちすることが出来る。こちらは弾数や銃器のエネルギーを管理する必要がある。

 

三つ目はイストワールが得意とする魔法攻撃。広範囲に渡る攻撃やHPの回復や味方の強化など様々な魔法を扱う。行使するにはMPが必要で、また強力な魔法は詠唱時間や触媒が必要になる。

 

大抵の人はどれか一つしか扱えないのだが、ネプギアは、基本は近接攻撃を行いつつ、状況に応じて射撃と魔法を使い分けることが出来る。

 

 

 またそれぞれの攻撃にも属性があり標的との相性がある。

 

近接攻撃が斬撃による【斬】、刺突による【突き】、打撃による【打】。

 

射撃攻撃が弾丸やビームによる【貫通】、バズーカや爆弾にる【爆発】。

 

そして魔法攻撃は扱う種類により、【火】【水】【風】【土】【氷】【雷】【光】【闇】【無】と様々な属性があるので標的の弱点を突きやすい。

 

イストワールはネプギアがそれら全てを扱うことが出来るとファミ通にアピールしているのだ。

 

 

「……私の場合は器用貧乏なだけで、そんなに誇れるようなことじゃないですよ」

 

 

 だが、ネプギアはイストワールの思惑とは裏腹に謙遜気味に答えるが、「そんなことありませんよ。私なんて打撃しかできないですから羨ましい限りです」とファミ通は心底羨ましそうに言う。

 

ファミ通の武器は巨大なエビなので、斬ったり突いたりできず、棍棒のように殴るだけである。

 

ただ、それ故に打撃に特化しているので打撃に弱い相手には非常に強くなる。

 

 

「ネプギアさんの優れているところはその全て技を敵味方の状況に合わせて使えるところです」

 

 

 イストワールはネプギアの万能ぶりを更にファミ通にアピールし続ける。

 

 

「……確かに……初心者の私も戦いやすかったし、自分の実力以上の力が出せた気がします。これがネプギア様の強さだと言うんですね」

 

 

 ファミ通は今までの戦いで、ネプギアが適材適所でサポートしてくれたことを思い出して、しみじみと頷く。

 

 

「はい。どんな事態にも柔軟に対応できるネプギアさんの万能性は女神様の中でも屈指のものですよ」

 

 

 ネプギアのことを話すイストワールは心なしか嬉しそうである。

 

母親が娘を自慢するかのようだった。

 

 

 ネプギアも最初から万能型であった訳ではない。

 

最初は憧れの姉であるネプテューヌと同じく、敵に対して高ダメージを出す【アタッカー】寄りの近接タイプを目指していたのだ。

 

しかし、ネプテューヌの役に立ちたいという思いから、ネプテューヌをサポートできるように、射撃と回復魔法を憶えたのだ。

 

 

 更に、同じ女神候補生のユニ、ロム、ラムが全員後衛向けなので、彼女達を守る為に敵の攻撃を受け止める【タンク】の技術も身につけた。

 

次にタンクをしていく上で、自分の回復魔法の力不足を感じ、それを補う為に回復魔法が得意なロムに色々と習った。

 

相手が年下の子供でも素直に敬意を払って教えを乞うことができるのは彼女の美徳の一つである。

 

 

 又、以前に守護女神達四人の戦闘スタイルが物理的な近接攻撃に偏っていることにより、それが効かない敵に苦戦を強いられていたことがあった。

 

次はそれをフォローできるようにと、ゲームで魔法使いをプレイしてみたり、攻撃魔法が得意なラムやイストワールに教えを乞うて色々な攻撃魔法が使えるようになったのだ。

 

ちなみにその苦戦した戦いというのは守護女神達四人がネクストフォームという新形態に覚醒したという晴れ舞台であった。

 

だが、物理攻撃が効かず魔法が得意な女神候補生達にタッチしたというアクシデントがあったのだ。

 

勿論、このことは世間一般には語られず、ネプギアもこの件が魔法を勉強するきっかけになったと語ることもない。

 

 

 このように彼女は一つの分野で活躍するより、仲間をサポートし誰かを守るために様々な技術を磨いてきたのである。

 

ネプギア自身が何事もそつなくこなすことが出来ることもあるが、それ以上に【誰かを守りたい役に立ちたい】、という強い意志からくる努力の賜物なのだ。

 

そのお陰で今のネプギアはマルチな戦士として活躍でき、相手によって無力化するような事態は殆どない。

 

 

「そんなにおだてないで下さい……私なんて全然なんですから……」

 

 

 イストワールとファミ通の二人に褒められ続けて真っ赤になって俯いてしまうネプギア。

 

照れ隠しに、俯きながら【もぐもぐ】とおにぎりを食べる。

 

 

「そうは言いますけど、ネプギア様の能力ってかなりのものなんじゃありませんか。試しにアナライザーで見せて下さいよ」

 

 

 ファミ通が興味津々と言った感じで言うと、「プラエも気になるー!」とプラエも元気よく右手を上げる。

 

あんみつも、「私も興味があります」と言う。

 

 

「あっ……えっとその……私の測定だけ故障してるみたいなんですよ……」

 

 

 ネプギアはそう言いながら気まずそうに両指をいじくる。

 

そこにイストワールが、「ネプギアさんのことですから、かなりのものなのでしょう」と言い、「その評価が自分で信じられないだけで合っていると私は思いますよ」と続けて言う。

 

 

「あう……」

 

 

 ネプギアが困ったように肩を落とす。

 

イストワールの言う通りなのだろう。

 

 

「そうなの。見せて見せて、プラエ、ネプギアお姉さんのスゴイところ見たい」

 

 

 プラエが嬉しそうに言うと、ネプギアは観念したかのようにNギアを操作してアナライザーを呼び出すと、「あ、あんまり信用しないで下さいね。私の測定だけ壊れているんですよきっと……」と言って自分の能力評価の欄を呼び出す。

 

彼女自身も自作のアプリ自体には自信があるのだが、自分の評価が高すぎて素直に受け入れられないのだ。

 

 

【ネプギア】

elemental(属性):地

 

character class(クラス):ナイト【HPと防御力が高く仲間を守る。スーパーアーマーあり】

 

growth(成長タイプ):晩成

 

hit point(HP):A

 

magic point(MP):B

 

power(攻撃力):A

 

shot(射撃力):B

 

magic(魔法攻撃力):B

 

support(回復&補助能力):A

 

weakened(弱体化&状態異常):C

 

defense(防御力):A

 

resist(魔法防御力):A

 

speed(スピード):B

 

stamina(スタミナ):A

 

accuracy(命中精度):B

 

avoidance(回避精度):A

 

capacity(最大シェア):S

 

dexterity(クリティカル率):B

 

cooperation(連携、合体技補正):S

 

luck(運):C

 

Intuition(直感):A

 

tension(シェア増加率):C

 

cool(シェア減少率):C

 

guts(HP減少時の能力補正):S

 

casting speed(詠唱速度):B

 

memory(記憶力):S

 

tactics(戦術):B

 

strategy(戦略):B

 

command(指揮):A

 

zone of control(ZOC):S

 

trick(策略):B

 

adaptation(適応力):S

 

learning(学習能力):S

 

viability(生活能力):S

 

politics(政治):B

 

mechanic(機械技術):S

 

computer(コンピューター技術):S

 

 

 

「これはこれは!!」

 

 

 ファミ通が喜々とした目で測定結果を素早くメモに書き写す。

 

 

「殆どがAとB、それにSもかなりの数がありますよ」

 

 

 あんみつが目を丸くして驚く、「ネプギアお姉さんスゴーーーイ! やっぱり、ネプギアお姉さんはプラエの憧れだよ」とプラエは飛び跳ねて喜ぶ。

 

三人の反応に慌てたネプギアは、「だから、測定ミスだよ~」と言って、あわあわと胸の前で両手を左右に振って恥ずかしがる。

 

 

「測定ミスなどではありませんよ。犯罪組織との戦いから今まで、ネプギアさんの地道な努力が実を結んだのです」

 

 

 イストワールがそう言って優しく微笑むと、ネプギアは顔を真っ赤にしながらも、「……はい」と頷く。

 

それを見たファミ通は嬉しそうな顔で、「タンク職のナイトなのに攻撃力がAで、射撃も魔法もBってスゴイですよ。銃戦士やソルジャーだって、射撃か魔法なのに」と言う。

 

 

 銃戦士とは近接攻撃メインで銃も得意なクラスで、現在はラステイションの守護女神ノワールとリーンボックスの守護女神のベールが激しいトップ争いをしているクラスだ。

 

ソルジャーはリーンボックスから発祥したクラスで、近接攻撃メインで魔法も得意なクラス、一番の実力者はゴールドサァドのエスーシャと言われているが、現在彼女は旅に出ており連絡が取れない。

 

 

「機動力や命中回避も、ファミ通殿よりワンランク上ですね」

 

 

 あんみつが右手をあごに当てながら頷くと、「確かにネプギア様にはナイトの鈍重なイメージは無いね」とファミ通も頷く。

 

 

「も、もういいじゃないですか~。この辺にして、別の話をしましょうよ~」

 

 

 ネプギアが恥ずかしそうに抗議するが、他のメンバーは話を止める気配を見せてくれない。

 

それどころか、「ここからがいいところだよ、ネプギアお姉さん」とプラエが言い、「最大シェアなんてSだよ」と嬉しそうに続けて言うと、ネプギアが泣きそうな声で、「こ、これは絶対に測定間違いだよ~。私なんかがSの筈ないよ~」言う。

 

 

「ネプギアさんは犯罪神を倒すときに、全ゲイムギョウ界の願いの力をその身一つで受け止めています。そこから地道な努力を続けていたとなればSでも不思議ではありませんよ」

 

 

 イストワールが落ち着いた声でそう言うと、「それはそうかもしれませんけど……」とネプギアは恥ずかしそうに俯いてしまう。

 

 

「連携がSで戦術や指揮が高いって言うのは納得ですね。初心者の私がここまで戦えたのもネプギア様のおかげですし」

 

 

 ファミ通が楽しそうにメモを取りながら言うと、「その……私とユニちゃんは女神候補生の年長組だから、ロムちゃんとラムちゃんを引っ張って行く為に二人で色々勉強しましたから……」とネプギアが恥ずかしそうに小さな声で答える。

 

もう自分のアナライズの話を止めさせることは諦めたようだ。

 

 

「ダミーバルーンなども上手に扱っていましたから、策略も高いんですね」

 

 

 あんみつがそう言うと、「適応力や生活能力、学習能力が高いのも優等生のネプギアさんらしいです」とイストワールが続く。

 

 

「機械とかコンピューターにも、もの凄く強いんだね」

 

 

 プラエがそう言うと、「そうなの! そこはすっごく嬉しいんだ!」とネプギアが急に前のめりになる。

 

プラエは目を丸くして、「ふあっ!?」と驚くが、「これなら波動砲とかコロニーレーザーとか使えると思うんだけどどうかな!」とネプギアは早口でまくしたてる。

 

 

「……ネプギア様、得意分野に入ったオタクみたいですね……」

 

 

 ファミ通がやや呆れ気味に呟くと、「コレとネプテューヌさんに甘すぎることが無ければ完璧なのですが……」とイストワールがハの字眉毛で困ったように言う。

 

 

「いつかは空間跳躍とか量子化とかうんたらかんたら………」

 

 

 ネプギアの熱弁は暫く続いたが、その間他のメンバーは食事と休憩をとっていた。


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