昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2 作:ゆーじ(女神候補生推し)
「もう一つ。普段から真面目にやってる人が評価されないっていうのは悲しいと思うんだよね」
ファミ通は右手の人差し指を上げて言うと、ネプギアは、「どういうことですか?」と首を傾げる。
「確かに、ネプテューヌ様のように普段は放蕩している人がいきなり凄い成果を上げたら、派手でドラマチックな記事が書けると思うよ」
「はい、私そんなお姉ちゃんをカッコイイなって思います」
ファミ通の言葉に素直に頷くネプギア。
ネプギア自身もネプテューヌの生き方に強く憧れをいだいていた。
「でもさ、私は普段からコツコツと真面目に頑張ってる人の方が偉いと思うんだよ。評価されるべき人が正しい評価をされるべきっていうのが私のジャーナリズムだからね」
ファミ通は握りこぶし作ってそう言う。
「私の正しい評価……」
ネプギアはそう呟くと考え込んでしまう。
「ねーねー! ジャーナリズムってなに? どんなリズムゲームなの?」
そこに今まで側で話を聞いていたラムが口を挟むと、「楽しそう(しゃんしゃん)」とロムがそれに続く。
「リズムゲームじゃないわよ。雑誌を意味するジャーナルと主義を意味するイズムっての二つの言葉が合わさって、ジャーナリズム。新聞や雑誌とかで、その時その時の出来事を報道して解説とか批評とかすることよ」
ラムの後ろにいたユニが落ちて説明をする。
ちなみにリズムゲームとは、音楽に合わせてボタンを押したり専用のコントローラーを動かしてアクションをとることで進行するタイプのゲームである。
「あっ! それ聞いたことある。【俺イズム】とか言うやつでしょ」
ラムは手を上げて嬉しそうに言うと「……ルウィーには【週刊ルウィズム】って雑誌があるよ」とロムがそれに続く。
「ルウィズムって……」
ネプギアが困惑した声を出すと、ユニは呆れた声で、「……ルウィーのことだから、小さい子のことを色々書いてるんでしょうね」と言う。
「ところで、俺イズムってなに? しゅぎってよくわからない」
ラムは言葉は知ってるが内容までは知らないようだ。
いつものようにネプギアとユニに向けて質問する。
「主義って言うのは常に持っている考え方ってことなの。だから俺イズムは自分の生き方ってことになるんだよ」
ネプギアが丁寧に説明すると、ラムは、「じゃあ、わたしも作る!ラムイズムは、【明るく、楽しく、元気よく】、よ!」と言って元気よく飛び跳ねる。
「わたしは、【いつもラムちゃんと一緒】……かな?」
ラムに続いてロムも自分イズムを考えたようだ。
「アタシは努力! 根性! そして勝利!」
ユニも続けて力強く言う。
「おっ! いいねいいね。女神候補生達の主張なんて記事になるよ」
ファミ通は嬉しそうにペンとメモを取り出す。
「えっと、私は……」
ネプギアはそう言ったっきり考え込んで黙ってしまう。
「アンタ相変わらず、こーゆー時にハッキリしないわね」
ユニがそう言うと、「だって、急に言われても困るよー」とネプギアが困り果てた声を出す。
ネプギアは側にいたプラエに、「プラエちゃん、何かいいのないかな?」と尋ねるが、「ごめんなさい。プラエもよくわからないよ」とプラエも困った声を上げてしまう。
「じゃあ、アタシが決めてあげるわ」
「えっ!? ユニちゃんが?」
ユニの突然の提案に驚きの声を上げるネプギア。
「ネプギアイズムは【博愛、謙虚、献身】よ」
「わっ、予想以上にいい言葉だよ! ユニちゃんが私のことそんなふうに思ってくれてるなんて嬉しいな」
ユニの予想以上の言葉にネプギアは嬉しそうな声を上げる。
「ただし、度が過ぎるね」
「度が過ぎるって?」
ユニが付け足した言葉にネプギアは首を傾げる。
「要は超弩級のお人好しよ」
ユニがネプギアを指差してそう言うと、続いてロムが、「うん、ネプギアちゃんは優しい」と言い、ラムも、「ネプギアの半分は優しさで出来てるからね」と言う。
更にプラエも嬉しそうな顔で、「うん、ネプギアお姉さんにピッタリだね」と言う。
「……私、頭痛薬なのかな?」
ネプギアはラムの言葉に有名な頭痛薬のCMを思い出して、そうつぶやく。
「うんうん、いいねいいね」
ファミ通はその様子を嬉しそうにメモする。
「ファミ通だっけ? 本当にネプテューヌさんじゃなくて、アタシ達女神候補生を取材するのね」
ユニはその様子を眺めながら質問する。
「そうです。私は劇薬じゃなくて、優しさで出来た頭痛薬に興味があるんですよ」
ファミ通は先程の女神候補生達の会話からの言葉を使ってネプギア達に興味があることを示す
「劇薬? それってお姉ちゃんのことですか?」
ネプギアが首を傾げる。
それと同時にネプテューヌの方から賑やかな声が聞こえる。
「ねーねー! コンパー! コンパの車のドライブレコーダーにわたしの雄姿映ってるよね?」
ネプテューヌがそう言ってコンパの車に近づく。
雄姿とは、蛇行するバイクとツルハシを持って後部座席に乗るネプテューヌのことである。
「多分映ってると思いますけど……どうするですか?」
首を傾げるコンパ、ネプテューヌの意図が分からないようだ。
「インターネットに動画をアップして、わたしの伝説をみんなに見てもらうんだよ」
ネプテューヌは自信満々に腰に手を当てながら言い放つ。
「や、止めてください! 大問題になります!」
イストワールが冷や汗をダラダラ流しながら、慌てて止めに入る。
「バイトテロならぬ女神テロってところかしら……」
アイエフはそう言いながら、ネプテューヌに背後から近づき素早く羽交い締めにする。
「ちょ、あいちゃん何するの~、はーなーしーてー!」
じたばたと暴れるネプテューヌ。
「コンパ、今のうちにドラレコのデータ消しちゃって」
アイエフは素早くコンパに指示を送る。
「はいです~」
素直に従うコンパ。ネプテューヌに甘いコンパも流石に今回の提案には従えないようだ。
「ちょっと待ってー! わたしのメモリアルがーーー! あいちゃんはちゃんと顔隠しするから、アップさせてよー」
「そういう問題じゃないわよ」
ネプテューヌの的外れな懇願に呆れた声で答えるアイエフ。
「私にはあの劇薬を飲み干せる自信はないしね」
ファミ通はネプテューヌの方を見ながら少し呆れたように言う。
「効果が強すぎてイストワールさんの胃に穴が開きそうよ。ネプギアは頭痛薬だけじゃなくて胃腸薬としても頑張らないとダメみたいね」
「あはは……」
ユニの皮肉に乾いた笑いを浮かべるしかないネプギア。
あんみつが、「ネプテューヌ殿のような劇薬は飲むと言うより化学反応を起こすものですね」と言うと、「「「ががくはんのー?」」」とロムとラムとプラエが揃って首を傾げる。
「一つの物質が原子や電子の組替えや電子の増減により、別の物質に変化することを言うんだよ。身近な例で言うと液体が蒸発したり、水蒸気が冷えて水になったりすることを言うの」
ネプギアがそう説明をすると、「それじゃあ、お薬を混ぜたらドカーンって爆発して、お顔が真っ黒になるのも化学反応?」とラムが尋ねると、「うん、そうだけど、それは少し失敗してるっぽいかな……」と困った顔で答えるネプギア。
それを聞いたユニは、「ネプギアが頭痛薬なら、ネプテューヌさんはニトログリセリン。ついでに言うとプルルートさんはプルトニウムね」と呆れつつ言うと、「そこまで危険物ではない……と思うんだけど」とやや自信なさそうに答えるネプギアであった。
「あはは。私の知り合いの記者で、デンゲキコって言うネプテューヌ様みたいな派手で賑やかな人を記事にするのが得意な子がいるけど、私はネプギア様みたいに磨けば光るって人の後押しをしたいんだよ」
ファミ通はネプギア達のやりとりを見ながら微笑みつつそう言った。