昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2   作:ゆーじ(女神候補生推し)

57 / 450
#45 パープルシスター

 ギガベーダーに近づくネプギア。

 

それを迎え撃つようにギガベーダーもネプギアに滑るように近づいて行く。

 

 

「ベーダー!」

 

 

 ギガベーダーが勢いに任せた体当たり攻撃を仕掛けてくる。

 

 

「はあっ!」

 

 

 刀身で攻撃を受け止めるネプギア。

 

ガードはしているが、それでも254ダメージを受けてしまう。

 

ネプギアはそのまま鍔迫り合いに持ち込んで、ギガベーダーの動きを止める。

 

 

「流石です」

 

 

 あんみつがギガベーダーの動きを止めたネプギアに賞賛を送ると同時に、ギガベーダの左側に回り込み、真横から袈裟斬りをする。

 

ギガベーダーに279のダメージが当たる。しかし、ボスであるギガベーダーにはスーパーアーマーの能力があり、この程度では怯まない。

 

あんみつの攻撃が当たると同時に、「プラエはこっちから!」とプラエが叫ぶとプラエの右中指から鎖が伸びる。

 

 

「クロックチェーン三時! 敵を粉砕して!」

 

 

 鎖の先には重そうな分銅が付いており、それが弧を描くようにギガベーダーの右側から襲い掛かる。

 

ギガベーダーに162のダメージが当たると、「よし背後を取れた!」とファミ通の嬉しそうな声が響く。

 

二人が攻撃をしている間に後ろに回り込んだのだ。

 

 

「とりゃー!」

 

 

 ファミ通のエビによるフルスイングがギガベーダーに直撃すると189のダメージが当たる。

 

 

「ベダッ!?」

 

 

 過剰なダメージを受けたことにより、スーパーアーマーが解除されて前のめりに態勢を崩すギガベーダー。

 

いかにスーパーアーマーといえど限界はあるのだ。

 

 

「はああああ!」

 

 

 ネプギアはその隙を逃さずに力を籠めてギガベーダーを押し返すと、ギガベーダーは押し返された勢いで転倒する。

 

 

「隙だらけです! フォーミュラーエッジ!!」

 

 

 ネプギアは一瞬にして間合いを詰めて、まだ倒れているギガベーダーに斬撃の乱舞を食らわせる。

 

【フォーミュラーエッジ】は斬属性の連続攻撃。40以上の細かいダメージが六連続で命中し合計で262のダメージが当たる。

 

 

「ベーーーダーーー!」

 

 

 悲鳴に近い咆哮を上げるギガベーダー。HPゲージが五割近くまで減少する。

 

 

「好機!」

 

 

 あんみつが叫ぶと同時に、「弧月剣!」と刀で弧を描きながら上昇をしギガベーダーを切り裂く。

 

ギガベーダーに306の大ダメージが当たると同時に、ギガベーダーが小さく浮き上がる。

 

重力魔法は使用していないが、あんみつの攻撃の威力で浮き上がったのだ。

 

 

「クロックチェーン三時! 敵を叩き落として!」

 

 

 すかさずプラエが分銅の付いた鎖でギガベーダーを叩き落とすと155のダメージが当たる。

 

プラエとあんみつの長年の付き合いがなせる息の合ったコンビネーションだ。

 

 

「ファミ通さん!」

 

 

 ネプギアの呼び声にファミ通がラジカルライドの準備をする。

 

 

「オッケー! いくよー! ラジカルライド!」

 

 

 そのまま波に乗るように突撃して、倒れているギガベーダーを背後から轢き逃げして100前後のダメージを二回与え186のダメージが当たる。

 

ファミ通が通り過ぎたと同時に、「グラビティカット。怒りの鉄拳! ギアナックル!」とネプギアが力を溜めた正拳突きをお見舞いする。

 

 

「ベダダダーーー!」

 

 

 巨大なギガベーダーが嘘のように転がって吹き飛ばされる。

 

【ギアナックル】とは打属性のパンチ、ノックバック効果がある。

 

【ノックバック】とは攻撃を受けた対象が吹き飛ばされ移動すること。

 

重力魔法の効果で巨大なギガベーダーを吹き飛ばすことができたのだ。210ダメージが当たりギガベーダーのHPゲージが三割以下になる。

 

 

「グラングランクエクエイクノームル……我が記憶に眠る雄大なる大地よ……その力を持って、敵を穿て……」

 

 

 今まで攻撃に参加していなかったイストワール。

 

彼女は後方で魔法の詠唱をしていたのである。

 

ペンネルで描かれた五芒星の魔法陣が茶色い光を放つ。

 

 

「大地の記憶よ!」

 

 

 イストワールの手が光るとギガベーダーの吹き飛ばされた先の地面にも茶色い光を放つ五芒星の魔方陣が現れる。

 

魔方陣が光ると、地面が凄い勢いで隆起して鋭い槍が何本もできあがる。

 

【大地の記憶】とはイストワール専用の地属性魔法。

 

 

ザクザクザクッ!

 

 

 凄まじい音と共に無数の大地の槍で串刺しになったギガベーダーは535のダメージを受ける。

 

17hit total:2,284と表示がされて、ギガベーダーのHPゲージは0になっているようだった。

 

 

「終わったのかな……?」

 

 

 ファミ通が安心したように一息つくと、「思ったより簡単だったね」と言い肩の力を抜いた瞬間、串刺しになっているギガベーダーが身震いをする。

 

 

「まだです! 来ます!」

 

 

 ネプギアがそう言うと同時に、ギガベーダーは突き刺さった槍を強引にへし折って突撃してくる。

 

 

「「きゃーーーー!」」

 

 

 巨体を生かした広範囲の突撃を受けて、前衛のネプギアと前に出ていたファミ通が直撃を受けて吹き飛ばされる。

 

 

「ファミ通さん、大丈夫ですか」

 

「いたた……流石はボス、思ったより手強いね」

 

 

 立ち上がるネプギアとファミ通。

 

強力な攻撃を受けた二人は500近いダメージを受けて、HPゲージが半分近く減ってしまう。

 

ゲージの色もやや危険域を示す黄色に変化する。

 

 

「まずは回復を。天の恵み」

 

「ヒール」

 

 

 ネプギアは自分自身を、イストワールはファミ通を魔法で回復する。

 

二人のHPが八割近くまで回復する。

 

 

「おかしいな、倒したと思ったのにな~?」

 

 

 ファミ通が首を傾げると、「ボスモンスターはHPゲージが何本もあります。それら全てをゼロにしないと倒せません」とイストワールが説明をする。

 

イストワールの言う通り、ボスモンスターのHPゲージは何重にもあり何回もゲージをゼロにしないと倒せないのである。

 

その為、一般のモンスターと比べるとHPの最大値が分かりにくい。

 

 

「そっか……なかなか手強いんだね」

 

 

 ファミ通は武器を構えて気を取り直すと、ネプギアも、「でも、勝てない相手じゃありません。体当たりに巻き込まれないようにしつつ、連携と回復を崩さず慎重にいきましょう」と言ってビームソードを構え直す。

 

突撃による広範囲攻撃で、先程のように二人以上が同時に大ダメージを受けないように注意して、減少したHPを回復しつつ繰り返し連携攻撃でダメージを与えていけば勝てるとの考えだ。

 

 

「プラエちゃんは念の為、後列に下がって魔法重視の戦いに切り替えて」

 

 

 ネプギアがプラエに指示を出すと、「うん、わかった」とプラエは素直に後列に下がる。

 

超能力による鎖の攻撃では、もしかしたらギガベーダーの攻撃に巻き込まれるかもしれないので、長距離攻撃の出来る魔法に切り換えようというのだ。

 

 

「ネプギア殿の言う通り、迂闊な行動は控え慎重に攻めていきましょう」

 

 

 あんみつもネプギアの言うことに同意すると刀を中段に構えて戦闘態勢を取る。

 

 

「いえ、ここは短期決戦で決めましょう」

 

 

 イストワールがそう意見をすると、ネプギアは、「女神化ですか?」とイストワールの考えを確認する。

 

 

「はい、今こそ女神様の威光を示す時です!」

 

 

 イストワールは力強くネプギアを鼓舞するように言うと、ネプギアは、「わかりました!」とイストワールの言葉に頷く。

 

 

「ファミ通さん、あんみつさん、私と一緒に時間稼ぎをして下さい」

 

 

 ネプギアが了承したのを確認したイストワールがファミ通達に指示をすると、「プラエちゃんは私の時間を速くして」とネプギアがプラエに指示をする。

 

状況の分からないファミ通は、「一体なにを……?」とは首をかしげる。

 

プラエも、「ネプギアお姉さん、何をするの?」と不思議そうな顔でネプギアを見る。

 

 

「ネプギアさんの真の力を見せてあげます」

 

 

 イストワールがファミ通に手短に説明をすると、ファミ通は頷いて、「わかったよ。とりあえず時間を稼げばいいんだね」と了解する。

 

あんみつも詳しくは聞かずに、「承知しました」と答える。

 

そしてファミ通を前衛に三人はギガベーダーに立ち向かって行く。

 

 

「ベダーー!」

 

 

 ギガベーダーが前衛のファミ通に体当たりで襲い掛かる。

 

 

「くっ……私だって防御くらい」

 

 

 ファミ通はエビで防御態勢をして攻撃を受け止める。

 

防御しているのでダメージは264で済んでいる。

 

流石に、ネプギアのように鍔迫り合いまでは持っていけないが時間稼ぎとしては上出来だ。

 

 

「奥義、旋風裂剣」

 

 

 あんみつが刀を大きく振り回すと竜巻が現れ、ギガベーダーに襲い掛かる。

 

ネプテューヌとの戦いでも見せて、飛び道具の剣技だ。

 

 

「ベダー!」

 

 

 竜巻が当たると、ギガベーダーは284のダメージを受ける。

 

 

「まだまだ、疾風怒濤の攻めをみせましょう!」

 

 

 あんみつは竜巻を盾にギガベーダーに接近しており、そう叫ぶと同時に跳躍する。

 

 

「ひとつ!」

 

 

 跳躍からの右蹴りがギガベーダーに命中すると、225のダメージ当たり、「ふたつ!」と着地して直ぐに袈裟斬りで切り裂く。

 

ギガベーダーは更に278のダメージを受け、「みっつ! 弧月剣!」とあんみつは素早く弧月剣に繋げて上昇をする。

 

以前にネプギアの使ったジャンプ強パンチからのアッパー龍昇拳のあんみつ版と言ったところだ。

 

315のダメージを受けたギガベーダーは、「ぶぇだーーー」と悲鳴を上げると、スーパーアーマーが解除され、弧月剣の勢いで上昇する。

 

 

「イストワール殿!」

 

 

 弧月剣から着地したあんみつが叫ぶ。

 

 

「さすがはあんみつさん。素晴らしい攻めです! 私も力を見せなければ」

 

 

 イストワールはそう言うと、「クルクルフルフリーザーフローズン……凍えつく大気よ、我が呼びかけに応え、敵の動きを封じよ……」イストワールが呪文の詠唱を始める。

 

同時にペンネルがイストワール周りに青白い五芒星の魔法陣を描いている。

 

ギガベーダーは弧月剣の勢いで浮いたのち落下をして仰向けに倒れていた。

 

 

「アイスホールド!」

 

 

 イストワールが魔法を唱えると、ギガベーダー落下した場所にも青白い五芒星の魔法陣が現れる。

 

 

「べだっ!?」

 

 

 凍結する音と共にギガベーダーの倒れている部分が氷により凍りつき225ダメージが当たる。

 

【アイスホールド】は氷系の攻撃と障害を併せ持つ魔法。

 

ダメージを与えながらも凍結により相手の動きを妨害する。

 

 

「よし! 足が止まった!」

 

 

 ギガベーダーの足が止まったことを確認したファミ通はバックステップで距離を取り、そのまま待機する。

 

あんみつも、「良い判断出すぞ、ファミ通殿」と言いながら後ろに下がる。

 

凍結したモンスターに下手に衝撃を与えると凍結が解除されてしまうので、時間稼ぎをしたいときは手を出さないのがセオリーである。

 

凍りついて動けずにもがくギガベーダー。

 

 

「今です、ネプギアさん!」

 

 

 イストワールは後方のネプギアに声を掛ける。

 

 

「はいっ!」

 

 

 ネプギアそう答えると、「プラエちゃん、私の時間を!」と言いながら右腕を上げる。

 

プラエは目を閉じて両手を突き出す。プラエの目が蒼く光り、両手の十二本の指も同じように輝き始める。

 

 

「時間さん、プラエのお願いを聞いて。ネプギアお姉さんの時間を速くしてあげて」

 

 

 プラエがそう言った瞬間にネプギアの感覚に変化が起こる。

 

全てのものがスローモーションに見えるようになったのだ。

 

それを確認したネプギアが、「刮目して下さい!」と叫ぶ。すると高く掲げた右の手のひらに電源マークのようなクリスタルが落ちてくる。

 

ネプギアはそのクリスタルを自分の胸に押し当てるとクリスタルはネプギアに吸い込まれるようにネプギアの体に入ってくる。

 

同時にネプギアの体が空中に浮かび上がり激しく発光する。

 

 

 光が収まるとネプギアの姿に変化が起こる。

 

瞳は蒼くなり、その奥には電源マークのような模様が浮かび上がっている。

 

電源マークに白い光が灯るが、それは完全ではなく右側の曲線部分だけは光らない、これは女神候補生の特性で、完全な守護女神は電源マーク全てに白い光が灯る。

 

元々長かった髪は更に伸びて、肩甲骨のあたりで左右わかれていて綺麗な背中がよく見える。色も薄紫から殆どピンクに近い紫色になっていた。

 

着ている服もラバーのような光沢がある素材で胸元の開いたレオタードのようなものになる。色は白く所々に薄紫色の模様が付いている。

 

手には同じくラバーのような素材で指先から二の腕の半分まで覆う長い手袋をはめて、足も同じ素材のサイハイブーツをはいていた。

 

 

 続いて足、腰、肩、背中、頭と次々に白に紫の模様が入った機械のパーツが装着される。

 

両足には鳥の羽を意匠したようなパーツ。

 

腰には鎧の草摺のような細長いパーツが左右に三つずつ合計六個。

 

両肩には肩パッドのような丸みのあるパーツ。

 

背中には、透明で薄紫色に光るモンシロチョウの羽のような扇形の羽のパーツ。

 

最後に頭の左側に、丸い髪飾りに鳥の羽を意匠したものが付いたようなパーツが装着される。

 

頭の髪飾り以外の各パーツは体に密着しているのではなく、体からやや離れた場所に浮遊している。

 

 

「プロセッサユニット装着完了!」

 

 

 パーツの装着が完了したネプギアはビシッとポーズを決める。

 

変身前の清楚な雰囲気は残しつつも、均等の取れた体のラインが綺麗に見える衣装に、周囲に浮遊している機械のパーツや光り輝く羽を纏うその姿は神秘的で女神と呼ぶに相応しかった。

 

宝石などの光り物を身に纏う古代の神とは違う、機械を身に纏う近代の神と言ったところだ。

 

完全に変身が完了するまでには、やや時間がかかるものの、プラエの能力により大幅に時間の短縮がされている。

 

 

「これが……女神様……」

 

 

 ファミ通がネプギアの変化に目を丸くする。

 

女神候補生はあまりメディアへの出演が多くない上に殆ど変身した姿を見せないので、ファミ通もこの姿を見るのは初めてだった。

 

 

「そうです、これがネプギアさんの真の姿。プラネテューヌの女神候補生パープルシスター様です」

 

 

 イストワールは誇らしげに女神化したネプギアの名を紹介する。

 

パープルシスターとは女神化で変身したネプギアの名前である。

 

ただ、この名前で呼ばれることは少なく変身後も元の名前であるネプギアと呼ばれることの方が多い。

 

これはネプギアに限らず他の女神達もそうである。

 

 

「プラエちゃん、時間を戻していいよ。ありがとね」

 

 

 ネプギアがプラエの頭を撫でながら言うと、「うん!」とプラエが嬉しそうに頷く。

 

 

「ネプギアお姉さん凄く綺麗!! 髪も胸も手も足も全部ぜぇぇぇんぶ素敵! キラキラに輝いてるよ!」

 

 

 プラエが全力でネプギアを褒めると、「ありがとう」とネプギアが微笑む。

 

 

「……なるほど、変身の為の時間稼ぎだったのですね」

 

 

 あんみつがそう言って納得をすると、「見た目の可憐さとは裏腹に凄まじいパワーを感じる……これが女神の力……」と言って軽く身震いをする。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。