2054年
ブラックミゼルの討伐に成功し、今なおミゼレムの脅威から世界を守り続けている装甲娘たち。
レジェンドと呼ばれている川村アミ、花咲ラン、ジェシカ・カイオス、古城アスカの四人は現在、ミゼレムの討伐任務を終え、ダックシャトルの中で休息を取っていた。
「はぁー、今日も疲れたなー……」
「残存ミゼレムの完全消滅まであと少しよ。地方はどうしても人手が足りないから、私たちが頑張らないと」
「そうだよアスカ! 気合いで乗りきろうよ!」
「ランはいいよなー。体力あるから人一倍動けるし、オーバーセンスだってすんなり会得したし」
「すんなりじゃないもん! 結構苦労したんだからね!? アスカはもっと食べて、体力つけなきゃ! 昔はよく食べてたじゃん」
「俺はそのうちモデルの仕事があるから、脂肪増やす訳にはいかねーの」
「ラン、ちょっといい?」
「どしたのアミ?」
「ジオラマの中にミネルバ改を置きっぱなしにしたでしょ? 持ってきたわよ」
「ありがとー。当分遊んでないから、グリス差したりしてメンテナンスしてたんだ」
「あと、こんなのもあったんだけど」
「あっ! それもあたしの!」
「それ、確かユウヤが使ってた"ジャッジ"よね」
「アルテミスで暴走したやつか。なんでランが持ってんだ?」
「前にユウヤが来たときに置いてったんだ。「ラン君がLBCSを使いこなせるようになったから、僕の昔の体験談は役目を終えた。過去の自分、そしてジャッジとも決別する」って言ってさ」
「処分しないの? ユウヤはいらないって言ってたんでしょ?」
「う~ん…なんとなくだけど、これは処分しちゃいけない気がするんだ。"新しい持ち主を待ってる"って感じがして」
「なんだよそれ~」
「ユウヤかー。もう当分会ってないわね」
「バンやカズにも久々に会ってみたいよねー」
「ミゼレムの件が全部片付いたら慰安旅行しましょうよ。元シーカーのメンバーやアテナスのみんなも誘って」
「賛成!」
「バカンスかー。私はアロハロア島に行ったことないから、行ってみたいなー」
「そっか、アミはあの時日本で療養中だったよね」
「まあ、私たちもアルテミスや暗殺阻止で忙しかったから、バカンスを楽しめたわけじゃなかったんだけど」
「そうだったんだ。じゃあバカンス目的で行くのはみんな初めてってことね」
「おーし、バカンスに一日でも早く行けるように、ミゼレム退治頑張ろうぜ!」
ブーー!ブーー!
「うわっ! なんだ!?」
「アラートよ。メタモR、非常用回線を開いて!」
『了解だモ!』
「宇崎だ。おまえたち、大至急タイニーオービットまで来てくれるか?」
「拓也さん!? どうしたんですか?」
「所属不明のLBCSがタイニーオービットに侵入し、強化ダンボールの開発データを盗んだらしい」
「強化ダンボール……? 何のために?」
「はっきりとはわからんが、ミゼレムの仲間なら強化ダンボールのデータを悪用し、強固なバリアを作るかもしれん」
「そうなると討伐が面倒になりそうだね……」
「私たちが取り返します! そのLBCSってどんなやつですか?」
「イフリートだ」
「イフリート……コウヅキクレアのことかしら?」
「いや、コウヅキクレアとは別人らしい。奴の出す炎のせいでまだ誰も近づけてないんだ」
「そこで俺たちの出番ってわけか」
「ああ、奴はまだ社内にいる。逃げられる前におまえたちがイフリートと接触し、奴を拘束してくれ」
「「「「了解!」」」」
『目的地変更! タイニーオービットへ向かうモ!』
タイニーオービット
LBXの国内最大手メーカーであったが、ミゼレムの襲撃によりLBXの生産を停止。技術者はミゼレム対策として試作型LBCSの研究開発を進めていた。
現在、侵入者の放火により火災が発生。社員は避難を余儀なくされた。
「アスカ、まだいける?」
「なんとかな。さっきトマトジュース飲んで栄養補給したし」
「よーし、行くわよ!」
「「「「LBCSコネクト!」」」」
「LBCSなら、高温地帯でも問題ないわ。さっさとイフリートを見つけて捕まえるわよ」
「この辺めっちゃ焦げてんじゃん! 壁なんか高熱で熔けてるし!」
「イフリートの炎で強引に穴を開けたのね」
「無茶苦茶しやがって」
「これが強化ダンボールの開発データ……これで世界を変えられる……さて、次の目的地に飛ぶ準備をせねば」
「いたぞ、あいつだな!」
「イフリートの適合者がもう一人いるなんて聞いてないんだけど?」
「あんた何者!?」
「もう突入してきたか……私に近づくな。さもなくば、とんでもない目に遭うゾ」
「そうはいかないんだよな」
「強化ダンボールの開発データ、返してもらうわよ!」
「戦えば魔力を使う……もう飛ぶしかないな、仕方ない」
「あいつなんか光ってない?」
「必殺ファンクションか!? やらせるか!」
「来るな 来るな!」
「取り押さえるのよ!!」
「来るなぁーーー!!!」
「……おい」
「おい、起きろ!」
To be continued
ユウヤがジャッジを置いていった件はでっちあげです。公式設定ではございません。