幼馴染と一緒に迷宮探索者になる   作:猫仔猫

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第34話 帰省①

23XX年8月13日(金) 日本時間09:00

 

「ユキト~、早く帰って来てネ?」

「だから、帰ってくるのは17日の夕方だってば」

 

それに学校から離れる時間は俺が一番短いんだぞ?

たった5日だ、自分が帰省していた時の方が長いじゃないか。

 

「ソフィー、我儘すぎるとユキトさんに嫌われますよ?」

「うっ……。大人しく待ってるから、帰ってきたらいっぱい愛してネ?」

 

しおらしく上目遣いをされる。こうして居ると本当に美少女なんだけどな……

 

二人を順にハグして校門に向かう。あのままだと、ずるずると時間がたっちゃいそうだったし。

 

 

 

八王子から1駅で立川に着く。

家に帰る前に花やお供え物、それから今日明日の食材を買っていく。大量に買っても荷物にならないし、アイテムボックスに入れて置けば腐らない。

夏休みに入ってからも迷宮で生産していたから、クラフトもⅣになってアイテムボックスの容量も増えた。20mx20mx20mの大きさなんて滅多な事では満杯にならないだろう。

 

問題は何を入れているか忘れる事くらいだな、ハハッ。

 

 

家に着いたらまずはお茶を飲んで一休み。

それから家の中を歩いて<清浄>をかけていく。小母さんたちが掃除に来てくれているらしいけど一応ね。

最後に仏壇を自分の手で掃除して、花を飾り菓子を供える。

 

早めのお昼ご飯を買ってきたもので済まして、久々のネットを楽しむ。

面白そうなゲームの情報もあるけど、学校が始まると買いに出れないからなぁ……

まてよ、先生は遅くならなければ休日に外出出来るとか言っていたよな? どうせ月に数回は先生のとこに行くわけだし、その時にお願いしてみようかな。

 

 

そうしていると誰かが階段を上ってくる音が聞こえた。

今この家の合鍵を持っているのはクランの小母さんたちだ。今日帰って来て、午後に墓参りに行く予定だと明日香に伝言をお願いしたから、帰っているか見に来たのだろう。

 

部屋のドアを開くと目の前に未来さん――明日香のお母さん――が居た。

思いがけない人が居たので固まってしまう。

 

「ゆ~君帰ってたのねーーん~、ちょっと大きくなったかな?」

 

そんな俺を抱きしめて、頭を撫で、背中を弄って、うんうん頷いている。

正面から抱きしめられたので、胸の少し下あたりに未来さんの大きな胸が押し付けられている。探索者という事もあって若く可愛らしいままの外見――初恋をしてしまった時のままだ。

 

思わず俺も未来さんの背中に手を回して抱きしめてしまう。

明日香は胸も母親を超えたと言っていたが、殆ど差が無いように感じる。

 

「あらあら、ゆ~君も年頃の男のだもんね~。元気なのは良い事よ」

 

少しずつ大きくなっていく俺のモノに気が付くと、驚いた顔をした後、撫でるのを再開してそう言ってくれた。

 

「明日香とパートナーになったって聞いたけど、何なら私の二人目の旦那さんにもなっちゃう?」

「えっ!?」

 

思いがけない言葉に驚きの声を上げてしまう。

だけど探索者だから未来さんにも多夫を持つ資格は有るわけで……

 

昔見てしまった淫らに乱れた未来さんの姿を思い出してしまい、さらに硬くなり未来さんの体に押し付けるようになってしまった。

 

「母と娘、揃って娶る人だって昔からよくいるのよ。ほら、母の方も若いままだから」

 

そう言うと手を離し、離れ際に頬にキスをしてズボンの上から軽く撫でていった。

 

「落ち着いたら降りてきてね」

 

未来さんはウィンクをして階段を下りて行ってしまう。

さっきの言葉本気なのだろうか? 諦めた初恋の人と一緒になれるのか……?

 

下から未来さんと明日香の声が聞こえてくる。どうやら明日香が遅れて来たらしいが、言われたように落ち着いてから1階に行こう。

 

 

 

落ち着いてから1階のリビングに行くと、二人がお茶を飲んでいた。

 

「あっ、ゆ~君おかえり~。待ってたんだよ~♪」

「うん、ただいま」

 

未来さんがお茶を淹れてくれたので、それを飲みながら話をする。

 

 

「お昼は済んだのね。じゃあ、この後……1時くらいに出発でいいかな」

「今年も一緒に行ってくれるんですね」

「あの二人は私たちの仲間で、家族だから……。籍は入れそこなったけどね」

 

未来さんがクランハウスに連絡を入れると、向こうも準備は終わっているのとの事で1時に出発する事に決まった。

その後は時間まで話をする事になった。

 

そこで聞いたのは俺の知らない両親の事。

元々男2女4パーティに両親と未来さんが居た。そしてこのパーティの運命が決まったのは、1学年時の泊り授業で親父とお袋の二人が食欲タイプだった時だ。

元々お互いが好意を持っていた事もあり、探索後に一緒に食事をする事で二人の仲が急速に深まっていった。

 

残りの4人は卒業まで好きな人にアプローチをしつつも、関係を持たない仲だった。

だけど卒業後にもう1つのパーティと合流しクランを作り、親父がこの家を相続すると探索後は完全別行動になった。

合流したもう片方のパーティ全員が性欲タイプという事もあり、親父のパーティの残り4人も流されるように6人の方に混じり……

 

そして今のクランハウスに住む家族になったと。

他のみんなは多夫だったり多妻だったりするけど、未来さんは明日香のお父さんとしか入籍していない。と言うか、明日香が生まれたから入籍したというのが正しいらしい。

 

「みんなの事は嫌いじゃないし、どちらかと言えば好きだけど、一番じゃなかったからね……」

 

未来さんは哀しそうな顔で微笑んだ。

だけどその後に「で・も」と言うと、明日香とは反対側の隣に腰かけてきた。

 

「あの人とは入籍しなかったから、ゆ~君と入籍できるんだもんね」

「ちょっと、ママ、どういう事⁉」

 

俺の腕を取って引き寄せた未来さんに、明日香驚き問い詰めた。

 

「好きだった人の面影がを残しながらも、それ以上にカッコ良く育ったのよ。ママだって現役の女だし、そりゃあ口説くわよ」

「ダメダメダメェ~ッ! ゆ~君は私たちを受け入れてくれたのっ!」

「ゆ~君なら一人や二人どころか、五人や十人増えたって受け入れてくれるわよ。ねっ?」

 

そこで「ね?」とか言われてもなぁ……。すでに4人居るんだし、流石に十人増えるのは無理じゃないか? 

 

「そうね。体の相性もあるだろうから、ゆ~君が帰って来ている間は泊まりに来てあげる」

「私がお世話するから、ママはこなくていいよ~!」

「あら、ママが一緒なら男の人を気持ち良くするテクニックを教えてあげれるんだけどなー」

 

逆側から俺の腕を引っ張り、未来さん拒否していた明日香の動きが止まった。

 

「それに母娘を同時にっていうのは、男の人の夢の1つでもあるらしいわ。ゆ~君も喜ぶと思うわよ」

「ゆ~君が喜ぶ……――ねぇ、ママとしても私たちと一緒に居てくれるよね?」

「勿論だよ。受け入れたからには余程の事がない限り、離すつもりは無いよ」

 

心配そうに見て来る明日香を引き寄せて答えると、胸に顔を預けて来た。

ずっと想ってくれていた明日香を受け入れたからには、初恋の未来さんを優先する事は出来ないよな。

 

 

 

 


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