ワールドトリガー 全ステータスオール10overRTA   作:形成

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前回書けなかった裏の人達について
「これおかしくね?」と思ったら遠慮なく感想欄にて


迅悠一①

「なあ迅、さすがにあの嘘はないんじゃないか?」

「というかお前、未来読めるんだからすぐネタばらししろよ…絶対めんどくせえ事になってるぞ」

「いやー、最初はそう思ったんだけどねえ」

 

ボーダーの拠点の一つ、かつてはボーダーの本部()()()玉狛支部で、先程泣きながら飛び出した少女によって大きく開いているドアを見ながら二人の男と一人のサングラスをかけた少年が会話をしていた

彼らはそれぞれ現在設立中のボーダー本部と玉狛支部の部長であり、少年は相手の少し先の未来を見るという近界全体を見回しても非常にまれかつ貴重な能力を有していた

 

故に彼にとって現在の状況は予測できた事態である筈で、二人はあるいはもしかすると、未来を()()()()()のかとも思っていたが

少年にとってはそういう訳ではなかったらしい

 

「実はさ、『ガム飲み込んだら爆発するぞ』って言った時点で病院に突撃して受付の人困らせてる未来が見えたんだよね」

「じゃあその時に直ぐに止めろ、なぜ放置してるんだ」

「その未来でそん時に小南と同じ位の子がやってきてね、そしたらその子が口を開く前に小南が勝手に納得して帰るのが見えたんだよ、しかもそれを不自然に思ってる人がだーれもいないの」

「……なんだそりゃ?」

 

この言葉を聞いた煙草を加えた飄々とした雰囲気を男がこの時困惑した、決して言っている意味が分からないという訳ではない、あの状態の人間を落ち着かせて納得させるまではまだしも口を開く前にというのがわからない

 

それは『物凄い話術』だとか明らかにそんな類のものではない

だとしたら考えられる可能性は―――

 

「……サイドエフェクトか」

「その可能性が一番高いね、直接会ってみないとわかんないけど『物凄い顔に出る』とかそんなんじゃない?」

「サイドエフェクトがあるってことは一定以上のトリオンがあるってこったろ?勧誘してみるか?」

 

一定以上のトリオンの人間にはサイドエフェクトが発現する場合があるがあくまで人間の能力の延長である為に無自覚な場合が多く、トリオンが多ければ必ずしもサイドエフェクトが発現するという訳ではない

しかし裏を返すならばサイドエフェクトを持っているということは例外なく一定以上のトリオン器官を有しているということでもあり、アリステラの例のトリガーを使った新ボーダー及び本部設立に際し一人でも多くの人材を求める今、大きな戦力になり得るということだ

この少年、迅悠一が持つ未来を見る力もまたサイドエフェクトによるものであり、数あるものの中でも最高峰の特異性と影響力を持っている、さすがにそこまでの期待は出来ないだろうが高トリオンを有したものを確保するのは悪い選択ではないだろう

 

だが、一つ大きな問題を挙げるとするならば―――

 

 

「小南と話してるその子ね、目を怪我してるんだよ」

「…ああ?それって…」

「まさか先の大規模侵攻での負傷者ということか?」

 

 

あの大規模侵攻によって家族や財産を失った者は数多く、軽傷だったものは既に大半が日常生活へと復帰を果たしたが重傷を負って未だ入院中の人間は数多い

噂によると病院内でもいったん命を取り留めたものの体を夥しく欠損しネイバーによるトラウマやPTSDに耐えられず自殺した人間が何人かいたらしい

それを考えるならばまだその子はマシな方だといえるのかもしれないが、とてもそれを口にできるような人間はこの場にはいない

 

 

「……ま、新ボーダーの活動が始まったら勧誘してみて、ダメなら諦める、それでいいだろ」

「そうだな…結局のところ本人の意志が一番だ」

「了解ボス、忍田さん」

 

 

三人は今この場にいないボーダーの総司令官となった男の事を考える、もしその少年がボーダーに入るとするならば大方その派閥へ入るだろうと考えたからだ

アリステラの闘いで10人もの仲間を失って以降、城戸司令は笑顔を失いまるで別人のような顔つきになって大きく排斥へとその方針を変えてしまった

だが近い未来迫りくるであろう多くの敵からこの街と仲間たちを再び守るための題目にはそれが一番都合がいいことも誰もがまた理解していた。だからそれぞれ思うところはあれど表立ってそれに歯向かうような真似はしない

それに代わる方法を自分達は提示することが出来ないのだから

 

しかし目下、一番重要なのは―――

 

「ところで迅、病院の方に相当御迷惑が掛かっていると思うんだがどうするんだ?」

「一応俺が連絡しとくけど、小南に殴られる準備はしとけよ」

 

もうすぐ叫び声をあげながらこちらに向かってくる小南に張り倒される避けられない未来を見て知らずか迅は苦笑いを浮かべていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして一月が経ったころ、迅はポケットから携帯を取り出してある男に連絡をかける

 

「――――それでどうだった、唐沢さん」

『トリオン体とトリガーの事を説明してね、彼の父親は直ぐにスポンサーになることに了承してくれたよ―――これで新たな資金源と有望な戦闘員の補充の目途がたった』

「ありがとう唐沢さん、けどよくそんなあっさり了承してくれたね」

『自分の子供が光を失った原因になった連中への対抗できて、尚且つ一旦とはいえそれを取り戻せる手段があるとなったらそりゃあ親は飛びつくさ』

「うわー……まあそれもあるけどさ」

 

頭数が足りていないといっても今のボーダーは発展途上どころか不安定な状態だ、いくらトリオン能力が高いといってもそこに普段の活動に補助が必要な人間を入れることを受け入れてくれるかは少し疑問だったが…

 

『色々条件はあったけどね、全盲の人間が活動してる問題なく活動できるっていうのはイメージアップにも使えるし根付さんや鬼怒田さんにも手回ししてそれを広告(エサ)に使えば更にスポンサーが出てくるかもっていったらすんなりだったよ』

 

例え生身での肉体が欠損しても問題なく、また現代兵器の効果が薄いトリガーの技術は垂らすだけで莫大な金を産む、無論その利権に横入するような真似をする人間は数えきれないくらいにいるだろうが

少なくとも今電話で繋がっているに男に対して裏で()()()()()出し抜けるような人間はいないと断言出来た、暗躍を趣味といって憚らず未来を先取りすることが出来る自分だがその専門家の中でも文字通り裏で凌いできたこの男を相手にするのは難しい

唐沢のボーダー加入はアリステラの二人と並ぶボーダー成長の最大要因と言えるだろう

 

「それじゃこれからもよろしくね、唐沢さん」

『君もね、これからも読み逃すことのないよう、気をつけなさい』

「……うん、それじゃあ」

 

やや沈黙があった後にそう口にして迅は電話を切る

 

「読み逃すことのないように、か」

 

思い出すのはアリステラでの戦い、師匠である最上宗一を始めとした何人かが黒トリガーとなり漸く勝利することが出来たものの失ったものが多すぎたあの戦い。

 

「未来を見せてくれるなら、せめて打開策も一緒に見せてくれたっていいだろうにな…ま、さすがにそれは贅沢過ぎるか」

 

拒絶したい未来が見えても、それを跳ね除けるかはその人間の能力次第なのが迅のサイドエフェクトだ

ともすれば黒トリガーにも並ぶ戦略価値のあるサイドエフェクトだが、選ばなくてはいけない立場に立たされるのもこの能力の欠陥と言えるだろう。

 

 

「何が見えても、何があっても、結局どうするかを決めるのは俺次第……つまりは、大体俺のせいってわけだ」

 

ある種自虐のような言葉を口にしながら彼はボーダー本部に足を向けて歩き始めた

全ては―――ボーダーと街を守るための一歩の為に




小南桐絵:騙され純粋ガール、自分にかつてない程大恥をかかされたかわいそうな人、あのあと無事迅の事は張り倒した、実はまだダブル孤月使い

迅悠一:実力派エリート、原作時空では黒トリガーの風刃を持っているS級隊員、SEのランクは脅威のS、未来が見えるし敵の戦略も大体見えるし相手見たら内情も丸裸とかいう公式チート、ただし常時トロッコ問題に立たされてるかわいそうな人だが趣味は暗躍

本部長:実は病院での騒ぎで裏で謝ってたかわいそうな人、ノーマルトリガー最強だけど若いころは城戸さんの車を切ったりとやんちゃしてたそうな

城戸司令:死んだ仲間に囲まれて闇落ちしたかわいそうな人、昔の写真はまだしまってある

北條君のお父さん:息子が全盲になったかわいそうな人、金持ってるのに目を付けた元悪の組織のラガーマンにそそのかされてスポンサーになった

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