神様転生自己満排球部   作:YADANAKA

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つ、続き……だと

作るだけ作った合計で5つのルートから、このルートを選びました。
他のルートは気が向けば小ネタ集の下とかに現れます。

今回はパソにて投稿してみましたなりwww
なんかめっちゃかけた


10話

梟谷がセットを取り返すことに成功した第2セット。それを見て観客からは拍手が両チームに向けられておこる。選手達はその拍手を聞きながらも、特に顔を変えることなくベンチへと下がって行く。その目は互いの目を捉え離さない。「次は俺たちが取る」「次も俺たちが取る」と、今まで何度も戦ってきた2、3年を代表するように、キャプテン同士は睨むことなく心の中で言い放っていた。

 

実際にその場にいなければ決して感じることはないであろう言葉。最後に頭を叩きつけたことも相まって、今の俺は熱いような、寒いような、奇妙な感覚に包まれながら周囲を尻目で見渡しながら座る。椅子に腰をかけることで、足にかかっていた重圧が解放され、一斉に疲れが押し寄せてくる。疲労回復の効果もある、スポドリを流し込んで予想以上に体力を持ってかれた体に取り込むとしよう。

 

目を閉じて「五臓六腑」を実感していると、眠気のようなものを僅かながらに感じる。大会の決勝戦のように重要だからこそ「もう一度がない戦い」を実際に体験出来るわけだが、その所為で体力がごっそりもってかれてる。高校入りたての時に言われた、「体力をつけろ」ってことを今更ながら、本当の意味で理解できた気がする。

 

俺が思考の海に沈んでいると、周りの声が徐々に入ってきた。多分少し離れたとこでで3年の先輩方が会話をし始めたんだろう。しっかりとは聞こえないが、互いに意見を出し合ってるのはなんとなくわかる。ところがキャプテンの声が聞こえない。あのthe・イケメンって感じの声はどこだ?そう思ってその声を探すと、隣でいきなりその声が聞こえた。

 

「木兎と猿代は、ブロック、の、時に、・・・ゴクゴク・・・早く跳びすぎたり、反応が遅い時が、ある、から・・・グエップ・・・隣の奴とタイミング合わせて跳べ、それから、木葉は───」

 

キャプテンが矢継ぎ早に1、2年生を中心に反省点を挙げていく。俺みたいに外から見て考えるのではなく、試合中に戦いながら仲間の動作や改善点について考える。・・・こういったところがキャプテンのキャプテンたる所以なのだろう。中学の頃にあったこと以来、プレー中に何かを考えることには抵抗感がある俺からしてみれば、キャプテンは間違いなく常人じゃないと言える。それはもう声高に。

 

というか、飲むか話すかどっちかにしろよ。木兎が真似しちゃったらどう責任取るんですかい?先輩がそんなことをして、アイツが飲みながら話すなんてことを習得したら、静かになる時間が完全に無くなっちまうじゃねえか!!それは周りへの衛生状大変よろしくない。考えてみればすぐわかる。

 

想像してみよう。隣に座った人が、電話しながら飲み始めたらどうだろうか?なかなか嫌な現象だと思うし、俺が耐えられないし、普通引くと思う(偏見)。それがただでさえうるさいことに関して、定評の塊である木兎に起こるんだ。それはまさしく、起きてる時間ズーーーっと話してるということだ。わかりやすく言えば、年中蝉が耳について泣いてるようなものだ。

 

少し話がずれた気もするが、外から見て考えるか試合中の得点時とかでの小休止の時なら、今の俺でも思考することはできる。だが、まず間違いなくキャプテンみたいのは、今の俺では不可能だ。かといって木兎のように突っ込むだけというのも俺に出来ることではない。というかなりたくない。今まで「木兎シリーズ」を止めてきた俺が、そうなったら綺麗に「ミイラ取りがミイラになる」を体現することになっちまう。

 

「そしてお前は、寝ててもいいから、血を止めろ!」

 

「ィグゲェッ!?」

 

鼻をつねられて変な声を出した俺氏。すっかり忘れていたが顔面をぶつけた結果、鼻血がダバーって感じて口元まで流れてるんだった。意識すると鼻はかなりジンジンして流ことがわかるが、つねられても感覚がない。おかげで気づきませんでした☆

 

その際たる原因は白福である。白福に起こしてって言うと毎回されてるんですよ。え?なんで白福に起こされてるかって?それは俺も知らん(おい)だって知らないうちに家の合鍵持ってるんだぜ?今更だよな(危機管理)

 

怒られたので目を開けて周りを見ると、目の前には無駄にイケボなことがどうしてもムカついてしまうキャプテンがいた。初対面の時思わず「絵に描いたようなイケメンボイスですかこの野郎」っていったっけ。コンプレックスなのか、かなり怒られたけど忘れた時に言っては楽しませてもらってる。

 

「黙ってないで、早く血を止めろ!」

 

「早口を止めろ?」

 

「はいはーい。そこまでそこまで!鷹木くんこっち向いて、アンタは指示出ししなさいよ?」

 

目の前にキャプテンがいる状態で煽ればどうなるかは分かっているので(経験則)、言わないように捻って出したのだがそれでも結局煽ってしまったようだ。俺別に煽りマンじゃないんだがな・・・もしや、キャプテンと話すときは煽ってしまうのか?なんかこう、デッドロック状態になってしまうのか?それかキャプテンがそう言う体質なんだな。

 

「なに考えてるかは分からないが、馬鹿にされてるのは分かった」

 

キャプテンがなんか言ってるが、非常に申し訳ないけども、もう視界と耳には入ってない。だって目の前に桃源郷があるのだから。鼻血を止めるにはどうするべきだろうか?答えは簡単。前から鼻に栓をしてもらうことだ。そしてそれをしてくれるのは、可愛い先輩マネチャンズ、さらに彼女がきてるのはジャージ・体操服。結果、前屈みになれば見えるモノは?・・・言うまでもない。

 

「あ、あれ?なんか鼻血が急にいっぱい・・?」

 

途端に溢れ出す真っ赤な血となったパトス(情熱)。瞬時に原因を理解した周囲の猿。こうしてはじまる男子による戦争。せっかくの休憩だと言うのに、誰も休むことなく次セットに挑むことになる事がどんな影響を起こすのだろうか。もっとも、そんなことは関係なしとして監督とコーチ、審判、敵チームは試合をさせるのだった。そしてこの態度に不快を覚えるものがいたとか、いなかったとか。

 

 

 

 

 

第三セット イタチサーブ

 

血が止まらない&体力を使いすぎた鷹木は負傷者として万屋・木葉と交代してベンチスタートとなった。昔からなんでもそつなくこなすタイプの彼。スパイクの強い木兎ほどでなければ、鷲尾ほどのサーブも打てない。さらにレシーブも平々凡々の木葉。きっと無難にこなしてくれるだろう。

 

「?何か木葉のやつ、変な感じしません?」

 

珍しく動きが固い?硬い?木葉に俺や小見が訝しむなか、試合は3セット目に入り中盤。ここから最後まで勝つことを優先しつつも、首脳陣は選手団と別のことを考えていた。

 

「監督、春高でより活躍してもらうためにというのは、分かりますが……」

 

「心の底から正しいことだとは思っていない……だが、賭けてみたくなったんだ」

 

なんならこの後に控えている全国は捨てることも視野に入れながら。それぐらい木兎や鷹木の新世代には期待しているのだ。もちろん今日までのトーナメント戦でも出場させたてきたし、相応の結果も出してきている。しかし、そこで出した結果や実力をそのまま全国の舞台で発揮できるか?そう聞かれて「はい!」と答えられるのは木兎ぐらいだろう。

 

入部してからまだ一年も経ってないどころか、大して仲がいいわけでもないのに、首脳陣は木兎について深く理解しているようだ。これは首脳陣の観察眼がすごいのか、はたまた木兎がすごいのか。間違いなく後者だと言いたいものである。

 

話が逸れたが、だからこそこの場面から1、2年を出す。メンタル強化ほど時間のかかるものはない。それが首脳陣の哲学地味た結論である。実力があるだけで、メンタルが弱ければ「全国で戦う」だけで止まってしまう。それは彼らを率いるものとして納得できない。

 

現2、3年の彼らも間違いなく全国でもっと高く飛べる。「全国で勝ち抜く」それが出来ると、そう信じてやまない首脳陣から与えられた「殻を破る機会」。果たして彼らはこの殻を破れるのだろうか?答えは分からない。その一環として、抜き打ちでの「ターニングポイント」でのメンタル測定が始まった。

 

 

そしてここで監督達と選手陣では、目標に相違があると言うことも明らかになった。

 

 

そうして始まった試合のカウントは(梟谷)10-12(イタチ)。特に流れが変わることなく、ただただカウントが刻まれていく。このままズルズルと進むのは避けたい梟谷側。そこで梟谷はピンチサーバー・鷲尾を投入するかどうかで悩んでいた。

 

「このままの流れではまずいな・・・・」

 

「ええ、うまく噛み合ってないですし・・・・」

 

静かにしてないとまず聞こえないぐらいの声でそう呟く監督たち。安静にしてろとの事でアップする事なく、マネチャンズの1人と共にその話を座って聞いていた者がいた。当然、鷹木である。

 

「・・・確かに、このまま最後まで行っちゃうと・・・・」

 

「・・ですね。流れを変える為にも何かしないと。・・・・・・・俺はアップしといたほうがいいですよね?」

 

「あ、それはだめ」

 

鷹木が立とうとするも、華奢な見た目からは想像出来ない圧力で押さえつける先輩マネチャンズ。その目はキラリと光り、ハンターと化している。マナージャー目線から見ても、コートに出てるメンバーの流れが悪く感じる。とは言っても、イタズラに行動することは出来ないし、させない。

 

何が原因で試合が動くか分からない以上、下手に歯車を加えたり、外すことは躊躇うもの。選ぶ時に少しでも問題がない、と思える者を選ぶ必要も有り、監督達も鷹木は体力が回復するまで使う気はなかった。

 

「1つでも良くなれば御の字、だな…」

 

「リセットか流れるか……行かせましょう」

 

そうしてボールを受け取ったのはこの大会で人知れず高評価を受けている鷲尾。チームメンバーも誰一人気付いてなかったが、1年ながら放たれる豪腕サーブは、実はサービスエースをリベロからばっかり奪っている。無口なことも相まってその事に気付く者はいない。いても少したつと忘れている。

 

「っしゃあ!頼むぜ鷲尾!」

 

「………ああ」

 

ハイタッチをしてボールを受け取った鷲尾。たっぷり時間を掛けて、彼はスパイクと見間違う音と速度で相手コートサーブを放った。そのサーブは相手のリベロを弾き飛ばし、チームの期待通りに結果を出した。しかし、本人はまだまだ納得言ってなかった。鷲尾はメンタル面に関しての問題は無い。が、本人としてはノータッチエースを取る気しか無かった。

 

今回のサービスエースもリベロから奪っていた。だがそれでも納得はいかない。彼の目標は「中学の頃のように」相手に反応すらさせないサーブを打つこと。リベロからサーブで点を取れば周りは盛り上がるが、触れられれば鷲尾にとっては盛り上がらない。

 

中学の頃の進路で梟谷を選択したのは運命だとか、原作のルートとかでも無い。彼がそうした理由は「2人に勝つ為」その一点だけである。中学までは負け知らずだった彼に、初めて全ての面で勝ったのがその内の一人・木兎である。実力差はかなりのもので、スパイクとかスタミナではまるで歯が立たなかった。

 

そんな中唯一歯が立ったのがサーブだった。中一だったがどちらも打てたスパイクサーブ。その時点では木兎の方が上だったが、これしかないと考えた鷲尾は人知れず腕を振り続けた。そうして続けること暫くして、今では全国に通用するリベロでさえも取りきれないサーブを打つようになった。

 

しかし、それでも先に言ったように彼は満足してない。ここで足を停めれば必ず木兎に抜かれる。途方もない差を付けられる。それは嫌だ。認められない。それどころか、

 

「鷹木」からまだ1度も点を取ったことがなかった。

 

 

 

「───ひえぇー…何度見ても怖いなぁ」

 

「だね。けど鷹木は練習とかで全部拾ってなかった?」

 

「練習ですから、調整してたんですよ……鷲尾ナイッサー!!」

 

「……ああ」

 

木兎と交代でベンチに戻る鷲尾。結果は(梟谷)13ー13(イタチ)の同点。2本のサービスエースで点をもぎ取り、追いついて追い抜くも、追いつかれ交代となった。1人で追いつくだけでなく、試合がダラダラと進むことを阻止した彼。そんな彼はベンチでまだ座っている目標と、ハイタッチをしながら耳元でこう言った。

 

 

 

────いつかお前からも取る────

 

 

 

知らぬ間にライバル視されていた鷹木。なぜに?と本人が混乱してる中、鷲尾はメンバーの元へと戻って行った。背中から溢れ出る闘志を木兎に、鷹木に浴びせながら。

 

 

 

 

鷲尾のサーブでダラダラした流れが切られ、スッパリとした空気になった試合。欲を言えば流れを持ってきたかった梟谷だったが、そうはさせじと同点にしてみせたイタチ。イタチがタイムアウトを取り、流れが完全に止まった今、勢いに乗って突き放そうと双方が円陣を組んだ。

 

「飯綱掌、無理してもいい。ーーー全員で点をもぎ取るぞ」

 

『オス!!!』

 

 

「木兎が乗ってきてるし、鷹木の血が止まってきたか・・・」

 

「攻め時だな・・・・・・レシーブは極力リベロと、出られたら鷹木でいけ」

 

『オオ!!!』

 

「それと……猿代!セッターで入れ」

 

「ウスッ!!───あぇ?」

 

さぁここから突き放すぞ!っと思っていた時に、まさかの猿代のセッターへの抜擢。木葉は入れ替えない上に、木兎が出続けてしまいには猿代のセッターとしての起用。

 

(今日はやたらと1年をコートに立たせるな・・・・勝ってるどころか薄氷の上にいるような時だが・・・実力があるとはいえ、遜色ないと思うが)

 

キャプテンら1部の勘のいい者達が違和感を覚えるのも当然のことであり、そこから始まる奇妙な試合は、様々な問題を残しながら進んでいく。さらに、攻撃重視の意識は時に身を滅ぼすきっかけとなり得ることを誰もが忘れていた。

 

 

 

 

 

 

「ッ!!!───グァ“ァ“ァ”ァ“…………!?」

 

「へ?」

 

「……!直ぐに治療だ!急げ」




時間かかってごめんなシャイニングビーム!

いやほんとすんませんした。

上の知ってる人……いる?

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