うちのトレセン物語   作:アストラッド

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 アニメのチームリギルに、テイエムオペラオーがいるのに違和感を覚えてます。
 リギルのテストとか、史実を見る感じでは寧ろスピカにいそうだよなぁ……まぁそれはよいとして。
 レースの描写は難しくて、私には無理かもしれん。



我が覇道に闇は無し

  ー 囲まれた!? ー

 

 

 そう自覚するのに時間はかからなかった。

テイエムオペラオーをマークしようと、他のウマ娘

一斉に動いた。打ち合わせ等はしていない、しかし

それほどオペラオーを驚異と感じた為だろう。

 

  

 ー 前が……見えない ー

 

 アクシデントによって、右目が腫れ視界が妨げら

れている。ドクンドクンと心臓の鼓動がうるさい、

いつもより体が熱い、何よりも前が左が右が……全て

塞がれている。

 

 

 ー この覇王に相応しい舞台だ ー

 

 

 彼女のライバル、メイショウドトウの姿が視界に

入る。それは貪欲に勝利を求める戦士の顔、いつも

の引っ込み思案な姿ではない……覇王を下す事が出来

る唯一のウマ娘の姿。

 

 「ははっ……」

 

 無意識に笑みが溢れる、オペラオーにとってドト

ウはいつも自分を脅かす存在……そして無二の好敵手

なのだ。ドトウに対しての感情はいつも一つだった。

 

 喜び

 

 オペラオーが強いから諦める、ではない。

オペラオーが強いからこそ、絶対に諦めないその心

に喜びを感じた。

 

 「~~~~~!?」

 

 だがそれも最初だけ。

第2、第3コーナーを過ぎても道は開けない。 

回りの音が聞こえない、歓声も息遣いも実況も。

オペラオーの耳に入ってこない、認識が出来ない。

 

 辛い時間は長く感じると言うが、オペラオーは

ひどく短く感じた。それこそまるで数秒の出来事

のように。焦りがそうさせるのか、それとも他の

事が原因か。

 

 第4コーナーを曲がりきった、相変わらず前は

見えない。

 

 (前を見せてくれ!僕に前を!)

 

 口を開く、しかし声にならない。

足は軽い、腕も上がる、しかし前に出られない。

まるで闇に囚われたような感覚に陥る、景色は見

える……だが、見たい部分は闇に閉ざされた。

 

 

 ー 魔王に見せられた少年のようだね ー

 

 

 もう300も無い。無理なのか……このまま終わる

のか?

 

 (僕は……無理なのか?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ー これで胸を張って報告できます! ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 残り200mをきった時点でダイワテキサスは好位置

をキープしている。

 

 「勝てる!」

 

 そしてギリギリまで足を貯め、一気に駆け抜ける。

それが彼女の考えだった。しかしそれは

 

 「えっ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そこをどけ 今すぐに

 

 「ひっ!?」

 

 後ろからのし掛かるプレッシャーによっては、追

いやられるまるで象にでも踏まれているかのように

体が重くなる。

 いや、そんな生優しいプレッシャーではない。ま

るで生殺与奪を握られているかのような恐怖。

 

 (に、逃げなきゃ)

 

 予定よりも早くスパートかける。普通のレースか

らすれば、とても遅いスパートなのかもしれない。

しかし、全力で走った末にかけた言わば"二回目"の

スパートなのだ。それでも1人分はバ群から抜け出

したのだ、通常ならばこのまま勝てたのだろう。

 

 

 

 

 「救いが無いなら!」

 

 "名将"が

 

 

テイエム来た!テイエム来た!

 

 

 "覇王"がいなければ

 

 

 「あぁ、やっと見えたよ」

 

 

 間違いなく勝っていたであろう。

二人のウマ娘はテキサスを見ていなかった、その先

のゴールを見ていた。いや、ゴールのそのまた先に

ある勝利を掴む為に走っていた。

 

 (彼女は……威圧感を感じてないの!?)

 

 全くぶれる事なく、速度が落ちる様子も無くオペ

ラオーの横を走るドトウを見て、文字通り目の前の

光景を処理しきる事が出来なかった。

 一方のオペラオーは

 

 

 (見える、感じる、僕だけのグランド・オペラ!)

 

 

 恐らく2秒にも満たない距離、オペラオーの視界

には他のウマ娘が映っていなかった……いや、認識す

ら出来ないほどにオペラオーは意識を研ぎ澄ませて

いた。

 

 (君は必ず、そこにいる!そうだろドトウ!!)

 

 後少し、もう少し、ドトウがそこにいる。ならば

余力を残す事はしない、全てを勝利の女神に捧げる

……そこまで考えてふと思う。

 

 (この勝利を……女神に?)

 

 コンマ1秒が、まるで数分間のように感じる。

いつもの彼女なら、その思考に疑問を抱く事はなか

った、だが今回は違ったのだ。

 

 

 僕を支えてくれたの誰だ?

 

 勿論、トレーナー君だ

 

 僕がここまで来れたのは? 

 

 トレーナー君がいたからだ

 

 僕は僕の為に……トレーナー君へ

 

 

 「捧げるんだぁ!!!」

 

 

 そして僕は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「そんなに怒らないでおくれよ」

 

 オペラオーのトレーナーは、鼻水を啜りながら

彼女を説教していた。レース前のケガ、無茶な抜

き方に対して怒っていたのだ。

 

 「どうしても、君に勝利を届けたかったのさ」

 

 トレーナーは少しだけ困った顔をする。

 

 「君を喜ばせたかったのに、心配をかけてしま

  ったね。だけど今だけは笑ってはくれないか

  い?」

 

 心配だった……それでも、目の前のオペラオー

が"君の為に"とトレーナーである自分の為に走っ

たという事実が、どうしようもなく嬉しいと感じ

たのだった。

 

 「僕は君に笑ってほしかった、それに」

 

 沈黙が流れる。トレーナーは言葉の続きが気に

なったので、それに?と質問する。

 

 「……ジョセフィーヌの声が聞こえたのさ!

  泣き虫だからねぇ、僕の負ける所なんて見せ

  られないよ!」

 

 少し笑って、ライブまでは安静にしてるよう指

示すると、トレーナーは控え室から出ていく。

 それを見ていたオペラオーは、ふと手鏡を取り

出し呟く。

 

 「僕も報告しよう、覇王までの道のりを」

 

 

 道は閉ざされた……筈だった。

 

 これは、平凡と呼ばれたウマ娘が己の輝きを信

じ続け、全てをねじ伏せた"覇王"になるまでの物語

……。

 

 

 覇王はその走りで……夢を見せた。

 

 

 

 

 

 

 





 ここまで読んで頂きありがとうございます。
本作品は二次創作(ある意味では三次創作?)となっております、ガイドラインを確認及び常識と良心に照らし合わせながら、元の名馬達とその馬主様のイメージを損なわない様に努力して創作する所存です。

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