楽しみで眠れない? ハハッ、12時近くまで爆睡してましたが?
起きてリビングに行くと幼馴染たちが集合していた。
「ゆ~君。あけましておめでと~」
「ユキ、あけおめっ」
「ゆー寝坊すぎ。……おめでとう」
「おぅ、やっと起きて来たか。今年もよろしくなっ」
「あぁ、あけましておめでとう。今年もよろしく」
「ゆ~君。小父さんと小母さんにも挨拶だよ~」
みんなに挨拶をしたら明日香に背を押されて仏間に移動した。
仏壇には線香が8本立っているからみんなも拝んでくれたんだな。息子が一番遅くて済まないorz
仏壇で親父とお袋に拝んで居間に戻ると信也が話しかけて来た。
「おっ、親父さんたちに挨拶は済んだか」
「あぁ。貰ったスキル事とか、進路の事とか報告してきたよ」
「後で詳しく聞くから、まずは雑煮を食べる」
話しながらテーブルに着くと、ひかりと涼子が全員分の雑煮を持って来てくれた。
「じゃあ、雑煮くったら雪兎のスキル発表会だなっ」
「それは後だって。みんな手を合わせて」
「「「いただきますっ」」」
雑煮を食べ終わって食後のお茶をみんなに配る。そして元の席に戻って一度深呼吸した。
「それで俺が貰ったスキルなんだが――」
先ずは俺が貰った3つのスキル名をみんなに知らせた。投擲については特に説明は不要だろうから、クラフトとガチャについて俺が寝る前に協会のサイトで調べた情報を教える事にした。
「いいじゃん、いいじゃん。みんなで採取して、それでアイテム作って、ユキがそれを使ってサポートする。お金の節約にもなるしさっ」
「ん。ゆーがサポーターなら安心できる」
涼子とひかり的には問題無いようだ。
「でもさ、その採取の時間を戦闘に向けた方が良いように思うんだよな」
所詮低レベルのしか作れないなら、材料となる素材だって安く買えるだろうし。小遣い稼ぎでなく戦闘に使っていくなら、それなりの数が必要になるだろう。それを採取だけでってのは無理だと思うんだよ。
「攻略じゃなくて、狩猟生活なんだよ~?」
「親父たちも言ってるだろ、余裕のある生活と老後の貯えが出来ればそれで良いって。親父たちは週2日の、のんびり探索者だぞ」
俺の言葉を明日香と信也が否定した。
迷宮が出来て300年以上が経ち、未知の領域に踏み込むものは減っているし、積極的に深層に挑む者も多くはない。
協会としても自分の身の丈に合った場所で稼ぐのが推奨している。迷宮内で犠牲者を増やさずにすみ、安定した資源の供給にもなるからだ。
そして信也の言う親父たちというのは幼馴染グループの親の事だ。元々は同じ学校出身の男2女4と男3女3の2パーティだったらしいのだけど、協力している内にクランとして1つになったらしい。
過渡期には探索者の死亡率が高く、複数の男女が一緒に長時間過ごす事、更にはダンジョンハイテンションと呼ばれる現象もあり、日本では探索者の多夫多妻が認められる事になった。
その法は現在まで続いていて、俺たちの親も複数の関係を結んでいる人が居る。男5の女7だったからね。
「ん。それに妹たちも居る」
「そうそう。凍子が『水魔法』を貰ったって喜んでいたし、あの子が高校で良いパーティ組めなかったらうちらのパーティに引っ張って来れば良いし」
凍子は涼子の1つ下の異母姉妹だ。小さい頃は子供はまとめて育てられていたので、涼子だけでなく俺たちにとっても妹みたいなものだ。
「あー、凍子のやつは人見知りするからな。その可能性もあるか」
「それに~、高校で私たちと合う子が居たら誘っちゃえばいいしね~」
高校入学前からこんな風にパーティメンバーを決めているのは珍しいだろう。他にも居るとしたら同じようなクランの子とかだが、同い年に人数が揃っているの多くないだろう。
「それよりもガチャだよ、ガチャ! スキルカード1枚確定なんだろ? く~っ、楽しみだぜ!」
信也の興奮は分るよ。スキル貰った時はアレな感じだったけど、実際にガチャのスクリーン見たら興奮したもんな。
「何であんたが興奮しているのよ」
「信也はギャンブル狂の気がある」
「涼子ちゃん、信君の財布ちゃんと握るんだよ~?」
「何でアタシに言うわけ!?」
「ツッコミ乙」
「そんな事より早く見せてくれよ」
「そんな事って、あんたの事よ!!」
みんな楽しく話し始めたのでガチャスキルを発動する。目の前にスクリーンが現れたけれど、みんなは気付かないので見えていないのだろう。
どうすれば公開出来るのか? 取り敢えず念じてみるか
初回限定! 駆出し探索者応援無料10連ガチャ! <公開中>
・駆出し探索者にお役立ちの品々に加えてスキルカードも!
(このガチャで当たったスキルカードは本人限定です)
・10連目はなんとスキルカード確定!
※このガチャは無料で使用する事が出来ます。
※このガチャは1回限定で、使用後は別のガチャに変更されます。
スクリーンの色が変わって<公開中>の文字が点滅表示されたので、どうやら念じるだけで無事切り替えれたようだ。他の人に見えないスクリーンをタッチ操作とかじゃなくて良かったよ、端から見るとパントマイムだしな。
「おぉっ、これがガチャか!」
一番激しく反応したのはやはり信也だったが、他の3人も興味津々にスクリーンを見ている。
「無料なんだからやらなきゃ損よね」
「ん。駆出し用なら温存する意味無い」
みんなの視線が俺とスクリーンの間を行ったり来たりしている。これは早くやれと言う催促なんだろうな。
みんなの視線を受けながら、スクリーンの『ガチャ!』ボタンへと指を伸ばし――そしてすり抜けた……