NieR:Automata It might to [BE]   作:ヤマグティ

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もっと上手く話をまとめれば早いテンポでここまで持ってこれた気がするので初投稿です。


Episode.4 [染ミ付イタ思イ出。ソシテ涙。]

データバックアップ中…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『バックアップ完了』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ハッ!…」

 

目が覚めるとそこはよく見知った天井。

 

ブラックボックスで消し飛ばす作戦は上手くいったようだ。

 

「ハァ…ハァ…」

 

記憶を完璧に転送したので隊員達に囲まれていた先程までの焦りがまだ残っている。

 

大丈夫だ。上手くいった、落ち着こう。

 

だが、安心に浸るには早い。急いで指令部に向かわないと。

 

急いで部屋を出る。

 

「2B!」

 

9Sも無事だ。

 

「急いで指令部に報告を!」

 

駆け足で指令室に向かう。

報告だけじゃない。安否も確認しなければならない。通信機能が停止してるなんてただ事ではないだろう。長い廊下を駆け抜け、二重のドアを抜け、指令室に入る。

 

そこには…

 

「これは……」

 

そこには何の変哲もなく、いつも通りの静かな指令室がそこにあった。

 

無事…らしい…?

 

急いで司令官のもとに駆け寄る。

 

「司令官!」

 

「2B…9Sも!?ここで何をしているんだ?」

 

司令官が本来此処にいるべきでない私達の存在に驚嘆の声をあげる。

 

「地上のヨルハ部隊がウィルスによって乗っ取られたんです!僕達は暴走したヨルハ隊員をブラックボックス反応で…

 

9Sが起きた事を端的に伝えようとするが

 

「ウイルス…?何を言っているんだ。地上からはそんな報告上がってないぞ?」

 

やはりというべきか情報は届いていないらしい。

 

「あれは偽装です!現在バンカーの通信は封鎖されていて…  

 

9Sが伝えようとするが

 

 

「……そもそも、命令もなく戦場から何故戻った?」

疑われている。

…確かにそうだろう。通信ロストなんて経験に無いことだ。だが危機感と焦りからどうしても冷静なっていられず、

 

「だから!ヨルハ部隊が暴走して…!

 

つい少し怒りがこもった声になってしまった。

 

「……。いや…汚染されているのはお前達じゃないのか?」

 

しまった。疑いが深くなった。

 

「違うんですっ!」

 

9Sが必死に訴える、だが

 

 

「2B、9S。貴様たちをウイルス汚染の疑いで拘束する。」

 

 

そう、告げられる。

 

ザッザッ

 

司令官の周りの護衛たちが武器を構え、近づいてくる。

 

「待ってくださいっ!!」

 

9Sが叫んだ次の瞬間。

 

『うっ、あぁぁ!?』

 

『くっ!?』

 

『あああっ!』

 

護衛たちが、呻き始めた。

 

護衛だけじゃない。オペレーターたちも同じ症状が出ている。これはっ…

 

『ふふふ…せいか~い♪』

 

護衛たちの、オペレーターたちの目が赤く染まる。

 

「汚染!?」

 

予想外の事態。一瞬頭がフリーズするが

 

『アアアッ!!』

 

「なんだっ!?」

 

「ッ!! 司令官!!」

 

咄嗟に司令官を後ろに押しとばし護衛の攻撃から守る。

 

襲いかかってきた護衛を蹴りとばし、隙をつくる。

 

「司令官ッ!退避します!」

 

兎に角今は無事な司令官だけでも連れてここから逃げなければならない。

 

「くそっ…扉が…!」

 

9Sが扉が封鎖されている事に気づいた。

 

「バンカー内部までウイルスが入っているのか!?」

 

『それも、せいか~い♪』

 

あのふざけた口調でオペレーターの一人が返事をする。

 

「オペレーターさん!?」

 

「違う…9S…あれは…」

 

恐らく乗っ取られた事による影響だ。となれば…

 

 

 

 

『私達は、機械生命体。』

 

 

 

 

 

低音、高音の混ざった不気味な声が再び返事をした。

 

『ネットワークとウイルスを通じ ハ ナ シかけ ている。」

 

「そんな、そんな事が!?」

 

前列のない事態に司令官が動揺している。

 

﹃随分と 楽しませて もらったけど~ドドト゛ッもう、この基地は終わりリだダダダね。ダネッ♪『

 

『うふふっ…あっははははあはははは!!』

 

﹃アハはあはあはは!ハハハアハハ!ハハああは!!﹄

 

不気味な笑い声をあげ護衛たち、そしてオペレーターたちもが私達に襲いかかってくる。

 

 

「…ッ!!」

 

攻撃を受け流し

 

かわし

 

押し戻す

 

けれでもその数の多さに、私一人では傷つけないで済むようになんて対応はしきれない。

 

どうすればいい?

 

今9Sはハッキングを仕掛け、扉の解錠を試みている。だけどバンカーそのものを乗っ取った機械生命体相手では9Sがドアを開けるまで、まだ時間がかかる。

 

それを待ってこのまま攻撃の手を緩めたままでいれば、司令官を…そして9Sも守りきれない。

 

 

 

だとすれば…だとすれば、私がやるべき事は一つ…。

 

 

 

 

 

……大丈夫…私ならできる……ッ!!!

 

ギリッ。と何かを堪えるように歯を鳴らし

 

 

「『アアアアア!!』」

 

「うああああああ!!」

 

向かいかかってくる護衛に

 

オペレーターに

 

刃を突き刺し

 

切り裂き

 

叩き斬る

 

 

『アアアッ…!』

 

「ヴあぁァ…ッ!!」

 

悲鳴が耳をつんざいた。

 

…気にするな

 

気にするな…ッ!!

 

 

「開いたよ!2B!!」

9Sがハッキングを成功させ扉を開ける。

 

司令官を連れ、急いで向かう。 

 

『緊急放送。現在バンカー内部の…

 

今頃になって警報が鳴り響き始めた。

 

何人…何体かを倒し、追っ手が少し減ったおかげで扉までの移動に苦はなかった。

 

扉を抜け安全な場所を探す。

 

〘ジジ…人類に……栄光..ァァァ…れレ…」

 

扉を抜けた先の廊下にも、汚染された機体達がいる。

 

「ヨル…ハ部隊…全…キ…発進…』

 

何かを喋っている。先程までと事なり、その言葉には敵意を感じない。

 

そうか

 

「まだ…意識が…」

 

隊員達は乗っ取られただけで…人格・意識そのものは別でまだ残っているんだ。

 

「2B!油断しないで!」

 

9Sの言葉で我に帰る。

 

目の前に切っ先が向けられている。

 

「ッ!!」

 

ギンッ 

 

咄嗟に刀で振り払う。そして

 

ザンッ ビシュ

 

迎撃する。

 

[あ゛あ゛っ…!!』

 

見知った顔の仲間たちを切り捨て、ただ走り抜ける。

 

ふと通信が入った。こんな状況で一体誰から

 

 

『ツービーさん、ワワ私……オペレーター6Oゥ。]

 

…6O!!

 

[オハナをありがとうゴ、ゴゴ…ザイマス…﹃

 

お花…?そうだ…

 

〙砂漠のバラハはキデスネ……ア アア リガトウアリガ…いつか…私……﹄

 

以前6Oに、その花の写真を送ってあげた事があった。彼女はオペレーターで、地上には行けないから。

 

どうして今その事を?ウィルスエラーを起こしているから?

 

いや違う、自分の死期が近いって…悟ったんだ。

 

通信が切れた。向こうから接続を切ったようだ。

 

「……ッ!!」

 

「司令官!この基地はもう駄目です!一旦退避しましょう!」

 

もうこのバンカーに安全な場所などない。

 

「どうして、お前たち二人は汚染されていないんだ?」

 

司令官が疑問を口にする。

 

「わかりません!」

 

そういえば、どうしてだろう。余裕がなくて気にしてなかった。

 

9Sが口を開いた。

 

「いえ……恐らく、僕がデータ同期を保留していたからです。以前、バンカーのサーバーデータにノイズがあったから、それが気になって……」

 

あぁそういう…いや、サーバーへのデータ同期は全ヨルハ隊員の義務。保留したのなら…なんでそれを私に言ってくれなかったの?

 

 

出撃前のやり取りを思いだす。

 

…..__△__△△△,ーー-,,,,ー,,▽▷◁-

 

「2B…」

 

「いや…なんでもない…気を付けて…。」

 

….…▽…▷._…▽」.,◁◁」」 ーーー-ーー---

 

 

 

「…そうか。」

 

司令官が何かを悟ったように不甲斐なさそうな声を漏らす。

サーバーデータにノイズ。多分この時既に、侵入されていたんだろう。

 

「アクセスユニットは汚染されています。

格納庫まで行って飛行ユニットを奪いましょう!」

 

9Sの判断の下、格納庫に続くエレベーターに向かう。

 

「司令官!格納庫から飛行ユニットで脱出します!」

 

エレベーターをおりる、幸い格納庫にはまだ汚染された機体が誰も来ていないようだ。

 

急いで飛行ユニットに向かう______

 

 

 

ふと司令官の足が止まった。

 

 

 

 

「司令官!早く!」

 

 

 

「…私は…行けない…。」

 

 

 

ヴヴン

 

 

 

司令官の目が赤く染まっている。

 

 

「あぁ…司令官…」

 

そんな。

 

「私も…サーバーとデータ同期をしていたからな…」

 

「でも…それなら9Sが…!」

 

ハッキングで直せると言おうとするが

 

「そんな時間はないッ!!」

 

その通りだ。その通りだけど…っ!

 

「お前たち二人は…最後のヨルハ部隊なんだ!生き残る義務がある!」

 

「司令官…」

 

9Sが悔しそうな声を漏らす。

私達が…最後の…ヨルハ部隊…。

 

「それに私は、この基地の司令官だ。」

「せめて最期まで上官らしく、いさせてくれ…」

 

司令官が堪えるような声で言う。もう汚染が深くまで侵食してきていた。

 

 

そんな。嫌だ。多くの仲間たちを失い、その上司令官まで…

 

「ッ!! 2B!!もう基地が…!!」

 

何かに気づいた9Sが急いで私を飛行ユニットの方へ引っ張る。

 

「司令ッ!!」

 

司令官に向かって叫ぶ。だが

 

「行けぇッ!!2Bィ!!」

 

「ッ!!!」

 

ガシャン

 

司令官と私達を隔てるようにドアが閉まる。

 

「うぁぁ…ッ!」

 

振り返り飛行ユニットに向かって走る。

 

そして乗り込み基地を出た_______

 

その直後だった。

 

 

ドンッ ボンッ ドカンッ

 

後ろから爆音。咄嗟に振りかえる。

 

基地のあちらこちらから爆発がおき連鎖している。さっき9Sは…きっとこれを感知した。

 

バンカーが火を上げ、崩れていく。

 

もうバンカーには、あの日々には戻れない。

 

あのいつも通りは戻らない。

 

もう、消えてしまったから

 

私達のバンカーが…仲間たちと、6Oと、司令と…9Sとすごした、あの場所が…

 

 

 

「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!!」

 

 

悔しくて、悲しくて、叫ばずにはいられなかった。

 

ただひたすら叫び、叫んで、

 

地球に向かってひたすら逃げた。

 

飛行ユニットが大気圏に突入する。

 

「う…ぐぅ……!」

 

大気圏突入の摩擦熱で全体が熱くなる。

 

ヨルハ機体も飛行ユニットもこれぐらいは耐えられる。

 

耐えられるが、

 

ゴーグルに染み付いていた涙は、一瞬で蒸発してしまった。

 




これまだ何のif展開もない原作そのままなんだよね。なんでヨコオはこんな酷い事するの?

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