NTRゲーの竿役おじさんに転生した俺はヒロインを普通に寝取っていく   作:カラスバ

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23話 女性達の悶々

 ――その頃、女性達はそれぞれ悩ましい声を上げていた。

 

 

「ふぅ……」

 

 私は何度目か分からない溜息を吐く。

 サーっという水音。

 シャワーから流れ出る水粒が身体を叩く。

 生暖かい水は私の身体を優しく流していくが、しかしどれだけ洗っても心の中の靄が晴れる事はなかった。

 

 今日の出来事。

 アクシデント。

 男性の、その、あそこを、誤って触れてしまった事。

 それも、そこそこ知れた仲の人のものだ。

 結局彼は気にしていないと言っていたが、実は心の中では私の事を軽蔑しているかもしれない。

 酷いオンナだと。

 情欲に忠実な女だと。

 そんな風に思われていたらどうしよう。

 そうだとしたら、とてもショックだ。

 

「はぁ……」

 

 落ち込む姿を翔に見られ、今日は早く休んだ方が良いと心配された。

 息子にもそんな風に言われるなんて親失格だ。

 親、失格。

 

「……」

 

 夫と出会い、それから夫と死に別れて。

 こんな感情を抱いたのは久しぶりかもしれない。

 そんなまでに、彼の事を気にしているのだろうか、私は。

 気にしてしまうのは仕方がないだろう。

 男の象徴を嫌でも見せつけられて、ああ、いや。

 別に実際に見せつけられてはいないけど。

 実際はもっと酷いものだけど。

 アクシデントで、触れてしまった。

 夫は元々身体が弱い人だったから、触れる機会は少なかった。

 その分愛し愛されたとは思っている。

 ああ、でも。

 

 私、やっぱり欲求不満なのかしら。

 

 思い出したかのように、溢れてくる欲求。

 シャワーから吐き出される水粒に当たりながら、私はモジモジと太ももを擦らせていて。

 気づけば両の手は胸の先へと伸びていた。

 

 

 その時、私は数年ぶりに母親ではなくなった。

 

 

 

 

 

「はぁ……」

 

 何度目か分からない溜息を吐く。

 今日はもう休むつもりでベッドに横になったが、いっこうに眠りにつける気配がない。

 むしろ目は冴えていて、頭の中を混沌が渦巻いていた。

 これでは眠れるのは何時間後になるだろう。

 そして思い出してはいけないと思えば思うほどに、先ほどあった事がフラッシュバックしてしまう。

 

「……」

 

 おじさん。

 武さん。

 武さんの、裸体。

 肉付きは薄く、筋肉はそこまでついていないけど、しかし無い訳ではない。

 30代の肉体としては割と理想的ではないだろうか。

 そして、ああ。

 うん。

 忘れる事も出来ない。

 あ、あまりにも大きい、その。

 

「……」

 

 あれはまだ準備段階ですらなかった。

 だって下向いてたし。

 じゃああれがもし興奮状態になったら、どれほどになってしまうのか。

 想像するだに恐ろしい。

 絶対入らないでしょ、あんなの。

 

「……って」

 

 なんで自分がそうする事を想定しているんだ。

 頭を振って思考を振り払う。

 私と武さんは同じ血が流れている。

 そういう事は出来ないのだ。

 出来ない。

 可能かどうか考える状況か、今。

 

「……」

 

 ああ、何と言うか。

 ○○と思う自分がいる。

 その事に嫌悪する。

 だって仕方がないじゃないか。

 だって、おじさん。

 武さんは、私にとって。

 初めて――

 

「んっ……」

 

 私は気づけばパジャマの前をぺろんと捲り上げ。

 ズボンを中途半端に下ろしていた。

 下着が外気に晒される。

 お気に入りのシトラスグリーンのカワイイ飾りがついたブラとパンツ。

 最近購入したものだ。

 前は、こういうのを買うのを許しては貰えなかったから……

 

「あ、ああ……」

 

 なんて、罪深い。

 私は罪悪感に苛まれる。

 だけど、ああ。

 それすらも禁忌の味として。

 身体は熱を帯びていく。

 

 

 その時、私は数年振りに良い子ではなくなった。

 

 

 

 

 ――その頃。

 日乃本朋絵は。

 

「ああ! 気になるーっ!」

 

 ベッドの上で枕に顔を埋めながら叫ぶ。

 気になる。

 気になる。

 先週、とあるイラスト雑誌の募集に応募した結果が、凄く気になる。

 結果が出るというか雑誌が販売されるのは当分先だが、割とすぐに販売されるとは思う。

 大賞を取れると思えるほど私は自信家ではない。

 だけど、雑誌に掲載されたりしたら。

 親は、私の事を認めてくれるだろうか。

 桜子の奴と、少しは並び立つ事が出来るだろうか。

 武さんは――私の事を褒めてくるだろうか。

 

「ううーっ!」

「五月蠅いぞ、朋絵!」

 

 下から父親の怒鳴り声が聞こえて来たので、黙る。

 それでも悶々とした心は晴れない。

 多分、まだまだ夜は長そうだ。

 

 

 女性達は、それぞれの思いを胸に秘め、悶々としながら夜の時を過ごす。

R-18版は

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  • 良いから次の話を書くんだよ

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