駆逐艦白露の日常   作:七対子

58 / 84
おはようございます!
今回は岩川鎮守府の日常です!キャラ崩壊、独自設定あります。
それでは、どうぞ!


魔窟の巣

――――埠頭

 

 ………………………………………………………皆さんこんにちは…。岩川鎮守府所属、夕雲型駆逐艦11番艦の藤波です!今藤波は、浜ちん……あぁ、同型艦で13番艦の浜波と一緒に埠頭の端で釣りをしています。なぜ釣りをしているのかって?藤波達は今非番なんです。だからこうして釣りをしているわけですが……。

 

 まぁ、こんな話はどうでもよくて…。この鎮守府…いろいろな意味でやばいです……。え?戦う提督がいるから当然?あの最凶と呼ばれているS級の青葉と鬼怒もいるからそりゃやばい?いえいえ…それがそうでもないんです。他の人達でもやばい人はいるんです…。全員が全員やばい人じゃないんですよ……。あぁ、なんかこんな説明していると、ちょっと疲れてきたな…。

 

「ふ……ふーちゃん…どうしたの?そ……空なんて……仰いで?」

 

「……ねぇ浜ちん……藤波達どうしてここに着任しちゃったんだろうね…?」

 

「そ……そんなこと……は…浜波に言われても…」

 

 相変わらず声が小さくて早口だね浜ちん……あ、サバが釣れた…晩御飯のおかずかな?いい感じいい感じ。チカにサバにアジか…意外と釣れたかな?

 

「おぉ、何やごっつ釣れたやんか!ええ感じやな!」

 

「…あぁ、黒潮さん!こんにちは!」

 

「こ……こんにちは……く…黒潮さん」

 

 陽炎型3番艦の黒潮さん。2~3か月前に着任したばかりの人で、なんでもあの白露と雷と同期の人なんだって。あぁ、ちなみにここの鎮守府ではまともな人です!ここに来たってことは、藤波達に何かようなのかな?

 

「何か御用ですか?」

 

「せや!司令はんが二人を呼んでおったで!何か用があるんやないか」

 

「…わかりました。浜ちん、行こ!」

 

「あ……で…でも……魚…」

 

「ええよええよ!魚はうちが食堂にもっていくわ!」

 

「ありがとうございます!」

 

 さてと……一体何の用なのかな?あ~……今後の訓練とか、座学についての話かな?まぁ、行ってみないとわからないか…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――本館 執務室前

 

 さてと……うん……よかった、静かだ。あぁ、なんでこう思ったのかっていうと、大体の確率で騒がしいことがあるから…騒がしい人はまぁ、特定の人に限られるんだけどね……例えば……

 

(いいいいいいいいいいいいいいいいやああああああああああああああああああΣ(゚Д゚;≡;゚д゚)なんで私が旗艦なんですか⁉嫌ですううううううううう!)

 

 ……ていう感じで、金髪ツインテールで常に前髪を気にしているような人が騒いでいたり…

 

(ふええええええええええええええええええええええええええええん!怖かったですううううううううううううううううううううううう!なんで毎回こんなことが起こるんですかあああああああああああああああああ!)

 

 ……とか、すごく臆病で帰ってくるたんびに泣いているような軽巡級の人がいるもんだから騒がしい。騒がしくないっていうことは、今出撃中なのかな?だめだ…朝ぼーっとしてたから覚えていないや…。まぁ、いいか…とりあえず入ろう…。

 

「司令、失礼するよ!何か用?」

 

「あぁ二人とも!二人にちょっと頼みたいことがあって。まぁ、ちょっとした仕事の説明みたいな感じなんすけどね!」

 

 この人はもちろん、ここの提督の榊原慎之介。戦う提督で有名だから、みんな知ってるんじゃないかな?いやもう本当に有名だよこの人…。ぶっちゃけ艦娘いらないんじゃないかな?この人さえいれば…。まぁ、それはさておいて……仕事の説明って何だろう?もしかして、秘書の仕事かな?

 

「あぁ、たぶん察しがついていると思うんすが…秘書艦として書類仕事とかをしてほしくて…秘書の仕事については、古鷹に聞いてください!じゃあ古鷹、よろしく頼むっす!」

 

「はい!任せてください!」

 

 この人は、ここの秘書艦の古鷹さん。この人もすごく強い。艤装が改二の状態っていうのもあるけど、【鷹の目】の異名を持ってるんだもん。海の上でも普通に相手の頭を打ちぬくスナイパー…って感じかな。あと…この人怒らせたらだめだから(;・∀・)。何せ、あの青葉さんでさえ土下座したっていう話だからね!いや本当に!すごく優しいよこの人!一部からお姉ちゃんって言われてるからね!でも優しい人ほど怒らせちゃいけないっていうからね!気を付けてね!

 

「え…えっと、藤波ちゃん?どうかした…」

 

「はΣ(゚Д゚)なんでもないです!はい!」

 

「…あ…うん…じゃあ二人とも、こっちに来てくれる」

 

「……え……えっと……ふ……古鷹お姉ちゃん…」

 

「ん?何浜波ちゃん?」

 

「…あ…あの……な…なんでそこに…加古さんが寝てるの?」

 

「……ん(゜゜)」

 

 浜ちんに言われて気が付いたけど…ソファーで加古さんが寝ていた。……え~と……この人もここの主力で第1艦隊に所属しているんだ。改二だし異能持ちらしいんだけど、藤波達は知らない。あぁ…あと、この人……やばい人分類です。加古さんが自分で言ってたことなんだけど……

 

『あたし、昔少年院にいてさ……まぁ、喧嘩ばかりしてたし……学校にいたやつ半殺しにしたこともあるからさ……。あぁ、あと暴走族相手取ったこともあったっけ…』

 

 ……とか言ってたんだ…。やばくない?人を半殺しにするなんてさ……。でも、大半はどこかで寝てるらしいんだけどね…。出撃時以外は…。

 

「何となくそこで寝たかったんだって。今は寝かせておいてあげて」

 

「う……うん」

 

「じゃあ、秘書の仕事の説明をするね!私は大体ここにいるけど、当番でもう一人日替わりで仕事をするんだ。基本的に書類の整理とファイリングと、資材の確認とかもするんだ。二人にはこれをやってもらうね。じゃあ、ここに座って」

 

『は~い』

 

 藤波達は古鷹さんの隣に座って、秘書の仕事を教えてもらった。楽かと思ったんだけど、これがすごく大変で、サインの必要な書類やら資材の細かな情報やらを記したものやらたくさんありすぎて…。大本営に提出する書類もあるから間違った情報は書けないし、かなり大変だ。これを毎日やっている古鷹さんと司令はすごいな…。藤波達も頑張らないと…。

 

「…よし、二人とも。ちょっと工廠の方に行くからついてきてくれる?」

 

「わかりました」

 

 藤波達は古鷹さんの付き添いで工廠に行くことにした。資材の確認をするみたい。ここ最近出撃が多かったからね~。資材少し減ってるのかな?まぁ、確認してみないとわからないけど…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――工廠

 

「え~っと…燃料、弾薬、鋼材に、ボーキサイトも特に変わりなしっと」

 

 工廠に来たけど、特に数字に変わりはなかった。あとはそうだな~…整備士の人達が藤波達の艤装を点検してくれてるし、何ら変わりはなし。古鷹さんと浜ちんは今別のところにいる。これだったらここの仕事は終わりかな。終わったら何をするのかな?また戻って書類の整理かな?

 

「……戻ってまた書類の整理かな…なんて思っていない?藤波ちゃん?」

 

「え⁉あ、磯波さん!」

 

 急に後ろから抱き着かれたからびっくりした。この人は磯波さん。特型駆逐艦吹雪型9番艦。この人と関わると、偶に心を読まれているんじゃないかって思うときがある。だって、考えたことをそのまま言われることがあるんだもん。今だってそうだったし。なんでも、磯波さんは異能を持ってるって話なんだけど、確か異能は…

 

「ん?もしかして、私の異能のこと?」

 

「ふぇ(゚д゚)!え、えっと…」

 

「確かに最初は驚いちゃうよね藤波ちゃん…私の異能はね、一応念話(テレパシー)の分類らしいんだけど、相手の考えてることもわかるし、自分の考えていることや相手の考えていることを他の人達に伝えることができるの。そのせいで、変な人達に私の力を利用されたこともあったんだ…」

 

「…磯波さん…」

 

 さっきも言ったと思うけど…ここの人達はいろいろな意味でやばいって…。つまりはこういうことなんだ。自分の力を利用された人、自分の力で人を傷つけた人とかたくさんいる。だから、ここはこう呼ばれているんだ…。“問題児達の集まり”…もしくは“魔窟の巣”だって…

 

「…あ!」

 

「ふぇ⁉なに磯波さん」

 

「……あ~…いや…触ってみたらわかるよ…」

 

 いわれるがまま磯波さんの手を触った。……そしたら、いつも執務室で聞くような声が聞こえてきた…。

 

『いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいやああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!もうなんでこうなるのおおおおおおお!私の言うことちゃんときいてよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおΣ(゚Д゚;≡;゚д゚)』

 

『ふぇええええええええええええええええん!もうやだあああああああああああああああああああああああああああ!!長良おねえちゃああああああああああああん!助けてえええええええええええええ!』

 

「…うわ~…」

 

「…またこうなったんだ…」

 

「藤波ちゃん!艦隊のみんなが戻ってきたから迎えに……あら、磯波ちゃん」

 

「古鷹姉さん…またあの二人が慌てふためいているよ…」

 

「あぁ……」

 

 正直いつものことだからね~…あの二人が慌てふためくのって…。なんでも、前は長良って人がここの旗艦やってたんだけど…柱島に行っちゃったらしいんだ。その人が曲者がそろってるここの艦隊をまとめていたんだって。それと、もう一人。その人の妹艦の五十鈴さんもいわばここのまとめ役だった。その二人がいたから、古鷹さんの負担も軽減出来てたみたいなんだけど…。

 

『あの白露が柱島に行くんだもん!長良は柱島に行くわ!』

 

『私も気になってたし、この五十鈴も行こうかしら!』

 

 ……ていう理由で異動しちゃった…。なんか…うん……武闘派なのかな…。はぁ…そんなこんなで藤波達は埠頭の方に行くことにした…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――埠頭

 

「うわああああああああああああん!もうやだああああああああああああああああああ!私旗艦に向いてないですよおおおおおおおおおおおおお!」

 

「…あ…阿武隈さん…落ち着いてください…」

 

 …うわ~…案の定叫んでるよこの人…。あぁ、今叫んでいる金髪のツインテールの人が阿武隈さん。最近は旗艦を任せられていることが多いんだけど、見ての通りかなり臆病というか、ビビりな人…。でも、この人昔窃盗や万引きとかいろいろとやらかしているみたい。本人曰く、悪い友達に無理やりやらされたってことみたいだけど、罪は罪だからその友達と一緒に捕まりました…。んで、阿武隈さんを慰めている人が、特Ⅱ型綾波型6番艦の狭霧さん。灰色っぽい髪を腰まで伸ばしているのが特徴的な人だ。狭霧さんはここでは普通の人だ。藤波達にいろいろと教えてくれるし!……え?信じられない?いやいや本当に…何もやらかしてないから…本当に。

 

「ううう……私もう出撃したくないよおおおおお!」

 

 スタイルがよくて美人さんだけど…ネガティブな発言が多くて常に泣いているこの人は名取さん。長良型の3番艦だ。一見何もやらかしていないイメージがあるけど……実はこの人、昔脅されて詐欺の手伝いを強制的にやらされてたんだって。見た目からは想像もつかないよね…。でも、そんなこんなで捕まっていた時期があったんだってさ…。

 

「おいおい…こんなんでいちいち泣いてんじゃねえよ…死んでもいねえんだからさ…」

 

 電子タバコを銜えながら話しているのは特1型駆逐艦吹雪型4番艦の深雪さん。ぱっと見やくざかって思えるくらい目つきが鋭い時があるし、話し方も少しとげがあるし…正直言って少し怖い。あとこれ磯波さんから聞いた話なんだけど…この人元レディースの総長だったって(;゚Д゚)なんでも…あの加古さんと昔殴り合ったことがあるって!?やばすぎない!本当にやばいよねこの人もΣ(゚Д゚;≡;゚д゚)……あぁ、なんで電子タバコを吸っているのかというと……

 

(特型の末っ子どもがさ…『深雪姉たばこなんて吸ってたら病気になるわよ!長生きしたいんなら体にいいもの吸ってよ!ぷんすかヽ(`Д´)ノ』…とか…『深雪姉さんには…長生きしてほしいな…』…とか…『そんなんじゃだめよ!病気になるわよ』…とか…『嫌なのです!深雪お姉ちゃんには早死にされたくないのです!』……って言われたからさ……ちび達のために電子タバコにしたんだ…)

 

 ……だって…結構優しいよね…この人…。

 

「…(にこにこ(^^))」

 

 なぜか笑っているピンク色の髪を小さくサイドテールにして、後ろ髪が肩までかかっているこの人は青葉型2番艦の衣笠さん!この人も改二。スタイル抜群だし、顔もいいし、胸もでかいし、正直すごいんだけど、この見た目で16歳みたいΣ(゚Д゚;≡;゚д゚)本人も言ってたし、他のみんなも言っているから間違いないの!霊力はB級で、ここではそこまで強いわけじゃないらしいんだけど…正直藤波はこの人のことがよくわからない。性格が子供っぽいこともあるのかな?出撃のことを遊びに行くって表現するのも少し変だし…。それに、何だろう…戦ってる時も本当にB級なのかなって疑いたくなるレベルなんだよね…なんでだろう?まぁ、他のみんなもあまり衣笠さんのことは話さないし、藤波の気のせいなのかな。

 

「……なんかその…すみません……」

 

 この人はこの鎮守府唯一の軽空母、龍鳳さん。制服の上に緑色の法被?着物?を着ているのが特徴的な人だ。戦闘の時以外は食堂のお手伝いをしていたり、洗濯とかもしてくれているんだ!ここではものすご~くまともな人で、面倒見もいいしお姉さん的な存在の人!結構苦労人なのか…胃薬をよく飲んでたような…。

 

「……はぁ…もう…またなの阿武隈ちゃん…もっと自信を持っていいんだよ?長良ちゃん達は長良ちゃん達のやり方…阿武隈ちゃんは阿武隈ちゃんのやり方があるんだから…」

 

「そんなこと言われても、無理なものは無理ですうううううううううううううう!だって皆さん私の言うこと聞いてくれないんですもんんんんんんんんんんんんんんんんんんん(゚Д゚)」

 

 阿武隈の言ったことに対して、古鷹は艦隊の全員を睨む。しかし、全員が慌てた様子で首を横に振っている。そして、深雪が弁明した。

 

「ちょっと待った!古鷹さん、私達の言うことも聞いてくれ!阿武隈の指示は、なんというかまとまりがないというか、優柔不断というかさ!もうひっちゃかめっちゃかなんだよ!」

 

「…確かに、指示が右へ行ったと思ったら左へ行くというか…」

 

「言ったことが真逆になってしまうんですよね~…」

 

 深雪の言ったことに対して、狭霧と龍鳳が同意する。正直、古鷹もこういうことなのではないかとある程度予想はしていた。大体いつもこんな感じだから…。

 

「……とにかく、阿武隈ちゃん。あとで執務室に来て。それと名取ちゃんも。4人は、念のため精密検査をして、そのあとは自由でいいから!藤波ちゃん達も自由行動でいいよ、書類仕事とか手伝ってくれてありがとう!」

 

「い、いえ!むしろ教えてくれてありがとう古鷹さん!浜ちん、行こ!」

 

「ふぇ⁉ふ…ふ…ふーちゃん!ま…まって!」

 

 藤波達は、とりあえず寮の方へ行くことにした。あんまりやることもないからさ…。寮の方に行ったとしても、たぶん暇だと思うけど…。

 

 

 

 

 

 

 

―――寮内

 

 ……。はい、というわけで、寮内に戻ってきました。やることがなかったんで、戻ってきちゃいました。…………。さて、どうしましょう?浜ちんと一緒に来たわけだけど……。…あ!そうだ!初雪さんが非番だったっけ!それと、敷波さんと初風さんも!初雪さんがいるということは、間違いなく部屋でゲームをしているはず。いや本当に間違いない。だって、あの人は…

 

『もうやだ帰りたい…。かえってゲームをしたい…』

 

 ……とか…。

 

『面倒くさい…早く出撃を終わらせたい…』

 

 なんて言ってたり…。初雪さん、色々とゲーム機を持っていたりするからさ…。……まぁ、初雪さんは結構楽しい人なんだけど、サボり魔というかさ、何に対してもやる気がないみたい。ここでは比較的にまともな人なんだけどね。

 

 あ!そう思っているうちに、初雪さんの部屋の前だ!部屋の中からワァーワァーギャーギャー聞こえてくるから、他にも誰か来てるのかも!さっそくノックして開けてみよう。

 

「入ります~。初雪さん、今大丈夫ですか?」

 

「ごめん藤波、今敷波と初風と対戦中なの…」

 

 部屋に入ると、ごろごろしながら初雪さんがゲームをしていた。その横には、綾波型駆逐艦2番艦の敷波さん。陽炎型駆逐艦7番艦の初風さんがいた。やってるゲームは……。なんて言ったっけ?スマ〇ラ…だっけ?相当接戦なのか、三人とも食い入るように画面を見つめている。

 

「ええいこのこのこのこの!いい加減倒されろって!」

 

 今話し出したのが敷波さん。ええと…この人の過去もなかなかやばい…。窃盗、万引き、暴力沙汰…。その他もろもろ…。それもあって、少年院にいた人。確か、特型駆逐艦の中でも強い分類に入るんじゃなかったっけか?霊力が一万後半だったから間違いないはず。でも、特型のトップ3はものすごくやばいって敷波さん自身も言ってたっけ…。特型駆逐艦ってやべぇ…。

 

「あぁ、もう!こうなったら先に敷波を!」

 

「ちょ!あぶな!」

 

 んで、もう一人が初風さんね。この人も前は窃盗、万引き、暴力沙汰以下略…。そんな感じの人ですはい……。まぁ、こうして藤波達と普通にお話とかしてくれるからいいけど。言い方が少しきついことがあるけど、でも基本的に優しくて。こないだだって、色々教えてくれたしね!一言余計なことも言ってたような気がするけど…。でも、そのあと普通に謝ってくれてたし。

 

「ふふふ、これで漁夫の利だね!」

 

『ああああああああ!』

 

 あ、決着がついたみたい。初雪さん強いな…。さすが自称ゲーマーなだけある。……ん、あれ?敷波さんと初風さんが少し怒っているように見えるな…。

 

『こんの卑怯者おおおおおおおおおおおおお(# ゚Д゚)せめてどっちかの決着がついてからにしなさいよおおおおおおおおお』

 

「何を言っているのさ。これが勝負の世界というものだよ」

 

『ぐぬぬぬぬ』

 

「…………あぁそうだ。藤波、浜波…よかったら一緒にやらない?バトルロワイヤルじゃなくて、チーム戦でケリを付けよう」

 

『ぴくっ』

 

「い…い…いや…浜波は…ゲームは…苦手で…」

 

「藤波はいいよ!ちょうど暇だったし」

 

「よし…どうする二人とも?」

 

「よし乗った!」

 

「じゃあ、チームは初雪と藤波。私と敷波でいいわね」

 

「負けた方がアイスを奢るで…」

 

「おっけー」

 

 おぉ、アイスを奢るのか…。これは負けてられない!頑張ろう!…………でも、何だろう…さっきから違和感があるんだよね…。誰かに見られているような、そんな感じ。でも、藤波達以外に人はいないし…初雪さん達も気にしていないみたいだし…。

 

「…ん、どうしたの藤波?」

 

「あの、初雪さん。なんか視線を感じませんか?」

 

「……大丈夫、いつものことだから…」

 

「え…でも…」

 

 それでも不安なんだけど…。なんでこの三人普通でいられるの…。藤波達ここに着任したばかりだからわからないけど…。え、何?これが普通なの?

 

「ほら、藤波…キャラ早く選んで…始まらないよ…」

 

「あ、ごめんなさい敷波さん」

 

 仕方ない…今はゲームに集中するか…。頑張って、アイスを奢ってもらおう…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ま…負けた~~~…」

 

「初雪~…覚えてろよ…」

 

 結果は初雪さんと藤波の圧勝で終わった。てか初雪さん強すぎだよ…。なんなのさこの強さ。この強さを戦いの方にもってってくれないかな…まぁいいか。これで藤波達にアイスが…

 

 

 

 

 

 

 

 カシャ

 

 

 

 

 

 

 

「⁉」

 

 ……え?今カメラの音しなかった?あれ…え⁉

 

「……あぁ、そうだ。藤波、初春にもっていってほしいものがあるんだ。ちょっと行ってきて」

 

「え…あぁ、はい…」

 

「浜波もね…扇子借りてたんだ。多分部屋にいると思うから」

 

「は…はい」

 

 藤波達は初雪さんに頼まれて扇子を初春さんに届けに行くことにした。初春さん、すごく古風な喋り方をするんだよな…自分のことわらわっていうほどだもんな…。藤波達のこと気にしてくれてたから別にいいけどさ…

 

 

 

 

 

(ふっふ~ん。なかなかいい写真が取れましたね~。さてさて、どうやって驚かせてあげましょうかね!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おぉ、すまんの届けてくれて!初雪め、やっと返してくれたか…」

 

 この人は、初春さん。ここでは常識人枠。何もやらかしていない普通の人。初春さんは、藤波達を見た後に周囲を見渡す。誰か探しているのかな?

 

「二人ともよく聞け。周囲に誰かいると思っても、見つからん時は見つからん。急に目の前から現れることがあるから気を付けるんじゃぞ」

 

「(・・?)…えっ?どういう意味ですか?」

 

「今にわかる。では、気を付けての」

 

 そう言って、初春さんはドアを閉めた。どういう意味だろう。見つからないときは見つからなくて、急に目の前に現れるって。

 

「まぁいいや。浜ちん、行こう!」

 

「う…うん」

 

 さてと、次はどうしようかな。食堂にでも行ってゆっくり過ごすかな。うん、そうしよう。……でも、なんかさっきから視線が気になるんだよな…本当に誰かに見られているような。それに……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カシャ

 

 

 

 

 

 

 

 っ⁉まただ、またカメラの音。小さい音だけど、確かに聞こえた。どこから!いったいどこから聞こえてきてるの。遠くの方を見ても、誰もいない。浜ちんは…気づいていない。…やっぱり気のせい?いや、でも…

 

「おやおやおや、どうかされました?挙動不審ですよ?」

 

『ひっ⁉』

 

 藤波も浜ちんもびっくりして周囲を見る。でも、やっぱり誰もいなかった。間違いなく声をかけられたはずなのに…なんで…

 

「こっちです!」

 

『うわあああああああああああああああああああああああああああああああΣ(゚Д゚;≡;゚д゚)』

 

 急に目の前に現れたのは、S級艦娘の一人であり、日本の艦娘でも屈指の狂人って言われている青葉さん。藤波は、この人のことが本当にわからない。わからないし、不気味で…怖い。時々、すごく虚ろな目をすることがあるし…それに、いろんな噂が絶えない。人を何度も殺したことがあるとか、本当は死刑判決を受けていたとか。ど、どうしよう。え?藤波達何をされるの?

 

「そう警戒せずに。少し青葉とお話ししましょう!二人ともこちらへ!」

 

「え、あの⁉」

 

「ちょ…ちょ…あの⁉」

 

「はいはいはい!拒否権はありません!ほらほらほら!」

 

 結局、強引に連れていかれてしまった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「適当に座ってください。お茶でも出しますか?」

 

「え、えぇ。お構いなく…」

 

 二人部屋で、机が二つ。もう一つのベッドには多分衣笠さんが寝ているのかな。それから、机周りとかには写真が多く飾ってあった。古鷹さん達が映ってる写真と、ここの鎮守府の人達が映っている写真が多い。でも、何だろう。違和感が…。あ…青葉さんが映っていない。カメラもって、鎮守府内回っていることが多いのに…。

 

「どうぞ」

 

「あ、どうも」

 

 そんなこんなで考えていると、青葉さんがお茶を持ってきた。これから何をされるんだろう…。

 

「さっきも言ったじゃないですか。警戒しないでください。ちょっとインタビューでもと思って」

 

「は、はぁ。インタビュー?」

 

「えぇ。ここに着任してきて、どんな感じですか!印象は?」

 

「え…えーと…た、楽しい…」

 

「嘘ですね…」

 

 青葉さんの言ったことに、藤波は少し驚いちゃった。何を言ってるのこの人。確かに、どうしてここに着任しちゃったのかなって思ったけど…。

 

「二人からは恐怖しか感じません。ここにいる人達のことについていろいろ思うこともあるでしょう。ただ、そうですね。あなた方は怯えています。主に私を見たときにですけどね…。ただ、一つ言っておきます。この鎮守府ではね。本当に恐ろしい存在がいますよ。一番やばいのは私じゃない。違う人ですよ。それにです…私は可愛い方ですよ。自分でいうのもなんですけど…。やばいのは…もっとやばいのは狂種達です。その中でも、破滅(パグローム)追跡者(トラッカー)が一番やばい。あの二人は、本物の狂人ですよ」

 

「え…え?」

 

「……それから、もうすぐ鬼怒も帰ってきてしまいます…。帰ってきたらもっとやばいことになってしまいますよ。鬼怒は、戦闘狂ですからね」

 

 え…青葉さんでましな方なの…。ど…どういうこと。この鎮守府で一番やばい奴って…誰なの一体。それに、鬼怒って…え。刑務所に入っているあの⁉

 

「……あぁ、すみません。さて!続きを話しましょう!して、ここの印象は!改めて!」

 

 あぁ、結局そうなるのね…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとうございました!お二人とも、戻っていいですよ!」

 

 あぁ、疲れた。結局一時間以上も話しちゃった。あぁ、疲れた。浜ちんもすごい疲れてる。部屋に戻って休もうかな…。あぁ、どうしようかな。あ、浜ちんが何か気になっているのか、棚に近づいて行っているな。あれは…カメラ?しかもおもちゃのかな?

 

「あ…あ…あの、青葉さん……こ…これって何?」

 

「それに触るな!!」

 

 浜ちんがカメラに触ろうとしたときに、青葉さんが叫ぶ。その声に、浜ちんも藤波もびっくりしちゃった。よほど大事なものなのかな。

 

「……すみません。それには触らないでください…大事なものなんです」

 

 なんだろう。一瞬青葉さんが悲しそうな顔をした。いったい過去に何が起こったんだろう。藤波達は、青葉さんに謝りつつ部屋を出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結局、何もすることがないから藤波達は執務室に向かうことにした。部屋にいても何もないし。それで、今執務室に向かっているところなんだけど…。

 

「いやああああああああああああああああああああああああああああああああΣ(゚Д゚;≡;゚д゚)それどういうことですかああああああああああああああああああああああ!!」

 

「絶対ダメですううううううううううううううううう!そんなことになったらこの鎮守府がめちゃくちゃになってしまいますよおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

 

 いったい何が起こったんだろう…。というか、まだ阿武隈さん達いたんだ…。なんで騒いでるの…。とりあえず、中に入ってみよう。

 

「司令、失礼するよ!いったいどうしたの?」

 

「あぁ、藤波…実は問題が…」

 

「藤波ちゃあああああああああああああああああああああああああああああああん!鬼怒ちゃんここに戻ってきたらだめだよね!絶対ダメだよね!」

 

「お願いだからダメって言ってええええええええええええええええ!鎮守府が半壊しちゃうよおおおおおおおおおおお!」

 

 えぇ…藤波に言われても困るよ……浜ちんもよくわかっていないんだよ…。古鷹さんは…うん…同じく困ってるね…青葉さんも、鬼怒さんが戻ってくるって話してたけどどんな人なんだろう。

 

「あの、古鷹さん。鬼怒さんってどんな人なんですか?」

 

「…喧嘩好きで、戦闘狂…」

 

「えぇ…」

 

 そ…それだけ…。あ、電話が鳴ってる。誰からだろう?司令が電話をとって内容を確認してるけど…。あれ、どんどん青ざめていってない?電話の方から叫び声が聞こえてきてるし…え?どういうこと?あ、司令が電話を叩きつけるように切った。

 

「古鷹あああああああああああああ!すぐに青葉を呼ぶっす!それから、戦闘員をなるべく集めるっす!」

 

「え⁉あ、はい!なんで⁉」

 

「鬼怒が艤装を展開して、海上に行ったって刑務所から連絡が!近いところにあるから、きっとすぐにでも」

 

 そう話してたら、後ろの窓の方が急に暗くなった。なんだろう。人の形してないかな。司令が振り返ったときに、窓が粉々になった。そしたら、艦娘だよね…。薄い赤色の髪に、阿武隈さんと同じような服装を着てる。黒っぽいセーラー服に、手袋に…手には…………か…刀Σ(゚Д゚;≡;゚д゚)二本持ってるよこの人!え!誰⁉

 

「き…き…鬼怒ちゃんΣ(゚Д゚;≡;゚д゚)」

 

「…おお、阿武隈。名取もいるじゃん!久しぶりだな!」

 

『あわわわわわわ(;゚Д゚)』

 

「おいおいおい…そんなビビるなよ…久しぶりに喧嘩でもするか?あん?」

 

「鬼怒ちゃん!戻って来て早々、問題を起こさないで!」

 

「んだよ古鷹ぁ。別にいいだろ。向こうにいても退屈で仕方なかったんだよ…囚人どもは弱すぎるしよ…。だから、誰でもいいから私の相手しろよ!」

 

「青葉あああああああああああああああ!早く来るっすううううううううううううううううう!それから、加古おおおおおおおおおおおおおお!」

 

 司令が叫んだとたん、扉が勢いよく開いた。そこには、加古さんを担いだ青葉さんが立っていた。加古さん眠そうなんだけど…大丈夫なの…。

 

「青葉~…提督~。あたしいるか?」

 

「念ですよ念…加古はもしもの時のために近くにいてください…」

 

「はいよ~…」

 

「さ~てと、鬼怒、久しぶりですね。あなたが向こうにいて退屈だったのは重々承知してますよ…だから、表出ましょうか?」

 

「は!いいね!久しぶりにやりあうか!」

 

 そう言って、青葉さんは鬼怒さんと窓の外へ行っちゃった。加古さんも窓の方から出ていった。それで、阿武隈さんと名取さんは震えているし…古鷹さんは頭を抱えている。司令もなんか考えこんじゃってるし…。ていうことはあれか…ただでさえあれなのに、もっとやばい鎮守府になっちゃったわけだ…。

 

 …あ、外の方では轟音が聞こえている。かなりの衝撃なのかな?地面が揺れているような変な感じがする。S級の7位と8位だもんね…それはすごいわ……………

 

 

 

 

 

 

 

 はぁ、こんなので藤波達大丈夫かな?……少し心配になってきちゃった。…………………………と…まぁ、これがここの様子だよ。……ん?佐世保の時より内容が薄いような気がするって?そう言われてもさ…青葉さん達の喧嘩でそれどころじゃないらしいから……もしも次話す機会があったら、近況報告でもするね…。それじゃあ、藤波の話はこの辺で、ではでは…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……はぁ、やれやれ、ひどい目にあいました…」

 

 青葉は、鬼怒と3時間ほど喧嘩をした後に、自室に戻る。部屋には衣笠がおりパソコンで何やら動画を見ているようだった。最近流行りの遊びの動画でも見ているのだろうか。

 

「あ、青葉!お疲れ様!」

 

「はいお疲れ様です。衣笠、また遊びの動画ですか?」

 

「うん、そうだよ!参考にしようと思って!あといろんな都市伝説とかも調べてるんだ!」

 

「何が楽しいのやら…ほどほどにしてくださいよ」

 

「はぁ~い」

 

 うん、えらいえらい。と青葉は思った。そして、自分もパソコンを開き何やら記事を書く。藤波達の話を書くつもりなのだろう。青葉の趣味は新聞づくりと写真だ。撮った写真もパソコンに入れつつ何を書こうか考える。そして、ふと浜波が気にしていたおもちゃのカメラの方に視線を移した。そして、それに近づいていきゆっくりと手に持った。

 

「もう1()0()()になるんですか…」

 

 青葉はそんなことをつぶやきつつカメラを置き、机に戻って再び記事の内容を考える。そして、ふと写真用のカメラに視線を向けると、レンズがこちらに向いているようだった。その時、青葉の心臓が脈打つのを感じた。冷や汗もかき息も荒くなっていく。

 

『お、いいねぇ…〇〇ちゃん!これなら……』

 

『ほら…さっさと【……】を使って働け』

 

『いいよいいよ!これだったら……』

 

 うるさい…

 

『ほらほら、さっさと…』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ⁉」

 

 青葉は慌ててレンズを反対側に向ける。レンズがこちらを向いていたことで嫌なことを思い出してしまった。だいぶ前のことなのに、今でも思い出してしまうのだ。

 

「…青葉、大丈夫?」

 

「え、あぁ、はい!青葉は大丈夫ですよ!まぁ、鬼怒と喧嘩で少し疲れているのかもしれません。30分ほど仮眠をとりますね!」

 

 そう言って、青葉は布団に入り仮眠をとることにした。疲れているときはこうするのに限る。夕食時まで時間があったため、衣笠も青葉を寝かすことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 皆様、岩川鎮守府の日常はいかがでしたか?青葉の過去に何が起きたのかなどは、またいずれお話しするとします…。では今度こそさようなら!

 

 

 

 

 

次回は、雷達のいる舞鶴鎮守府の日常をお送りします!

 

 




榊原「本当に、どうしてこうなってしまったのか…」
古鷹「大変なことになってしまいましたね…」
雷「そんなんじゃだめよ!何があっても元気に行かないと!」
『うわ(;゚Д゚)びっくりした~!』
雷「ふふん!この雷の出番ね!も~っと私に頼っていいのよ!!ということで次回予告ね!」





 舞鶴鎮守府は、軽巡と駆逐艦を主として戦っていた鎮守府だ。最近は念願の軽空母達を迎え、航空戦もかなり楽になってきたらしい。さらに、S級の矢矧、雷を筆頭に優秀な人材が多い。そんな中で、奮闘する雷が、炊事、家事、戦闘まですべてこなしていく日々を送っていた。

次回:番外編 Side舞鶴鎮守府:雷のもっと頼って大作戦!!!
雷「次回もご期待ください!」

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。