電子の世界であいましょー   作:青いカンテラ

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決断的に二回投稿なので初投稿なのですわ!


その2:湿気ボンバー

【○月×日/雨】

 

 雨の日は嫌いだ。

 湿気でわたしの髪がボンバーするから。

 

 姉ちゃんは塗装がどうのこうのとかぶつぶつ言ってたけどネ。雨の日と湿気の多い日というのはどこも大変なのだなあ。

 ガンプラ買ったはいいけどニッパー買い忘れていた件、だけれど姉ちゃんのお下がりをもらい一応の解決を見た。正直あの人に貸し借り作るのイヤなんだけれど・・・くれるというのなら病気以外は貰うのがわたしなので貰っておいた。

 ガンプラ二個買ったことで財布ポイントが尽き掛けていたのでな・・・。背に腹は代えられぬというやつだ。そしてガンプラ一個を組むにはニッパーがあればそれでいいが、より完成度を高めるためには他にもやすりやらスジボリをするための道具やらガンダムマーカーやらエアブラシやらが必要らしい。

 

 ・・・うん。普通にわたしの財布ポイントを超過しているな。社会人として懐に余裕のある姉ちゃんとは違って、わたしはしがない学生なのだ。その資金力には大きな差があるのだ。

 だが、世はまさに大ガンプラブーム時代。ガンプラとその製作用の道具を専門に扱うガンダムベースにはなんと、製作ブースが併設されている。いくらかの利用料こそ発生するものの、置いてある道具はすべて使い放題。さらにはエアブラシで塗装もできるなど至れり尽くせり。え、これが追加料金なしで使い放題なんですか!? さすがは天下の財団B太っ腹あ!

 

 まあ、今日は雨が降ってるから家で漏影組むんですけどね。

 

 

 

【○月×日/曇り】

 

 曇りの日はいいぞ。分厚い雲から太陽光からわたしを守ってくれるからな。

 影に生きる日陰者であるわたしは、太陽の光を長時間浴びると灰になってしまう。なので曇り空というのは好きだ。ただし梅雨、てめぇはダメだ。

 

 パチパチと組んでいた漏影ではあるが、なんとか組み上がった。本当にただ組んでシールはっつけただけではあるけれど、わたしが作ったわたしのガンプラである。塗装も改造も何もしてないわたしの漏影は姉ちゃんいわく素組? というらしい。

 素組のガンプラはGBNだと本当に最低限の性能しかないとのことだが、塗装も改造も追々ということで。まずは漏影が出来上がったことを喜び、そしてクラスの友人に自慢するとしよう。

 

 

 

【○月×日/晴】

 

 わたしには友人が一人いる。のんびりとしてのほほんとしたやつである。いつも眠たげな目をしているそやつはふわふわほわほわとした空気感で、人をダメにするクッションが服を着て歩いているような感じである。長い袖が余った制服を着ているというのも、彼女のゆるふわ感に一役買っている気がする。余り袖はいいものだ・・・。

 

 名前はのほほん。本名は別にあるが、基本的には周囲からのほほんさんと呼ばれているのでのほほんでいいだろう。席がちょうど前と後ろということもあり、休み時間となればよく話しをする程度には仲良しさんである。

 机の上に置いた腕に頭を乗せて上目遣いにこちらを見るのほほんは実際カワイイ。思わずもちもちのほっぺをむにむにしたり、触り心地のいい亜麻色の髪を手櫛で梳いたりしたくなるくらいにはカワイイ。トニカクカワイイので嫁に貰いたいくらいだ。

 

 と、のほほんについて書いていると長くなりそうなので団長もとい断腸の思いでもってして切り上げるが、意外なことにのほほんもガンプラを嗜んでいるらしい。まさかの友人がガンプラ女子・・・!

 やはり長い袖でニッパーを握ってパチパチやっているのだろうか。気になって聞いてみたところ、ガンプラを組むときはさすがに袖はまくるか短いものに着替えるらしい。まあそれもそうか。細かいパーツとか袖越しに持てないしな。

 

 そして、そんなのほほんにわたしの組み上げた漏影を見せたところ「すごい、よくできるよ~」との言葉を頂いた。ふふふ、そうだろうそうだろう。何せGBNで遊ぶために頑張って作ったガンプラだからな。もっと褒めてもいいんだぞ?

 

のほほん「ところであいちゃ~ん。この子は色変えたりって~、しないのー?」

 

わたし「む? 色変えということは塗装か。いまのところはこのままでもいいかと思っているが。エアブラシの使い方もよくわからないのでな」

 

のほほん「んー、それならあ~、私が教えてあげよーか? あいちゃんが良ければだけどねえ~」

 

わたし「教えてくれるというのならありがたいな。これからは塗装の師、のほほんセンセーと呼ばせてもらおう」

 

のほほん「うん、それはエンリョしとくね」

 

わたし「なん・・・だと・・・」

 

 エンリョされてしまった。いつもにこにこほわほわとしているのほほんだが、イヤなことはイヤとけっこうはっきりと口にする。そう、彼女は正しくノーといえるのほほんなのである。

 

 その後、ガンダムベースで落ち合う日取りを話し合って休み時間は終わった。午後の授業に配置される数学というのはどうしてこう、睡魔を誘うのだろうな。

 昼食を食べてで腹が膨れているからか、教壇に立つ数学教師の爺様の棒読みな声がそうせるのか、はたまたその両方なのか・・・。疑問は尽きず、睡魔には勝てない・・・のだ・・・スヤァ ( ˘ω˘ )




TIPS:

【のほほん】
 哀歌の友人。のんびりとしてのほほんとした雰囲気の少女。制服の袖を長くして余り袖にしている。好きなものは甘いお菓子。手先が器用で、HGのガンプラなら1時間もあれば組み上げられる。

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