幼馴染と一緒に迷宮探索者になる   作:猫仔猫

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第22話 泊り授業①

23XX年7月9日(金) 日本時間13:30

 

「既に伝えていますが、これから迷宮での泊り授業になります。明日の14時過ぎまで24時間以上迷宮の中に居る事になりますので、忘れ物が無いように準備をして迷宮に向かってください。

足りない物があったからと言って、取りに戻ったり購買に買いに行ったりは出来ませんからね」

 

ついに泊り授業の日がやって来た。この授業が終わると自分の衝動タイプが分かるんだよな。

個人的に一番ましなのが食欲なんだよな、アイテムボックスに食べ物を貯め込んで置けるから。

 

「そうそう。今回はソロで活動して貰いますので、迷宮に入ったらパーティを解散して行動する事。

迷宮に入ったら1階層の草原の入り口付近で待機しておくように。以上、行動開始」

 

細かい説明は中に入ってからって事か。じゃあ、俺たちも行動開始しますかね。

 

「ゆ~君、みんなバラバラだってぇ~」

 

情けない声を出しながら明日香が寄って来た。

 

「一応水を2ℓと携帯食は準備したけど大丈夫かなぁ?」

「携帯トイレやエチケット袋にマントかブランケットも有った方が良いと思うわ」

「袋を止めるテープも有った方が良いかも」

「急いで購買に行って来るね~」

 

食べれば出るのが自然の摂理だ。24時間も有れば数回は出るだろうしなぁ……

1階層なら穴を掘って埋めてしまえば良いんだけど、2階層以降はそうもいかないもんな。

俺には生活魔法もアイテムボックスもあるから、後始末はどうとでもなる。問題は何処でするかだけだ。

 

みんなは部屋に荷物を取りに行ったり購買に買いに行ったりしたので、先に迷宮前に行っておくとするかな。

 

 

暑い日差しの中、校庭を突っ切って迷宮に向かう。

体育も無いのになんで校庭が有るんだろう? 戦闘訓練とかで使用する事も無いようだし謎だ。

 

 

迷宮の前には帽子をかぶった白ワンピ姿の先生が居た。

いや白ワンピに赤のビキニアーマーが透けて見えるのですが……。まるで下着が透けているようですごくっちぃです。

 

「んっ、一人なのね。他のメンバーはどうしました?」

「まだ準備中です」

「そう、なら全員揃うまで外で待機」

「はい。……それよりその服はわざとですか?」

「そうよ。初衝動前に性を刺激すれば性衝動の確率が上って、破壊衝動の確率が減るとかいうくだらない統計のせいでね。おかげで1年の迷宮授業の担当は、ソロの若い女性探索者で食欲タイプの者がやる羽目になっているの。1%なんて誤差じゃない」

 

あぁ、通りで普通の先生らしくないと思った。教職を取りながら探索者になったんじゃなくて、探索者が先生をやらされていたんだ。

 

 

「食欲タイプなんですね」

「性欲タイプだと泊り授業の後で生徒に跨ってしまうかもしれないからね。

自己責任だから絶対にダメという事も無いわよ、性欲タイプの生徒に襲われる事もあるし。

まぁ、合意の上なら問題はない。……あなたのようないい男なら、性欲の発散を手伝っても良いわよ?」

「えっと、冗談……ですよね?」

「えぇ冗談よ、半分はね。はい、そこの日陰で大人しく待っている事。後さっきの話は他の子には内緒ね」

 

手を振られて木陰に追いやられてしまった。

ぐぬぬぬ、思春期の純情を弄ぶなんて酷い! 普段より優しい口調だったからドキドキしたのに!

こうなったらみんなが来るまで、透けてる姿を堪能してやる!!

 

やってくる男子は先生の体に視線を奪われ、女子はビキニアーマー事態に興味を引かれている。

男子の性を刺激しているのは確かだけど、女子の方は微妙じゃね? まぁどうしたら女性の性を刺激できるかなんて知らんけど。

 

 

「雪兎はこんなとこで何してんの?」

「あぁメンバーが揃うまで待ってろってさ。パーティを解散しなきゃいけないからだと思うけど」

「なるほどね。じゃあ俺もだな」

 

クラスメートが迷宮に入っていくのを信也と二人で眺めていると、ようやく3人がやって来た。

 

「お待たせ~」

「荷物の整理に時間かかった」

「これ以上大きな鞄だと、移動が大変だもんね」

「ゆーはズルい」

 

ズルいって言われてもな。スキルのおかげだし、その代わりにみんなより戦闘力低いじゃないか。

 

「早くマジックバッグ作れるようになってね」

 

低ランクで作れるのは容量+100%以下らしいから、大したことないんだよ。

そんな物でもまだ作れないんだけどさ。

 

「時間間際だし、さっさと入ってしまおう」

 

先生に全員揃った事を伝えて迷宮に入り、そして広間にあるモニュメントに触れてパーティの解散を行った。

うーん。一人で行動していた事も多いけど、こうして解散するとちょっと寂しく感じるな。

 

通路を抜けて草原エリアに入ると、先生に言われた通りに近くにみんないた。

座って駄弁っていたり、大兎を狩っていたり、大兎を愛でていたりと様々だけどね。

 

なので俺たちも入り口からあまり離れていない場所に陣取って駄弁る事にした。

そして駄弁っていると数人のクラスメートと一緒に先生がやって来た。彼らが一番最後だったのだろう。

 

 

「はい、全員揃いましたので、今から24時間は外に出る事は出来ません」

 

先生はそう言うと、持っていた鞄から大きな衝立を取り出して通路を塞いでしまった。

マジックバッグだ。あの大きさの衝立が入るなんて容量+数百%の高ランク品に違いない。先生はかなり稼いでいたんだろうなぁ。

 

「ここからは他の人に迷惑をかけない限り何をするも自由です。

魔物を倒して過ごしても良いし、ずっと寝ていても構いません。ただ2階層以降で寝るのはやめておいた方が良いでしょうね。

先生はここに居ますが、見張りですので頼ってきたりしないように。明日のこの時間になったら、ここに集まる事」

 

迷宮内で24時間過ごすのが目的だから、ノルマみたいなものは無いという事か。

で、襲ってくる魔物が居る2階層以降で寝るのはお勧めしないと。何人かで一緒したとしても、パーティを組んでないと寝ぼけてフレンドリーファイアされる可能性があるしな。

 

「はいっ、質問です。食事はどうすれば良いですか」

「食堂があるように見えますか? 携帯食を忘れたとしても一日くらいなら食べなくても平気でしょう」

 

24時間出れないって言われていたんだし、学校が準備するとも言われなかったもんな。

幸い大兎が肉を落とすんだし、それを食べれば良いんだ。

 

 

 

 


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