旅をしている。
彼女、ネプテューヌはそう自分を紹介するが、どうにも旅をしてるよう僕には見えない…。
どこからか逃げているようにさえ思える。
そんなネプテューヌを僕は助けたい…。
しかし、不思議に包まれた彼女の心も次第に蝕まれ、歯車が狂い出す。
ネプテューヌの人を魅了するかのようなその瞳は、僕を見ているのか…はたまたその先か。
その瞳に魅了され、僕も僕ではいられなくなって…。

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次の内容には、大人ネプテューヌのキャラ設定の独自解釈(ヤンデレ)などが含まれます。


君の瞳に犯されて。

彼女の名前はネプテューヌ。

旅をしている。

 

そう、彼女は言っていた。

しかし、ネプテューヌは僕から見れば旅をしているようには見えなかった。

誰かから逃げている、そういう風に僕には見えて仕方がなかった。

しかし、僕はそのことをネプテューヌに聞くことは出来なかった。

何故ならネプテューヌは、僕には誰かから逃げているように見えても、本人は旅を楽しんでいるように見せようとしているように見えたからだ。

ネプテューヌの"旅"を邪魔する訳にはいかない。

でも、僕はネプテューヌからしたら厚かましいかもしれないが、それでもどうにかネプテューヌを助けたい。

ずっと、そう思っていた。

ネプテューヌは出かけると、いつもどこかキョロキョロとして周りを伺う。

僕はネプテューヌがキョロキョロとしていることが、いつも気になって仕方がなかった。

何を気にしているのかと聞こうとすると、ネプテューヌに言葉を遮られるように「なにか美味しいものを食べに行こう」と、いつも言われる。

自分から食事に誘うのだから、少しくらい…あるいはたまにはお金を出してくれたってもいいのに…。

そう思う時もあるが、ネプテューヌとご飯を食べるというこの行為は僕にとってはデートのような気分で、ネプテューヌが沢山食べてくれる姿を見ると、僕といることを心地よく思ってくれているように思えて、嬉しくなる。

僕は単純だな…。

そう思いながら、ネプテューヌと食事を共にする。

ネプテューヌは、いつもご飯を食べ終わるとどこか悲しそうな顔をする。

僕は深くは聞かない。

どうせ、聞いても遮られたり、無視をされ「えっ?今なんか言った〜?ごめんねっ?聞こえてなかった!」などと、彼女に言われるから。

彼女がどんなことを言うか、ちょっと考えればわかる。

 

いつも思うが、本当に彼女に不思議な人だ。

突然僕の前に現れてからずっとこの調子で、全然彼女と関係を詰めれない。

彼女について知ってることは、名前、家…たった、そのくらいだ。

普段ネプテューヌはどんな話をしていても、自分のことについては全く言いたがらない。

なんなら、質問しようと全然答えてはくれない。

ただ、ネプテューヌの家の中では、この薄暗い部屋の中でだけでは、自分について語ろうとする。

自分のことを語るネプテューヌの顔は、とても悲しそうで、壊れてしまいそうとさえ思う。

そんなネプテューヌの顔は、僕の心を締め付ける。

ネプテューヌは度々、憤慨した様子で言う。

「私を殺して」と。

早く早く!と、ネプテューヌは僕を急かすが、そんなこと僕には出来ない。

死に急ぐネプテューヌは無理矢理僕の手を強く引っ張り、自分の首へと僕の手をかけようとする。

「できない!」

そう言ってもネプテューヌには届かず、ヘラヘラと笑って急かすように僕の手を強くて押す。

怖くなり、ネプテューヌの顔を見ていると、次第にネプテューヌの瞳から光が消えていく。

その瞳は僕を見ているのか、はたまた僕ではなく、僕の、その先を見ているのか…。

しかし、そんなネプテューヌの顔が、瞳が僕には魅力的に見え、魅了されてしまった僕の手の力が、勝手に強まってしまいネプテューヌの首を、強く強く掴んでしまう。

「ウッ…うぐ…ッ」

彼女からは、とても苦しそうな声がした。

 

…もう、何を言っても、彼女には僕の言葉は届かない。

 

僕が、首を絞める力を緩めようとしても、僕の身体は、手は、言うことを聞かずどんどんと力が強まってしまい、ネプテューヌの顔がスーッと青ざめていく。

飲み込まれるように綺麗なその瞳からは1粒の涙がこぼれ落ちる。

「…っ、ごめん…っ!ごめん…っ!!」

僕の口はそう言うが、首を絞めるその力は弱まることを知らない。

苦しそうな声を出すネプテューヌの声を聞いていると、どこかゾクゾクした。

ネプテューヌの首を締め続けしばらく経つと、温もりがあった彼女の首元からは、もう彼女の温もりを感じることは出来なくなってしまった。

 

…ネプテューヌは亡くなったのだ。

 

しかし、完全に死んでしまった訳では無い。

ネプテューヌは僕の中で生きている。

 

道を歩いていると、ネプテューヌの声が聞こえる。

幻聴か?空耳か、はたまた、妄想かもしれない。

それでも、ネプテューヌは僕の中にはいる。

ネプテューヌは、僕に話しかけてくる。

僕には聞こえる。

 

それだけで僕はいい。

そう思った。

 

たとえ、動く彼女の姿が見えなくても…。

 

 

 

 

 

 

あの薄暗い部屋にはネプテューヌとはとても言えなくなった彼女の姿が、まだあるから。




読んでいただき、ありがとうございました。
どうも、筆者のねむ子です。
今回のショートショート、大ネプ構文はどうでしたでしょうか?
以前Twitterに載せたものをハーメルンに載せるにあたって読みやすくしたものになります。
多少文が増えたりしたとはいえ、ショートショートですので比較的に読みやすいかとは思います。
これからもヤンデレチックな大人ネプテューヌを書いていきますのでよろしくお願いします。
また、Twitterなどに感想を下さるとやる気に直結いたしますので応援のほどよろしくお願いします。


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