NieR:Automata It might to [BE]   作:ヤマグティ

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受け継いだ記憶が実際どこまで影響をもたらすのか具体的には分からないので初投稿です。


Episode.11 [微カナ変化]

 

砂漠を滑り進んでいると、早速デカイ機械生命体3体が見えてきた。

 

私はあのガ……9Sから渡された方の大太刀とは別の、私が元から持っていた大剣を構え、滑ってきた勢いでジャンプし、頭に大剣を叩きつける。

 

ズバンッ

 

機械生命体の頭がぱっくりと割れる。

 

「…………ギ

       ギ……………」 

 

そしてそのまま剣と共に頭をぶっこ抜き、その頭を掴み、残りの二体に見せつけ、言う。

 

「楽しませてくれるんだろうな?」

 

二体は怒り狂い私に向かってくる。

 

あとはもう簡単だ。怒り狂ってる敵の動きは単純だから、手際よく捌いていく。

 

「……フゥ…。」

 

まぁ、ざっとこんなものか。

 

「大型っていうからどんな敵かと思ったら、大したことないな。」

 

こんなのではいつも相手してるのと大差ない。わざわざ砂漠にまで足を運んできて損したな。

 

そう思ったとき

 

[否定:敵機械生命体反応健在。]

 

……なんだって?

 

ゴゴゴゴゴゴゴ

 

地面の砂が揺れる。まさか砂の中にいるのか!?

 

 

ドバァァアン

 

「なんだ……あれは……!?」

 

砂中から丸い球体で体の繋がった巨大なムカデのような機械生命体が現れる。

 

[砂漠地帯用に進化した機械生命体と推測。]

 

[推奨:敵機械生命体の破壊。]

 

「言われなくても!」

 

奴は飛び出した後、上空で滞空し弾幕を撃ってきた。

 

撃ってくる弾幕を回避しながらポッドに射撃させ、撃ち落とそうとする。

 

くそっ。このハコにいきなり頼る事になるなんて…

 

[ヨルハ機体A2のような旧型アタッカーモデルには射撃機能はない。]

 

あ?

 

[推奨:遠距離攻撃手段を持つ本随行支援ユニットに対する感謝の提示。]

 

このハコめ……

 

「恩着せがましい…。」

 

 

ある程度撃っていると、急に体を球体ごとに分裂させ、地上に落ちてきてた。

 

「うおっ!?」

 

ゴロゴロと転がってくる。

 

「……ッ!」

 

ギィンっと大剣で弾く。ボールのようにゴロゴロと転がる。

 

……っ。…重い。それに…

 

「くそっ…固いな…。」

 

力一杯に刃をぶつけた筈だが、傷がついた程度で手応えがない。

 

仕方ない…。

 

 

 

「B(バーサーカー)モードで倒すか……。」

 

 

 

Bモード。それは…

 

[警告:核融合ユニットの出力を増大させるBモードは危険。]

 

[攻撃力は増大するが防御力は低下し、メンテナンスコストも増大する。]

 

おい今私が説明しようとしただろ。邪魔すんな。

 

[その証として、最新型のモデルからは機能削除されている。]

 

っ!! コイツ……さっきといい今のといい、いちいち旧型だの最新型だの言いやがって。

 

「悪かったな旧型で!」

 

そこ結構気にしてるんだぞ!!

 

 

あぁーもう腹立ってきた!危険だろうがなんだろうがBモード使ってやるからな!

 

「ううぅ……ああぁああ!!」

 

[は?]

 

体が熱くなり、その苦しさでうめき声をあがる。だが同時に、体中に力がみなぎってくる。

 

Bモード起動。蹴散らしてやる。

 

ん?まて、今このハコ は? って言ったか?それもすごいキレ気味で。

 

「!!」 ビィィィィィ

 

いやどうでもいい。今はこっちだ。

 

球体たちが私の変化に気付いたようでビームを放ってくる。

 

ビームは直線状なので死角に入り、一直線に向かう。

 

そして、

 

ギイイィン!!

 

また大剣で弾き飛ばす。また先程のようにボールのようにゴロゴロと転がる。

 

先程とは違い、転がる距離は長く、傷も深い。

 

いいぞ。手応えあり。切り尽くしてやる。

 

さらに追い討ちをかけようとする。

 

また奴に向かい、武器を構え、切りつけようとする。

 

そのときだ。ふと、転がるであろう先に、もう一球いるのが見えた。

 

 

 

 

 

 

………そうだ。

 

私は大剣を切りつける直前で、くるりと大剣の刃と峰を入れかえて、Bモードの出せる力いっぱいで振り、剣の峰をぶつける。

 

 

ゴンッ!!

 

敵の体に切り込みは入らない。当然だ。刃ではなく、峰を当てたのだから。

 

だがそのかわり。

 

 

ゴオォォオ!!

 

 

そいつはまるでボールのように勢い良く打たれ飛ばされる。

 

 

そして、

 

 

ゴシャァア!!

 

 

先にいたもう一球に勢いよく直撃し、互いに潰れた。

 

やっぱりな。同じ硬さをしてるんだ。勢いよくぶつかりあえばただじゃ済まないだろうと思った。

 

一瞬であの固いのを二体倒した快感に味を占めた私は次々と同じ方法で倒していく。

 

アイツらはデカイし結構トロイので、案外適当に打っても当たった。

 

ふふふ。いいぞ、これ結構楽しいな。

 

 

 

だが、アイツら奇数だったから最後に一体残ってしまった。

 

まったく…。キリよく終わりたかったのに…。

 

最後の一体に向かって走る。まぁ、一体だけで楽になったし、適当に切りつけ続ければいいか。

 

つまらないな……ん?

 

ふと、気付いた。

 

つまらない?私って今まであんな工夫した戦い方好んでやってきたか…?

 

いやむしろ適当に切りつけたりするのが楽しいと思ってた筈だ。

 

んん…。まぁいいか。戦闘に集中。

 

最後の一球に向かって斬りかかろうとして__

 

[警告:敵にEMP攻撃を関知。]

 

「何!?」

 

咄嗟に止まろうとするが、もうすでに光っているのが見えてしまった。

 

駄目だ。間に合わない_______

 

ビカァァァァァァア

 

 

 

 

 

 

 

 

目の前に真っ白な地面と暗い宇宙のような空間が広がる。

 

「ここは……。」

 

なんだここ。

 

[EMP攻撃の衝撃によってA2の記憶領域にハッキング被害が生じた模様。]

 

無機質な女の、あのハコの声が聞こえてきた。端的かつ分かりやすい説明ですぐさま状況を理解する。

 

「じゃあここは私の記憶領域か…。」

 

記憶領域。あるのが知ってはいたが、実際に見るのは初めてだ。こうなってたのか。変な所だな。

 

…ん?

 

「てか、なんでお前がここにいるんだ。」

 

[随行支援ユニットは支援対象機に不具合があった場合。内部モニタリングの義務がある為。]

 

また端的かつ分かりやすく伝えられる。

 

「勝手に人の頭の中に入ってくるな…。」

 

さて、私はここでどうすればいいんだ?

 

ハッキングされたって事は、原因が何処かにいるんだろう。

 

とりあえず、記憶領域内を歩き回って探してみることにした。

 

突然、ノイズが走る。

 

「クッ……。」

 

無機質な機械生命体の声がノイズ混じりで辺りから響いてきた。

 

「……私は………砂漠……試作機……人類を………殲滅するため………製作サレ……。」

 

 

「なんだ…?これは…?」

 

[敵機体からのハッキングにより敵のメモリ空間との強制融合が為されている。]

 

強制融合。なんだかわからないが言葉の響きからして、それってまずそうな気がするぞ。

 

「何とかできないのか!?このままだと私はどうなる!?」

 

[この強制融合は無意味な行動。危険性はない。]

 

「……。」

 

……そういうの早く言って欲しいな……。

 

またしばらく歩き回っていると、こんどは少年のような声が聞こえてきた。

 

この声は。

 

「機械生………を殲滅したら、僕た……士は

やる事が無くな……ます。」

 

「そうした……平和に暮らす……が……っとくるは……でザザザッ …Bにお似合いのT………ツを買っ………ザザザザッ ……約束………からね?」

 

所々ノイズまみれだが、なんとなく楽しそうな声をしてるのが分かる。

 

[本データは9Sの記憶データの断片。]

 

[2Bとの会話の記憶と推測。]

 

なんで9Sのが? ってあぁそうだ。今持ってる武器に記憶がどうこうって言ってたな。

 

あの日9Sから武器を受け取ったときも、少しだがアイツの記憶が頭に流れ込んできたな。

 

いや武器に記憶ってどんな技術だよそれ。

 

冷静に考えてみると、ヨルハの技術ってよくわかんな_______

 

 

「………は違うよ……二号……私達はみんな、自分で……選ん……ここま………んだ……。うううっ……。」

 

!?この声は…!!

 

「生きる意味を与えてくれて………ありが……と」

 

……!!

 

嫌でもあの日の光景が浮かぶ。

 

「やめろっ!!!」

 

[当該データはヨルハ機体A2の記憶と認定。]

 

「うるさいっ!さっさと接続を切れ!」

 

プツン…。

 

 

 

 

……。

 

気分が急に重くなる。クソッ…。さっさと元凶を見つけて取り除いてやる。

 

しばらく進むと一本道の先に、黒いモヤのようなものが見えてきた。その異物感に、一目でコイツだろうと分かる。

 

武器(なんでこの空間でも剣があるんだ?)を構える。人の嫌な記憶思い出させやがって。

 

「ママ………ママ……。」

 

何か嘆いている。ママ…。確か母親とかを指す言葉だ。

 

「ママ……。ママ…。」

 

…抵抗しないのか?コイツ……。

 

抵抗しない相手への攻撃を一瞬躊躇うが、このままでいるわけにもいかない。

 

ザンッ

 

と切り捨てた。叫び声のようなものはなく、静かにソイツは消滅した。

 

一通り終わると体がだるくなり、ガクッと座り込む。

 

「ハァ……ハァ…。」

 

多分Bモードの反動だ。体がぐったりとして気分が悪い。

 

先程の記憶がまだ残っており、そこに合わさって不快感が増えていく。

 

………四号。……皆……。

 

 

突然後ろに気配を感じる。

 

敵意は感じない。ゆっくりと向く。後ろにいるのは……あのガキ……の幻覚、か…?

 

 

「あなたはいつも、そうやって苦しんでいる。」

 

何だと?いきなり出てきて何が言いたい。

 

「誰にも頼れなくて、ずっと一人で抱えこみ、泣き叫けんでい

 

 

…っ!!

 

 

「うるさいっ!」

 

生意気な事を言うアイツに向かって剣を投げる。

 

 

 

トスッ

 

 

 

気がつくと、視界は砂漠に戻っていた。投げた剣は何もない砂にただ刺さっている。

 

「…うるさい……。」

 

あの残ってた最後の一体の球体は何処かへいったのか、ここにはもう居ない。

 

 

あのハコも何も喋らないので、酷く静かだった。

 

 




本編で出てきた2Bの幻覚何がしたいのか全然わかんなかったから幻覚ナインズ君も何しに出させたのか全然わかんねぇ…。

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