ちぃおぼえた。
凄いお待たせしました…。
またお待たせすると思いますが気長に宜しくお願いします。
よう、この感じも久しぶりな気がするな、杏一だ。
俺は今すごく悩んでいる。前語りとかどうでもいいことを考えてる余裕が無いくらいには。
そう、コナンの世界に転生したオリ主の大体がやっている、あることについてだ。
簡単に言うと人助けである。
だが、これをやる側は全然簡単じゃない。
そもそも、どの事件がいつ起きるかとか思い出さなければいけないし。
さて、原作開始からもう二日目になる今日この頃、時刻は大体18:30ぐらいだ。
そう明日始まるのである。〖迷探偵を名探偵に〗もとい、〖アイドル密室殺人事件〗が。
沖野ヨーコの元カレ君が深い後悔と憎しみの果てに、沖野ヨーコを犯人だと思わせるトリックを作り自殺する。というなかなか重い話だ。
だが、実際に沖野ヨーコが何かをした訳では無く、周りの人間と偶然によって起こされた悲劇で割と救われない真相だ。
じゃあさっさとその元カレどうにかしてやれよ。と思われるかも知れないがそうもいかない。
沖野ヨーコとはいわゆる準レギュラーなのだ、この事件をきっかけに毛利探偵事務所と友人関係になる、つまりここで下手に介入するとこの先関わることが出来なくなるかも知れない。
それは困る、困るのか?いや分からんわ。沖野ヨーコと関わらなくなって困るのって何の時だ?…まぁ、置いておこう。
それはともかくだ、この事件は毛利小五郎が眠りの小五郎として活動していくきっかけともなる、だからこの事件は割と重要なのだ。
…だがここまで言っておいて何だが、俺が今悩んでいるのは沖野ヨーコとの関りや眠りの小五郎の誕生の事などでは無い。
__原作で死ぬはずだったキャラクターが生き延びる。
簡単な事だ、今の俺は人の生き死にを取捨選択出来る。人の命は平等か、否か。
コナンの二次小説では、〖ピアノソナタ「月光」殺人事件〗の男の娘や、灰原哀の姉である宮野明美、この二人は生き延びることが多い。それは何故か?
死んでほしくない、と思う読者がいるからだろう分かりやすい話だ。
実際、亡き父の復讐劇を果たした男の娘は島の公民館に火を放ち、燃え盛る炎の中ピアノと一緒に死んでいく。それを真相まで見届けた視聴者や読者に向かって感情移入するなと言う方が無理な話だ。
宮野明美は言わずもがなだ、その最期もそうだが灰原の悲観に暮れた姿を見れば、もし生きていたらと考えてしまうのも無理はない。
で、ここで話を戻そう。この二人が二次小説で生き延びることが多い理由は分かった。
だが、元カレ君を含むその他モブを生かそうとする二次小説はかなり少ない。
ほんの一握りの更に一握りだ。では何故助けないのか?
性格が悪いから?見た目が良くないから?感情移入出来る程その人を知らないから?
そもそもモブまで書くのがメンドクサイから?…これは少し違うか。
じゃあ、これらの理由とあなたが自殺志願者ではない事を前提として一つ質問してみよう。
あなたの目の前にいきなり殺人鬼が現れ、
『俺はお前の事を良く知らないし、お前は見た目も良くない、しかも性格が悪そうだから生かす理由が無い。』
と言うと、あなたの事を殺しました。納得できますか?
…色々ツッコミ所はあるだろうが大方の答えが『ふざけるな』だと思われる。
納得出来るわけがない。自分の事を良く知りもしないで手前勝手に殺すな、と思う事だろう。
いや良く知られていたとしても殺されたくはないか。
そうなるとここで俺が元カレ君が死ぬのを何もせず放置するのは如何なものだろうか。
俺が直接殺すわけでは無いにせよ俺は助けることが出来る知識を持っていて、俺が助けることを阻害するものは無い。たとえ自殺だとしても、それが勘違いによって起こる事を知っている俺が見て見ぬふりをするというのは正しく見殺しというものだろう…。
まぁそこもどうでもいいんだが。
大体ジェットコースターの殺人を放置してるし今更な話だな。
モブは所詮モブ、読者の目に留まることすら出来ない奴は感情移入もされない。
そして、毎回毎回死んでいく被害者を、これまた毎回毎回感情移入する奴は、コナンを見ない。
読者が死者に感情移入しないのはコナンという作品を見に来ているからで、
この世界のモブが死んだところで、読者には『おっ、始まったな。』ぐらいの感想しか出ない。
俺もここで暮らして早17年だが、そんぐらいの感想しか出ない。新一が知ったらキレるだろうな。
そもそもの話、名探偵コナンという物語が事件を題材としている以上、全ての人間を救うなどという事は不可能な話だ。
じゃあ一体何に悩んでいたのか、だって?
世界へい…冗談だ。
悩んでいることは勿論、人助けの事だ。
悲劇や勘違いで起こる事件の、と付くが。
ただのモブは感情移入されないが悲劇のモブは感情移入される訳だ。生きるって難しいね。
で結局、今回の事件は助ける対象に入るのかどうかという問題で俺は今悩んでいる。
確かに元カレ君は勘違いを起こして死んだ、があんまり助ける気が起きない。
元恋人にひどく拒絶されたと思って自殺した。少しは理解できる。
だが、だからって罪を被せる様にする必要はあったか?
絶望して自殺を考えたとして、本当に自殺にまで行動を移せる奴とかむしろ珍しいのでは?
いやまぁ気持ちは分からんでもないからここまではいい。
一番の問題は、助けた後の元カレ君が何するか皆目見当もつかない事だ。
自殺するまで追い詰められた人間を相手にしたことなんてないし。
ましてや恋愛感情なんか俺は知らんから共感できない。
というか手間のかかったトリックを作っているとき、ずっと自殺しようと考え実際に自殺するほど熱意を持った人間を止められるのか?止めたとして、その熱意はどこに行く?
最悪、マネージャーを殺すのはあり得るし、沖野ヨーコと無理心中しそうなんだが。
せっかく助けても何するか未知数過ぎて助ける気力がどんどん削がれていく。
意外とあっさりと話が通じる可能性もあるが、あんな時間のかかるトリックを作ってる最中に正気に戻らないのが怖すぎる。覚悟決まりすぎだろ、侍かなんかか?
どうすっかなー、沖野ヨーコって芸能人だから当たり前だけど、どこに住んでいるか普通の方法じゃ分からないんだよな。元カレ君は知ってるっぽいけど。やっぱ怖えよお前。
はぁ、今日はもう寝るか。明日の俺に全て任せよう。
次の日の学校。
昼休みに、屋上で俺の協力者と話していた。
「―――頼むよ、俺達トモダチだろう?」
「オメーのは脅迫だろうが」
本来、屋上は閉鎖しているが協力者お得意のピッキングで入っているので俺達二人以外に人の姿はない。
「なんだ正体をばらして欲しいならそう言ってくれ」
「やっぱ脅迫じゃねーか!ったくよ、そん代わりに今度爺ちゃんとこでバイトしろよ?」
「分かった分かった。」
協力者には昨日沖野ヨーコの住所を調べてもらうように頼んでいて、今情報を受け取っているところだ。
「それにしてもオメー、アイドルの住所なんて何に使うつもりだ?」
「何って…人助けだ。多分な。」
そういうと、ちょうど学校のチャイムが鳴り始めた、急ぐほど教室から遠いわけでは無い。
が、これ以上はここに居る意味もないだろう。
協力者も同じように考えたのか、俺は協力者と一緒に教室へ戻り始めた。
学校が終わり、家に帰ると蘭から電話が来た。
新一がもう三日も連絡がつかず、しかも家に帰った様子も無いのでなにか知らないか。
と、泣きこそはしていないが、かなり心配しているようだ。
どうやら昨日博士とも話をしたらしく、その日は一旦納得したけども今日も学校に来ていなかったので俺に相談をしに来たらしい。
『今難事件を追っていて連絡する暇もないらしい。俺の方からアイツに電話を掛けるよう言っておくから心配するな。』
そう言ってやると蘭は少し安心したのか、分かったと電話を切った。
…本当のことを言えないのは心苦しいが言えるような内容ではないし仕方が無い。
携帯に目を向けながら心の中で蘭に謝っていると、またもや携帯から着信音が鳴る。
今度は何だと電話に出てみれば、深刻そうな声をした
「…頼むぜ杏一、せっかく探偵事務所やってるお前の父親のところに行ったのに、黒づくめの男の情報なんて一向に来ねぇ、このままじゃずっとこの姿だぜ…。お得意の未来予知でどうにか出来ないのかよ。」
自販機で買った缶コーヒー渡していると、小さく溜息をつきながらコナンが話す。
お得意の未来予知というのは、俺が事件を解決する時にいつも
読み取ると言ってもそこまで凄いものでもなく、ほぼ勘みたいなものである。この世界での俺の身体スペックが無駄に高いせいで、人の仕草とかに目敏く気づいてしまうのだ。
しかし、俺が事件を解決する事は滅多に無いので、世間一般では違う呼び方が主流になっている。俺はあまり気に入っていないが。
「俺が本当に未来予知が使えたとしたなら、平成のホームズは子供に戻る事が無かっただろうよ。それに、お前はいつも未来予知に否定的だったろうが。」
まぁ知ってて子供に戻る事を黙認したけど。
というか、何時もの新一ならバーローと決まり文句を言った後未来予知を否定してくるだろうに、どうやらかなり参っているらしい。
「そりゃそうだよなぁ、どうにもならねぇ、か」
「ああ、こればっかりは機会を待つしかないだろうな。…それはそれとして、俺はこれから出かける用事があるんだけどお前はどうする?」
「ん?出かけるって何処にだよ。」
「少し部屋探しにな…。」
―――二人から少し遠い茂みの中…。
⦅コナン行っちまうぞ!⦆
⦅うん!あれ…?コナン君と一緒にいるお兄さん何処かでみたような…?⦆
⦅うーむ…あぁ!あの人ってもしかしてあの人じゃないですか?!⦆
⦅おい光彦!誰だよあの人って!⦆
⦅覚えて無いんですか元太君、あの名探偵工藤新一さんの助手の"平成のワトスン"ですよ!⦆
小さな探偵の卵たちも動き出す。
書き溜め?
そんなもの
うちにはないよ...