底辺トレーナーとダイヤモンドの輝き   作:A×K

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キタサンブラックとサトノダイヤモンドは同室の設定です。


第24レース

キタ「…むむむ~……っ!!!」

 

東京優駿(日本ダービー)前日の夜…。

キタサンブラックはあぐらをかきながら…両手を握りしめて力を込めたいた。

 

サト「…キタちゃん…何してるの?」

キタ「だぁ~…っ!!

やっぱりダメだ~…っ…」

 

サトノダイヤモンドが声をかけた瞬間、脱力しバタッと床に倒れ込んだキタサンブラック。

 

サト「…特訓?」

キタ「そんなんじゃないよ~……あ、でも…特訓といえば特訓…なのかな?」

 

サト「…???」

キタ「…皐月賞の時にね…なんかこう…言葉に出来ないけど…

不思議な力が湧いてきそうな感じがして…」

 

サト「…不思議な…力?」

キタ「…あはは、多分あたしの勘違いだと思うんだけど…

でも、テイオーさんに聞いてみた時もね…」

 

テイオー【ふっふー!それはね~、成長した瞬間だよ!

僕にもあるよ~っ、こう…ずびゅーんっと早くなる帝王の走りになった瞬間!】

キタ【そ、それはどうやったら出来るんですか!?】

テイオー【……どうやるんだろ?】

キタ【…がくっ】

 

キタ「…って事があってね」

サト「ふふっ、じゃあ…キタちゃんは成長してるって事だね♪」

 

キタ「はぁ~…それさえ分かればGIも取れるのになぁ…」

とぼとぼとベランダに行き、空を見上げるキタサンブラック。

その後をゆっくり追いかけたサトノダイヤモンド。

 

キタ「…日本ダービー…かぁ…」

サト「…テイオーさんも勝ったレースだから…思い入れ…ある?」

 

キタ「勝ちたいって気持ちは強いよ…けど…不安の方も…強い、かも」

サト「…キタちゃん」

 

キタ「トレーナーには言ってなかったけど…やっぱり、トレセン学園って凄い…強い子や速い子…沢山いた

トレーニングして、強くなって…華やかなレースして…GIも普通に頑張ってたら取れる!…そう思ってた」

 

耳がしゅんと垂れながらも言葉を続けるキタサンブラック。

 

キタ「普通に頑張る…重みとか…勝つための努力とか…想像以上だった

でも、テイオーさんも…マックイーンさんも…皐月賞勝ったエアシャカールさんも…それを乗り越えて走ってる…だから、強いし…かっこいいんだって」

サト「うん…そうだね」

 

キタ「…あたし…テイオーさんみたいに、なれる…かな」

サト「…キタちゃん…」

 

キタ「トレーナーの夢に…みんなを…笑顔になんて…出来る…かな」

サト「…厳しい世界だって、思い知らされちゃったもんね…不安になる気持ち、分かるよ」

 

キタ「…ダイヤちゃんも?」

サト「…覚悟は決めてたけど…甘かったみたい」

 

サトノダイヤモンドも同様に耳がしゅんと垂れた…。

しかし、目はしっかりと前を見据えていた。

 

サト「…でもね、キタちゃん…

私たちは……絶対に大丈夫!

…だって、''キタちゃんには私がいるもの!''」

キタ「…………え?」

 

サト「…私にとって…キタちゃんは夢であり…ライバル…

それに、キタちゃんの事もダイヤの事も信じてくれるトレーナーさまがいる!」

キタ「…ダイヤちゃん…」

 

サト「負けたくない相手…それはキタちゃん…あなたなの!」

キタ「…!」

 

サト「ふふっ、なんだか初めての頃を思い出すね

同世代の…初めてお話したウマ娘…それがキタちゃん…だったなぁ♪」

キタ「……………………」

 

サト「それに、凄く強いってびっくりした!…ホントだよ?」

キタ「…あの日から、ダイヤちゃんに色んな事を教えたなぁ」

 

サト「その頃からね…思っていたの…''その背中を…追い越したい''って」

キタ「…ダイヤちゃん」

 

サト「キタちゃんは、あの時からお世話好きだったから…

私の事も、ただ優しくしてくれただけなのかもしれないね

…でも、私には違った…キタちゃんは…ずっとずっとライバルだった」

キタ「……」

 

サト「確かに…先輩たち…他のウマ娘たち…本当に凄い

どれだけ努力しても、追いつけないかもしれない…それでも!

あの日みたいに…キタちゃんが私の前を走ってくれたから

追い越さなくちゃって、私は頑張れる…強くなれる

…だから…一緒に頑張ろう…キタちゃん!

もうダイヤは…下を見ない…だから…これからも、ずっと!」

キタ「…!」

 

キタ(…そうだ…私には…みんながいる…トレーナーも…ダイヤちゃんも…みんながいてくれる…ダイヤちゃんも…昔から…ずっと前を向いていた…GIを取るって…みんなの夢を叶えるって…)

サト「…ふふっ、キタちゃんも昔のこと…思い出したみたいだね♪」

 

キタ「…ありがとうダイヤちゃん…なんだか…あたし、弱気になってたみたい

ライバルに背中を押してもらえる…これも、成長のひとつ、だよね!」

サト「…ぁ…キタちゃん…!」

 

キタ「まだ、自分がどれだけ強くなれるのか…どうなるのか分からない…けど!

あたしには…夢を叶えてあげたいトレーナーがいる!

一緒に走る…ライバルがいる!」

 

ぐっと拳を月に掲げるキタサンブラック。

キタ「だからどんなに苦しいことがをあったって大丈夫!

ダイヤちゃんと一緒に、笑顔で乗り越えるんだ!」

 

そして、そのままサトノダイヤモンドの方を見て微笑んだ。

キタ「…でも…レースじゃ絶対にを並ばせないから!

覚悟しててよ、ダイヤちゃんっ!」

 

サト「…!

…うんっ、負けないよ!」

指切りげんまんをする2人…しかし。

 

???「…熱い夢を語ってるところ失礼するよ…消灯時間は過ぎてるよ?」

 

サト「…えっ?」

キタ「…あぅっ…寮長…!」

 

フジ「…やれやれ、明日GIを控えているのだろう?

今日のところは見逃すから…早く寝なさい?」

 

サト&キタ「…あ、あはは……はぁーい」

 

 

 




次回:ダービー!

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