昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2   作:ゆーじ(女神候補生推し)

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#51 インタビュー

 ファミ通は歩きながら、「早速ですが、お二人はネプギア様をどう思いますか?」と本格的なインタビューを始める。

 

 

「そうね……。素直で真面目で、良く出来た妹分ってところかしら」

 

 

 アイエフが右手をあごに当てながら答えると、「ギアちゃんは誰にでも優しくて何にでも一生懸命ですー」とコンパが続けて笑顔で答える。

 

二人のネプギアに対する印象はかなり良いようだ。

 

 

「ふむふむ……真面目かつ健気で思いやりがあるってことですね」

 

 

 ファミ通は懸命にメモを取りながら、「私も同感ですね。ただの一記者の私にここまで気を使ってくれたのって、ネプギア様が初めてですよ」と言った。

 

アイエフは更に、「ええ、だからこそ守ってあげたくなるのよね」と言い、「清純派ヒロインのお手本みたいな子です~」とコンパもそれに続く。

 

 

「なるほど……まさしく王道って感じですね」

 

 

 ファミ通はアイエフとコンパの言葉にしきりに頷く。

 

頷きながら、「やっぱり誰の目から見てもそう見えるんですね」と納得をしている。ファミ通も同じ意見のようだ。

 

 

ネプギアはアイエフ達の褒め言葉に、「目の前でそんなこと言われると、ちょっと恥ずかしいです……」顔を赤らめる。

 

 

「でも、守られてるだけじゃないのよ。いつの間にか強くなって、ゲイムギョウ界を救ってくれたし」

 

 

 アイエフはまるで自分のことのようにネプギアのことを自慢する。

 

 

「ギアちゃんと一緒にゲイムギョウ界を救ったのは、私の自慢の一つですー。履歴書に書きたいぐらいです」

 

 

 コンパも同じく大きな胸を張って自慢するように言うと、「コンパ……履歴書は止めておいた方がいいと思うわ」とコンパの天然ボケに緩やかにツッコミを入れるアイエフ。

 

 

「あっ、もう病院で働いているんですから履歴書は必要ないですよね」

 

「コンパさん、アイエフさんが言いたいのはそういうことじゃないと思います」

 

 

 今度はネプギアがコンパにツッコミをする。

 

 

「お二人はネプギア様と一緒に犯罪組織と戦ったんですね」

 

 

 ファミ通の質問に、「ええ、この子の旅立ちからずっと一緒に居たわ」と答えるアイエフは昔のことを思い出し懐かしんでいるようだった。

 

 

「私、アイエフさんとコンパさんが居なかったら何も出来なかったと思うんです。二人に守られて色々教えて貰って、それであの旅が出来たんだと思います」

 

 

 ネプギアは犯罪組織との戦いで最初から見守ってくれたアイエフとコンパの存在に感謝を伝える。

 

 

「そんな風に言われると、お世辞でも照れるじゃない」

 

 

 頬を赤らめるアイエフ。

 

 

「お世辞じゃありません。アイエフさんとコンパさんはもっと評価されるべきだと思うんです」

 

 

 真剣な目で力説をするネプギア。

 

 

「もっと評価されるべきなのは、アンタよネプギア」

 

「そうですー。ギアちゃんは出来る子ですー」

 

 

 アイエフとコンパが、ほぼ二人同時にネプギアに言う。

 

二人ともずっと見守ってきたネプギアのことを高く評価していた。

 

 

「そ、そうでしょうか……」

 

 

 尊敬する二人に褒められて、戸惑いながらも嬉しそうなネプギア。

 

 

「ネプギアと一緒にゲイムギョウ界を救ったのは私の誇りなのよ。アンタが堂々としてなきゃ、私も誇れないじゃない」

 

 

アイエフの言葉に、「はい、頑張ります」と頷くネプギア。

 

 

「この子に足りないのは自信。ファミ通、この子の自信が付くような記事を書いてちょうだい」

 

 

 付き合いの長いアイエフはネプギアの欠点をよく理解していた、なのでそれを克服させてあげたいという強い気持ちをファミ通に訴える。

 

 

「任せて下さい」

 

 

ファミ通はアイエフの要望にサムズアップで応える。

 

 

ビーッ!ビーッ!

 

 

 Nギアから警告音が鳴る。

 

 

「敵の反応です! 二時の方向! 距離800」

 

 

 ネプギアはNギアを見ると同時に敵の接近を全員に伝える。

 

 

「いいところに来たわね。ファミ通、私とネプギアのカッコイイところを見せてあげるわ」

 

 

アイエフはそう言うと、ネプギアの方を向いて、「ネプギア、アレをやるわよ」と続けて言う。

 

アイエフの言葉に、「わかりました! アレですね」と力強く頷くネプギア。

 

 

「おおっ! 何か記事のネタになりそうなことですね!」

 

 

 ファミ通がネプギアとアイエフに期待の眼差しを送る。

 

 

「ファミ通さん、私とコンパさんがサポートしますので前衛に出て敵の足止めをして下さい」

 

 

 イストワールが指示を出す。

 

 

「バッチリサポートしますので、安心して下さい」

 

 

 コンパは救急箱を両手に持ってヒーラーの自分をアピールする。

 

 

「了解。今回はイイところ見せますよ」

 

 

 ファミ通は先程の戦闘に対する名誉挽回と言わんがばかりに意気込んで前衛に出る。

 

 

「あんみつさんとプラエさんは少しでもいいので敵を減らして下さい」

 

 

 イストワールがそう言うと、「承知」とあんみつが頷き、「わかった」とプラエも続いて頷く。

 

ネプギア達は、ファミ通を前衛に中衛にあんみつとプラエ。残りのメンバーを後衛にして敵に近づいていく。

 

 

 

 

****

 

 

 

 

「キシャー!」

 

「ウシャー!」

 

 

 うねうねと根っこで歩きながら接近してくる植物系モンスターの群れ。

 

数にして二十数体は居る。

 

 

「おっと、ここから先は通行止めだよ」

 

 

 モンスターの群れから五十メートル程のところで、ファミ通は一人で前に出て群れに立ちはだかる。

 

 

「シャー!」

 

 

 ヒマワリンの群れの種マシンガンがファミ通に向けて発射される。

 

 

「こんなもの! ネプギア様のやり方見てたからバッチリ対処できるよ」

 

 

 ファミ通は巨大なエビを盾にして防御する。

 

 

「防御にはそこそこ自信があるんだ」

 

 

 ファミ通の言う通り、そのダメージ100に満たずはHPゲージ一割分も減らなかった。

 

 

「ガアアア!」

 

 

 今度はチューリップの群れが、ファミ通に素早く近寄って、連続のドリル攻撃で襲い掛かる。

 

 

「あいたっ! これは防御してても結構効くね」

 

 

 ファミ通の顔が苦痛に歪む。合計432ダメージを受けてHPゲージが四割ほど削られる。

 

 

「キミ達は向こうに行っててくれるかな!」

 

 

 ファミ通は野球のフルスイングのようにチューリップの一体を思いっきり殴りつける。

 

 

「シュゥゥゥーッ!」

 

 

 チューリップは185ダメージを受けてノックバックされて大きく左側に吹き飛ばされる。

 

 

「ファミ通さん、ナイスだよ」

 

 

 プラエがファミ通に賞賛を送ると同時に、あんみつが吹き飛ばされて来たチューリップに切りかかり、更にプラエの鎖が襲い掛かる。

 

プラエとあんみつはその一体を集中攻撃して戦闘不能に追い込む。

 

 

「ファミ通さん、今回復するです!」

 

 

 後衛のコンパがファミ通を治療するとHPゲージが全快する。

 

 

「よーし。まだまだ行けるよー」

 

 

 ファミ通は大ダメージは出せないが、防御とノックバックを使って指示通り時間稼ぎをする。

 

ノックバックで吹き飛ばした敵はプラエとあんみつがキッチリ戦闘不能にしていく。

 

 

 しかし、モンスターの群れがファミ通に一斉に襲い掛かり集中攻撃をかける。

 

 

「あいたたた!」

 

 

合計で900近いダメージを受けてファミ通のHPが八割も減ってしまう。

 

HPゲージの色も危険域の赤になる。

 

 

「天の恵み!」

 

「治療するですー!」

 

 

 だが、イストワールとコンパの二人で回復したおかげでファミ通のHPゲージがあっという間に全快する。

 

タンクは敵を通さないように立ち回り、ヒーラーはタンクが倒れないようタイミングよくHP回復する。そして、その間にアタッカーが敵を倒すのが、基本的なパーティの役割分担である。

 

 

 ファミ通達の後ろでは、ネプギアとアイエフが目を閉じて声を合わせて呪文の詠唱をしていた。

 

二人は何故か右手で顔を隠して左手で自分を抱きしめるようなポーズをしている。

 

 

「「フレイダークヴォルレネゲードサラマードシェイド……地獄に眠る闇の炎よ……我が手に宿り敵を喰らい尽くせ……」」

 

 

 二人の周りのペンネルで書かれた黒紫色の魔法陣が怪しい輝きを放つ。

 

 

「塵も残さないわ! いくわよ、魔界粧・裏轟炎!!」

 

 

 アイエフがそう叫ぶとアイエフの手から放たれた黒紫色の炎がモンスターの群れに襲い掛かる。

 

 

「「「ギヤァァァァァ!」」」

 

 

 1,000以上のダメージを受けて次々と戦闘不能になる植物系モンスターの群れ。

 

火は勿論、光を浴びて育つ植物系モンスターには闇も弱点であった。

 

 

「闇の炎に抱かれて消えなさい!」

 

 

 敵の消滅を確認したアイエフが着ているコートをひるがえして決め台詞を言う。

 

タンクのファミ通が敵を抑え、ヒーラーのイストワールとコンパがファミ通を支えている間に、ネプギアとアイエフは呪文の詠唱を行いアタッカーとして敵の殲滅を行ったのだ。

 

 

「おおっ、合体魔法ですね」

 

 

 ファミ通が前衛から駆け寄りながら、ネプギアとアイエフに言う。

 

 

「違うわ」

 

 

 しかし、アイエフが首を横に振って否定する。

 

 

「今のは私の中に眠るダークフレイムマスターの力を一時的に開放したのよ」

 

 

 そこまで言うとアイエフは右手を抑えてうずくまる。

 

 

「アイエフさん!」

 

 

 ネプギアはアイエフを心配するように、しゃがみ込む。

 

 

「くっ……やはりこの力は反動が強すぎるわね」

 

 

 アイエフは苦しそうな表情でそう言うと息を切らす。

 

 

「あの、出来れば説明してほしいかな」

 

 

 一連のやり取りを見ていたファミ通は、少し不審そうな目でネプギアに質問する。

 

 

「実はアイエフさんは闇の炎の使い手のダークフレイムマスターなんですけど、闇の炎は己の身も焦がす諸刃の剣なんです。だから、普段は私の女神の力で抑えているんですけど、いざという時はその力を開放して私達を護ってくれるんです」

 

 

 ネプギアは神妙な声で説明をする。

 

 

「それってウソだよね」

 

 

 しかし、ファミ通はあっさりとその説明を否定する。

 

 

「う、うそじゃないですよ!」

 

 

 言葉とは裏腹に大慌てのネプギア。

 

その姿は【ウソですよ】と言っているようなものだった。

 

 

「ツッコミどころは満載だけど、とりあえずそんな諸刃の剣をザコモンスターに使わないでしょ」

 

 

 ファミ通は落ち着いて説明をする。

 

 

「ま、それもそうよね。でも、ウソではないわ。私とネプギアの間ではそういう設定になっているの」

 

 

 アイエフは初めからバレるのが分かっていたのか、何事も無かったように立ち上がると落ち着いて話す。

 

 

「……設定って……もしかしてアイエフって中二病? しかも邪気眼系」

 

 

 ファミ通は首を傾げてアイエフに対して質問する。

 

中二病の邪気眼系とは、自分には隠された強力な能力があると思いこむタイプの人を言う。

 

 

「世間一般ではそう言うわね。よく、ネプ子とかにからかわれたりするけど、この子はそうじゃないのよね」

 

 

 アイエフはそう言いながらネプギアに目を向ける。

 

 

「ネプギアは私の設定を笑わずに真剣に聞いてくれるどころか、アドバイスをくれたり今みたいに協力してくれたりもするのよ」

 

 

 アイエフも以前は中二病と言われると恥ずかしい思いをしたが、真剣に話を聞いてくれるネプギアのおかげで今は恥ずかしいとは思わず堂々としている。

 

 

「協力ってことは、やっぱり合体魔法だったんですね」

 

 

 ファミ通はメモを取りながら質問をする。

 

 

「はい、アイエフさんの【魔界粧・轟炎】に私が闇属性の魔法を合体させたんです」

 

 

 ネプギアがファミ通の質問に丁寧に答える。

 

魔界粧・轟炎とはアイエフが中二病を拗らせた末に作りだした火属性の独自魔法【オリジナルスペル】である。

 

魔界の炎が敵を焼き尽くす……と言う設定らしい。

 

 

「私としてはどうしても闇の炎が使いたくてね。それをネプギアに相談して編み出したのがさっきの魔界粧・裏轟炎よ」

 

 

 アイエフが説明を付け加える。

 

魔界粧・裏轟炎は先程ネプギアが言ったようにアイエフの魔界粧・轟炎にネプギアが闇属性魔法を合わせる火と闇の合体魔法。

 

アイエフの中二病を、ネプギアが後押する形で考えられたものだが、実戦でも十分に力を発揮する。

 

 

「真面目だけど意外とノリが良い子でね。私の設定に付き合ってくれたり、他にも特撮ヒーローが好きな子とは一緒に飛び蹴りしたり、錬金術師の子とは合成で、歌手の子とは歌での合体技してたりしたわね」

 

 

「なるほど! ネプギア様はすごく友達思いなんですね」

 

 

 ファミ通は、アイエフがこの魔界粧・裏轟炎を発明したエピソードを話して、ネプギアの友達思いのところをアピールしたいんだと考えたようだ。

 

 

「ちょっと違うわね」

 

 

 

アイエフの言葉に、「ちょっと……ですか?」とファミ通が首を傾げる。

 

 

「さっきコンパも言ったけど、この子は誰にでも優しいのよ。それが例えモンスターや犯罪組織の一員であっても」

 

 

 アイエフの言う通りネプギアは相手が敵であっても気遣ってしまう。

 

攻撃する相手につい謝ってしまったり、犯罪組織の一員を意図的に見逃すこともあった。

 

 

「敵に情けをかけるんですか……」

 

 

ファミ通あごに右手を当てて考え込んでしまう。

 

 

「……やっぱり、女神としては良くないですよね。お姉ちゃんもゲームを違法コピーする人は無期懲役って言ってましたし」

 

 

 ネプギアは俯きながら言う。

 

ネプギア自身も自分のこの性格が女神には向いていないことは分かっていた。

 

 

「ネプギア様は何で敵に情けをかけるんですか?」

 

 

 ファミ通が真剣な声でネプギアに質問する。

 

 

「……私はゲイムギョウ界に生まれた全ての人、いえ全ての命に意味があると思ってます」

 

 

 ネプギアは顔を上げてファミ通の質問に答える。

 

 

「だから、モンスターも犯罪組織の人も心を入れ替えて一緒に平和に暮らすことが出来たらいいなって」

 

 

 ネプギアの目は真剣そのものだった。

 

自分の想いをぶつけるんだ。という強い意思を感じる目だ。

 

 

「私は、女神の力はその為にあるんだって、そう思っています」

 

 

 ネプギアは力強く言い切る。いつもの少し引っ込み思案な彼女からは想像できない程の力強さだ。

 

続いてプラエが、「プラエはネプギアお姉さんの夢のお手伝いをしているの」と言う。

 

 

「……ネプギア様は純粋で優しい理想家なんだね」

 

 

 ファミ通が優しい声でネプギアに答える。

 

 

「そうよ。この子はゴミ溜めの中にも美点を見出すタイプなの」

 

 

 アイエフがそう言うと、「なるほど、アイエフの言いたいことがなんとなくわかったよ」と言ってファミ通は深く頷く。

 

 

「今すぐには無理だけど、いつかネプギア様の想いがゲイムギョウ界中に届くような記事を書いてみせるよ」

 

 

 ファミ通は力強くサムズアップを決めると、「本当ですか!」とネプギアが嬉しそうに言う。

 

彼女が自分の理想を語ることはこれが始めてのことではなかった。

 

犯罪組織を壊滅させた直後の取材で同じことを言ったことがあったが、世間には【夢見がちな子供】と評価され国を治め守護する守護女神としては物足りないと言われることが大半だった。

 

ネプギア自身もそのことを自分で分かっていたので大きなショックではなかったが、自分が女神に向いてないことを認識させられてしまった。

 

 

「あなたならそう言ってくれると思ったわ」

 

 

 アイエフは嬉しそうにファミ通に右手を差し出す。

 

 

「任せて下さい」

 

 

ファミ通はアイエフの手を右手で握りがっちりと握手を交わす。

 

 

「ありがとうございます」

 

 

 ネプギアはアイエフとファミ通にお礼を言うと頭を下げる。

 

 

「ネプギアもちゃんと頑張りなさいよ。夢を語るだけじゃ夢想家止まりよ、ちゃんと行動して現実にしていかないとファミ通も記事を書けないわよ」

 

 

アイエフはネプギアに向かって真剣な声で言う。

 

 

「はい! まずは目の前のクエストですね」

 

 

 ネプギアは元気よく言う。

 

 

「あいちゃんもギアちゃんのこと大好きなんですね」

 

 

 一連のやり取りを見ていたコンパは嬉しそうにアイエフに話しかける。

 

 

「私はネプギアの理想が叶うなら見てみたいのよ、その世界を」

 

 

 アイエフはコンパに答える。

 

 

「そうですね~。すごく大変なことだけど、ギアちゃんなら出来る気がします」

 

「ええ、きっと一緒に旅した私達だからそう思えるのよ」

 

 

 犯罪組織との戦いで共に旅をしたアイエフとコンパは、ネプギアに秘められた可能性や潜在能力を強く信じていた。

 

 

「……ネプギアさんならきっと成し遂げることが出来るでしょう。ですが……」

 

 

 イストワールが小さく呟く。

 

 

「イストワール様?」

 

 

 アイエフがイストワールの呟きに反応する。

 

 

「いえ、何でもありません」

 

 

 イストワールがそう言って首を横に振ると、「全然関係ない話なんだけど、もう一つ聞いてもいいかな?」とファミ通がアイエフとコンパに質問をする。

 

 

「なにかしら?」

 

 

 アイエフはイストワールの呟きのことは一旦忘れて、ファミ通の質問に答えようとする。

 

 

「お二人とも、すっごく若くないですか? 犯罪組織との戦いって十年以上前ですよね。二人とも高校生かそれ以上に若く見えるんですけど……」

 

 

 ファミ通が興味と羨ましさ半々の顔で質問する。

 

女神と犯罪組織との戦いはG.C.2007に四女神とネプギアが捕縛されたことから始まり、三年後のG.C.2010にアイエフとコンパがネプギアを救出したことから始まった、女神候補生を中心とした反攻作戦の成功により終息している。

 

現在はG.C.2019であり、当時のアイエフとコンパが十歳前後の子供だったとは思えないファミ通は思わず質問をしてしまったのだ。

 

 

「何か若さを保つ秘訣があったら知りたいなぁ~……と思って」

 

 

 ファミ通は少し控えめな声で質問を続ける。

 

 

「ああ、その事ね。こう見えても私とコンパはアラサーなのよ」

 

 

 アイエフが事もなげに言うと、「あいちゃん、年齢のことは言っちゃダメです~」とコンパが恥ずかしがって両手を上下に振る。

 

 

「それで若さの秘訣は?」

 

 

 ファミ通は取材の時と同じかそれ以上に真剣な顔でメモを取ろうとする。

 

 

「運動に食事に睡眠時間、色々とあるのよ」

 

 

 アイエフは少し自慢げに言うが、「……と、偉そうにうんちく言いたいとこなんだけど、実は違うのよね」と両手を広げてお手上げのポーズを取る。

 

 

「ねぷねぷは、キャラデザインを変えるのが面倒だからって言ってたですけどね」

 

 

 コンパがその時のことを思い出したのか少し楽しそうに言う。

 

アイエフがイストワールの方を向いて、「話してもよろしいでしょうか?」と確認を取ると、「ええ、構いません。この効果も近日中に公開しますので」と答える。

 

 

「この効果は、NG粒子の効果なのよ」

 

 

 イストワールから許可を貰ったアイエフがファミ通に向き直りながら言うと、「NG粒子って、ネプギア様がNP粒子を改良して作ったビームとかを増強するエネルギーですよね」とファミ通が答える。

 

 

「知ってるなら話は早いわ。簡単に言うと、NG粒子には遺伝子に良い効果をもたらす性質もあって、その一つに老化を止めるどころか若返りの効果もあるのよ。それをネオ・ジーン効果って言うのよ」

 

 

 アイエフが説明をすると、「そんな効果まであるんですか!?」とファミ通は大声で驚く。

 

NG粒子の名前の一つである遺伝子に良い効果をもたらすとされるネオ・ジーン効果はアイエフの言うように若返りの効果が発見されていた。

 

 

「でも、誰でもって言うわけじゃないのよね」

 

 

 アイエフがそう言うと、左手をあごに当てて少し考えるようなそぶりをして、「ネプギア、どういう条件だったかしら?」とネプギアに問いかける。

 

 

「まだ研究中なので確実なことは言えませんが、敬虔な女神の信者と言うのは確実みたいです。後は能力が高く人格的にも人に尊敬されたり愛されている方がNG粒子に触れることで若返りの効果が出ています」

 

 

 ネプギアはNギアを開いて、「効果の方も大小がありまして、アイエフさんやコンパさんまでの効果となると、プラネテューヌで四人、ラステイションで三人、ルウィーでも三人、リーンボックスでは二人にしか現れていません」と続けて言う。

 

 

「徳が高い敬虔な信者だけってことですか……」

 

 

 ファミ通が少し残念そうに言うと、「でも、少しは効果が出たりするんですよね?」とチラリと期待を込めた眼差しでネプギアを見る。

 

 

「試してみますか?」

 

 

 ネプギアはNギアを操作して、NG粒子の発生装置を取り出す。

 

 

「え? いいんですか?」

 

 

 ダメ元で聞いたファミ通はあっさりと了承したネプギアに驚きを隠せない。

 

 

「はい、発生装置さえ作ってしまえば粒子は時間と共に自動で生成されますから」

 

 

 ネプギアがそう言うと、ファミ通は少し控えめに、「それじゃあ、お願いします」と頭を下げる。

 

ネプギアはNG粒子発生装置を作動させると、薄紫色の粒子がファミ通を包む。

 

 

「具合が悪いとかあったら言って下さいね」

 

 

 ネプギアの問いかけに、ファミ通は気持ち良さ気に、「逆に何か気分が楽になる感じがします……リラクゼーションみたいな?」と答える。

 

 

「終わりました。後はファミ通さんに適性があれば数日中に効果が現れてくると思います」

 

 

 ネプギアはNG粒子発生装置をNギアにしまいながら言うと、「ありがとうございます」とファミ通が嬉しそうにお礼を言う。

 

 

「ちょうどいいから、このあたりで休憩にしましょう」

 

 

 アイエフがそう言うと、「そうですね。ボス戦も近いと思いますし」とネプギアが言いながら、Nギアからレジャーシートとランチボックスを取り出す。

 

 

「待ってましたー。ネプギア様のおにぎり美味しいんだよね」

 

 

 ファミ通が嬉しそうに言うと、「うん、プラエも大好き」とプラエが微笑む。

 

ネプギアはクエストに出かける前にコンパと一緒に厨房に寄り、おにぎりを握って来たのだ。


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