新幹線変形ロボ シンカリオン 未来への光! 作:ニャンコスライム
ハヤトは父の忘れ物を届ける為、ケントの案内で大宮の地にある「鉄道博物館」に足を踏み入れた。
年間何十万人という膨大な人数が訪れるこの場所は、今日も今日とて鉄道を心の底から愛する者や、興味を持ち始めた子供とその保護者で溢れかえっており、古今東西の車両と触れ合ったり、運転シミュレーションで高評価目指して奮闘したり、そして屋上で新幹線の疾走感を体感したり等、様々な体験をする者達でごった返していた。
その賑やかな雰囲気の中に一瞬混ざりたくなった二人だが、「あっ!早くお父さんを探さなきゃ…!」というハヤトの一言で気を引き締めると、行き交う人並みの中ホクトを探し始める。
「ハヤトはあっち側を探せ、僕は反対側行ってみるから!何かあったらすぐ僕のスマホに知らせてくれっ!」
「分かった、ケント兄さんにも任せる!」
その頃のホクトは、背中側に研究所のロゴマークがあしらわれた青と白の上着をまとうと、地下階行きのエレベーターに乗っていた。
そして父を探すハヤトは、とあるドアを見つけてそれをケントに伝え、彼が戻ってくるのを待つとそのドアに近づく。
「ここで良いのかな…?」
「STOFF ONRY」と書いてあった為にケントは焦って止めかけたが、よく見るとカードリーダーらしき装置がある。
ハヤトがポケットから父のShincaを出してリーダーにかざすと、何故かドアが勝手に開いた。
「失礼しまーす…。」
ハヤトはそう小声で言って入っていってしまい、ドアを押さえていたケントはその後を追うか数秒迷ったが、後ろを振り返って見られていないか確かめると、不法侵入して申し訳ないと思いながら中に入りドアを閉める。
「あっ、階段…」
中には地下に続く階段が一つあり、二人がそれをゆっくり降りていくと…。
「・・・嘘でしょ?鉄博の地下にこんな所があるなんて…。」
「ああ…。」
そう、階段を降りたその先には、まるで謎の研究機関のような所があった。
戸惑いながら歩いているうちに、二人はある部屋を見つける。
「あっ、あそこかな…?」
そう言ってハヤトとケントがそっと窓から中を覗くと、父・ホクトの姿がそこにあった。
「あっ、お父さん…。」
「ああ、おじさんだね、間違いなく…。」
気づかれないよう小声で話し、何かの指令室のような室内をくまなく見渡すと、モニターに巨大な怪物が暴走する様子が映っているではないか。
「何だあれは…!?」
「分からない…。」
「出水っ!これは一体どういう事だ!」
中で父の声が響いた。
「原因が分かりませんが、再生したようです。現在格納庫に閉じ込めてますが、破壊されるのも時間の問題ですっ!」
その言葉通り、レイルローダーは格納庫の中を闊歩して縦横無尽に破壊の限りを尽くして暴れまわっていた。
コンテナを一つ投げ飛ばして爆破、そして渡り廊下も巨大な両腕を振り下ろして叩き壊し、また「グオオオオオーーーーーッ!」と吠えた。
そしてこの時、密かにこの様子を見ていた者がいた。
それは今朝、速杉家のベランダにいたあの白い服を着た少女だった。
背の高さとシュッと整った綺麗な顔立ちからして、人間で言えば高校生くらいだろうか。
美しい金髪を頭の高い位置で白いシュシュで結び、結び目から髪の先までの長さは背中の中心まである。
両目は目が覚めるほど美しい瑠璃色で、まるで青い宝石だ。
頭の上には虹色に光る宝石が埋め込まれた銀色のティアラが、首から胸まで同じ宝石が使われている白いペンダントが下がっており、左腕にも同じ宝石を使った白いバングルが装着され、どのアクセサリーにもついているその宝石は誰もが目を奪われる程の美しい輝きを放っていた。
身に付けている白いワンピースは、肩から二の腕の一部がパフスリーブで、手首部分がレースで飾られたゆるめの長袖。
肩にリボンが付く白いケープマント、右手首に小さな黒いリボンが付いた白いカフスを付けている。
スカートは見るからにふわふわの白いレースが三重に重なり、その中に柔らかいシルク布が包まれたデザインとなっているもの。
さらに後ろには腰のあたりに白い後ろリボンが付いていた。しかもその後ろリボンは翼のように大きくなり、その力でふわふわと浮遊している。
そして白いタイツと白い編み上げショートブーツを履いているというまるで天使のように清楚で可愛らしい出で立ちだ。
「何よあれ…!お告げ通りの世界を探して来てみれば…」
衝撃の光景を見て少女はそう零し、両肩に乗る小さな黒猫と小さな水色のユニコーンも声には出さないが同じ思考だった。
「E6と、E7は!?」
「メンテナンス完了してません!現在出撃できるのは、
ホクトの左隣にいる男性指令員「
先に出水が述べた通り、3日前の戦いで出た「E6こまち」と「E7かがやき」の2体のシンカリオンはレイルローダーを捕獲する際に甚大なダメージを負い、残っているのは「E5はやぶさ」のみなのだが、こちらは上手に駆動できる者が一人も現れないままホームに封印されている状態なのだ。
それを盗み見していたハヤトとケントは
「お父さんの仕事って、鉄博の職員じゃなかったの?これって一体…。」
「だね、そもそも僕達にとってこんな機関自体に謎が多過ぎでしょ、おじさんもずっとごまかしていたとしたr『どちら様でございま〜す?』ぶはっ!」
「うわああっ!!ッ!?」
ケントがそう言いかけたところで二人とは違う声がかかり、二人は素っ頓狂な声でずっこけた。
「何だ…?ロボット…?」
『わたくし、車掌ロボットの『シャショット』でございま〜す♪』
ハヤトと体を起こしたケントの前にいたのは、丸みを帯びた白いボディに手足を生やし、緑の帽子をかぶっているようなフォルムのロボットで、ディスプレイがそのまま顔になっている。
「シャショ『関係者以外の無断入場確認!警報を鳴らしまーす!』うわあぁっ!しーっ、静かに、見つかっちゃうよぉ!」
「ぼ、僕達はスパイなんかじゃない!警戒するのはやめてすぐにこの子のお父さんを呼んでくれっ!」
警戒MAXで赤いアラート画面に変わったシャショットを二人は慌てて取り押さえ、ケントは無実だとばかりにホクトを呼んでと訴える。
「「?」」
わずかに漏れてくる会話にフタバとホクトが気づいた。
さらにここでシャショットは
『えっ、あれ!?適合率検出っ!68、74、85、あぁ〜、急激な適合率増加は、ワタクシメガマワリマス…。』
そう言ってブラックアウトしてしまった。
「誰だっ!」
ホクトが言えば、出水がボタンを押してドアを開ける。
そしてシャショットを抱いたハヤトとケントの姿があらわになり、二人はゆっくり顔を上げた。
「ッ!?ハヤト、ケント…?」
「もしかして息子さんとご友人の方ですか?」
すぐにホクトは二人に駆け寄って「ハヤト、ケント、何でここにいるんだ?」と尋ねると
「ごめん。これ、忘れてったから…。」
「僕もその付き添いで。おじさん、ごめん。それから皆さんにも、申し訳ありません。」
ハヤトがポケットから出したShincaを手渡し、ケントもホクトと出水、他の指令員に向かって頭を下げて謝罪する。
「そうだったのか、ありがとうな。でも、今ここは危険だから、早く帰りなさい」
「うん…。」
しかし!ホクトがShincaを受け取って退出を促した矢先にそれは起きた。
ガシャァァァンッ!!
『うわああっ!』
「ハヤトっ!」
突然ガラスが割れる音がこだまして同時に悲鳴が響く。ケントも咄嗟にハヤトを抱き寄せて身を固めた。
ホクトが振り返るとレイルローダーがガラスに拳を叩きつけたようで、ガラスに大きなヒビが入っている。
「不味い、ここも見つかったっ!」
「この強化ガラスでは、10分保ちません!避難するべきですっ!」
『きゃあああっ!』
本庄がそう言う間にも、2回目のパンチをもろに食らったガラスのヒビがさらに深くなって悲鳴が上がり、ケントもハヤトの手を取って逃げようと回れ右をした。
身をかがめて衝撃を耐えた出水は苦渋の発言をする。
「くっ…。やっぱりE5を出すしかありませんっ!」
「出水も知っているだろう!適合者などいないっ!」
『適合者はいるのでございま〜す♪』
出水とホクトがすったもんだしていると、いつの間に復活したシャショットがそんなことを言い出した。
「シャショット、お前まで何を言っている…!」
ホクトが言うが、当のシャショットは
『そうではなくて、この少年でございま〜す♪』
そう言いながらハヤトの手の中で落ち着いた。
「えっ、俺?」
「ハヤトが…?」
「あのさ、君、言ってる事が理解不能なんだけど・・・。」
『手をお借りいたしま〜す♪』
シャショットが自分の体にハヤトの手を添わせ、ディスプレイが機能し始める。
そして計測が終わった頃には、信じられないような事が起きていた。
「適合率、96.5%!?どういう事だ…!」
「えっ、何?何の事?」
「何か特別な事をした兆候は無い様に見えるけど…。」
「いくら高い適合率の持ち主でも、シミュレーターすらやった事が無いじゃないですかっ!」
「シミュレーター…。あっ、もしかして…。」
その本庄の言葉を聞いたハヤトは何かを思い出すと、リュックを下ろして中からホクトのタブレットを出し、「SHINKARION SIM」を表示させて「このゲームの事?」と言いながら父に手渡す。
「いつの間に…。ハヤト、これ、やったのか?」
「うん…。」
ホクトがこのゲームの事をハヤトが知っている事に驚きながら画面を操作してランキングを見ると、1位の欄に正しくハヤトの名前と成績が刻まれていた。
「さ、最高成績…!?」
「それがどうかしたの?」
『これは力になってもらえる可能性、大でございまーす♪』
するとシャショットが時計回りに回転しながらそう言い出した為、それを聞いたフタバが反対意見を飛ばす。
「ちょっと待って下さい!もしかしてE5に乗せる気ですか!?彼はまだ子供ですよっ!?」
「しかし、このまま手をこまねいていれば、最悪のシナリオになりかねないのも事実だ!」
外ではレイルローダーがすでに傷だらけのガラスに向かって3度目の攻撃を仕掛けようとしていた。
「速杉さんっ!」
事件が渋滞し表情と言葉を失うホクト。
ケントはいつでも逃げられるようドアに近い場所にいるが、そこから様子を見守っている。
その時ハヤトが重い口を開く。
「…お、お父さん…。」
「?」
「よく分からないけど、俺、お父さんの力になれるの?」
「ハヤト…!」
「もし俺に、お父さんを助ける力が、本当にあるんだったら…俺、お父さんの役に立ちたいっ!」
「っ!」
「だから、どうやったらお父さんの力になれるか、教えてよ!」
真剣な顔ではっきりと「お父さんを助けたい」と言い切ったハヤトを見つめるホクト。
その時、それに心打たれたのか、ケントが無言の空気を打ち破った。
「…皆さん、僕も
『…………………………。』
「ケント兄さん…。」
ケントが試すように発した正論には、一同が黙ってしまうほどの重みがあり、まさに論破された出水もフタバも本庄もぐぅの音も出なかった。
そしてホクトは…
腹を決めた。
「朝のシミュレーターの感覚は、覚えてるか?」
「えっ、う、うん」
ホクトはハヤトの頭に手を乗せ、
「お父さんの事、信じてるって言ったな」
「…うん、もちろんだよ!」
ハヤトの返事を聞くと、ホクトは懐から「E5はやぶさ」の名が刻まれた1枚のShincaを取り出し、ハヤトの手に乗せて言った。
「よしっ、行くぞ、ハヤト!」
「うんっ!」
「やる事はやったので僕もこれで失礼します」
成り行きを見守って顔を綻ばせたケントはそう言うと、ハヤトのリュックを持ち一礼すると部屋を出て、ハヤトもそれに続いたが互いに別方向へと向かった。
指令室を出たケントが出口を探して歩いている途中、脳内に不思議な声が響く。
『ケント君、で良いかな?少しこちらに来てくれ』
「え?」
振り返ったその瞬間、ケントは白い光に包まれ、気づくと一面真っ白な空間にいた。
前に目を戻すと、チラホラと赤い光を見せる白い光球があり、それがみるみる人の形になっていくと
「う、ウルトラマン…?」
そう、目の前に、赤と銀の2色のボディに、乳白色の瞳、胸に輝く青い円形の水晶を持つ存在―――「ウルトラマン」がそこに居たのだ。
この世界じゃテレビの中の存在で、多くの子供達が憧れを抱いていた伝説のヒーローがいたのだから、ケントは内心混乱していると、その思考を読まれた。
「最初に少し落ち着いてほしい、ケント」
「あっ、うん…。」
「私の事を知っているそうだが、改めて名を言おう。M78星雲、光の国から来たウルトラマンだ。よろしく」
「僕の名前は嵐ケント。こちらこそよろしく。っていうか、何でテレビでしか見てないあなたがここに?それに何故僕を…。」
「最初に言うと、確かにこの世界では我々は空想上の存在に過ぎない。だがある時私は、とあるお方からこの世界の事を聞いて、宇宙の壁を超えてたどり着いた。次に、君の大勢の大人達を相手にしても怯まず、友達たる男の子を信じて発言する勇気。私はそこが素晴らしいと感じたのだ」
「そうなんだね、分かった。そうだな、なら・・・ウルトラマン、君の方も何か目的があるんだよね?それにさっき見たように何か大変なことになっていそうだし・・・僕もハヤトが僕の助けを必要としなくなる時まで見守るしかないか。ハヤトを助けなきゃならない時の為に君の力を貸して!」
「交渉成立だな。話が早い」
少し考えて出したケントの返事を聞くとウルトラマンはそう言って光球の姿に戻り、ゆっくりと近づくとケントの胸からスッと入り込む。
ケントがさらに右手を見ると、ウルトラマンの変身アイテム「ベーターカプセル」が握られていた。
すると一体化を終えたばかりのウルトラマンが言った。
『実は私の他に、私についてきていた少女が先にこの中にいるはずだ』
それを聞いてケントはその場からくるりと方向転換し、格納庫に向かって走った。
一方同じ頃、ハヤトがたどり着いたホームには、美しい緑色に輝くE5系が停まっていた。
ハヤトがドアまで歩いて近づいた時、迎え入れるようにドアが開く。
「(すごい、本当に俺、E5系に乗れるんだ…。)」
運転席まで進むと、ドアから特殊な光が発せられ、それを浴びたハヤトは、エメラルドグリーンと白を基調とした「パイロットスーツ」にチェンジした。
「えっ、これは…。」
自分の姿が大きく変わった事に驚くものの、そのまま席につく。
「でもこれ、どうやったら運転できるんだ…?」
その時、『聞こえるか、ハヤト』と父の声が聞こえ、ハヤトは耳に装着されているインカムに手を当てる。
「大丈夫か?」
『う、うん…。』
「E5系に乗せる約束が、こんな形になるとはな…。」
『何言ってるの、あの約束は別だからね、ちゃんと守ってよ』
「ハハハ…。」
その軽い親子コントの後、出水とフタバも動く。
「三原君」
「はい」
「君もいきなりだがオペレーションの実践だ。準備いいな」
出水が言うと、フタバは何も言わずに空席となっていたホクトの右隣の席に飛び込み、さっと左耳にインカムをセットした。
「お願いします!」
「良いかハヤト!お父さんがこれから、順に教えていく!」
「うんっ!」
「まずはShincaを『超進化マスコン シンカギア』にタッチして、シンカリオンE5を発車させろ!」
ハヤトはそれに従い、中央にあるコントローラー、「超進化マスコン シンカギア」のカードリーダーにShincaをかざす。
『ピピッ!』という音と同時に『この列車は、地下格納庫行きです』と男性の声でアナウンスが鳴ると
「シンカリオンE5、出発進行!」
腕木式信号が斜め下に下がって青に変わると同時に、そう言ったハヤトはレバーを引いた。
すると、緑に光る車両はゆっくり動き出し、一気にトンネルに突入する。
「(凄い…。俺新幹線を動かしてる…。)」
「良いぞ、ハヤト。次にその『超進化マスコン シンカギア』を装着しろ!」
言われた通りハヤトは「超進化マスコン シンカギア」に左腕を差し入れ、ハンドルを掴むと光とともに取り外す。
それと同時に周囲が無機質な運転室から青いラインが何本もほとばしる不思議な空間に変わった。
「シンカギア、起動確認」
「よしっ、レバーを一気に下げて、超進化速度に到達させるんだ!」
「分かった!」
そう伝えられたハヤトは素早く右手をレバーにかけ、渾身の力で手前に倒した。
『超進化速度、加速します』
そのアナウンスが響くと、これまで体感したことがないようなケタ違いの速さに突入し、指令室のゲージもどんどん上がっていき、ハヤトは必死にその速度に耐えた。
そうしている間に、ゲージが1225のところで止まり緑に光った。
「超進化速度、到達」
「よし!ハヤト、スロットにShincaをセットして、シンカリオンに変形させろ!」
ホクトの指示通り、シンカギアの側面にはカード挿入スロットが2段あり、言われたハヤトは下部のスロットに自身が乗る機体のShincaを差し込んで軽く押すと、シンカギアの前面カバーが展開し『E5…』と鳴る。そして
「「チェンジ!シンカリオン!!」」
親子二人で息を揃えてそう叫ぶと、『シンカリオンに変形します』のアナウンス。
そして、E5はやぶさの先頭車両側面を飾る鳥のシンボルマークが眩い光を放つと、先頭と後尾の車両が連結し、先頭車は上半身に、後尾車は脚部に変形する。
そして上半身から頭が出ると、その瞳が光を放ち、刀身がピンク色に光る剣を振りかざした。
『シンカリオンE5はやぶさ』
その頃、格納庫でレイルローダーが中を破壊しまくる様子を見ていた少女は、暴れん坊将軍を体現するあまりの暴走ぶりについにしびれを切らし、右手を天にかざして稲妻を纏った黄色い光の玉を打ち込もうとしていた。
「一瞬聞こえたけど、人間達にも手を出したり、よくここまで好き放題に・・・!っ、もう許さないっ!」
「ちょっ、フローラ!?待って!まさかあいつを殺るつもりなの!?!」
「そうよ、ダイアナの言う通りよ!それなりに広いとはいえこんな室内で魔法をぶっ放しでもしたらどうなると思ってるの!?それにあんなデカブツだし少し思いとどまった方が…。」
「うるさいっ!ダイアナもオパールも黙ってて!!」
「そんなぁ」
「ぴえん」
フローラと呼ばれた少女はそれぞれダイアナと呼んだ黒猫、オパールの名を持つユニコーン、その二人の友人の制止を振り切ってついに雷の魔法を投げつけようとした。
「喰らいなさいっ!」
だが、その腕を振りかぶる事はできなかった。
よく見ると、緑色に光るロボットが颯爽と空中から舞い降り、着地を決めて立ち上がっていた。
それを見たフローラは貯めていた魔力を吹き消す。
同じタイミングでケントもこの場所にたどり着いて、その光景を見た。
「E5系が…ロボットになった…!…っ!」
ハヤトはこの姿を見て少々驚いていたが、レイルローダーが気がついて視線を向けると、E5はやぶさの瞳が光った。
「あの夢と同じ展開だわ…。」
フローラはそう呟き、ケントの中にいるウルトラマンも次のように思案しながら見守る。
『おそらく地球人が作り出したあのロボと我々が知る怪獣とはまるで違う敵意むき出しの怪物…、勝利を手にするのはどちらだ…!』
♪主題歌:進化理論
これにて記念すべき第1話は終了です。
ここでキャラ解説。
・嵐ケント CVイメージ:小林祐介
ハヤトとアズサの幼馴染の高校2年生。一人称は「僕」。
幼い頃からハヤトと付き合っている為、今では彼が考えている事を理解するのも誰より早く、例え話の通訳には少し苦労するものの、気持ちを汲んで代弁できるようになってきている。
母のナナミはハヤトの母であるサクラと親友関係にあり、フウカという名の中学生の妹もいる。
本作でウルトラマンに選ばれ彼と一体化した。
・フローラ
魔法と宝石の国「ジュエルランド」の第一王女。
作品内で触れた通り金髪碧眼の美少女で、性格は基本的に穏やかで優しく、主に白中心の服を着ている。
ジュエルランド出身なので多彩な魔法を操る事ができ、一見すると十代に見える「絶世の美女」レベルの容貌も魔法で維持しているらしい。
作品で触れた宝石は「レインボーダイヤモンド」というジュエルランドの王家の家宝で、それを使ったアクセサリーも母親であるジュエリーナ女王から第一王女の証として受け取り大切に身につけている。
「プリズムボイス」と呼ばれる美しい歌声と「ハッピーダンス」と呼ばれるダンスの才能も持っていて、この声で歌った歌を聞いた者、ダンスを見た者は誰でも幸せな気持ちになれるらしい。
その2つの才能を活かして「人間界」と呼んで度々交流の為滞在している地球では「神アイドル」として活動しており大いに人気がある。
作者考案の本作オリジナルキャラクター。
・ダイアナ CV:宍戸留美
フローラのジュエルランド時代の幼馴染。
見た目は頭の上に立っている飾り毛と足先が白く染まったマンチカンで、瞳に輝く宝石は「宝石の王者」と呼ばれるダイヤモンド。
頭の上にピンクのリボン、首にピンクの付け襟を巻き、その上からハートをかたどったネックレスを付けている。
小柄だが立派なキュートレディになる事を夢見ていて、フローラには何かと懐いており、人間界でも共に行動する仲。
ジュエルパワーは「女の子のチャームアップ」。
・オパール CV:沢城みゆき
見た目はたてがみと尻尾が紫になったミニユニコーン。
瞳に輝く宝石は名前と同じ虹色の宝石オパール。
小さな水色の翼をパステルカラーの宝石の玉で飾り立てており、ユニコーンのトレードマークである頭の上に立つ鋭い角も自慢の一つ。
純粋な心を持つ人間にしか姿が見えず、不思議な魅力を持つ女の子。
フローラとは自分の姿が見えている事から打ち解けている。
ジュエルパワーは「隠れた才能を覚醒させる」。
次回は幕間のつもりでサイドストーリーを投稿しようと思います。お楽しみいたたければ幸いです。