翌日 昼休み
「アスナさん、昨日はありがとうございました」
「まったく世話のかかる先生なんだから。寝てるとこ起こされたし、コーヒーでもおごってもらおうかな?」
「は、はい!……あ、こんにちは。エヴァンジェリンさん、茶々丸さん……」
「ネギ先生、アスナさん。こんにちは」
「……フン、私はこんなぼーやに負けたのか」
「な、なによその態度! 負けたんだから先生の言うこと聞きなさいよ!」
「だからこうして学校に来てるだろ。ところでネギ先生、ひとつ言わせてもらう。昨日のLBCSの扱い方、褒められたものではないぞ。まさかあの土壇場でLBCSを解除するなんてな」
「それはあたしも思った。ホントに危なっかしいんだから!」
「そんなこと言われても、大技を撃つためにはしょうがなかったんですよ。僕は適合率54%しかないんですから…」
「なんだ、意外と高いじゃないか」
「え……?」
「男性のLBCS適合率はせいぜい10%程度だ。54%もあるなら、もしかしたら伸ばせるかもな。男だからといってLBCSが使えない訳ではない。おまえの父親はK・アーサーを完璧に使いこなしてたからな」
(そうか…あれはやっぱり父さんだったんだ……)
「でも奴は10年前に死んだ……私にかけた呪いも解かずにな」
「10年前? ちょっと待ってください! 僕、父さんに会ったんです!」
「……何だと?」
「6年前、僕の故郷が魔物に襲われた時、K・アーサーのLBCSで助けてくれたんです。このK・アーサーはその時父さんがくれた物なんです」
「そうだったんだ……」
「そんな……奴が……サウザンドマスターが生きてるだと?」
「実は僕も、あれが本当に父さんだったのか疑ってたんです。LBCSを使いこなせる男性なんてほとんどいませんから」
「フ……フハハハハ! そーか!奴が生きてたか! 殺しても死なんような奴だとは思ってたが!」
「なんか…うれしそうね」
「ええ。マスターのあんな顔は初めて見ました」
「父さんを探したいんですけど、このK・アーサー以外に手がかりが無いんです。CPUやメモリの中身も調べてもらったんですけど、記録は何もありませんでした……」
「京都だな」
「え?」
「京都に行ってみろ。どこかに奴が住んでた家があるはずだ。奴の死が嘘だというのなら、そこに何か手がかりがあるかもしれん」
「ネギ、修学旅行先は京都・奈良で決まりね」
「そうですね。自由行動の時間に探そうと思います」
「へー、京都行くんだー」
「あ、まき絵さん!」
「ねえねえ、このLBXもしかしてエヴァちゃんの? 昨日ぶつかった時に袋に入ってたんだけど」
「ああ、それか。私も昔LBXをやってたんだが、飽きた おまえにやる」
「いいの!? ありがとー! よーし、今度弟とバトルだー!」
「その前に練習でしょ? 慣れてないと難しいわよ」
「僕が教えてあげましょうか?」
「うん、おしえてー」
「……マスター、よかったのですか?」
「単純に私の興味だ。あいつがどう使いこなすのか見てみたくなったのさ」
「まき絵さんは適合率が高いですが、魔法使いではありません」
「そんなことわかってる! そうじゃなくてLBXプレイヤーとしてだな」
「エヴァちゃん、ほんとにもうやらないの?」
「もう一機持ってるんですよね?」
「飽きたと言っただろうが! このへんの奴らは弱いからつまらん!」
8話からほとんど原作通りに書いてきましたが、今回で一段落。
次回はオリジナルの話になります。