昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2 作:ゆーじ(女神候補生推し)
翌日、G.C.2019年4月28日 日曜日。
ネプギア達超次元から来たメンバーは、クエストの為にプラネテューヌ近郊の草原【オオトリイ大草原】を訪れていた。
ちなみに、ネプテューヌはプルルートと遊んでいる為に不在である。
「ネプギア、今レベルいくつ?」
ネプギアの隣を歩いていたユニがネプギアに問いかける。
「私は16だよ。ユニちゃんは?」
「アタシも16。やるじゃない、それでこそアタシのライバルよ」
ユニは腕組みしながらそう答える。
その様子はネプギアが競い合うに足る相手だと満足しているようだった。
「はーい! わたしとロムちゃんは15ー!」
ネプギア達の後ろからラムが元気よく手を上げて宣言する。
ロムも、「わたし達も頑張ったよ(ふんす)」と言って頑張りをアピールする為に小さくガッツポーズをする。
「本当? よく頑張ったね。えらいえらい」
ネプギアはロムとラムの隣に行くと二人の頭を優しく撫でてあげる。
「お姉ちゃんがクエスト行くの止めなければ、ネプギアとユニちゃんより高くなってたんだから」
ラムは両手を腰に当ててふんぞり返ると、「クエスト行くの止められちゃったの?」とネプギアがロムとラムに質問する。
「……ランクの高いのは危ないからって、何回か止められたの(しゅん)」
ロムはそう言うと肩を落とす。
姉のブランも彼女達の事を心配して止めたのであろう。
「お姉ちゃんってば、カトンボなんだから」
ラムがそう言うと、「それは過保護って言いたいの?」とユニがツッコミを入れる。
するとラムは、「それよそれ」と頷く。
その後もネプギア達は、パーティ内でスキルや装備を確認し合いながら奥に進む。
***
「この地点のフェンリル退治が今日のお仕事です」
イストワールが足を止めるとキーボードを操作し、ホログラムを出す。
そこには草原の地図と巨大な狼型のモンスターが映し出されていた。
「なかなかの大物ね。相手としては不足無しよ」
ユニは満足気に頷く。
「誰が来ようと、わたし達女神候補生の敵じゃないわよ」
ラムが自信満々に言い放つと、「負けない(ぐっ)」とロムもも小さくガッツポーズをして、二人ともやる気十分である。
ちなみに、これ以外細かなクエストは、ネプギアが居ない間に神次元のプラネテューヌ軍と冒険者達が達成してくれていた。
現在の神次元のプラネテューヌのクエストは、軍や冒険者でも歯が立たない強力なモンスターを、月に一度に来訪するネプギア達が討伐をしている。
「では、ここはファミ通さんに女神候補生の力を見せる為、四人で殲滅をお願いします」
やる気満々の女神候補生に対してイストワールが提案する。
「わかりました。みんなもいいよね?」
ネプギアはユニ、ロム、ラムに声を掛ける。
「わかったわ」
「うん(こくこく)」
「オッケーよ」
ユニ、ロム、ラムの三人も頷いて了解する。
「おおー、これは楽しみだねー」
ファミ通は喜々としてペンとメモを取り出す。
「新作期も迎えましたし、更なる鍛練の為に、あまり安易な女神化は控えてくださいね」
イストワールがそう言うと、「えー? なんでー?」とラムが不満そうな声を上げる。
「強い力に慣れることも大事ですが、それにより重要な器官を劣化させてはいけません。歩かなければ足が退化してしまいます。しかし、運動ばかりで車などの機械に慣れようとしなければ、いつになっても運転を覚えられません」
イストワールが落ち着いた声で説明をすると、「えっと、地力を鍛えることを優先にしつつ、女神化にも慣れていくんですね」とネプギアが答える。
「じりき?」
ロムが首を傾げ、「古いオモチャ?」とラムが質問すると、「それはブリキよ」とユニがツッコミをする。
「地力は、その人本来に備わってる力のことだよ」
ネプギアが地力の解説をし、ユニが、「女神化で楽ばかりしてたら、地力は備わらないのよ。自らを過酷な環境に置いて鍛えて鍛えて鍛えてまくるの!!」と力強く言う。その目には炎が燃えているように見える。
「……ユニちゃんが凄く燃えてる(ぼうぼう)」
ロムがユニを驚きの目で見て、「熱血スパコンってヤツね!」とラムが感心をすると、「疾風覇道拳!!」とユニが叫びながら両手首を合わせて手のひらを開いて前に突き出すが、「……って、違うわよ」とノリツッコミを見せる。
【疾風覇道拳】とは格闘ゲームの代名詞の【ストリームバトラー2】のスーパーコンボと呼ばれる強力な必殺技。スーパーコンボを略してスパコンと呼ばれている。
「あー、ユニちゃん、ズルーい。私、スーパーコンピュータでツッコミしようと思ってたのに~」
ネプギアが不満そうに口を尖らせると、ユニが右手で頭を抱えて、「何の争いよ何の……真面目に説明しなさい真面目に」と呆れ声を出す。
「うーん……」
ネプギアは右人差し指を右頬に当てて少し考えると、「お絵かきも、高くて良い道具揃えただけじゃ上手くならないよね」とロムとラムに質問をする。
「「うん」」
ロムとラムは仲良く同時に声を出して頷く。
「それと同じで、良い道具を使う前に、ロムちゃんとラムちゃん自身が絵を上手く描けるようになることが大事なんだよ。そうすることで、良い道具の効果が更に上がるの」
「ふんふん(こくこく)」
ロムが理解したように何度も頷くと、「わかったー!」とラムが元気よく左手を上げる。
「私達の場合は女神化の力で簡単に敵を倒すより、自分の力と技や仲間達の連携を鍛える為に、あえて変身しないで戦うの。そうすることで、いつもより質の高い経験が積めるし新しい技や戦法を閃いたりするんだよ」
ネプギアが更に説明をすると、「ロマンティックサーガでも、自分より強い敵と戦った方が新しい技を閃きやすいでしょ。閃いた技を女神化で活かせば更に強くなれるわ」とユニが付け加える。
【ロマンティックサーガ】とは、ファイナリストファンタジアを開発しているメーカーのRPGで、ルウィーやラステイションで人気が出ている。
このゲームには確率で技を閃くシステムがあり、強敵と戦う方がその確率が高くなるのだ。
「ユニちゃんの言う通りで、基本的には地力を鍛えた方が結果的に強くなれるの。でも、女神化での戦い方を忘れないよう適度に女神しようねって感じかな」
ネプギアの説明に、「女神化しないと見えてこない戦法や技もあるしね」とユニが更に付け加える。
すると、「真ファルフェニックス~~!」とラムが両手を横に広げて鳥の飛ぶような真似をし、「真ファルフェニックス!」とロムもその後に続く。
【真ファルフェニックス】とはロマンティックサーガのシリーズに出ている変身ヒーローのファルカイザーというキャラクターの隠し必殺技。
変身した状態かつ特定の条件下でないと閃かない技である。
「ふふふっ」
ネプギアはロムとラムを楽しそうに眺めつつ、「二人とも分かったかな?」と質問する。
「うん、わかった(こくこく)」
ロムが頷いて感心すると、「わかったわ。そういうことなら任せなさい! 大リーグ育成ギプスってヤツよね!」とラムが両腕を組んで頷き、「大リーグショット一号よ!」と続けて野球のピッチャーの投球の真似をする。
「女神候補生よ、栄光の星を目指すのだ!」
ネプギアがそう言いながら右手の人差し指で空を指差すと、「ネプギアちゃん、今はお昼だから、お星さまは出てないよ?」とロムにツッコミをされてしまう。
どうやら、ロムもラムも大リーグ育成ギプスは知っているが、そこまで細かいネタは知らないようだ。
「あはは……そうだね」
ネプギアは照れながら右手で右頬をかくと、「大リーグ育成ギプスなんてよく知ってるね」とラムに質問する。
「前に日本一が着けてたわ」
ラムがネプギアの質問に答えると、「そうだったんだ」とネプギアは納得したように頷く。
日本一は熱血な性格をしており、この手のトレーニングが好きらしい。
彼女のひいきにしてる、【ローゼンクイーン商会】でもギプス系のアイテムが多数販売されている。
「とにかく、努力、根性、忍耐、情熱よ!!」
ユニがまた目に炎を宿しながら言うと、「おお、ユニちゃんがまた燃えてる」とラムが、「燃えてる(めらめら)」とロムが感心する。
「ユニちゃんの言うことも分かるけど、特訓も身体を壊さないように適度にね。あと全身バランス良く鍛えて、何よりも継続しつつ、少しづつ運動量を増やしていくのが重要なんだよ」
ネプギアが燃え盛るユニに、ストップをかけるように落ち着いて言うと、「わかってるわよ。でも、気持ちは常に高く持っておくものでしょ」とユニも落ち着いて答える。
「そうだね。気持ちはいつでも全力投球だよね」
ネプギアはユニの冷静な態度に安心したように頷く。
「一休入門ってヤツね!」
ネプギアの言葉を聞いたラムが元気よく言うと、「とんち(ぽくぽくぽくちーん)」とロムが両手の人差し指をこめかみの辺りで円を描くように回す。
「お坊さんに弟子入してどうするのよ……」
ユニがそう言って溜息を吐くと、「それを言うなら、一球入魂だよ」とネプギアが言い、「そうそう、一球入魂」とラムがピッチャーの真似をすると、「一球入魂(ずばん)」とロムがキャッチャーの真似をする。
「ま、そんな感じで努力を重ねていくのよ」
ユニがそう話をまとめると、「強くなったら、お姉ちゃんも驚くかな?」とロムが期待を込めた目で言う。
「きっと驚くよ。努力でお努力ぞーって」
ネプギアが楽しそうにダジャレを言うと、「強引にダジャレ差し込まないの」とユニがネプギアの頭を軽くチョップする。
「お努力ぞー」
ラムはネプギアのダジャレが楽しかったようで左手を上げて言い、「お努力ぞー(おー)」とロムも右手を上げる。
「ふふっ……。とにかく、女神化は奥の手と言うことでお願いしますね」
イストワールは、女神候補生達の説明なのか漫才なのか分からないやりとりに微笑みを浮かべながら話を締めくくる。
「「「「はい!」」」」
イストワールの言葉に元気よく頷く女神候補生達。