「・・・はぁ・・・。」
ここは悠飛学園・第二音楽室。
ヴィオラが所属している吹奏楽部の部室としても使われているこの部屋で、ヴィオラがひとり、悩んでいた・・・。
「・・・『恋』って、なんなんだろうな・・・。」
幸い、今日は部活がない日。
こんなとことを他の部員に見られれば、いろいろと質問攻めにあうのは目に見えている。
「・・・ふ~、危ない危ない、ようやく逃げ切った・・・って、ん?」
「え?」
その直後、第二音楽室に、謎の少女・・・ま、少女って言うか、一応、ヴィオラより1学年年上なんだけど・・・が、入ってくる。
「あ———っ、あなたは!!
・・・え~っと・・・・誰でしたっけ?」←ヴィオラ
おい。
「え~っと・・・あっ!!思い出した!!歴研(歴史研究部)部長!!」
「讃良ね。讃良。・・・まぁ、一応歴研部長だけどさ・・・」
「讃良先輩!!
・・・ん?ちょっと待って?・・・先輩はなんでここに?」
じと~っと疑うような目つきで、ヴィオラは讃良をにらみつける。
「いや~、ほら、運動部の連中が、『部活に助っ人として出ろ』ってうるさくってさ・・・」
「あぁ~・・・・(察し)」
読者の皆さんも察してくれ。
「・・・で?なんか悩んでるっぽかったけど、どした?」
「・・・いや、その・・・」
「その・・・?」
「・・・・・『恋』って、何なんだろうなぁ・・・、って・・・」
「・・・なかなか難しいことで悩んでるね。」
「えぇ・・・」
そして、讃良はひとしきり頭を抱えた後、思いついたようにこう言った。
「そうだ!!その手の相談なら、『恋愛相談の達人』に相談すればいいんじゃない!?」
「・・・『恋愛相談の達人』・・・?」
「そ。ヴィオラのクラスに居たでしょ?寮の部屋番号教えとくから、ほら。」
「・・・はいは~い・・・。」
・・・悠飛学園の寮・307号室。
「・・・うわぁ~~~っ!!」
開封したての缶バッジを見て、そう歓声?をあげるのは、ヴィオラのクラスの会議書記・ライノ。
忘れた人は、もう一度どっかの回を読み直しておこう。
「・・・ライノ!!」
「にゃにゃ!?・・・って、なんだ、ヴィオラさんですか・・・」
部屋の扉を開け、ハヤテのごとく(特に深い意味はない)部屋に突入してきたヴィオラに対し、ランスはそう述べる。
「・・・相談がある!!」
「・・・え?」
「・・・な~るほど・・・。」
ヴィオラの話を一通り聞き終わったライノは、頭の中でヴィオラの話を整理する。
「・・・つまり、ヤンデレもその他もろもろも、全部『恋』っていう分類に入る。じゃぁ、恋っていったい何なのか・・・って話?」
「そう、それ!!・・・で、結局、恋って何なの?」
「う~ん・・・わたしは、答えを聞くまでもないと思いますが・・・」
「・・・え!?」
そして、ライノがたどり着いた結論。
「『恋』というものの定義は、人それぞれです。その人その人によって、『恋』の仕方も定義も変わってくる。
だから、そんなに難しく考えないで、素直に、自分の気持ちをぶつけてみることが大事だと思いますよ?」
「な~るほど・・・ありがと、なんか吹っ切れたよ。」
そう言って、お礼の言葉を言い残し、ヴィオラは部屋を去っていく。
「・・・騒がしいやつです・・・。」
ライノはそうつぶやくと、再び缶バッジの開封を始めるのだった。