ハイスクールD×D Dragon×Dark   作:夜の魔王

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呼び出し

 ―数日後

 

 

「黒縫君、ちょっといいかな?」

「何だいイケメン?用があるなら早く済ませて貰いたいね」

 駒王学園の放課後。

 先日、兵藤一誠の殺害現場(?)に居合わせた俺、――黒縫 朧(くろぬい おぼろ)は同じクラスの木場祐斗に話しかけてられていた。

「リアス・グレモリー先輩がこの前の事で話があるそうだから、ついて来てくれないかな?」

「こんなに早く見つかるとは……。――いいだろう、案内してくれ」

 

 

 

 木場祐斗に連れられて来た所は旧校舎だった。

「ここに彼女が?」

 俺の質問に木場は首を縦に振る。

 

 

 中に入ると、そこは使われていないとは思えないほどに綺麗だった。

「部長、彼を連れてきました」

 木場が立ち止まった部屋の扉に掛かっていたプレートには『オカルト研究会』の文字。

(木場がオカ研? 似合わねー)

 そんな事を思っていると中からリアス・グレモリーの声がした。

「入ってちょうだい」

 俺は木場に続いて部屋に入る。

「失礼します」

 中の部屋はオカルト研究会らしく、よく分からない物で満ち溢れていた。

 そして、中に居るのは紅髪、黒髪、白髪の美少女達。

 その中の紅髪の美少女が話しかけてきた。

「ようこそ、黒縫朧君。久しぶりね」

「はい、久しぶりですね。リアス・グレモリー先輩。それで、今日は何の御用ですか?」

「単刀直入に聞くわ。貴方は一体何者?」

「昨日も話した通り、神器持ちの一般市民ですよ」

「ただの一般人が神器(セイクリッド・ギア)を自在に操れて、この私から逃げ切れると?」

(ただの一般人は神器は持ってないと言って欲しかったのだけどな……)

「それは俺は逃げるのが得意だったという事でご勘弁を。というか、そもそも俺が一般人じゃ無かったら何か問題が?」

「この辺りは私が魔王様から任された地域なの。危険人物を見過ごす訳にはいかないわ」

「そんな事言われましても……」

(それはそっちの都合で、俺には関係無いとは言えないし……)

「……しょうがないわね。――貴方にはこのオカルト研究会に所属して貰います」

「その目的は?」

「ズバリ監視よ」

 聞いたのは俺だが、まさか答えるとは思わなかった。

「いいでしょう。その申し出受けます」

 押し問答を続けるよりはマシだ。

「それじゃ、ようこそ、オカルト研究会へ。歓迎するわ、黒縫朧君」

 

 

 部員の紹介はまた後日するからと言われ(何やら緊急事態が起こった様で、リアス・グレモリー先輩が急いでどこかへ向かった)、俺は帰宅した。

 

 

 

 

 家に帰ると、一人暮らしの筈なのに人の気配がする。

 

 気配を消してリビングに向かうとそこに誰かが居る事気付くと、俺の神器(セイクリッド・ギア)――黒き御手(ダーク・クリエイト)で作り出した短剣を投げつける。

「危ないですね」

 かなりの速度で投げられたそれは、中に居た眼鏡をかけた男に軽々と払われた。

「あ、お邪魔してます」

 一緒に居た中学生くらいの少女が丁寧に挨拶をしてくる。

 俺はそんな彼らに頭を痛めつつ問いかける。

「毎回言ってるが、俺の家に来るのは止めろ……アーサー、ルフェイ」

 

 

 

 

「で、今日は何の用だ」

 目の前の二人――『禍の団(カオス・ブリゲード)』の英雄派に所属しているアーサー・ペンドラゴンとルフェイ・ペンドラゴン。

 この二人とは俺とは派閥が違うのだが、なぜかそれなりに親しくしている。

 お互いに変わり者だからだろうか?

「少し居心地が悪かったので抜け出してきました」

「お前ら本当に英雄派の連中と相性悪いのな……」

 だからと言って別の派閥の俺の所に来なくてもいいと思う。

「ここは居心地がいいですからね」

「心を読むな」

「表情に出てましたよ?」

「マジか……?」

 二人は同時に頷いた。

 

 

「つまり、簡単に言うとジークフリートがアーサーに絡んできたと?」

 アーサーから聞いた話を要約すると、どうやらそういう事らしい。今月で三回目である。その度に俺の家に来るな。

 

 ジークフリートとはアーサーと同じ英雄派に属する魔剣使いで、『魔剣(カオスエッジ)ジーク』の渾名(あだな)を持ち、アーサーとどちらが強いか噂されている。

 

「まあそうなりますね」

 アーサー自身の剣――聖王剣コールブランドの手入れをしながら答える。

(ふと思ったんだけどその白いポンポンって、日本刀に使うのは見た事あるけど、剣にも使えるの?)

 だが、そんな事をこの男に聞ける筈もなく――彼はこう見えて戦闘時は一切容赦が無いし、俺は聖剣の相手は少し苦手なのだ――違う事を口に出す。

「俺も周りと仲悪いけど……お前らも中々に面倒だね」

「所属している理由も、他の方々とは違っていますしね」

「確か英雄派は、悪魔や堕天使を絶滅させたいんだったか?」

 これを英雄派に聞かれたら反論されるのは確実だろう。でも俺からしたら一緒だ。

「簡単に言えばそんな感じです」

 だが、目の前の男は反論どころか肯定した。

 それだけでこの男は英雄派と馴染(なじ)めていない事が分かる。

「俺達一般人から見たら、どっちもどっちなんだがな」

「貴方は一般人では無いでしょう」

「学校にも通ってるのに?」

「一般人はテロリスト集団には属していないでしょう?」

「それもそうか」

 今まで掲げていた一般人と言う肩書きを一瞬で下ろす。

 オカ研の面々の前では、掲げ続けることになるだろうが。

「一応忠告しておくとここは魔王の妹君の管理地域だから、来るのは危険だぞ」

「まだ禍の団(カオス・ブリゲード)は本格的に活動していないので大丈夫でしょう。大体、それを言うならあなたの方が危険では?」

「俺は生まれてからずっとここに住んでるんだ。悪魔達に文句を言われる筋合いは無い」

「その悪魔達に最近接触したそうですね」

「……誰から聞いた?」

「黒歌からですが」

「あの糞猫ォ……! 妹に隠し事洗いざらい打ち明けてやろうか……!」

「それをされると周りを巻き込む大喧嘩に発展するのでやめてください」

「珍しいな、お前が止めようとするなんて」

「その原因が私だと知られると、黒歌の八つ当たりがこちらにも来るので」

 案外自分本位な答えだった。この野郎、殴ってやりたい……!

「最強の剣士以外に興味が無いお前も、黒歌は苦手か?」

「まあ、そんなところですね」

「ふーん。……で、ルフェイはさっきから何見てるんだ?」

 さっきからルフェイはじっとテレビを見ていた。

 答えが無かったので覗き込んで確認する。

「特撮アニメ? お前こういうのが好きなのか?」

 自分がそのような存在であるのに。

「はい!」

「そうか……テレビは基本的に使ってないから好きに使ってくれていいぞ」

「本当ですか?」

「うん」

「ありがとうございます!」

 ルフェイは満面の笑みでお礼を言った。やはり美少女の笑顔はいい。

「あなたはルフェイには甘いですね」

「女の子には優しくする主義なのさ」

「でも、それだとこの家にいつでも来ていいと言っているようなものですよ?」

「あっ……」

 

 最近美少女に対して失言が多いな。反省しよう。

 


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