昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2   作:ゆーじ(女神候補生推し)

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#59 オンガクギョウ界

 G.C.2019年4月21日 日曜日。

 

 

 今日は先日、女神候補生達が楽器を見に行くと約束をした日である。

 

この話を聞いたリーンボックスの守護女神であるベールが、よりより楽器を探そうと提案し、オンガクギョウ界を訪れることになったのだ。

 

 

 そのベールがオンガクギョウ界への飛行機を出してくれるとのことで、女神候補生とプラエはリーンボックスを訪れていた。

 

リーンボックスは他三国がある大陸から海を隔てた場所にある巨大軍事国家だ。

 

ラステイションから船が出ており、主にそれに乗って移動をする。

 

 

「ふわー……ここがリーンボックス……緑がいっぱい」

 

 

 船を降りたプラエが珍しそうにリーンボックスの街並みを眺める。

 

リーンボックスは近代的な街並みの中にも緑が多いのが特徴だ。

 

更に建物の色にも緑色が多く取り入れられている。

 

文明レベルはラステイションと同程度であり、先進国家のプラネテューヌ程では無いが高い技術力を持っている。

 

軍事国家というように開国した頃は軍事に力を入れていたが、今の女神であるベールは軍事の他にも萌え文化の取入れに積極的な姿勢を見せている。

 

 

「迎えの車が来てるらしいけど、どこかしら?」

 

 

 ユニがキョロキョロと辺りを見渡す。

 

 

「どこかなどこかな(きょろきょろ)」

 

 

 ロムがユニと同じように辺りを見渡すと、「人がいっぱいで全然見えないわねー」とラムが不満そうに腕組みをする。

 

港だけあって人が多くいる上に、ロムとラムも身長では遠くまで見えないのだ。

 

更にリーンボックスは体格の大きな人が多く、ネプギアやユニでも人混みの中ではなかなか遠くまで見ることが出来ない。

 

 

「ちょっと、待ってね」

 

 

 ネプギアがそう言いながら両手を広げると、ポーチから呼び出した十本のペンネルが現れる。

 

 

「ペンネル、周囲を見て来て」

 

 

 ネプギアがそう言うと一斉にペンネルが宙に飛び上がりネプギア達の周囲を旋回し始める。

 

以前にも説明したが、ネプギアのペンネルは改造品であり、小型カメラが仕込まれている。そしてその映像をブレインマシンインターフェースでネプギアに届けるのだ。

 

その為、通常は魔法陣を描く為に飛翔するペンネルだが、このように周囲の捜索をすることも出来る。

 

 

「どう? 何か見えた」

 

 

 ユニがネプギアに尋ねる。

 

それと同時にネプギアの脳裏に青いロングヘアーの女性が写る。

 

身長はネプギアと同程度で、左目の下に小さな泣きホクロがあった。

 

 

「あの青い髪は……5pb.さん」

 

 

 ネプギアがそう呟くと、「きっとそこね。行きましょう」とユニが言う。

 

ネプギアは、「うん」と頷くと、「ご苦労様、戻って来ていいよ」と言ってペンネルを回収する。

 

 

「5pb.さーん!」

 

 

 ネプギアが右手を振りながら、先程見た青いロングヘアーの女性に声を掛ける。

 

 

「あっ、来た来た」

 

 

 青いロングヘアーの女性はそう言いながらネプギアの方を向くと歩み寄り、「大丈夫? 迷わなかった」と心配そうに尋ねる。

 

 

「ネプギアのペンネルがあったから平気よ」

 

 

 ラムが自分のことを自慢するかのように両手を腰に当てながら言うと、「ネプギアちゃんのおかげ(にこにこ)」とロムが微笑む。

 

 

「あの……初めまして、プラエ=パピリオです」

 

 

 プラエが緊張した面持ちで、青いロングヘアーの女性に自己紹介をする。

 

それを聞いた青いロングヘアーの女性はプラエの方を向くと、「よろしく、ボクの名前は5pb.」と返事をする。

 

 

「ボク?」

 

 

 プラエが不思議そうに首を捻り、5pb.をしげしげと見つめる。

 

へそ出しの黒いタンクトップに同じく黒のミニスカートをはいた5pb.はどう見ても女性ではあるが、彼女の一人称が変な誤解を招いたらしい。

 

 

「あはは、たまに誤解されるけど、ちゃんとした女の子だよ」

 

 

 5pb.は特に気を悪くした様子もなくプラエの疑問に答えると、「ご、ごめんなさい。プラエ色々なことが初めてで……」とプラエが申し訳なさそうに謝る。

 

 

「キミが噂の天才バイオリニスト?」

 

 

 5pb.がプラエに尋ねると、「えっ!?」とプラエは驚いた顔をしてしまう。

 

 

「バイオリニスト? バイオリズムの仲間?」

 

 

 ラムが不思議そうに首を傾げると、「バイオリニストはバイオリンの演奏者のことだよ」とネプギアが小声でラムに説明をしてあげる。

 

すると、「そうよ! プラエのバイオリンはすごーーく上手なんだから!」とラムが元気よく左手を上げ、「うん、すごく綺麗な音なの(めろめろ)」とロムもそれに続く。

 

 

「ら、ラムさん、ロムさん」

 

 

 プラエが恥ずかしそうに顔を真っ赤にすると、「バイオリンのあるバンドって珍しいから楽しみだよ」と5pb.が微笑む。

 

 

「それじゃあ、行こうか」

 

 

 5pb.がそう言いながら近くに待たせてあった大型車に乗り込むと、ネプギア達も同じ車に乗り込む。

 

車はリーンボックスの空港へと移動をする。

 

そこにベールが用意した飛行機があると言うのだ。

 

 

「そう言えば、ベールさんは?」

 

 

 車の中でユニが5pb.に質問をする。

 

すると、5pb.は少し気まずそうな顔をして、「それが、チカさんが【女神候補生ばかり目をかける】ってイジケちゃったらしくて」と言う。

 

 

「あー……」

 

 

 それで全てを察したユニは右手を額に当てながら言う。

 

ネプギアも困った顔で、「後でチカさんに謝った方がいいのかな?」と言う。

 

 

「どういうこと?」

 

 

 事情を知らないプラエが首を傾げると、「チカさんって言うのはリーンボックスの教祖の人なの。凄く出来る人なんだけど、女神のベールさんに対しては甘えん坊なんだ」とネプギアが簡単な説明をする。

 

すると、「そのベールさんが最近アタシ達女神候補生、特にネプギアを目にかけるのよ」とユニが説明を続ける。

 

 

「はいはーい! わたし達も、ベールお姉ちゃんって呼んだら美味しいお菓子くれたよ」

 

 

 ラムが左手を上げてそう言うと、「おいしかった(あまあま)」とロムもそれに続く。

 

 

「それで、構って貰えないチカさんが、今回のことでついにイジケちゃったらしいんだよ」

 

 

 5pb.はそう答えると、「だから今日同行するのはボクだけなんだ」と続けて言う。

 

 

 そうしている内に車は空港に着き、ネプギア達は飛行機に乗り込む。

 

飛行機はリーンボックスを飛び立ち、オンガクギョウ界へと向かう。


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