NieR:Automata It might to [BE]   作:ヤマグティ

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NieR裏設定が多すぎてもう訳わかんねぇから初投稿です。


二人の二号 1/2
Episode.8 [生キル意味。]


 

 

 

空に見放された気がした。

太陽は容赦なく、血に濡れた体を照らす。

今はただ、降り止まない雨に焦がれている。

 

 

 

鳥に蔑まれた気がした。

それでもこの双脚は、大地を駆け続ける。

行きたい場所なんて、どこにもないのに。

 

 

 

花に笑われた気がした。

何も考えずに済むように、ただ命令を処理する。

恥じ入る必要も、権利も、選択も感情もないのだから。

 

 

 

 

君に..呼▫ れた気がした。

許され」■ら、願わせてほ,/_い。・▫-の幸せを。

これが、私の■期ー_:記-_______

 

 

              白の契約

 

            

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

❬2週間後…❭

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無機質な女性の声が暗闇に響く。

 

[ヨルハ機体、9Sのブラックボックス信号は途絶。死亡を確認。]

 

[情報を共有する。]

 

 

次に聞こえてきたのは無機質な男の声。

 

[ヨルハ機体、2Bは本日、レジスタンスキャンプ所属の協力者の支援あって破損部分の修復が完了。現在再起動可能状態にある。]

 

その返答の対になるような返事がまた無機質な女の声で響く。

 

[ヨルハ機体A2も再起動予定。]

 

[……]

 

[提案。ライトの点灯。]

 

カチリ

 

この世界の何処かの部屋に、小さく明かりがつく。

 

その明かりに照らしだされたのは2B、9Sと行動を共にしていた2機のポッドだった。

 

 

[確認:ヨルハ機体、2Bの安全の確保。]

 

黒い方の、ポッド153がもう片方の白い方に聞く。

 

[問題ない。]

 

白い方、ポッド042が答える。

 

[ならば、残りの課題は一つ。]

 

[我々はヨルハ支援システム。A2および2Bが稼働するなら随行支援する義務が存在する。]

 

ポッド153が問いかけるように聞く。

 

[同意。]

 

ポッド042がポッド153の言いたい事を肯定するように言う。

 

 

[引き続きポッド042はヨルハ機体2Bの随行支援を行う。]

 

[推奨:2Bの精神状態の定期的チェック。]

 

[了解した。]

 

___________________________________________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………う…」

 

意識が、戻ってくるのがわかった。

 

先程までの記憶も、戻ってくる。

 

 

………。

 

 

このままずっと目を閉じていたかったが、

 

ゆっくりと、目を開ける。

 

「あ、気が付いたみたいよ、デボル。」

 

「おはよう。よく寝たな、2B。」

 

 

ゴーグルがない。いや今はどうでもいいか。

 

周りを見る。

 

ここは……

 

 

廃ビルに囲まれ、空から日が差し込んでいるこの場所を、私はよく知っている。

 

ゆっくりと体を起こし、近くに置いてあったゴーグルを着けてこちらに話かけてきた二人の方を向く。

 

この特徴的な二人がいる、やはりここは。

 

「レジスタンス…キャンプ…。」

 

あの後…どうやら私は助かったらしい。

 

「貴方。二週間も眠りっぱなしだったのよ?」

 

おとなしそうな方。ポポルが心配そうに私に話かける。

 

「見つけてきた私に感謝しろよ?」

 

気の強そうな方。デボルがそう言う。

 

…………周りを見渡す。私の他にも負傷し、手当てされたようなレジスタンスのアンドロイドがちらほらいる。

 

だけど、その中に、彼の姿は見当たらない。

 

「ナインズは…?」

 

二人に聞く。彼の安否を。

 

 

…。

…本当は、分かってる。

でも、無意味でも願ってしまう。

 

 

「ナインズ…? …ッ……。」

 

ポポルが聞き慣れない名前に疑問を口にする。そして理解すると、顔を暗くした。

 

次に口を開けたのはデボルだった。

 

「……9Sの事なら…お前の方が…よく知ってるだろ?」

 

「…ブラックボックス信号も…切れている。」

 

普段は勝ち気な態度の彼女も、その声に影がさしている。

 

 

「……そう。」

 

 

あれから頭が落ち着いて、いつものように冷静になっているからか、…あの時のように動揺はせず。すんなりとその事実を受け入れられた。

 

 

 

 

[デボル・ポポルタイプのアンドロイドは治療・メンテナンスに特化した稀少なモデル。]

 

[バンカーが破壊された今、彼女たちが居なければ今後の2Bの修理・補修は厳しいと予測。]

 

[推奨:感謝の言葉。]

 

ポッドが突然喋りだし私にそう促す。

 

あぁ、お礼を言うのがナインズのことですっかり頭の隅に行って忘れていた。

 

 

「……ありがとう。デボル。ポポル。」

 

 

彼女達に礼を言うのはこれで二回目だったろう。以前もアダムに捕らえられていたナインズを探す為に彼女らの力を借りた事がある。

 

デボル。ポポル。

 

双子型であることと、赤い髪の毛が特徴的なアンドロイド。

 

以前はおおぜい同じタイプがいて、大規模システムの管理を任されていたらしいが、昔そのうちの一組が暴走して事故を起こしたらしく、それ以降その殆んどが廃棄されて現在残っているのは彼女達だけらしい。

 

今はこのレジスタンスキャンプで、昔同型が起こした事故の罪滅ぼしとしてレジスタンスに協力しているらしい。

 

そんな話を以前に二人から聞いた事も思い出した。

 

「……あまり無理をしないでね。2B。」

 

立ち上がる私にポポルが心配そうな声をかけた。

 

 

 

 

それから少し歩いて、レジスタンスキャンプの外に出ようとする。

 

だが、特別行き先があるわけではない。

 

ゆっくりと歩きながら、これからの事を考える。

 

 

 

 

…生きる目的が、無くなってしまった。

 

 

 

バンカーが無くなり、もう命令されて動く事はない。もう誰かに目的を与えられることはないだろう。

 

自由になったと考えればそうかもしれないが…。

自由になったところで、もう…ナインズがいない…。

 

彼がいなければ何の意味もないんだ、こんな世界。

 

だってナインズとの日々は私にとっての…光のような物だった。私にとっての…小さくても、……それでも希望だったのに。

 

なのに、

 

それなのに、もう君はいない。

 

私をずっと照らし続けてくれた君はもう…いない。

 

私だけが、一人残った。

 

暗いビルの間を抜け、レジスタンスキャンプの外に出る。

 

再び先程目覚めたときのように日の光があたるが、そこに何も暖かみも感じない。

 

 

…?

 

 

ふと視界の前方に違和感を感じ、ずっと下に向けていた視線を前に向ける。

 

「……これは………一体……。」

 

視界に映ったのは、巨大な白い建造物。

下から生えてきたかのような独特な形をしている。まるで木のよう。

 

前まではこんなものなかったのに。

 

[地下空間から出現した構造物。機械生命体に由来するものと考えられるが、詳細は不明。]

 

ポッドが私の考えてることを読んだのかように答える。

地下から…。あの時の揺れの原因はこれか。

 

[巨大構造物中央部から地上に伸びている区間に移動構造物を検知。]

 

「……エレベーター?」

 

[肯定。]

 

何の目的も無くなった私は、初めて見るその巨大建造物に何となく興味をもち、それを目指して歩いていった。

 

暫くして、巨大構造物の根本に辿り着く。

 

入り口になにやらロックのようなものが掛かっているようだ。

 

「ポッド。ハッキングして。」

 

[了解。]

 

ポッドが構造物の入り口に向かって疑似ハッキングを仕掛けるが、弾かれる。

 

「どうしたの?」

 

[アクセス拒否を検知。]

 

どうして?と聞こうとしたとき、突然声が響く。

 

『こんにちは![塔]システムサービスです。』

 

軽やかな女性の声。

 

『大変申し訳ありません。[塔]メインユニットにアクセスするにはサブユニットのロック解除が必要です。』

 

『大変お手数ですが、よろしくお願いします。』

 

周りを見渡しサブユニットとやらを探す。

 

あの突起物のようなものだろうか。

 

[疑問。機械生命体がこのようなアナウンスを行う理由。]

 

ポッドがそんな疑問を口にする。

 

「……機械生命体のやる事なんかに意味なんてない。」

 

ナインズがよく口にしていた言葉が私の口からも出る。

 

でも私の口から出たそれは八つ当たりのような、嫌味のような言い方になっている。

 

サブユニットに近づき、もう一度ポッドにハッキングを仕掛けさせる。

 

が、またポッドが弾かれる。

 

またか。と少し苛つく。

 

そして、またあのアナウンスが響く。

 

『こんにちは![塔]システムサービスです。』

 

『[塔]サブユニットのアクセスには[アクセス認証キー]が必要です。申し訳ありませんがアクセスを許可することは出来ません。』

 

だったら最初にそう言えば良いのに。

と、些細な事に苛立ちが募る。

 

駄目だ。感情が上手く制御できていない。

 

一旦落ち着こう。

 

そう思い、入れないなら別にそれで構わないとここを後にしようとするが、まだあのアナウンスが続いて響いている。

 

『その代わりとしまして。今回は初回アクセスをされた方に特別なサービスとして、「資源回収ユニット」へのツアーにご招待します!』

 

アナウンスがそう言うと、私の頭に突然ノイズが走った。

 

「……ッ!?」

 

突然のことで一瞬動揺し、体勢を崩す。

 

『またのご来場、心よりお待ち申し上げております。』

 

そう言い終わると、もうアナウンスは聞こえて来なかった。

 

「……何…今の……?」

 

[敵システムからの強制通信。「資源回収ユニット」と称する場所を通知。]

 

資源回収ユニット…さっきもアナウンスがそう言っていたけど、一体なんだろうそれは。

 

けれど、機械生命体が私にわざわざそんな場所を通達して来るように誘うなんて……罠に決まってる。

 

「かかってこいよ。殺してやる。」そう言いたいの?何がツアーにご招待だ。

 

小馬鹿にされた気分になってきた。

 

そう考えてみると、入り口・サブユニットにアクセスした時のアナウンスも、此方をおちょくる意図があったように感じてきた。

 

「……ふざけるな…。」

 

自然と荒い口調で言葉が出てきた。

 

考えれば、考えるほど怒りが募っていく、そもそもこいつら機械生命体が悪いんだ。

 

アイツらがバンカーを破壊しなければ、ヨルハ部隊を壊滅させなければ、ヨルハ隊員を乗っ取らなければ、少しでも違えば、ナインズは死ななかったかもしれないのに。

 

機械生命体への怒りが、憎しみが募る。

 

その影響から手を力強く握りしめる。力が入りすぎたからか、腕が小さくブルブルと震えている。

 

「ポッド。さっき言ってた資源回収ユニットの位置をマークして。」

 

[……目的の提示。]

 

そう聞くポッドの声は、気のせいかあまり乗り気じゃないように聞こえた。

 

「機械生命体の殲滅。」

 

それ以外の理由なんてない。

あの挑発には敢えて乗る。…返り討ちにする。

 

[ヨルハ部隊基地バンカーが破壊された現在、各部隊員に対する命令は留保されていると判断。]

 

[推奨:レジスタンス部隊との合流と、命令系統の再確認。]

 

ポッドが私に戦闘を控えるよう提言する。けど、私は断る。もう決めたんだ。

 

「…命令だからやるんじゃない。私が…そう決めた。」

 

ポッドにそう決意を伝える。

 

[………]

 

[……今後戦闘を継続するのならこれが必要と判断。]

 

 

 

 

 

 

 

「これって……黒の…誓約……。」

 

 

 

 

 

ナインズが最期に持っていた武器の、小型剣のほうだ。

 

私の持っている白の契約と、白と黒とで対になっている。

 

[今後戦闘するような事がある際、少しでも戦闘手段は多い方が有利と判断した為、捜索・回収しておいた。]

 

「…ナインズ……ッ……!」

 

刀の柄を握りしめる。これが…きっと最後の形見。

 

両手に刀を構え、慣らすため手でクルクルと数回動かした後、納刀し、再び歩きだす。

 

誓約。その言葉に則り。誓う。

 

「機械生命体は…殲滅する。」

 

自分にも言い聞かせるようにポッドにこれからの目的を伝える。

 

「それから……」

 

 

少し迷って。

 

それから考えて…、自分の欲求に従い決意し、言葉にだす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「A2を、殺す。」

 

 




本編と差別化するため、A2は大剣。2Bは二刀流にしました。

嘘です。僕の趣味です。


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