麻帆良の小さな戦士たち【旧版】   作:ハクアルバ

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ep.24 清水寺と露天風呂

京都に着いてからアミに電話しようと思ったら、圏外で繋がらない……?

 

おかしいなー、今朝は電話できたのに……

 

「花咲さん、ながら歩きは危ないですよ?」

「あ、ネギ君、悪いけどあたしの友達探すの手伝ってくれる? 清水寺で待ち合わせなんだけど、連絡が取れなくて……」

「相手のバッテリー切れですかね……花咲さんの友達ってどんな人ですか?」

「いつもイヤーマフを着けた人だよ。川村アミっていうんだ」

「わかりました。境内は広いので、3-Aの皆さんにも協力してもらいましょう」

 

30人もいれば、誰か見つけてくれるよね?

 

 

「ここが噂の清水の舞台!」

「誰か飛び降りれっ!」

「おやめなさいっ!」

 

本堂からの見晴らしはいいんだけど、アミは見当たらないなー。

 

「この先は恋占いで女性に人気の地主神社があるです」

「恋占いですって!?」

「ホラ、ネギ君行こ行こー!」

 

参拝のついでにアミを探してほしかったんだけど、みんないつの間にか占いや運試しに夢中になってる。

 

真面目そうなネギ君はクラスのテンションに振り回されてるし……

 

でも、修学旅行の邪魔しちゃ悪いよね。

 

「あれがかの有名な"音羽の滝"です。三本の滝はそれぞれ学業、縁結び、健康にご利益があると言われてるです」

 

せっかくだからあたしもご利益頂戴しますか。

 

クラスの大半が縁結びの滝に集中してるけど、あたしはやっぱ健康かなー。格闘家は体が資本だからね。

 

 

 

「酒樽の設置、完了しました。これより帰還します。」

「あれ? あの人……もしかして……」

「のどか? 飲まないですか?」

 

 

 

「何これおいしー!」

「美味ですわ。なんでしょう、この未成年が飲んではいけないような味は」

「いくらでも飲めそう!」

 

縁結びの水っておいしいの? 健康の水はただの水って感じだったけど。

 

「いいんちょ、しっかりしなさいよっ!」

「はひー?」

 

……ん? みんななんで倒れてるの?

 

「こ、これはどうしたんですか!?」

「縁結びの水を飲んだ人だけが、酔いつぶれてしまったみたいです」

 

は? 酔いつぶれた!? お酒でも入ってたの!?

 

「皆さん起きてください! 他の先生にバレたら修学旅行中止の上、停学ですよ!」

 

「あ、あら? みんなどうかしたの?」

「しずな先生!? こ、これはその……」

「えーと、一部の生徒が疲れて寝てしまって……」

「バスに押し込みますから、旅館に向かいましょう! 花咲さんも手伝ってください!」

 

え、清水寺の参拝は終わり?

 

まだアミに会えてないんだけど!?

 

…………

 

………

 

……

 

 

結局アミと合流できないまま、旅館に着いた。こんなはずじゃなかったのに……

 

「花咲さん、少しお時間よろしいですか? 話したいことがあるです」

「うん、どうしたの?」

「音羽の滝でのお酒の混入事件について、のどかが不審者を見かけたそうです」

「イヤーマフを着けた女性が滝の近くにいたんです……花咲さんに言おうと思ったけど、すぐにいなくなってしまって……」

 

アミ、やっぱり清水寺にいたんだ。でも、いなくなったってどういうこと? 今朝電話で待ち合わせの約束したのに。

 

「誰かと電話してたんです……酒樽を設置したって言ってました」

「お酒を混入させたのは、あなたが探してるイヤーマフの人というわけですね。悪さをする人があなたのご友人なのですか」

「はあ!? アミはそんなことしないよ! あたしはアミの正義感の強さ知ってるんだから!」

 

「そもそもあなたは麻帆良の生徒ではないですよね? 私たちの修学旅行にいること自体不自然です。あなた、一体何者ですか? 私たちに何をする気ですか?」

 

この子、あたしを疑ってるの!?

 

「ユエー、そういうのやめようよー……イヤーマフの人はともかく、花咲さんが関わった証拠は無いよね?」

 

「……そうですね。花咲さんに尋問してもしょうがないです。部屋に戻りますよ」

「あっ、待ってよー……」

 

アミが悪さなんてするわけないのに。

 

……でも、音羽の滝にいたのならなんで合流してくれなかったんだろ?

 

相変わらずアミと連絡取れないし、これからどうしたらいいの?

 

 

「…………」

 

「なに? あんたまだいたの?」

「その……ユエのこと、嫌いにならないでください。修学旅行楽しみにしてたから、予定が狂って機嫌を損ねたみたいで……」

「別に夕映ちゃんのことは気にしてないよ」

 

あたしだって予定狂わされてるんだけどなー。別世界に飛ばされるし、友達とはぐれるし、合流するはずのアミはいないし……

 

「そういえば、花咲さんってどこの生徒ですか……?」

「神威大門装甲学園って知ってる? 自慢じゃないけど、そこの特待生なんだ」

「カムイダイモン……? 聞いたことないです……」

 

有名校の神威大門を知らない……別世界って、これまでの常識が通用しないってことか。LBCSも人前で使っちゃダメって言われたし、なんかややこしいなぁ。

 

 

「みんな酔い潰れてるから静かでござるな。このか殿、暇潰しにLBXで対戦するでござる」

「ええよー。でも分身はやめてな?」

 

 

「あたしたちも気晴らしにバトルしようよ。ここでも流行ってるんでしょ?」

「私は持ってないんです……自分のLBXは欲しいんですが、"これ"というのが見つからなくてー」

「ふーん、考えて決めるタイプなんだね」

「はい……」

 

 

「のどか、そろそろお風呂の時間です。ハルナたちはまだ動けないので、私たちだけで入るです」

 

もうそんな時間か。

 

「花咲さん、あなたも一緒に入るです」

「え? あたしも?」

「ネギ先生はお忙しいので、代わりに私があなたを監視するです。怪しい人物を放置すると、何をしでかすかわかりませんので」

「はぁ……あたしのこと疑っても無駄だからね?」

 

 

 

ここのお風呂は露天風呂だ。夜空の星を眺めながらのお風呂って、風情があっていいねえ。

 

あたしと夕映ちゃんは素っ裸になったけど、のどかだけタオルで体を隠してる。

 

「タオルなんて取っちゃえば?」

「そ、外で裸になるのって初めてで……覗かれたり、しないよねー……?」

 

「どうしたの?」

「のどかは恥ずかしがり屋なのです。特に男性が苦手みたいで」

 

男嫌いってこと? あたしだって男に裸を見られるのは嫌だけど。

 

「じーーっ」

「な、なに……?」

 

女同士でも、ジロジロ見られるのは恥ずかしいんだけど……

 

「ユエー、失礼だよー?」

 

「体は細身なのに筋肉がついてるです。花咲さん、格闘技を習ってますか?」

「うん、実家が空手の道場なんだ」

 

「格闘家とは予想外でした。ここで何かされたら、武術経験ゼロの私とのどかではひとたまりもないです。体力バカのアスナさんと一緒に入るべきでした」

 

夕映ちゃんはあたしから距離を取った。技掛ける気なんかないってば。

 

 

「……ねえユエー、あれなんだろー?」

「LBX……でしょうか?」

 

インビットだ。なんで露天風呂に?

 

「あ、木の上にも……」

「どうやら、LBXに覗かれてたみたいです」

「盗撮LBXなんかぶっ壊してやる! いくよ、ミネルバ改!」

 

LBXを悪用する輩ってどこにでもいるんだね……まあ、現れたら倒すだけだけど!

 

バキュンバキュンバキュン

 

「一機撃破! 次!」

 

バキュンバキュンバキュン

 

「花咲さん、LBXの手際がいいですね」

「うん……どう見ても熟練者の動きだよ」

 

「よし、殲滅完了!」

「すごい……もう倒しちゃった……」

 

ずっとミネルバと一緒に戦ってきたからね。これくらいは余裕かな?

 

 

「ひゃあああーー!」

 

 

今度は更衣室で悲鳴!?

 

「今の声、木乃香さんです」

 

待ってて、今助けてあげるから!

 

 

To be continued


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