一応補足として書いておきます。これはW×このすばで、基本視点は翔太郎とフィリップです。しかも別行動が多いので幾らか省いていますが、描かれていないカズマサイドでは原作と同じことが起こっていると解釈してください。
つまり何が言いたいかって言うと、原作も読めよ!ってことです。あとでタグ、追加しときます。
ミーアちゃんを引き取り、しばらくの間彼女を屋敷に住まわせることになった。
カズマ君達がいないならとメリッサもついてきたが、おおよそはミーアちゃんと離れたくないのだろう。
「フィリップは昨日から何してるんだ?」
広い庭でガチャガチャと作業をしている僕にミーアちゃんが尋ねてきた。
「ちょっとした実験だよ」
商品開発による担当はカズマ君に頼んだので僕自身何かを作れる訳じゃないが、鉱石を使って何を組み合わせたら何が起こるかぐらいはわかる。
内容はバニルから頼んでいた鉱石を使っての実験だ。急な事だったため全てではないがーー
その時、Wドライバーが巻かれた。
「ミーアちゃん。悪いけど僕の部屋の机に道具箱があるから持ってきてくれないかな」
「分かった!」
ミーアちゃんが屋敷に入っていくのを確認しすぐさま対応する。
「やるのかい?」
『いや、ちょっと問題が起こってな。来れるなら来てほしい。ドーパントも現れてる』
わざわざ呼ぶということは戦えない状況。ドーパントも現れているとなるとゆっくりはしてられない。
「了解した。なるべく急ぐよ」
Wドライバーが失くなったことを確認し顎に手を添える。エクストリームで行くのが一番速いが、ドーパントを僕達が相手するとなると魔王軍をどうするか……
紅魔族が強いことは重々承知している。めぐちゃんやゆんちゃんの歳でもあそこまで強いのが証明してる。
それゆえに翔太郎の問題が発生してるという報告が気になる。援軍も連れていくのが得策だろう。
「フィリップー!」
思考を消す程の大きくて元気なミーアちゃんの声。手渡してきた道具箱を受け取り、優しく頭を撫でた。もしかして姉さん達もこんな気持ちだったのだろうか。
姉弟では末っ子として生まれ、探偵事務所に来てからも年下はいなかった。ときめは……家族なのは当たり前だけどどうなんだろうか。
「さっき一人で何か言ってなかったか?」
どうやら獣人の耳は大きさに比例するようだ。だがミーアちゃんに心配を、ましてや危ないことに巻き込む訳にはいかない。
「何でもないよ。さ、作業の続きをしようか」
出発は夜中になりそうだ。
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里を訪れた人用の宿を借り、俺はベッドで寝転がっていた。
時間は夜の10時を示そうとしていた。フィリップが来るならエクストリームメモリが飛来して知らせてくれるはずだが、その様子もない。
それよりも問題なのは、床で布団を敷いてこちらを見ているリアだ。アクセルハーツの三人組もこの宿を借りているので、一部屋二人用として仕方ないこと……じゃないよな。
「エーリカとシエロは?」
「隣だ。シエロは言わずもがなだし、エーリカは踊り子としてダメだって」
「その理論ならお前もダメだろ」
「私は構わない。それにいつまた無茶をするか分からないからね」
キツネのぬいぐるみ持ってる癖によく言うぜ。
ま、同室だからって高校生相手に動揺する程俺も甘くない。言うことがあるなら寝る場所を変えるぐらいだろうが、今のリアに言っても返答は分かりきっている。
さっさと寝るように俺は布団を被った。気にするな、なんてのは責任感の強いリアにとって酷な言葉になるかもしれない。
色々と考えていると、警報が鳴り響いた。確か魔王軍襲来の合図だ。
「行ってくる」
「俺もーー」
強く睨まれ、俺は萎縮した。しかし、このまま言いなりのままなんて無理だ。
俺はリア達が出ていったことを確認してWドライバーを装着する。変身すりゃバレないが、いないことが判明したらもっと面倒だ。
「まだかよフィリップ」
『今、ウィズとバニルの三人で里付近まで来ている』
「おっ、ウィズのテレポートだな……バニルも来てるって?」
『彼曰く、嫌な予感がするらしい』
嫌な予感って、悪魔がそんなこと言うなよ。
「……バニルって見通すことが出来るんだよな。予感ってどういうことだ」
『自身も分からないらしい。それほどまでに危機的状況だ』
一気に不安感が煽られる。本当にこのままで良いのか、そう思う前に体が動いていた。
ベストを羽織り帽子を被る。依頼人は、あいつらは俺が守る。
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「起きなさいってば」
目を覚まし視界に入ったのは魔王軍幹部の一人、シルビアだった。
「おおおおっ、離れやがれオカマ野郎!」
「見事な手のひら返しね……ま、邪魔もなかったからいいけど」
そう言ってシルビアはカード片手に奥の厳重そうな扉の前に立った。
確か……めぐみんの母親の策略でまた同じ部屋で寝ることになって、いい雰囲気になったところでコイツら魔王軍が現れたんだよな。
昼間に会った時は進行よりも他にやることがあるとか言ってたけど、もしかしてこれのことか?でも里の観光地を一巡りしたが、そこまで問題あるのはレールガンくらいだし、ここも謎施設とか呼ばれて誰も来ないとか言ってたはずだ。
「あれ……おかしいわね……?」
必死にカードを翳すシルビア。逃げるチャンスだが、何をしようとしてるのかわかるチャンスでもある。
俺は意を決してこっそりと覗き込む。そこには映画とかでよくあるパスワード入力する機械と、『小並コマンド』の文字。簡単に言えば格闘ゲームで使われるコマンドだ。
「小並コマンドを入れろってことか?」
「この古代文字が読めるの?」
「読め……いや、俺は屈しないからな!」
「私、そっちも得意なのよ」
「喜んでやらせていただきます!」
手際よくコマンドを入力すると、重い扉が徐々に開いていく。真っ暗の階段をシルビアは慎重に降りていった。
姿が見えなくなり、俺は機転を効かせて静かに扉を閉めた。
シルビアを閉じ込め謎施設から離れると、しっかりと着替えて来たあいつらが来た。
「大丈夫ですか?!」
「お前らがばっちり決めてる間にシルビアの奴は閉じ込めたよ」
「そ、そうか……だがこれから戦うのに生半可の装備ではダメだろう」
それはそうだが。ゲームの縛りプレイじゃないしな。
「ねぇカズマさん。なんか匂うんですけど」
「何言ってんだ駄女神。匂わねぇ……よな?」
アクア以外の全員に聞き返すが、俺と同じ意見のようだ。毎日風呂は入ってるし、既に動き回ってるから多少の汗臭さは仕方ない。
「んなこと言ってねぇでさっさとーー」
その時、俺の背後で轟音が響いた。月灯りを背景に現したのは、下半身を大蛇のような鋼鉄の体に変化させたシルビアだった。
「魔術師殺しが乗っ取られたぞ!」
里長の言葉と同時にシルビアは不適に微笑んだ。口から炎を吐き、里全体が炎に包まれていく。
「なんだよ魔術師殺しって!世界を滅ぼしかねない兵器ってやつか?!」
「いえ、あれは違うはずです!」
めぐみんが里の案内の時に言っていた【世界を滅ぼしかねない兵器】と違い一瞬の安堵をするも、そんなことしてる暇はない。
シルビアがあれを乗っ取ることが出来てしまったのも俺がプレッシャーに負けてしまったせいだ。紅魔族の人らも次々と【テレポート】で逃げていく。
気がつくと俺達のパーティーとゆんゆん、そしてアクセルハーツの三人組だけになっていた。
「ゆんゆん!テレポートは使えるか?!」
「覚えてないです!それに使えても……」
言いきる前にシルビアの攻撃が飛んでくる。巨体に似合わず俊敏な動きをしてくる。
最悪俺が死んでもアクアが蘇らせれるはずだ。これでも首飛んでるしな……って、自慢してる場合か!
「まずは紅魔族からよ!」
そう聞いて俺は隣にいためぐみんに覆い被さった。ゆんゆんの唱える魔法が聞こえ、俺は目を閉じた。
しかし、一向に攻撃は来ない。めぐみんの腕の揺さぶりに目を開け振り返る。
「T2出力のショルダーセイバーでビビ程度とは……。見たことのない材質のようだし、非常に興味深い」
『んなこと言ってる場合かよ』
シルビアはすぐさま魔術師殺しを確認する。数多の魔法も効かない魔術師殺しでも物理攻撃は無効化出来ない。
「ここは僕達が引き受けよう」
『首なし野郎の時みたいな対策、頼むぜ!』
俺はすぐに立ち上がり、めぐみんをいつものように背負い走り出す。後から続けてアクアも追ってくる。
「クルセイダーとして、逃げるわけにはいかない!」
「固いだけで攻撃も当たらない奴に用事なんてないわよ!」
シルビアの口から業火が吹かれる直前、Wはショルダーセイバーを投げつけ攻撃を中断させる。
「彼女には何を言っても仕方ない。あとは……あの子にも」
冒険者の意地としてか、リアも槍を構えていた。その後ろにもシエロとエーリカの姿があった。
『しゃーねぇ、やるか』
右手でシルビアを指差し、開戦とも言える合図を出した。
「『さぁ、お前の罪を数えろ!』」
今回のファングジョーカーはT2仕様です。なので同じT2ジョーカーでないと変身が安定しません。暴走するからね、仕方ないね。
また、ショルダーファング、アームファングに関しては自由に出し入れ可能ということで……マキシマムは普通にスロットに装填となります。
メリットとしては火力の向上ですね。デメリットはAI搭載してないのでフィリップの緊急時に対抗できないぐらいです。あとは想像に任せます。