西住家の大黒柱=【ナイトライダー】   作:ピポサル

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早い登場ですが、某教育局長が出ます。
徐々にナイトライダー風の展開になってきています。


【第9話】

KITTの案内によって戦車を見つけた俺たちは、KITTに倉庫まで戦車を牽引することにした。

ノーズ先端から発射したグラップリングフックを戦車に引っかけ、慎重に引っ張りながら倉庫前まで牽引したが、流石に戦車の重量が重かったこともあって、なかなか思うようにいかなかった。

が、それでも何とか倉庫前まで運び出すことに成功した。

ちなみに、戦車一両を引っ張るほどの力を持つKITTの姿を見たみほの同級生たちは、再び驚きの声を上げていたが、いちいち驚くと体がもたないぞ?まぁ、無理もないけどな。

 

『常夫』

「どうした?」

『無理に引っ張ったせいでアルファ回路に支障がきたしています』

「あぁ・・・すまん。お前に無茶させてしまったな」

『いえ、別に構いません』

「あ~・・・何だったら俺が修理してやろうか?それともボニーに連絡しておこうか?」

『ボニーに連絡をお願いします。あなたの腕は決して悪くないのですが、ボニーの方が繊細でより綺麗に直してくれるので』

「・・・正直な感想をどうもありがとう」

 

で、他の戦車も探そうとしていた時に他の生徒たちがやってきて、別の所でもそれぞれ戦車を見つけたらしく、今、自動車部の子たちに運搬をしてもらっているらしい。

というか、KITTが見つけてくれた所はどれもこれも見当たりづらい所に戦車があったはずだったんだが、僅か一日の間で見つけるとはな・・・・思わず、感心したよ。

 

 

 

 

 

 

 

それから、他の戦車が4両ほど運搬されてきて、とりあえず今日はここでお開きとなるそうだ。

っていうことは、自動車部の子たちが整備をすることになるのか?他の子たちはもう帰ってしまったけどさ・・・・。

ちなみにみほたちも帰った。これから、まだ色々とすることがあるみたいらしい。

しょうがないかと思った俺は、自動車部の子たちと一緒に朽ち果てた戦車たちの整備を始めた。彼女たちは、車や戦車などを整備することが大好きみたいで、かなりの重労働の中でも笑顔を絶やさずに生き生きと整備に励んでいた。

ちなみに俺の整備さばきに感銘を受けたのか、自動車部の子たちに『先生と呼んでも良いですか!?』ってキラキラした目で言ってきたことがあった。

流石に先生って呼ぶのは止めてほしい。俺は、そういう風に呼ばれるほど出来てないからな。

 

 

 

 

 

 

 

それから長時間にわたり、倉庫内で一通りの整備をし終えたあと、彼女たちにもう夜も遅いから帰るように促した。

その後は、俺とKITTが倉庫内に残って戦車の整備の最終チェックをしつつ、KITTにデボンとの連絡をとりながら文科省の情報について収集するようお願いした。

ちなみにボニーにも連絡をとって、アルファ回路を直してくれないかと頼んだら呆れ半分怒り半分の反応だった。なんか、毎度毎度ごめんな?

 

「で、どうだKITT?何か分かったことがあったか?」

『デボンさんからの情報によると、Team Knight Riderの一人が軍事企業の人間と文部科学省の人間が落ち合ったときの現場の写真を撮ったらしく、今その写真のデータが送られてきました』

「ほぅ・・・で?」

『その写真のデータに基づいて、文部科学省の職員の中で同じ人物がいないか探りましたところ、該当する者を見つけることが出来ました』

「よくやった。で、誰なんだ?」

『こちらに来てください。今、映します』

 

俺は作業していた手を止め、KITTの所へ近づき、ダッシュボードに付いてあるモニターを見た。

するとそこには、いかにも平凡なサラリーマン風の眼鏡をかけた男が映し出された。

 

「こいつが?」

『はい。名前は“辻廉太” 文部科学省の機関の一つである学園艦教育局の役人で、肩書きは文部科学省学園艦教育局長と呼ばれており、大洗学園の廃校を告げた張本人とも思われます』

「こいつがねぇ・・・」

『情報によるとこの男は、学園艦の老朽化をはじめ、近年目立った実績が無い、生徒数が年々減っている等々ありとあらゆる理由を付けて学園艦にある学校を廃校に追い込んでいるみたいです。また、時にはあまりにも横暴な手段を用いて廃校を強行する姿勢もあり、更には以前から学園艦解体業者との癒着をはじめ黒い噂が囁かれているそうです』

「間違いなく黒だな」

『ですが、これはあくまで情報の一環しか過ぎません。決定的な証拠がない限り、彼が法の裁きを受けることはないでしょう』

「その決定的な証拠を突き止めるのが俺たちの仕事だろ?それと、この学園の廃校を阻止することと軍の連中に思い通りに行かせないこともな」

『でしたら、こんな所で油を売っている訳にはいかないのでは?』

 

確かにKITTの言っていることには正しい部分もある。本当なら今すぐにでも情報を集めて、確たる証拠をつきつめておくべきなのかもしれないが・・・俺には少しばかりの考えがある。

 

「KITT、今すぐに証拠を集めたとしても、おそらく無意味だと思うぞ?」

『どういうことですか?』

「例え、そいつと軍事連中の証拠をつきつめて逮捕できたとしても、廃校の危機が去る訳じゃないからさ」

『何故、学園の廃校の計画が続くと思うのですか?』

「その辻廉太っていうのは、所謂トカゲのしっぽ切りのような奴だ。おそらく裏で誰かが操っているはずだ。それも大物のな。もし、辻廉太が逮捕されたとしても裏で操っている奴が健在だったら、そいつの独断で何がなんでも廃校しようと画策すると思う」

『それは、あなたのお得意の“勘”ってやつですか?』

「そういうこと」

 

文部科学省の機関の一つである学園艦教育局の役人っていうのは、文部科学省の上の人間もしくは政治に関わる人物にとっては、トカゲのしっぽ切りのような存在だ。

そもそも疑問に思ったのが、そんな奴の独断で仮に軍事企業の連中と契約か何かを結んだとしても莫大な金が必要になると思う。しかも、そんなお金をその役人如きが用意できるかと思ったらNOだ。

おそらく裏で誰かがそいつを利用して暗躍しているんじゃないかと俺は思った。

それに、もし裏で暗躍しているものが大物だったら、例えそいつが失敗して逮捕されたとしても私たちは関係ないって言って、関係を断ち切るか存在そのものを無かったことにするかでいろいろと処理することができるからな。

大きな事件の裏には大きな人物が暗躍している・・・お祖父ちゃんがよく言ってたっけな?

 

 

とりあえず、KITTに情報収集の続きをするよう頼んだ後、俺は夜遅くまで戦車の整備を続けた。

余談だが、整備のしすぎで疲れてしまった俺は、誰が置いたのかは分からない少しボロいソファーに横になって、そのまま寝てしまった。

で、起きたときはみほを含めた戦車道チームがやってきたときだったから、みんな揃って驚いていたな。

 

 

 

 

 

 

なんやかんやありながら、IV号戦車D型、30(t)戦車、八九式中戦車、Ⅲ号突撃砲F型、M3中戦車リー等の以上の戦車を整備し終えて朝を迎えた俺は、そのまま彼女たちに別れを告げてKITTに乗って学園から出て行った。

ちなみに生徒会の子たちによると、今日は戦車を洗車する日らしく、また、時間があったら戦車とそれに乗るチームのメンバーを振り分けるらしい。

だから、もう大丈夫だと遠慮しがちな様子で言ってきたから、この場に留まり続けるのもよくないと思った俺は、事件の調査を始めることにした。

 

 

実は今日は、デボンに頼んで、車一台分乗せるほどの輸送船を使って来てくれることになっている。

俺は輸送船が着艦できる場でKITTと共に待ち、その後デボンが操縦する輸送船がやってきて、俺とKITTはその輸送船に乗って内地での調査から始めることにした。

ちなみに輸送船にはボニーも同乗しており、KITTのメンテナンス及びアルファ回路を修理してもらった。

さて、直してもらったことだし、まずは学園艦の教育局長を務める辻廉太の所在を調べて、そいつの所へ直談判をしに行くところから始めるとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから財団の力を借りて、霞ヶ関の官公庁街にある文部科学省が入っている高層ビルの受付で警察の者で辻廉太と話がしたいとの裏で話を通したことからすんなりと入ることができた俺は、文部科学省学園艦教育部という名の一室で犯罪者の一端として絡んでいる辻廉太と対面した。

 

「えぇ~と・・・あなたが?」

「どうも、マイケル・ナイトです」

「おや、外国の方でしたか?」

「えぇ、こう見えても」

「それで、警察の方が私に何の用ですか?」

「それが、ちょっと小耳に挟んだことがありましてね?実は、あなたが違法な立ち退きをしていると一部の住人からの通報を受けましてね?」

「私がですが?ははは、そんな馬鹿なことはしていませんよ?」

「いや、私もまさかそんなことは無いと思うんですがね?ただ、あまりにも尋常じゃないほどの通報を受けたものですからその真偽を確かめたいと思って来たんですよ」

「・・・別に調べるなりするなりしても構いませんが、令状は取って来てありますよね?」

「いえ、今日はほんの確かめに来ただけですから、そう本気になさらないでください。では、私はこれで」

「・・・そうですか。では、私も仕事に戻らせていただきます」

「はい、お忙しい所すみません」

 

人当たりの良い人間を演じながら部屋を後にした俺は、先ほど出た扉が遠くから見えるところで身を潜ませながら、周りに誰も居ないことを確かめつつコムリンクを使ってKITTに連絡をとった。

 

「KITT、近くには誰も居ないか?」

『はい、常夫。先ほどあなたが出て行った部屋で例の男が何処かへ電話をかけています』

「おそらく、俺のことについてだろうな・・・傍受して録音できるか?」

『やってみます』

 

KITTが電話を傍受し始めると、コムリンクのスピーカーからさっきの男と電話先の相手の会話が聞こえてきた。

 

『どうしたのかね?』

『先ほど、私の所に警察がやってきたんですが・・・』

『警察だと?追い返したんだろうな?』

『いえ、何も調査しないまま確認しただけで帰りましたので・・・』

『そうか・・・なら良いが、あまりへまなことはするなよ?』

『わかっています』

『で、例の廃校の件と軍事企業の件はまだなのか?』

『軍事企業の件に関してはまだ先になりそうですが、廃校の件に関しては手続きの方を進めております』

『そうか。なるべく早く済ましておくようにするのだぞ』

『わかっております』

『それと、つい先日大洗学園の戦車道が再開されたとの情報を聞いたが本当かね?』

『はい』

『優勝すれば、廃校の件は考えてやると君が言ったそうだが・・・それも本当かね?』

『・・・はい』

『君、わかっているだろうが、これは戦車道各流派とその企業を中心としたプロリーグを立ち上げるのと、それらを世界大会へと続けるプランにも関わることなのだよ?』

『・・・はい』

『それにもし軍事企業との間に支障でもきたして契約自体が無かったことになってしまったら、私の今後の裕福な余生を過ごすことが出来なくなるのかもしれんのだぞ?』

『それは・・・』

『ふん、まぁもし優勝するようなことになれば君の首が吹き飛ぶだけだから私は痛くも痒くもないがね』

『・・・・・』

『では、くれぐれも慎重にな』

『わかりました』

 

そこで通話が切れたが・・・こりゃあ、とんでもない裏が関わっていたな。

っと、そういう考えているうちにさっきの部屋からあいつが出てきたな。何処へ行くのかは分からないがこれはチャンスだ。

俺は、KITTに頼んで監視カメラをハッキングしてもらい、あいつが部屋から出て離れて行ったのを見計らって、扉の前まで忍び寄り、手袋をはめた後にキーピックを使いながら部屋の中へ入った。

部屋の中は整理整頓されており、書類などの用紙が机の上に綺麗に並べられていた。

 

(さて・・・どれが当たりなのか)

 

机の上の書類だけでなく、棚の中に入っていたファイルなどを手当たり次第に調べてみると、大洗学園の廃校に関する書類や世界大会に向けてのプランについて、そして軍事企業に関する書類などが諸々見つかった。

俺は、服の中に隠していた小型カメラを使ってその書類の写真を撮ったあと、帰ってくる前に元の場所に戻し、そ~っと部屋から出て、急いでKITTの所へ戻った。

 

『どうでしたか?』

「収穫ありだ。でも、これだけじゃあ足りない」

『電話の主のことですよね?』

「あぁ、そうだ。電話先の男は自分の私腹を満たすためにいろいろと悪どいことを考えているみたいだ」

『では、次の目的はどうするんです?』

「決まっている、次は電話の主を突き止めることだ」

 

俺はKITTを伝ってデボンに連絡をかけながら、次の調査に移った。

 

 

 

 

 

 

それからして、夜になったこともあり、今日は仕事の事情で帰れないことをみほに連絡をしてから、内地にある安いホテルで一夜を過ごすことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日の朝、とりあえず学園艦に戻ることにした俺とKITTは、デボンにまた頼んで学園艦まで輸送船で運んでもらった。

そのとき、『あまり私を酷使しないでもらいたいな』って小言を言われたよ。

まぁ、無事に学園艦に辿り着いた俺とKITTは、そのまま自宅へ戻ることにしたが、その途中のとある交差点で歩道をフラフラと歩きながら横断歩道を渡ろうとする少女を車内から見つけた。

あの子みほと同じ学校の制服を着ているから大洗学園の子か?

というか、大丈夫なのか?何か物凄く体調が悪いように見えるんだが?

 

『常夫、左斜め前方の歩道からこちらに向かって歩いてきている少女なのですが、明らかに具合が悪そうです』

「だよなぁ・・・何か悪い予感がする」

 

俺がそういった直後だった。その子が横断歩道を渡ろうとした途端、その場で崩れ落ちてしまった。

 

「KITT!ちょっとここで待っててくれ!」

『わかりました。気をつけて』

 

俺は、運転席のドアを開けて、倒れた少女の元へ急いで駆け寄り、抱きかかえながら声をかけた。

 

「おい、君!大丈夫か!?」

「うぅ・・・・・・つらい・・・」

「KITT!ドアを開けてくれ!」

 

倒れて動けなくなった少女を抱えながらKITTの助手席まで運び、車内に入れさせた後、ダッシュボードからメディカル機能の一つである血圧測定器を取り出し、その子の腕に嵌めて検査を行いつつ、KITTを動かしながら近くにある路肩へ停車させた。

 

「どうだ、KITT?」

『かなりのひどい低血圧です。具合が悪い原因はおそらくこれでしょう』

「低血圧か・・・なら、このままゆっくり休ませておくべきだな。それからエアコンから少しばかり涼しい風を出してくれ」

『はい、わかりました』

 

しかし、倒れるくらいの低血圧なのか・・・この子の生活習慣が少しばかり気になるな。

っと、そんなことを考えているときじゃない。とりあえず近くの病院まで連れて行くとするか。

 

「う、うぅ・・・」

「気がついたのか?大丈夫だ、これからすぐに病院へ連れて———」

「びょう・・いん?病院は駄目だ!」

 

うおっ!?何か急に起き上ったけど・・・あっ、また倒れた。

そりゃあ急に起き上ったら具合が悪くなるだけだぞ?

 

「大丈夫か?」

「病院は・・・病院だけは嫌だ・・・それに・・・学校へ行かないと・・・留年させられるかも・・・・しれないから・・・・・・」

 

気を失うように寝てしまったが・・・もしかして、この子は遅刻の常習犯なのか?それだから、遅刻しないように具合が悪い中でも頑張って登校しようとしていたのか?

まぁ、俺も学生の時は遅刻しないよう急いでいたこともあったけどさ・・・・う~ん、この様子じゃあ病院へ連れて行くのは止めた方が良いかもしれないな。

 

『常夫、どうしますか?』

「とりあえず、学園まで連れて行こう」

『病院には連れて行かないのですか?』

「本人が嫌だって言ってるから、無理して連れていくことは無いだろう?」

『わかりました。では、学園まで行きましょう』

「OK、そうするか」

 

学園はここから反対側だから来た道を戻らないといけないな。

俺は、KITTを運転しながら大洗学園まで助手席で寝ている子を連れていくことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから大洗学園の正門に辿り着いたが、そこでちょっと困ったことが起きた。

 

「あの、すみません!この学園に何か用なのですか?」

 

正門の前に一人立っていたおかっぱ頭の少女が、学園に入ろうとする俺たちに声をかけて止めてきた。よく見ると、その子の腕には風紀委員の腕章が付けられていた。

そういえば、この子は確か、しほとまほがこの学園へ来たことをみほから聞いた俺が大慌てで生徒会室へ行こうと走ってたときに注意をしてきた子だよな?

なるほど、この子は風紀委員の子だったのか。俺は、窓を開けて顔を出した。

 

「あ~、すまない。実は、この子を学園まで連れてきたんだが・・・」

「この子?って、冷泉さん!?」

 

助手席に乗っている子の姿が見えるように体を動かしたんだが、もしかして知り合いなのか?

彼女の顔を見た風紀委員の子は、助手席の方へ回り、窓を叩き始めた。

って、おいおい、いくら何でも赤の他人の車の窓を平然と叩くのは止めてくれないか?

俺は、仕方なしに助手席の窓を開けた。

 

「ちょっと、冷泉さん!あなた何しているのよ!?」

「うぅ~ん・・・何だ、そど子か?遅刻はしていないぞ」

「遅刻してるしてないの問題じゃないでしょ!何で、赤の他人の車なんかに乗っているのよ!?」

「ここまで連れてきてもらった」

「何で、そんなことになったのよ!?」

 

何か口喧嘩?みたいなのをし始めたが、そろそろ中に入っても良いか?

正門の前でずっと車を止めている状態になっているから、他の生徒の子たちからの視線が凄いんだけど?

 

「え~っとさ、とりあえず中に入らせてもらっても良いかな?このまま、ここに居続けると登校している子に迷惑がかかると思うから」

「だ、そうだからどいてくれないか、そど子?」

「ぐぬぬぬ・・・・」

 

風紀委員の子は顔を顰めながら、KITTから離れた。その隙に俺は学園内に入り、駐車場にKITTを停めた。

 

「さっ、着いたよ?」

「うん・・・」

 

俺と同じくドアを開けて降りた少女は、「ありがとう」と小さく呟いてから校舎に行こうと歩き始めたが、後ろの方からズカズカとさっきの風紀委員の子がやってきた。

 

「ちょっと冷泉さん!話はまだ終わってないわよ!」

「うるさいな・・・今日は遅刻していないだろ?」

「車で登校するなんて校則違反よ!冷泉さん、もしこれ以上違反を続けるなら留年するわよ!」

「ぬ・・・」

「それにあなたもです!」

「えっ、俺?」

「あなた、どこの誰かは知りませんが、女子高生を車に乗せるなんてどういう神経をしているんですか!?」

「ちょ、ちょっと待ってくれ!俺は、偶々この子が交差点で倒れたのを見かけたから、ここまで運んできてやっただけだ」

「どちらにしろ、あなたがしたことは犯罪の一歩手前ですよ!?もし、今度同じことをしたら場合によっては警察を呼びますからね!それと冷泉さん!あなたは後で反省文を書くこと、良いわね!?」

 

風紀委員の子は言いたいことを言い終えたのか、またズカズカと歩きながら正門の方へ向かった。

というか、風紀を守るという意味では立派な心掛けだとは思うけど・・・いくら何でもピリピリしすぎじゃないか?

 

「・・・なぁ」

「ん?」

「その・・・私のせいで・・・ごめん」

「いや、別に君が謝ることじゃないよ。実際、君を車に乗せたのは俺だし」

「でも・・・」

「いいから気にしない。ほら、行っておいで」

 

少女は、俺に一礼をしたあと少しふらつきながら校舎の方へ歩いて行った。

 

『常夫』

「何だ、KITT?」

『私は、あなたがしたことはとても立派なことだと思います』

「あはは、何だ慰めか?・・・ありがとな相棒」

 

本当にお前は良いパートナーだよ。

 

「お父さん!?」

「うん?」

 

そんな黄昏た雰囲気の中、正門からこちらに向かって走ってきた子がいた。というか、あれはみほじゃないか。

 

「おはよう、みほ。今日はいい天気だな」

「あっ、うん。そうだね・・・ってじゃなくて!どうしてお父さんがここにいるの?」

「いや、その・・・本当はここへ来る予定じゃなかったんだが、家に帰る途中に横断歩道で倒れてしまった子を見かけてな。で、その子がどうしても学園に行きたいって言ったからここまで連れてきたんだよ」

「えぇ!?た、倒れたって・・・その子っていったいどんな子なの?」

「そうだな・・・長髪で何か眠たそうな子だったよ。背はみほよりも低いかな?」

「・・・それって、もしかして冷泉さんかな?」

「そうそう、さっきの風紀委員の子もそう言ってたような・・・知ってるのか?」

「うん。学校の成績はいつもトップで、凄く賢い子だって沙織さんから聞いたことがあるんだけど・・・その代わり朝が凄く弱くていつも遅刻しているらしいの」

「なるほどな」

「それでね、その冷泉さんは今戦車道を履修しているの」

「戦車道を?あぁ、もしかして遅刻見逃しにつられて履修したのか・・・って、あれ?前、戦車を探す時にはいなかったよな?」

「あぁ・・・あの時は、どうもサボってたみたいで・・・」

 

サボってたって・・・どんだけ眠たいんだあの子は?

あと、どれくらい遅刻しているんだ?留年するくらいって言っていたから相当なものだと思うんだが?

 

「おはようございます、西住殿!」

「おはよう、みぽりんって、みぽりんのお父さん!?」

「おはようございます。おじ様もおはようございます」

 

そんなこんなで、みほと話をしていた時に、後ろの方からみほの同級生たちが登校してきて、俺とみほに挨拶をしてきた。

 

「あっ、おはようございます。優花里さん、沙織さん、華さん」

「おはよう」

 

こっちも同じく挨拶を交わしてあげると、みほの同級生たちは傍らにKITTが居ることに気づくとKITTの方へ近づいて行った。

 

「おはようございます、KITT殿!」

「おはよう、KITT」

「KITTさん。おはようございます」

『おはようございます、皆さん。本日は良い天気ですね』

「ちょ、ちょっと皆さん。ここには他の人もいますから・・・」

「あっ、そうでした。すみません・・・」

 

KITTにも挨拶をかけるなんて何て健気な子たちなんだろうか。KITTも満更でもないように挨拶を返したな。

でも、あまり人が居るところではしないでくれよ?

そんなことを思っていると、みほの同級生の一人が今日行われる授業について興奮気味にみほに話しかけ始めた。

どうも、今日の午後には戦車道の授業が本格的に始まるらしく、更に陸上自衛隊から戦車道の特別講師がやってくるらしい。

それを生き生きとしながら話している子は、小さい頃から根っからの戦車好きみたいで、戦車のことなら何でも知っているかの如く流暢に喋り続けていたが、授業開始が始まる予鈴が鳴り響いたため、みほたちは急いで校舎へと向かっていった。

 

「・・・なぁ、KITT」

『何ですか?』

「今日の午後・・・学園長さんに頼んで一緒に戦車道を見てみないか?」

『仕事の方はどうされるのですか?』

「デボンにちょっと遅れるかもしれないって連絡をかけてくれないか?それに、お前だって見てみたいだろ?」

『確かに興味はあります。テレビでの戦車道の試合は見たことはありますが、実際にこの目で見ることは今までありませんでした』

「よ~し、なら学園長さんに電話をかけて、またここへ来よう」

『それまでは、どうするのですか?』

「まぁ、その間は事件の情報をまとめたり、調べることにしようぜ」

『わかりました』

 

今日の一日の計画を決めた俺たちは、とりあえず一旦家に戻って、そこで事件の全貌を考察したり、調べたりしながら時間を費やすことにした。

 

 


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