うちのトレセン物語   作:アストラッド

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 ちょっちシリアス……なのかなぁ。

書くのが下手なんだよ、ダメダメ。


諦める事/美しくあること

 雨が激しく降っている。

 

 1人のウマ娘がただ、立ち尽くしている。

 

 涙は雨に溶け、その感情を流すように。

 

 しかし、止めどなく溢れる感情は彼女にも止められ

ない。

 

 ……。

 

 「……トレーナーか、こんなに雨が降っているのに外

に出ては風をひくぞ」

 

 ……。

 

 「確かに、私も言えないか」

 

 ……、…………。

 

 「すまない、少し頭を冷やしたいんだ」

 

 …………、……。

 

 「やめてくれ、1人にしてほしいんだ」

 

 …………

 

 「やめろ!!

 

 感情は止めどなく溢れ、爆発する。

わがままだと思う、子供の癇癪だと自覚している……

だが。

 

 「敗北がここまで悔しいとは思わなかった。

  ここまで涙が出るとは思わなかった、ここまで

  無力だと感じるとは思わなかった!ここまで……

  惨めだとは思わなかった」

 

 止まらない、止められない。

 

 「走る事はこんなに怖い事だったか?

  走って負ける事を考えるのが怖い、本気を出して

  負ける事が怖い、全力を出して負ける事が怖い」

 

 止まりたい、停まりたい。

 だからとめてくれ。

 

 「書類は用意した……後は君が判を押し提出すれば

  終わりだ」

 

 ……

 

 「すまなかった」

 

 「……あのさぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「会長さん!美しい僕がトレーナーの伝言を……

  おや、取り込み中だったかい?」

 

 「いや……まぁ取り込んでいる」

 

 「いいよカイチョー、そろそろ話も終わりそうだ

  ったし」

 

 なんというか……チームメイトで後輩は空気を読む

気が全くないな。

 

 「君はテイオーだね、レース復帰を楽しみにして

  いるよ。練習相手が欲しかったら言ってくれた

  まえ!僕の華麗なる走りを」

 

 「オペラオー……それまでにしてくれ」

 

 「ん?」

 

 彼女は知らないし、悪意はない。それでも今のテ

イオーには……残酷な言葉だ。

 

 「あぁ……僕ね、チームを抜けるんだ」

 

 「???」

 

 「もう、前みたいに走れないからさ。

  その可能性すらないから……だからさ、ごめんね」

 

 テイオーは松葉杖を突きながら部屋を出ようとする

が、私には背中を見送ることしか出来ない。

 

 「テイオー、君にアドバイスだ」

 

 「……なに?」

 

 「「……何かを諦める事は、諦めない事よりも数倍

  は難しいよ」」

 

 「!?……その言葉は」

 

 テイオーは俯きながら部屋を後にしたが、私はそれ

どころではなかった。

 

 「……凄い激励じゃないか」

 

 「ん?あぁ、僕の考えを言っただけさ」

 

 「考えを?」

 

 彼女はソファーに座り私の方を向く。

その顔は少し悲しい様な、辛いような……そんな顔だ

った。

 

 「何て言うかね、僕ってそんなに良い評価はされ

  て無いんだよね」

 

 「そうなのか?君には才能を感じるが」

 

 「まぁ……平凡、非才、強くはなれない。

  模擬レース後でもスカウトなんてされない、正

  直……諦めるか悩んだよ。

  だから最後に、リギルのテストを受ける事にし

  ようと会場に向かったさ」

 

 「そうして、トレーナーに会ったんだな」

 

 「震えたね、諦める事が怖かった僕にとっては拾

  う神とは彼の事だったよ」

 

 「諦める事が……怖かった?」

 

 意外だった、彼女に怖いものなど無いと思ってい

た。厚顔不遜、唯我独尊、我が道をいくそんな彼女

がはっきりと怖いと言った……私には出来ない事だ。

 

 「走る機会が無くなる、楽しい事が出来なくなる

  、全てが……手からこぼれ落ちる」

 

 「……」

 

 「手放す事は、突然失う事よりも辛い。

  だから僕は……どれだけ無理だと言われようと

  も、走る事を手放す事は出来ない。

  たとえレースに出られなくなっても、走る仕事

  を探すさ」

 

 「……ふふふ、はははっ!」

 

 「???ダジャレでも思いついたのかい?」

 

 なんて強いウマ娘なのだろう、自分の根本に嘘を

つかない……大切な物をちゃんと主張できるのが、

目の前にテイエムオペラオーなのだろう。

 

 「いや、トレーナーも似た様な事を私に言ったん

  だよ……『お前はちゃんと諦められるのか?諦め

  る事は、続ける事の数万倍は難しい』ってね」

 

 「トレーナー君らしいね」

 

 「めちゃくちゃに言われたよ、挙げ句の果てに書

  類にサインして私に返し『明日、自分で出して

  こい……それが出来たら諦める事に成功したっ

  て事にしてやる』って」

 

 「へぇ、それで?目の前にいるって事は……」

 

 「勿論、出せなかったよ」

 

 「「ふははははっ!!」」

 

 あの時の事は今でも覚えている、あれほど惨めで

救われた出来事だ。忘れたくても忘れられないだろ

うな。

 

 「さて、トレーナー君が午後から予定が空いてる

  んだってさ。チーム全員でトレーニングしたい

  そうだよ」

 

 「そうか、では参加するとしよう」

 

 「じゃあ伝えておくよ……それと」

 

 「どうした」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「皇帝に土を付けてあげよう……この覇王が

 

 「!……"絶対"を無礼るなよ、小娘

 

 

 




 
トレーナー「おわっ!?」

???「先輩、どうしたんすか?」

トレーナー「プレッシャーを感じた」

???「なるほどぉ」
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