Mercenary Imperial Japan   作:丸亀導師

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第二次米墨戦争

『現在の世界の国境線が確定されたのは1944年12月の事だ。それまで、世界中で大規模な戦争。第二次世界大戦が行われ、米ソ仏の三国同盟。つまりは、拡大主義勢力と確定主義勢力の間で行われた戦争だ。』

 

世界地図

 

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ヨーロッパ

 

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戦争、今は昔の出来事。だけど私達は学ばなければならない、愚か者ではない事を証明するために。

 

『この戦争の発端が何であったのか、それは学者によって様々な論文が執筆されており、一概に何とは言えない。

ただ、言える事とすればその全てがこの戦争の引き金であったと言えるだろう。』

 

帝国主義、革命主義、民主主義、自由主義etc…様々な物がエゴイズムと言う形でぶつかりあった時代、何が正しく何が間違っていたのか、それは各々の感性で答えを導くしかない。

互いに言い争い、感性を高めていく。それが歴史思想学と言う学問だ。

 

そこまで話してチャイムが鳴る。

 

『今週はここまでにしよう、今回の宿題のテーマはそうだな。【世界大戦の原因とその先の未来へ。】だな。各々臨機応変にことに当たるように、以上!なんてな、良いか提出忘れるなよ、最低でも題名だけでも良いから提出しろ、卒業できなくなるからな。』

 

高校中退なんてまっぴら御免だ、就職先がなくなってしまう。なんて、考えながら宿題するのも良いけど。『ただいま~』お茶を飲みながらでも良いよね。

郊外にある、少し立派な家そこに辿り着いた私はウキウキしながら戸を開く。

 

『ああ、帰ったのか。どうだ?珈琲を飲んでみないか?』

 

『あんな苦いものは嫌よ、それよりもルフナティーが飲みたいな。』

 

私がそう言うと、白髪混じりの顎髭を触って了承してくれた。いい香りが鼻孔をくすぐり、それにため息が溢れる。

 

『おまたせ、どうだい味は。』

 

『美味しいよヂェードゥシィカ、今日は少し濃いめなのね。』

 

胡桃のビスケットを口にしながら二人でのんびり、くつろぐ。

 

『ウラジオストクでの暮らしは慣れたかな?向こうとは大夫違うだろ?』

 

『うん、こんなにも温かいなんて思いもしなかった。もう一枚脱いでも良いくらい。』

 

風邪を引くからやめなさいと咎められた。

 

『お勉強はどうかね?わからない事とか、協力してほしい事があれば直ぐに「おじいちゃん」に任せなさい。』

 

『ウ~ンそれじゃあ、図書館とかに無い資料とかって無いかな、詳しく調べたいことがあるんだけど何処にもないの。』

 

使えるものは使う、それが子供の特権だ!

 

 

 

 

 

 

 

1933年1月

メキシコが悲鳴を上げている。

国境線の町が燃えている。兆候があったのはあまりにも近く、メキシコ軍は戦力を集中させる間もなく、米軍の侵攻を許した。

一気にメキシコ全土を飲み込んでしまおうと言う勢いのもと前進を開始すると、次第にメキシコ軍の応戦が始まる。

 

その頃、私は本国で将棋をやっていたが急遽本国にいた将官全員が招集された。

 

『いったい何があったんですか?』

 

招集された面々は一様に重大な事が起きた事を確信しながらも、確認をいち早く行おうとした。

会議室にいる中佐が言う。

 

「合衆国がメキシコに対して宣戦同時攻撃を行いました。現在情報が錯綜しておりますが、確実な事は民間施設への攻撃が行われているとの事です。」

 

ザワザワとしているが全員が対応を考える。

 

『内閣から派兵要請は出ているのか?それによっては、軍を即座に動かす必要が出てくる。』

 

「内閣からは、軍部が戦闘可能であれば即座に宣戦布告の用意有り、ただし一週間の猶予を与えるべし。との事です。」

 

一週間、それはおそらくは我々の準備期間。いかに我々であろうとも、侵攻する場合は一定の猶予が必要だ。攻撃はそれほどのリスクがあり、防御のように脊髄反射で攻撃することができない。

 

『亀梨中将に北アメリカへの出向を命ず、明日航空機にて北米軍司令部との合流に向かうべし、作戦は明朝渡す準備にかかれ。

他の者たちは作戦立案にかかれ、一昼夜後に亀梨中将へと渡される。総員、開始せよ。』

 

この日徹夜が決まった。

 

『国連軍が編成されるのは最短でも一月かかる、その間にメキシコが降伏する可能性がある以上、早急かつ確実な方法を取らなければならないが、諸将の意見を聞きたい。』

 

最初に発言したのは海軍さんだ。

 

彼等が言うには、空母航空隊による占領地奪還。つまりは、強襲揚陸作戦であろう、だが強襲揚陸するには現在北米大陸に存在しているほぼ全ての揚陸艇をかき集める必要があるため、二週間の準備期間が必要だという話だ。

 

勿論そんな余裕は無いわけだが、その余裕を作り出すのが我々陸軍の役目であろう。

 

『新鋭戦闘機と爆撃機、練度は大丈夫なのか?』

 

『発艦から戦闘までは申し分無い、しかし着艦は若干の心配が残る。特に鳳翔の方でな。』

 

なんとも不安の残る言葉だが、信ずる他あるまい。

 

では、陸軍の作戦計画はなんだと聞かれれば、我々の作戦は極めて単純だ。要するに、自らの領地から米本土へと侵攻を開始すること。これをする事により、米軍はメキシコへの戦力を我々の方へ向けなければならず、寧ろ我々と戦わなければメキシコで完全に包囲されてしまうのだ。

 

平手押しで決定であろう、後は現地の師団長や連隊長の腕の見せ所だろうか?ともかく、目標はメキシコ国境からの米軍の撤退である、停戦は政府がなんとかしてくれるだろう。

 

 

更に南米駐留軍から即応師団がメキシコへと、数日後に到着するのだと言うから、そこで遅滞戦闘に邁進してもらう他あるまい。

 

方針が決まれば、次はどこにどれほどの戦力を集中するのかと言う議論が始まるが、それは割愛させていただく。非常に大量の組み合わせで、私自身覚えていないのだ。もっとも、公文書館に行けば見られるだろうが、そこまでしたくはない。

ただ一言言えば、この短時間で良くもここまで集められたものだと、そう関心した事を覚えている。

 

(北米大陸・各国境守備隊に1万を残し、

中央部進撃6万内戦車隊3連隊

中南部進撃10万内戦車隊1師団

南部進撃16万内戦車隊3師団

 

南米駐留軍8万内装甲車1師団

 

テピク奪還部隊

龍驤型空母×2

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鳳翔型×2

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高雄型重巡洋艦×2

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改古鷹型×4

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改夕張型×6

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朝霧型駆逐艦×12

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揚陸部隊6万)

 

『これだけの戦力を出すのだ、持久戦は考えられない。最大でも三月で終わらせようぞ。』

 

我々としては出来得る限りの戦力を投入してメキシコを支援した、この当時北米大陸に存在していた全戦力の半数をこれに差し向けた事になる。

我々にとっても負けられない戦いが始まった訳だ、因みに結果として言えば、我々の勝利である。

 

 

 

 

さて、ここからはこの戦争が起こった経緯を話していこうと思う。

事の発端は1929年アメリカウォール街から始まった、米国内の株価大暴落が始まりであったとされている。

株価の大暴落の発端は今尚謎であるが、一人の投資家が口火を切ったのは確かである。

 

アメリカの株式市場は当時から世界的なものではなく、内需型であったが為に諸外国への影響は最小限に留まっていた。しかしながら、小なりの影響があったとされており綿花製品の価格暴落がそれだと言われている。

 

当時アメリカのプランテーションの中心地である南部では、綿花の栽培が盛んに行われており、日英のトラクター等を使用した大量収穫が行われていた。

しかし、英国で化学繊維であるポリエステルが開発されると、工場によって季節に関わりなく作製されるそれに、次第に市場が縮小していった。

 

だが、それだけに留まらない。より価格が低く品質の良いものが、インドより登場すると遂に南部の経済が破綻寸前まで追いやられる。

それだけに留まらず、安く良質な工業製品が日本より輸入されるようになると、今度は工業地帯がどんどんと赤字となっていった。

 

日夜ホワイトハウスの前ではデモが行われて、参加者は暴徒化一歩寸前と言うところまで言っていた。

 

 

そして起こるは大統領の弾劾であった。経済の低迷を最早止められない、そう判断した両院は大統領を挿げ替え、より対応力の高いタカ派のものを選出した。

それがいけなかった、強行的に法案を可決するのは最初のうちは良かったのであろう。しかし、次第に行為はエスカレートして行き、彼は外部に敵を作り始めた。

 

自分たちが何故落ちぶれているのか、それを他国のせいにしそれを外側へ外側へ暴力を向けるようにしたのだ。

だが、日本や英国と戦えばただでは済まない、ならば一度勝った実績のある敵を叩けば良いと。そして始まったのが、メキシコとの戦争である。

 

 

 




歴史思想学なんてものはありません。

少し時間がかかりました、すいません。

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