Re:ナツキ・スバルが女だったら   作:ラノベキャラの女装ネタ好き

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第二章6『再会の精霊使い』

色の三原色に『赤青黄』と言うものがあるが、地毛でそのような髪の色を持つ人間はまずいない。

赤毛だったり黄色は金髪があるので正直グレーな所だが、単色の赤や青といった髪色なんてアニメや漫画でしか見たことがなかった。

 

「あら、目覚めましたわ、姉様」

「そうね、目覚めたわね、レム」

 

さて、袋小路でヤバめの男に襲われた現役女子高校生ことナツキ・ナツミちゃんは黒い靄のような物に覆われたと思った瞬間、意識が途切れる感覚があったのだが……目が覚めると桃と水色の髪色をしたメイドさんが二人(瓜二つの容姿からして双子?)に見下げているのはいったいどういう状況だろうか?

 

加えて羽毛なのかフワフワだけど、どこか頼りない枕。同じ木製でも盗品屋とは比べ物にならないぐらい上等な壁。そしてシャンデリア的な照明ときたら、高級スイートホテルにでも来たような気分だ。

仮にここが天国だとすれば話は別だが、『死に戻り』したという線は薄いだろう。

 

「……えっと、ここはどこだ?」

 

「ロズワール様の別荘ですよ、お客様」

「ロズワール様の別荘よ、お客様」

 

取り敢えずここが死後の世界であるという選択肢が消えて「ほっ」と息をつく。

 

「何で私はここに?」

 

「それは路地裏で気を失ったお客様を、ロズワール様が介抱するためにお連れになったからです」

「それは不埒な輩に乱暴されそうになっていたお客様を、ロズワール様が華麗にお助けなされたからよ」

 

ふむふむ。会ったことはないがそのロズワールとやらは我先にと逃げ出したロズっちとは違って随分と人格者らしい。

 

メイドに別荘とくれば、貴族か良いとこの商人か。

まだ情報が少ないが、道端で倒れていた見ず知らずの他人にこんな上等な部屋とメイドを宛がってくれる時点でナツミちゃんメーターは斜め上に急上昇だ。

 

「そっか……ありがとうな。その出来ればロズワール()()()にも是非感謝の言葉を伝えたいんだが、そこんとこどう?」

 

さん付けで呼ぼうとしたら途端に桃髪メイドの方の目付きが鋭くなり、慌てて様付けに呼び変える。

もしかして、さん付けが許されないほどやんごとなきお身分の方だったするのだろうか。

 

…そう言えば何処かで聞き覚えがある気がする。

もしそうだった時の為に本人の前では普段の口調で話さないようにとナツミは胸の内に深く刻み込んだ。

 

「それには及ばないわ、お客様。ロズワール様は公務で留守になされているから、元気になったら尻を蹴って放り出せとのことだもの」

「それには及びませんわ、お客様。ロズワール様は公務で留守になられているので、感謝の言葉なら後日改めて受けとるとのお達しです」

 

「う~ん、二人の言ってることが天の邪鬼過ぎてどっちを信じていいのか分からねぇな、これは。個人的には他人行儀の中にうっすらと優しさの伺える妹様の方を信じたい所ではあるが……」

 

ふとナツミは何かを思い出したかのように自らの身体をまさぐる。

 

「外傷なし、衣服の乱れなし、イカ臭くもなければ、股の間に異物感もなし、と」

 

「…心配しなくてもお客様の身体は綺麗なままよ」

「泥や煤などで多少汚れていましたが……その、乱暴されたような様子はありませんでした」

 

私の運び込まれた状況と今の動作で察したのか、求めていた答えを教えてくれる。

あの状況では流石にダメかと思ったが、どうやら紙一重でナツミちゃんの貞操は守られたらしい。

 

「これはロズワール様とやらがヤバめの男から庇ってくれたパターン?もしかしてロズワール様が運命の王子様だったり……」

 

「どうやらお客様は頭がおかしいみたいね、つまみ出しなさい、レム」

「はい姉様。どうやらお客様はお元気そうなので、レムが御自宅まで送り届けたいと思います」

 

「……ぅぅむ、飴の妹と鞭の姉とでも言うべき完璧な配役」

 

この双子メイドの主人であるロズワール様が狙ってこれをやっているならかなり出来るやつ。メイド服のデザインも中々だし、もしかしたら趣味が合うかもしれない。

ただメイドのロリレベルが少し高めなので、そこが注意点か。

 

「ん?」

 

寝ている間に着替えさせられたのかネグリジェみたいな服装から慣れ親しんだジャージへと着替えたナツミは御礼すべきロズワールも留守にしていることだし、何より残してきたフェルト達のことが気になるので、妹様の案内のもと盗品屋に帰ろうと思い立つ。

その目の前の扉がコンコンと叩かれ徐に開かれた。

 

「あら、もう帰るの?」

 

 

 

 

出会いは行き違い、再会は死。

今回は藤色のランピースというラフな格好をした彼女。

 

「あんたは……」

 

良い意味でも悪い意味でも今後一生忘れられる予定のない銀の髪の少女--エミリアが小首を傾げて此方を見つめていた。


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