ウマ娘の短編

好評で有ればまた違うウマ娘のヤンデレも書こうかな

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副題:少女狂踪~Lunatic scarlet~


ダイワスカーレットと共にURA優勝を目指すお話

 

 

 

 

「初めまして!あなたが私のトレーナーさん?」

 

美しい。

私が始めてのパートナーとして選ばれたウマ娘は"ダイワスカーレット"と言うウマ娘だった。

 

その名前に有るスカーレットに恥じぬぐらいの、光と力。そして知性を兼ね揃えたその深紅の眼差しに俺は始めての恋をお前にしてしまったのだ。

 

「……私は一位を取る。その為に協力しなさい!トレーナー!」

 

日々時間が進むにつれて、俺はダイワスカーレットの気質を大体悟る事が出来始めた。

 

こいつは多少人に対しての当たりが強いが、根は優しくそして何処までも勝利に貪欲だった。

 

外の上面も中々厚く、基本その本性を知る昔馴染みらしい"ウオッカ"。そして勘が妙に良い先輩だけが彼女の上面に気がついていないのだから驚きだ。

 

誰か先輩トレーナーが言っていた気がする。

こいつは取っつきにくいと。

 

違う。だだその言動で勘違いされただけで……こいつは本当に勝利に貪欲なだけなんだと、私は思うしかなかった。

 

「……ちゃんと見ていた!?私の走り!!」

 

俺たちは最初の登竜門。

"ジュニア級メイクデビュー"に向けての調整を向けていた。

 

ダイワスカーレット。もといスカーレットは"逃げ"だとか"先行"と言うように、主に速度に注意して強化していったら良い子だと聞いていた。

 

その為には、スピードを上げる訓練をして時には休んでと過ごしていたら、もうスカーレットのデビュー数時間前になった。

 

コースは京都 芝 中距離2,000m/右・内。

スカーレットが得意な中距離に芝に。

コンディションさえ整えば確実に一位を取れる所である。

 

「……緊張してるか…?」

 

「はぁ!?……私が緊張なんてそんな事……」

 

語尾になるにつれて、声の大きさが下がっていくのを見るとどうやら大分緊張しているらしい。

 

「…………まあ自分らしく勝利を掴め。」

 

「トレーナー……応援としては下の下よ。それ」

 

スカーレットは羽織っていた上着を丁寧にたとんでこちらに投げてこう瞳を輝かせて言ってきた。

 

「でも感謝するわ。そこで見てなさい!私の走りを!」

 

そう誇り高く胸を張ってスカーレットはレース場に入っていった。

 

>晴天に恵まれた京都馬場<

 

>勿論一番人気は8番ダイワスカーレット<

 

少しだけ緊張が残っているのか動きが固いようだ。

 

>全員ゲートイン完了出走の準備が整いました。<

 

もうここから、俺の出来ることは無い。見守る。それだけだから。

 

>さぁ!一斉に走り出しました!<

 

ゲートが開く。

全員が遅れなく、走り出し芝を踏みしめて動く。

 

ウチのスカーレットは今回は"逃げ"を作戦を軸に今まで特訓してきたからその速度は他のウマ娘よりも明らかだ。

 

段々と速度を上げて、後続を二馬身、三馬身と離していく。

 

終わりは自分が思うより速く。

最終のコーナーをターンするともうゴールはすぐそこだった。

 

>ダイワスカーレット!一着!<

 

>他のウマ娘と大きな差を付けて優勝しました!!<

 

電光掲示板を見ると二着とおよそ四馬身差を付けて勝ったことが分かる。

 

それでも栄光は長くは続かなかった。

 

>ダイワスカーレット、チューリップ賞二着<

 

>ダイワスカーレット、桜花賞四着<

 

嫌。分かっていた。

俺に格別な勝利を導けるほどの指導力が有るとは思わなかったし自分でもそうだろうとは思わなかった。

それでも俺が惚れたその瞳の為に……!

 

 ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄

 

命令書

 

ダイワスカーレットのトレーナー"■■■■"は■月■日を持って、その役を終える事。

 

尚、ダイワスカーレットにおいてはフリーとし、

 

 ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄

 

グシャッ

 

手のひらでぐちゃぐちゃにするしか無かった。

分かっていた。

最初に劇的に勝利したあの時から、これからも"そう"で有ることを期待して居たということぐらい。

 

分かっていた。

 

分かっていた。

自分には教えられるほどの力が無いことぐらい。

 

「………過去に戻れたら。」

 

何と馬鹿げた事だが、人間誰しも想像した事が有るだろう。

"もし時の針を過去に戻せたのなら"

 

それが今だった。

過去に戻って今一度スカーレットのトレーナーで今度こそ優勝を!!

 

「………これは……?」

 

そんな事を思っていたら右ズボンのポケットに異物感を感じ、それを取り出してみた。

 

………黄金の懐中時計だった。

それは見事な純金製で、そんな物の価値を素人目でしか分からない俺でもこれは高価な物だろうと分かる。

 

何故か、俺はこれの使い方を知っている気がした。

これは"過去を刻める"のだろう。

何で自分の手に有るのか分からない。

そもそも本当に過去に行けるのかですら確かでも無い。

 

……最後の博打だった。

おれは迷い無く引き金を引いたのだった。

 

 ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄ ̄_ ̄_ ̄_

 

[4月・オープン前]

 

「………戻った……か。」

 

どうやら俺は賭けに勝ったらしい。

桜が舞い散るそこには俺が憧れたルビーを思い返させるかのようなダイワスカーレットが居た。

 

「………君がダイワスカーレットだな」

 

「ええ。そうよ。宜しくね。私のトレーナー」

 

でも結末は変わることはなかった。

 

>ダイワスカーレット、チューリップ賞二着<

 

>ダイワスカーレット、桜花賞三着<

 

結局。未来が変わる事は無かった。

いや。一つだけ順位が上がっただけで結局変わる事すらなかった。

 

 ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄

 

命令書

 

ダイワスカーレットのトレーナー"■■■■"は■月■日を持って、その役を終える事。

 

尚、ダイワスカーレットにおいてはフリーとし、

 

 ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄

 

「………認めない。こんな未来なんて……!!」

 

前回とまったく同じ結末。

同じ未来。

こんなことにしないために、俺は戻った筈なのに……!!

 

それでも憎しげに時計はキラリと光輝いていた。

 

「……………………」

 

俺はまるで光に導かれる蝿の如くその時計の針を戻した。

 

_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄___ ̄

 

>ダイワスカーレット、チューリップ賞一着<

 

>ダイワスカーレット、桜花賞一着<

 

>ダイワスカーレット、オーグス六着<

 

「………繰り返す。」

 

 ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄ ̄ ̄ ̄

 

>ダイワスカーレット、チューリップ賞一着<

 

>ダイワスカーレット、桜花賞一着<

 

>ダイワスカーレット、日本ダービー七着<

 

「……何度でもっ!!」

 

 ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

>ダイワスカーレット、チューリップ賞一着<

 

>ダイワスカーレット、桜花賞一着<

 

>ダイワスカーレット、オーグス三着<

 

>ダイワスカーレット、秋華賞五着<

 

「………今度こそ!!」

 

 ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄______

 

>ダイワスカーレット、チューリップ賞一着<

 

>ダイワスカーレット、桜花賞一着<

 

>ダイワスカーレット、オーグス一着<

 

>ダイワスカーレット、秋華賞三着<

 

>ダイワスカーレット、エリザベス女王杯六着<

 

「……次こそ!!」

 

 ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

>ダイワスカーレット、チューリップ賞一着<

 

>ダイワスカーレット、桜花賞一着<

 

>ダイワスカーレット、オーグス十着<

 

「……こうじゃない」

 

 ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄________

 

>ダイワスカーレット、チューリップ賞一着<

 

>ダイワスカーレット、桜花賞一着<

 

>ダイワスカーレット、オーグス一着<

 

>ダイワスカーレット、秋華賞二着<

 

>ダイワスカーレット、エリザベス女王杯三着<

 

>ダイワスカーレット、大阪杯六着<

 

「………もっと……!!」

 

 ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

>ダイワスカーレット、チューリップ賞一着<

 

>ダイワスカーレット、桜花賞一着<

 

>ダイワスカーレット、オーグス一着<

 

>ダイワスカーレット、秋華賞三着<

 

>ダイワスカーレット、エリザベス女王杯二着<

 

>ダイワスカーレット、大阪杯一着<

 

>ダイワスカーレット、天皇賞(秋)五着<

 

「………やっと進んだ。」

 

 ̄_ ̄_ ̄_ ̄__________

 

>ダイワスカーレット、チューリップ賞一着<

 

>ダイワスカーレット、桜花賞一着<

 

>ダイワスカーレット、オーグス一着<

 

>ダイワスカーレット、秋華賞三着<

 

>ダイワスカーレット、エリザベス女王杯二着<

 

>ダイワスカーレット、大阪杯一着<

 

>ダイワスカーレット、天皇賞(秋)一着<

 

>ダイワスカーレット、有馬記念十二着<

 

「…………………………………」

 

 ̄________________

 

>ダイワスカーレット、チューリップ賞一着<

 

>ダイワスカーレット、桜花賞一着<

 

>ダイワスカーレット、オーグス一着<

 

>ダイワスカーレット、秋華賞三着<

 

>ダイワスカーレット、エリザベス女王杯二着<

 

>ダイワスカーレット、大阪杯一着<

 

>ダイワスカーレット、天皇賞(秋)一着<

 

>ダイワスカーレット、有馬記念三着<

 

「…………」

 

もう。何回繰り返したかすら。

覚えていない。

一つの馬場を攻略するのに何回も繰り返した。

 

見捨てた時間軸も多く有る。

そもそもスカーレットを見ない時間軸をも繰り返した。

 

何度も、何千回も繰り返す内にスカーレットが優勝するまでの道筋。ゴールラインが大まかに見えてきた。

まず初期は三着まで、そして最後の方は一着にならなくてはならない。

 

そう考えるとこの時間軸も失敗だ。

巻き戻そう。

 

カチッ

 

そうやって後ろに延びていく様な時間の流れに身を任せていると何時から自分は巻き戻せば良いだろうと考え始めたのかと思ったがどうせまたすぐに戻すだろうと考えるのを止めた。

 

「………まるで薬やっている様だな。」

 

何処かの時間軸の自分が俺を嘲笑った気がした。

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

「初めまして!あなたが私のトレーナーさん?」

 

「………ああ。君がダイワスカーレットだね?……宜しく。」

 

そうやってまた時間を繰り返した。

 

今度こそ勝たせてあげると言う意思を持ちながら……そしてどうせここも駄目だろうなと思いながら。

 

 ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄

 

またこの感覚だ。

世界が白黒になって、粉々に砕けて行く感じ。

 

そのあとすぐに、背中が引っ張られ気がついたら春の学園に居た。

 

今まで鍛え上げてきた肉体は入学した直後の体に変わっていて、また巻き戻ったんだなと自覚する。

 

「初めまして!あなたが私のトレーナーさん?」

 

「………ああ。君がダイワスカーレットだね?……宜しく。」

 

ここ数百回ぐらいは運が良い。

同じトレーナーの元で出来ている。

たまにこの人は浮気性なのかウオッカのトレーナーになっていたりダキオン先輩のトレーナーだったり、はたまた名前も知らない無名のウマ娘のトレーナーになっていたりしていた。

 

……まったくそんな風に、嫉妬を煽っているのもかわいい所だが、やっぱり自分だけをみていてほしい。

 

一目惚れだった。

彼にとって何回目の私かは知るよしもないが、私にとってそれは運命の人と言っても過言じゃ無かった。

 

私が一番やりやすい様に、もっとも効果が有るように鍛え上げてくれるのには少しだけ違和感を感じたのだ。

私がどれだけ悪態を付いても彼は絶対に私を見捨てる事もなかった。

 

………私が時間を巻き戻っていても狂わない理由はそこなのだ。

いや。本当は狂っていて、ただそれに気がついていないだけなのかも知れない。

 

でも正気に戻ったら、絶対に二度ともう彼と同じ時間には居られないだろう。

その予感は強くある。

ウマ娘としての勘だけでなく気取った言い方するならば女の勘とやらだ。

 

…………まぁでも。

トレーナーさんは勘違いしている。

 

「………こんばんわ。」

 

何千回と繰り返す中で、寮のバレない脱走の仕方なんて幾度と無く覚えた。

 

勿論向かう先なんて一つだ。

愛しい"トレーナー"の元へ。

その人は質素な部屋で魘されながら眠りに付いている。

 

「…………馬鹿な人」

 

本当に馬鹿な人だ。

ただ"私に勝って欲しい"それだけの思いでこの人は幾度と無く時間を巻き戻したのだろう。

 

……その勝利の果てに貴方が掴めるのは名声だけだと言うのに。

嫌。わかっている筈だ。

少なくとも一回。GⅠの優勝を自分が指導しているウマ娘が居たならばもうそれは引く手あまただろう

に。

 

貴方は少なくとも私を絶対にURAを優勝させたいらしい。

でも………

 

私が優勝したら貴方は離れていく。

そんな事は絶対に許さない。

 

_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_

 

「ねぇ……トレーナー?もしこの決勝。私が優勝したらどうする?」

 

「………ん?。特には考えてないが……少しだけゆっくりとしたいなぁ……一人で。」

 

「………そう。じゃあそこに。私は居ない訳ね?」

 

「………居ない訳と言っても、お前はこれから引く手あまただろうに。」

 

「………………………そう。」

 

_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_

 

なら。

私から離れていくと言うならば

それが私が勝ち続けるのが原因だと言うのならば。

 

"私は勝たない"

 

何度も負けてあげよう。

でもあまりにもやり過ぎた敗北は彼の心を殺す。

 

じゃあ勝って…良いところで負けて……次の時間に移ろう。

大丈夫。時間は大量に有る。

 

今までおよそ6兆5千回近くしか繰り返してない。

でももうちょっと繰り返せばもっと幸せな未来……具体的に言うと"私と貴方が幸せな家庭を作ってる"世界線だとかね?

大丈夫。

あらゆる障害は全部壊してあげるから。

 

だからまた戻しなさいよ。

トレーナー?

 

 






解説をしますと、ダイワスカーレットのトレーナーは元々そんなにウマ娘を教えるのに向いていなかった。
だが愚かしくもその勝利までに渇望するダイワスカーレットの姿を見て、ダイワスカーレットがURA優勝…そんな姿に憧れてずっと時間を巻き戻してる。

だがダイワスカーレットもそれに気が付いて、少しずつ自分だけを見て欲しい…(たまに浮気して違う子のトレーナーしたから)…と思い始めて、もしここで優勝しちゃうと私から離れていくのではないかと思うと抑えきれなくなり、ならわざと負けて何度も繰り返させてこのぬるま湯みたいな時間をずっと……(ヤンデレ)


みたいな感じです。

感想をバンバン宜しく!!
好評で有ればまた違うウマ娘のヤンデレも書こうかなって思ってます!!

では。




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