幼馴染と一緒に迷宮探索者になる   作:猫仔猫

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第26話 泊り授業⑤

「ヨーコちゃん張り切っているね~」

 

朝食後に近くに沸いた大兎を美咲が狩って、ドロップした肉を持って帰って来たのを見たヨーコが大兎を狩り始めてしまったのだ。

みんな手伝いながら和んでいるから良いんだけどね。

 

美咲とソフィーが大兎を見つけては挑発して態々板の間の近くまで引っ張ってきているし、明日香はその二人とヨーコを回復しているから、一応3人のスキル上げにもなっているしな。

ソフィーの戦闘スキルは格闘と重鎧らしい。将来はプレートメイルで格闘……実は聖闘士だったりするのだろうか?

 

ちなみに数世紀を経てもリメイクされ続けている作品は多い。20世紀末の作品群は日本サブカルの原点として愛され続けているのだ。3Dでの戦闘シーンは迫力が凄いし、某サッカーの必殺シュートや某野球の魔球もだ。

 

 

俺はヨーコが持ってきた肉を焼き、皮を革にしてと生産をしている。

ドロップ品を持ってきては、焼き串一本食べて戻って行くのを繰り返している。ドロップ品が肉だと嬉しそうな笑顔で持ってくる姿は可愛い。肩が丸出しで太股から開けていなければだが。

太腿から裾にかけてはだけているのは、尻尾があるから後ろ側に引っ張られているせいだとは言っているけど、本当かどうか怪しいと思っている。格が上がって尻尾が増えたらそうなるかもしれないけど、今はまだ1本だからな。

食事は嗜好品と言っていたが、まさか底無しだとは思わなかったよ。ま、美味しそうに食べてくれいるから良いんだけどね。

 

 

 

そんな風に午前を過ごし、醤油をつけて焼いた肉でお昼ご飯を済まし、この場所を後にする。

1時間半も有れば森を抜ける必要があっても、入り口まで戻るのは余裕だろう。

 

その道中の森の中でもヨーコは張り切っていたけど、移動中に肉は焼けないからね? そんなショボーンとしないでくれよ。代わりにアイテムボックスに入っている焼いてある物を上げるからさ。

 

なんかもう完全に餌付けされた狐だよね。

 

 

「ヨーコ、森の終わりでいったん帰還させるからね」

「主様の命なら勿論従うが、理由を聞いても良いかの?」

「今は学校の授業中でね、この先には250人近いクラスメートが居るんだ。そこにヨーコを連れて行ったら、見世物になってしまうからだな」

「む、それはごめんじゃの」

 

説明すると腕を組んでうんうん頷いている。組んだ腕で胸が持ち上げられ胸の谷間が強調されてしまっている。

比率からすると大きいのだろうけど、両脇にはそれ以上の持ち主が二人居るからな。ソフィーもカップ的には同じくらいはあるだろうし。

 

「後で仲間には紹介するからさ」

「戻っている間は眠りにつくから、体感では一瞬だしの」

 

そうして森が終わり、草原になる所でヨーコを帰還させた。

薄れゆく姿で『呼ぶ時には違った食事を所望するのじゃ』と言っていたので、購買でお菓子を買っておく事にしよう。食堂でお稲荷さんを買ってアイテムボックスにしまっておく手も有るな。

 

 

既に集まり始めているのか、入り口の方に人が多く見える。迷宮には地平線の位置が低いから距離が有ってもみえる。とはいっても、こっからはそんなに離れてないけどさ。

この森の端から歩いて10分ちょっとはかかるだろうけど、14時には十分間に合うな。

 

歩いて行くと徐々に人影が大きくなり、誰なのか判別がつくようになっていく。

集団の端の方は入り口から100m程だろうか。先生の声が聞こえれば良いのだし、後から来た者が近くまで寄っていくのもな……

 

という事で集団の端に板の間を出して、お茶を飲みながら時間を待つ。周りのクラスメートが胡散臭い目で見ているが気にしない。

知り合いはやって来て、板の間の端に腰をかけたりしている。地べたに座るよりはマシだろうし、ベンチ代わりにされても困らないしな。

 

 

「はい、皆さん時間です。24時間授業お疲れさまでした」

 

14時を過ぎると先生の声が聞こえて来たので耳を傾ける。

 

「これから迷宮の外に出ますが、一度に出ると問題が起きる可能性が高いですので、順番に外に出て貰います。

まずは女子からになります。女子の皆さんは広間に移動してください」

 

出るのは順番で、しかも女子からか。まあ、一度に出て破壊衝動を生じた者が大乱闘なんて目も当てられないし、男女一緒で性欲タイプが一緒に盛りだしたら大変なのもあるよな。

 

「それで先に行きますわね。出来れば雪兎様と一緒が良かったのですが、仕方ありませんものね」

「ゆ~君がどんなタイプでも離れないんだからね~」

「ユキトと同じタイプな事を祈ってるデース」

 

一緒にいた女子3人も当然対象なので、荷物を持って入り口へ続く広間に移動していった。

入れ替わるように信也がやって来た。一緒に行動していた涼子とひかりも行って、信也も一人になったのだろう。

 

「お疲れさん、どうだったよ」

「森の奥で生産しながらまったり、そっちは?」

「夜までスケ狩り、戻ってきて同じような奴らと一緒に階段付近で夜を過ごして、朝飯食ったらまたスケ狩りに行ってだな。昼前に戻ってきて、ここで飯食って駄弁ってた」

 

向こうは順調に戦闘訓練をしていたようだ。

哀しいのは現実には経験値であがるレベルなんて無いという事だ。スキルの成長は有るけど、必ずしも戦闘が必須というわけでは無いからな。

そしてスキルも魔物相手に使った方が成長し易いという事も無い。大兎を相手にしていた雛子の剣より、木に叩きつけていた美咲の盾の方が早くスキルが成長したらしいのだ。

 

「涼子やひかりとは進展なしか、あの二人は明日香みたいに好き好きアピールしないから仕方ないか」

「家族感が強すぎてな。恋人とかすっ飛ばしてしまいそうだ。そういうお前はまだ明日香を受け入れてねーし」

「正直そろそろ年貢の納め時かなとは思っている。迷宮を出れば衝動タイプも分かってしまうしな」

 

そうするとクラスメートからの嫉妬が酷くなるわけだが、今更か。

クラスの2大強乳を侍らせているくせに、物足りず金髪美女たちをも誑かしたと陰で言われているらしいからな。

 

 

「次は男子だけど、そこにらに居る人移動。奥でお茶飲んでいる人はむかつくから最後よ!」

 

30分程して戻って来た先生は、近場に居た男子グループを指さして移動するように言うと、最後に俺の方を指さして最後だと告げていった。

 

「おぃ、俺も最後かよ!?」

「一緒に居たのが運の尽き。嫌だったら今の内に違う場所に移動しとけば?」

「もう遅いかもしれないけど、そうしとくわ。後1時間以上も居たくねぇしな」

 

女子だけで30分かかるなら、男子の最後なら1時間以上後になるのか。

はぁ……横になってしまおうかな。

 

 

 

 


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