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唐突で悪いが、俺はどうやら転生したらしい。いつ死んだのかは明確には覚えていないが、気がついたら俺は見知らぬ女性の腕に抱かれていた。何を言っているのかわからないと思う。俺もわからない。
正直何が何だかわからないが、面倒くさいので深く考えないようにしながら第二の人生を歩むこと16年。特別なイベントも特になく、少女漫画のような運命的な出会いもなく、さらには友人と呼べるものは2人くらいしかおらず、彼女もいない人生だった。いや、それは別にいい。うん……悲しくねぇし……
……話を変えるか。学業においては、小中高と、俺は前世と思わしき記憶を必死に絞り出して、あとは慢心しすぎないように日頃から予習復習を習慣にしていた甲斐あつて、何とかそこそこな成績を維持している。具体的にいうと、学年で大体9位になってる。因みに、上から数えてだ。
今世において、俺は参京院教育学園とかいう名前の小中高一貫校に通ってる。すげえな小中高一貫て。この学校は家が近所だから入れさせられたが……普通にレベル高えなおい。授業もそうだが生徒がやばすぎる。何せ全員が文武両道なんだからな……俺だけだぞ? 文武両道じゃない奴は。
そしてこの学校の生徒は殆ど全員が部活動に参加しており、その中での大半のやつが運動部に入っており、10年に1人の天才……とまではあまりいないが、1年に1人の天才クラスが大半だ。一方の文化部についてだが、こちらも天才秀才逸材と、とんでもない奴らばっかりだ。俺? 当然帰宅部だ。
……そして今日のことだ。俺はいつものようにHRを終えた後は鞄を背負い、廊下を走らないように気をつけながら早歩きをし、真っ直ぐ帰宅する。家についてからは私服に着替え、翌日の準備を済ませてから財布と肩掛けの黒い鞄を背負って、お気に入りの黒い帽子を被ってから家を出てゲーセンに向かった。その途中……唐突に景色が歪んだ。
あまりに意味不明な空間に、俺はSAN値を持っていかれた気がするが、そんなことを気にするままなく俺はその場を離れた。何故かというと、凄く嫌な予感がしたからだ。正直うまく伝えられないが、ともかくあの場にいてはやばいと判断したからだ。
その時興味本位で後ろをチラッと見てみたが、そこには夥しい数の形容し難き何かがいた。いや、そこまで神話的ホラーを感じるような存在ではなかったが、ともかくすごく恐怖を感じた。……集合体恐怖症にでもなりそうだ……
走ること数分、あたりの景色はどこまで行っても変わらず、体力もそろそろつきかけてきた頃に、一休みしようと思ってその場に腰を下ろした。幸い周囲には先程の奴らの姿が見当たらなかった。
一体何だったんだと思いながら、俺は自分のスマホを取り出して、友人たちに連絡を取ろうと思っていたが……どうやら圏外のようだ。……圏外のようだ。
いや、落ち着け、落ち着くんだ俺。そうだよ、あいつらも言ってたじゃないか、神浜市は魔境だと、携帯電話が唐突に使えなくなるなど日常茶飯事だと。……普通に嫌だなそんな街。
……ひとまず考えても仕方ないから先に進むことにした。戻ったところでさっきの奴らが居るだろうから。腕時計を見てみると、家を出てからもう30分も経っていた。
この謎の空間を進んでいくが、やはり辺りの景色はまるで変わる様子がなく、どこまで歩けばいいんだろうと、俗に言うハイライトオフの状態になりながら先へ進んでいた。
その時のことだ、急に開けた場所にでたので、俺はついにゴールか!? と柄にもなく喜んでみたが、そんな気持ちも次の瞬間には賢者タイムに入ったような○貞のような心境になっていた。いや、なったことないからよくわからんし、使い方が合ってるかもわからんが。
──そこにいたのは、一見すると可愛らしいうさぎのお人形に見えなくもないが、全身から不気味な雰囲気を漂わせている、2本の足で立っている化け物がいた。
前世と今世に合わせた30年間における経験が俺に叫んでいる。この場から早く逃げなければ死んでしまうと。いや、別にこのような非日常に慣れているつもりはないが……
化け物が俺を目視すると同時に、俺はソイツに背を向けて逃走しようとする……が、背後には無数の形容し難き何か……あっ、終わった。
内心諦めながら、最後の希望としてこの化け物が実は安全な存在であることに賭けて振り向くと……両耳を口のようにして俺を食おうとしてきた。
Q.強…………! 速……避……無理‼︎受け止める……無事で⁉︎出来る⁉︎
A.否、死。
一瞬謎の電波を受け取った気がするが、現実は変わらない。このままだと俺は為す術無く第二の生で若くしてお亡くなりになるだろう。
あっこれ死んだなーと諦めつつ、せめてもの足掻きで後ろに跳躍して回避しようとしたが、唐突に右腕に激痛が走り、その場から動くことができなくなった。
そんな状態なので、俺は化け物の口を避けることができなくなった。しかし、化け物の口……耳? は俺まで届くことはなかった。化け物が俺を生かそうとしたわけでは無く、この場に現れた第三者によって妨害されたからである。
「よっと! 間に合った!」
「ふぅ、怪我はないみたいだね。立てる?」
「2人とも、まずは魔女を倒すわよ」
その第三者というのは1人だけで無く、他にも後2名いるようで、いずれもアイドルのような格好をしている少女だった。色はそれぞれ赤黄青と、信号機を彷彿とさせような組み合わせである。
ただこの服装を見ていて思ったのが……痛いなあ……と。いや、赤色のはまだいい。いかにもな少女だし、アイツが見ていたら狂喜乱舞しそうだ。問題は黄色と青だ。
この2人は……うん。なんだろう、どちらもそこそこ背が高いし、どことなく大人びた雰囲気が出ているので、見たところ高校生くらいだとは思うが……それがこんな格好している時点でだいぶ痛い。
などとくだらないことを考えていたら、この3人の少女は銃刀法なんか知ったこっちゃねぇぜヒャッハーと言わんばかりに危険物を振り回して化け物を蹂躙していく。形容し難き何かに至ってはもう既に全滅しているという……あ、化け物死んだ。
その瞬間、あたり一面の空間が崩れて、俺がよく通る道の景色へと戻っていた。この光景に、俺はホッと一息ついた。助かって本当によかった……
……ところで、だ。冒頭で俺のボッチっぷりはもう既に語ったと思うが、何故そんなことになっているかを伝えるとだな……実は俺コミュ障なんだ。コミュ障なんだ。
そしてこの少女たちは先程の変な格好をいつのまにか解除したかと思うと、こちらを見てきた……ので俺は全速力でその場を離れた。その際、感謝の言葉は述べていない。
いや、あの、ちゃうんすよ……俺だって本当は感謝の念を伝えたいし、あの非現実的な空間についても小一時間ほど問い詰めたい所存ではあったが、それ以上にすごく嫌な予感がしたんすよ……具体的にいうならノベルゲームで言うバッドエンドルートに入る気がしたんすよ。
相手方は戸惑ったような、やや怒ったような雰囲気を感じなくはなかったが……うん、どうせもう会わないだろうからどうだっていいか。まさかあんな痛い格好した人とまた出会うなんてことないよな。そんなことあったら俺は三回転ジャンピング土下座をしてやるさ。
──……チジョウ……一条……
っ! 何処かからか謎の声……いや、なんか聞き覚えのある声を聞いて俺はその場に留まり、周囲の様子を伺う。先程の3人組は近くにおらず、というか人がいる要素はない。足音の一つだってしない。
次にスマホを起動したところ、どうやら電話が鳴っているというわけでもないようだ……一体どこから……
──ファミチキください。
「っ! コイツ直接脳内に!」
──おい、いつまでふざけてやがる。
──あーっと、ごめんごめん。とりあえずいつもの場所集合で! んじゃね〜
聞き覚えのある声……俺の数少ない友人の2人がの声が、俺の脳内に直接届いた。一体何が起こっているのかはわからないが、この2人のことだ……どうせロクでもないことだろうと思いつつ、ため息を吐いた。
「あれ? さっき人逃げた⁉︎」
「さっきまで危険な状況にいたから、まだパニックになっているのかもね」
「……さっきのってもしかして……」
「心当たりあるの?」
「確証はないけど、1人思い当たる人物がいるわ。……明日少し様子を見ることにするわ」
●主人公
前世の記憶を持った、いわゆる転生者。参京院教育学園において最速の帰宅速度を誇ることから、帰宅部ガチ勢、帰宅部エースなどと呼ばれていたりもする。本人曰くコミュ障。名前は次話で解禁。
●謎の声
ファミチキください。
●3人組
一体どこのアザレアなんでしょうかねぇ。全然絡みがない上に助けた相手からは逃げられる。挙句痛い人達認定されている。
一条君たちの設定いる?
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いる
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いらない
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そんなことよりおうどんたべたい(いる)