NieR:Automata It might to [BE]   作:ヤマグティ

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投稿し終わっても編集し直してばっかの馬っ鹿なので初投稿です。



Episode.9 [矛盾デ作ラレタ世界ト私]

どうやら資源ユニットというのは3つあるみたいで、ポッド曰く私が落ちたすぐ後にあの塔から射出されたものらしい。

 

その内の一つがある、森林地帯に近づいてきた。

 

森林地帯か…。

 

思い出すのは、森の王の城を突破してた時の事。

 

 

 

 

…「「] _______ /:____』『)……//[[[……_____

 

 

 

「敵の攻撃に気をつけましょう2B。」

 

そう、突然に話しかけてきた。

 

「わかった。ナインェズ」

 

あまりにいきなり、脈絡なく話しかけてくるものだから、咄嗟の返事になって…何か変な感じになってしまった。

 

「え!?今なんて言いました?」

 

呼び方のイントネーションに過敏に反応する。うぅ…困ったな。うっかりしてた。

 

「わかった。9S。」

 

ナインェズの所だけしっかり訂正する。

 

君は知らないだろうけど結構大変なんだ。

意識せずに普通に9Sって呼ぶのは。

 

「へ?違いますよね?もっとこう「ナインズ」的な発音でしたよね?」

 

嬉しそうな声でしつこく聞いてくる。

 

「黙って敵を倒す。」

 

そう言って、無理矢理この話を打ち切る。

 

「んもー!」

 

君の不服そうな、でも楽しそうな声が城に響いた。

 

 

 

 

 

 

ナインズ。

 

君と親しい人が君をそう呼ぶあだ名のようなもの。

 

…らしいけど、実際に呼んでいるという親しい誰かを私は今まで見たことがない。

 

だからその呼び方を知っているのは、現状私が知る限りは君と私だけ。

 

 

 

私と君との間だけのもの。

 

 

 

……次会話をするときは、ナインズとまた呼んでみようかな。

 

 

 

……いや、止めとこう。

 

後になって辛いだけだから。

 

 

 

]」[❬❬’‘‘ーー____・[・_‘_______’'’‘'ーー______

 

 

 

 

 

 

 

 

「……。」

 

手を強く握りしめる。

 

後悔だけが募っていく。

 

 

森林地帯に入ると、恐らく資源回収ユニットと思わしきものが近くに見えてきた。

 

パイプが剥き出しで所々が継ぎ接ぎ。なんというか即席といった感じだ。あの塔と比べると随分と見劣りする。

 

「霧が…。」

 

資源回収ユニットに近づくにつれて霧が濃くなっていく。私の記憶が正しければここに霧なんてなかったと思う。

 

 

「報告:敵大型ユニットから大量の蒸気発生を確認。」

 

「蒸気…一体何の為に……。」

 

[不明。]

 

近づいて入り口を探そうとすると、あちらもこっちに気づいたらしい。

 

またあの声が聞こえてきた。

 

『こんにちは!資源回収ユニットです。防衛体勢に入ります!』

 

資源回収ユニットの壁が ギギギ…と動く。

 

呼んでおいて防衛か。ふざけてる。

 

入り口を見つけ入ろうとすると、何か扉の上に文字が書いてあるのが見える。

 

「何だこの文字…何て書いてあるの…?」

 

見たことのない文字だ。

 

[「天使文字」と呼ばれる旧時代に用いられた特殊な文字。]

 

[肉の箱。という文章。]

 

「……何、それ…。」

 

意味不明な文章に疑問しか出なかった。

 

この建物には先程の塔のようなロックは無いらしい。中に入るとすぐにエレベーターで、扉が閉じて上がっていった。

 

暫くすると止まり、出口が開いた。

 

それから機械で出来た床のスロープのような螺旋状の坂を登り上を目指す。

 

「……この建物、内部まで機械で出来てる。」

 

[報告:機械の機能とは関係ない無意味な部品を多数確認。そうした部品が使用されている理由は不明。]

 

無意味な部品…。先程の蒸気といい。天使文字といい、相変わらず連中のやることは訳が分からない。いや、そんなことはどうでもいいか。大して重要じゃない。

それに、

 

「機械生命体のやる事に意味なんてない。」

 

ナインズだってそう言っていた。

 

ひとしきり登りきると、広間にでた。

 

「この森は、我ラの森……」

「オササ…王……サマ…」

「フクシュ……復シュウウ……」

 

手厚い歓迎をするように、奴らの声が聞こえてくる。

 

早速二本の刀を両手に構え、向かってくる奴らを斬り捌いていく。

 

今まで二刀流は慣れないからと思って、少ししかやった事がなかったけど、案外すぐに馴染んだ。

 

「復……シュウ……復讐……。」

 

体下半分を切り捨てられても、まだ生きている個体が何かを嘆いている。

 

…復讐か。

 

あの王様とやらを殺したのは私じゃない、A2だ。復讐するなら彼女だ。怒りの矛先が違う。いくら顔が同じだからって…。

 

……。

 

ふと、ナインズが殺されてしまった場面が浮かぶ。

 

ナインズの目は赤く光っていた。

 

…………ギリッ。

 

「復……シュッ

 

グシャァ

 

しつこく嘆く機械生命体の頭を踏み潰す。

 

しつこく踏み潰し、すり潰す。

 

 

そして次のエレベーターに向かう。

 

エレベーターが上がる。次の階に着くまでの時間に、またあの光景が浮かぶ。

 

 

……。

 

………わかってる。

 

わかってるんだ。私のA2への復讐心はおかしい物だって。

 

彼女はただ、自分の脅威になりそうな汚染機体を破壊しただけ。

 

それに仮に私が彼女より早く着いていても、あの汚染じゃもう私では助けられない。

 

そのときは…私がナインズを殺さなければいけなかった。彼の本当に本当の最期を…私の手で下さなければいけなかった。

 

私はナインズを、最後に殺さずに済んだんだ。

 

それなのに、何故これほどまでにA2が憎いんだろう。

 

訳が分からない。自分の事ですら。

 

 

______________________________

 

 

 

次の階に着く。

 

また広間だ。

 

機械生命体たちもまた大勢いる。

 

頭を戦闘に切り替え。先程と同じように、斬り捨てていく。

 

「痛い…痛イ……」

 

「苦しい……苦シイ……苦し……」

 

「ネェ………死ぬの……嫌……」

 

先程とは違って随分と弱気な声だった。そしておかしな事も言っている。

 

苦しい…。…苦しい?

 

じゃあ、なんで私に向かってくる。

 

死ぬのが嫌なら、何故戦いに?

 

「殺さないで……。殺さナイデ……ギッ……

 

慈悲なんてかけず、ただただ切り刻む。

 

何も気にする必要なんてない、だって。

 

 

 

 

 

「機械が苦しいわけないでしょ…?」

 

 

 

 

 

それは誰に向かって言ったんだろう。

 

 

どうでもいい。

 

 

ただ切り刻み、斬り捨て続ける。

 

「痛い!!イタイ!!」

 

「コロサナイデ!!……コロサナイデ!」

 

悲鳴が耳をつんざく。

 

「イタイ!!イタイよ!!」

 

「ごめんなさイ!!ゴメンナサイ!」

 

 

 

 

「コロサナイデ!!!コロサナイデ!!!」

 

 

 

「うるさい…」

 

「……うるさい……!うるさいなっ!!!」

 

ギンッと、最後の個体を両断する。

 

誰もいなくなった部屋に私の声だけがうるさく響いた。……次の階層に向かう。

 

 

 

______________________

 

 

 

 

エレベーターが上がった先はもう屋上のようだ。

 

中央で何か光っているのが見える。

 

それと、屋上の周りで何か浮かんでいる。

 

「機械生命体の部品が…。」

 

機械生命体のパーツがフワフワと上に向かって昇っている。

 

[推測:構造物自体の資材。もしくは、武器を生産するための資材。]

 

「武器…。」

 

つまり現地の機械生命体を解体して武器等に再利用してるってこと?資源回収ユニットの回収してる資源は…機械生命体ということか。

 

目の前に甲冑を着た機械生命体たちが現れる。王を慕っていたもの達だろう。

 

てっきりコイツらも、さっきの奴らも、ユニットへ配備されてた兵士なのかと思っていたが、どうやらただ資材として回収されていただけらしい。

 

 

 

…用済みって事?なんだか哀れだな。

 

 

 

数の差なんてものともせず、突き刺し、切り刻み、叩き斬る。

 

残ったのは鉄屑だけ。もうそんな物に興味はない。

 

中央にある光っているものに向かう。

 

これは…何だろう。装置に保管されているのか接続されているのか、丸くて光る球体が重要そうに真ん中の装置と共にある。正体不明な物体だ。ナインズなら興味を示したのかな。

 

『助けて…怖い……助けて……助けて……』

 

喋っている。じゃあコイツも機械生命体?

 

なら破壊する。

 

「ポッド。エネルギー収束。近接射撃モード。出力最大。」

 

[2B]

 

「発射。」

 

ドオオオォォォォォォォォォォォォオオオオ

 

 

先程の光球は、跡形もなく消し飛んだ。

 

何かポッドが言おうとしてた気がするけど、…どうでもいい。

 

〘アクセスキーを取得。〙

 

あ。

 

求めていたものが予想外の形で手に入った。

 

もう他にやるべき事はここには何もなく、帰ろうとする。

 

さっきまでは殺しの感覚を鬱陶しく感じていたが、いざ壊し尽くしてみると。なんだか満足した。

 

 

 

 

 

「コロセ………コロセッ………!!」

 

声が聞こえてきた。ふと声がした方を見る。

 

「コロセ……!オレヲコロセ……!!」

 

先程の甲冑機械生命体の一体がまだ生きていたみたいだった。

 

「コロセ…!俺を殺せ…!」

 

さっきの奴らが殺さないで。と言ったかと思えば今度は殺せ。

 

「……オレヲ殺せ!……」

 

 

殺せ。か…。

 

刀を構えようとするが、止まる。

 

どういうわけか先程とは違い、この機械生命体を殺そうという気持ちが湧いてこない。何故だろう。

 

先程との違いを考えてみて、気付いた。

 

快感がない。コイツを殺しても。

 

殺せと懇願する相手を殺したら、それはその相手の望み通りになってしまう。

 

それでは、私の気持ちが満たされない。

 

そう気づいたので、帰ろうとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

「殺せ……!コノ卑怯者ガッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

卑怯者。

 

その言葉に、足が止まる。

 

言い掛かりだと思い腹を立てたわけじゃない。

 

…その言葉は今の思考にも、過去の事にも、思いあたる節が多すぎた。

 

「…っ!…あああああっ!!」

 

ザンッ とソイツの頭部を刺す。

 

ソイツが望んだ通り、すぐにソイツは動かなくなった。

 

 

 

 

思っていた通り、私の手には何の快感もなかった。

 

 

 




用済みで哀れ。(特大ブーメラン)



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