ホロライブラバーズ トロフィー『悪意は善意に』獲得ルート   作:EVOL2019

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(いつもより少しだけ長くなったので)初投稿です


Part.24 百鬼あやめという少女

>薄暗い部屋の中、コツコツと足音が聞こえる。

 

>その音は段々と近づく。

 

>窓から漏れた月の光がその音の主を照らす。

 

>そこにいたのは、真夏だというのに黒いロングコートを身に纏っている者だった。

 

>その人物の顔を見ようとするが、そいつは黒いハットを深く被り、月の光によってちょうど顔部分にだけ影ができ認識することはできない。

 

「何、怯えることはないさ。私はしがない旅人。君には危害を加えるつもりはないさ」

 

>その者の声は非常に落ち着いており、自然と安心できるようだった。あちらの言う通りこちらに危害を加える気はないようだ。胸をそっと撫で下ろす。

 

「とある物語を聞かせてあげようと思ってね。ここに来たわけだ」

 

>そういうと、段々と述べ出す。

 

 

ーこれからお話しするのはとある鬼の少女の物語

 

 

この世界ではかつて、戦争が行われていた。戦争の発端は不明。というか、誰も理解していない。

当事者が語るには、「やらなきゃやられる。」とのことだ。自分たちが生き残るためには他種族を殺さないといけないという使命感に駆られ、戦った。まぁ、その使命感だけでなくただ戦いたい。殺したい、なんて考えを持つ馬鹿もいたけどね。

そんな中の話は今回は関係ないね。さ、時代背景は語った。本題の少女について語ろうか。

 

その少女はそんな戦争時代の最中に生まれたんだ。最初は両親たちと幸せに暮らしていたとも、まぁ、戦争のせいで移住場所を転々と移動したり食べる物に困ったりはしたが、幸せだったとも。

 

そんなある日父親が戦争に駆り出されることになったんだ。もちろん生きるためには断るわけにもいかず、父親は戦争に参加した。残された少女と母親はみんなの大好物であった木苺のタルトを用意して待つことにしたんだ。父親は絶対に帰ってきてくれると信じてね。

 

でも、父親はいつまで経っても帰ってくることはなかったよ。それでも、母親と少女は諦めず待った。必ず帰ってきてくれると、また3人で幸せに暮らせると信じ、待ち続けた。

 

そして、戦争は終わった。そう、和平協定が結ばれたんだ。お互いに武力は行使せず、問題があれば話し合いで解決し、困ったことがあれば助け合うそんな平和協定がね。世界は平和になった。もう、争いが起こることはない。二人は喜んだ。戦争は終わったんだ。父親が帰ってくるとね。

 

しかし、現実はあまりにも残酷だったんだよ。家にやってきた者たちによって、父親の死が知らされた。戦いの最中、仲間を守るために、この世を絶ったとのこと。母親は嘆き悲しんだ。その少女は死因は聞かなかった。ただ、『父親が死んだ』という結果だけが少女の心に突き刺さった。

 

その後さらに、少女には悲劇が起こった。母親が不治の病に侵されたんだ。日々に弱っていく母親を見て、少女は何かしてあげることはないかと考えた。ふと、思い出したのは木苺のタルトのレシピ。少女は木苺のタルトを作ることにしたんだ。山から木苺を摘んできて、農家から材料を少し分けて貰ってね。これを食べれば母親は元気になってくれると信じて。

 

だが・・・・・・、少女が帰ってきた時にはすでにこの世にはいなかった。症状が急変したことによる急死。母親は、父親の後を追うように亡くなっていった。少女はただひたすらに泣いた。

 

何日も何日も泣き続けた。

 

「え?なんで、そんなことを知っているか?そんなことは今どうだっていいだろう?今はこっちが優先なんだ。あまり話を折らないで欲しいな。私は自分が話している時割り込まれるのはあまり好きじゃないんだ。以後気を付けてくれないかな?」

 

>黙って頷く。次からは気をつけよう

 

「話がわかる良い子で助かるよ。では、話を戻そうか。」

 

そんな少女の前にとある男が現れた。そいつは、なんでも、戦争の時、父親と仲良くしていた友人とのこと。そして、父親に助けられた仲間の一人だったのだ。彼の名前は『百鬼レイ』。そう、後に鬼人族トップとなり、少女『あやめ』の義理の父親となる男だ。

 

あやめはレイの元にやってきた。最初はレイに怯えてはいたが、次第に心を開いていった。

 

そして、同時にある誓いを立てた。それは、母親のように優しく、父親のように強き鬼人となるという誓いだった。

 

となると、強くなる必要があった。

しかし、あやめは戦いの『た』の字もないようなド素人。当然独学では強くなれなかったよ。だから、あやめはレイに弟子入りさせてくれと頼んだ。幸いにもレイは何人か弟子を取り、どの弟子も鬼人族の大会で優勝できるほどの実力を身に付けさせることができるほどの実力者だ。最初は渋ったもののレイはあやめの覚悟を受け取り、修行を受けさせた。

その修行は厳しく、一筋縄にはいかなかった。それでも、あやめは諦めることはなかった。

 

あやめはいつも通り、修行を受けるためにレイの元に来たが、「修行はやめだ」と言われ、弟子を辞めさせられた。

 

君たちなら既に分かっているだろうが、彼はこれ以上あやめを自分の元に置くとあやめに危険が迫ると考えた結果、そうした。いや、そうせざるを得なかった。

 

あやめは、理解が出来なかった。当たり前だ。自分は何もレイに迷惑はかけたことがないからだ。言われたことはちゃんとこなしてきた。自分でも分かるくらい日に日に強くなってきている。だからこそ、理解が出来ない。何故突進破門を言い渡されたのかが。

 

それから、あやめは学校に通うことにした。きっ頭が悪いから破門にされたのだろうと考えたからである。あやめは必死になって勉強しまくった。

他の生徒よりスタートが遅かったせいもあり苦労はしたが、着実に成績は伸びていった。中学では、先生からの推薦で生徒会長にも上り詰めた。

だが、学業にばかり時間を費やしたせいで、友だちは少なかったというか、いなかった。

 

そこまでしても、彼からは認められなかった。だから、今度はあらゆる種族の強い子どもたちが集う『ホロライブ学園』に通うことにした。そこで力をつけて認めてもらうために・・・・

 

「これが『百鬼 あやめ』の歴史。どうだい?この物語を聞いて君はどう思ったかな?おっと・・・そろそろ、メインの物語で動きがあるようだ。それじゃ、私はここで失礼させてもらうよ。また会う時はそうだね・・・次の物語を語る時かな?」

 

 

 

「はぁ・・・はぁ・・・・はぁ・・・・」

 

今にも天井が崩れてきそうな薄暗い廊下を3人を抱えて走る。

 

「早くしないと、幽真が・・・・」

 

頭の中に、とある男の子の姿が思い浮かぶ。一人ぼっちだった自分の前に現れた男の子。お互いがピンチの時に助け合い、楽しい時には笑い合った初めてできた『友だち』と呼べる存在。

その子が今、自分たちを逃すために命をかけて戦っている。

 

「失いたくない・・・・だから・・・・」

 

自然と足に力が宿る。歩む足が段々と早くなっていく。気がつくと、建物の外に出ていた。外には救急車や、消防車が来ていた。すると、セバスチャンがこちらに気づいたのか。やってくる

 

「あやめお嬢様っ!!大丈夫ですか!?」

 

「余はなんとか、大丈夫。3人の手当手をお願いしてもよいか?」

 

「レイ様!?それに、大神様や白上様まで!?了解しました!すぐに手当手を行います!!」

 

3人をセバスチャンと使用人に預ける。

 

「あやめお嬢様も、こちらに!手当てをしなければ」

 

「いや、余はいい。戻らないといけないから」

 

「戻る!?お屋敷にですか!?いけません!!今お屋敷は倒壊寸前、戻って行かれては下敷きになってしまわれます!!」

 

「幽真が余たちのために戦ってるんだ・・・余たちより重症なのに。だから、助けにいかないと・・・」

 

「しかし!!」

 

「今!!幽真を助けにいかないと、余はこれから先きっと後悔する!!だから、行かせてくれ」

 

「あやめお嬢様・・・・・」

 

セバスチャンによって足止めを食らっていると。

 

「当主様!?いけません!傷口がひろがってしまいます!?」

 

先ほどまで倒れていたレイさんが立ち上がってくる。

 

「セバスチャン、行かせてやれ。」

 

「レイ様まで、何を言って!?」

 

「あのあやめが行きたいって言ってんだ。行かせてやれ」

 

「レイさん・・・・ありがとう」

 

屋敷の中へと戻ろうとすると、

 

「あやめっ!!」

 

レイさんに呼び止められる。

 

「死ぬんじゃねぇぞ」

 

「っ・・・・・うん!!」

 

泣きそうになった。だけど、堪えて、向きを堪える。泣くのは今じゃない。幽真を助けてからだ。

そう言い聞かせながら、屋敷の中へと入っていく

 

 

 

 

「強くなったな・・・・あやめ・・・」

 

「レイ様・・・・・」

 

レイは屋敷の中へと言ったあやめの背中を見て、そっと呟いたのだった。

 

 

「幽真っ!!」

 

パーティー会場に戻ってくると、辺りが炎に包まれており、その中心部には幽真が倒れていた。急いで駆けつけようとしてる時、異形化したリキが壁にあいた穴から出てきた。

 

「くそっ・・・まぁ、いい。奴は意識を失った。ここで首を絶ってやろう」

 

その太刀が幽真へと振われる。

 

ガキンッ!!

 

「なっ!?」

 

「余の友人は殺させないぞ!!東リキ!!」

 

リキの太刀を弾き飛ばし、幽真の元に行く。幽真を炎が当たらないところに、幽真を移動させて寝かせる。

 

「余はいつも、助けられてばかりだな。海岸で倒れていた時も、バトロワの時も・・・・そしてさっきも・・・・余は嬉しかった。初めて友だちができた気がして。・・・幽真、ありがとう・・・・。今度は余が助ける番だ・・・・」

 

「やってくれましたねぇ。あやめお嬢。ったく、先から邪魔ばかりほんとイライラします。」

 

「リキ・・・・余は怒っている」

 

「は?」

 

「レイさんいや『お父さん』を傷つけたこと」

 

拳に力が漲る

 

「ミオちゃんとフブキちゃんを傷つけたこと」

 

怒りで魂が燃える

 

「そして、幽真を傷つけたことに」

 

まるであやめの怒りに反応するかの如く周りの炎が吹き荒れる。

 

余の焔が燃え盛るッ!!

 

 

 

 

 

 

 

≪専用スキル『百鬼夜行』が変化≫

 

≪覚醒スキル『Burning My Soul』を獲得>

 




今回はお嬢覚醒回!!え?幽真くんが覚醒じゃないのかって?
ふふふ、主人公の覚醒は物語の最後ですよ。
では、次回は皆さんお待ちかね。ボスフルボッコのお時間ですよぉ!!
それでは、また次回お会いしましょう!!

ホロメンを敵役として出すのはあり?

  • あり
  • 仲間になるのならいい
  • なし

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