でもこっちが書けちゃった
ー 勝てないのか ー
僕の心は埋め尽くされる。
"皇帝"シンボリルドルフ 絶対の勝者
トレセン学園のウマ娘は、彼女に憧れ彼女を越える
事を目指し……半ばで力尽きる。
高すぎた壁は、彼女を孤高の存在にした。
遠すぎるその背中はまるで蜃気楼の様で、見えるの
に掴めない、やっと……やっと横についたと思っていた
のに。
「はぁ……はぁ……」
息が苦しい、まるであの時の様だ。
皇帝以外にも前に誰かがいる。
"名優"メジロマックイーン
"帝王"トウカイテイオー
名勝負を繰り広げた二人は、皇帝を見据えながら
勝利を目指していた。
「はっ………はは……そうか」
僕はまだ負けてない、まだ終わっていない。
ー まだ足は痛むか? ー
「全く……だね」
ー 後を追いかけたいか? ー
「そんなのいらないね……」
ー ならばその茨の道を行くか? ー
「まっぴら……ごめんだね!!」
僕は大地を蹴る、僕だけの印を残して
先頭の3人……メジロマックイーン、トウカイテ
イオー、シンボリルドルフはその瞬間、まるで心
臓を握られた様な錯覚に陥る。
勿論だが、それで動きを止める3人ではないが
、なぜそれを感じたのかや誰がそう思わせたのか
……それが焦りになった。
いや……先頭のシンボリルドルフだけが瞬時に
その人物を思い浮かべた。
ー 世紀末覇王 ー
それは、どのウマ娘も憧れる"無敗"を夢から手
の届く現実だと思わせた太陽のごときウマ娘。
ベテラントレーナーは彼女を見てこう言う。
黄金の輝きを持ったウマ娘
怪物の様に強いウマ娘
ウマ娘を越えたウマ娘
七冠を携えグランドスラムを得た彼女はまさに
強者と言えるだろう。
観客は言う、勝ち方がつまらないと。
ウマ娘は言う、あんな風に勝ちたいと。
彼女は言う、自分こそが覇王であると。
前バ未踏の記録を刻み、人々の記憶に焼き付い
た彼女はともすれば自分よりも"頂点"にいるかも
しれない。
たった一年の無敗、されど僅か一年での最強。
レースを走る者ならば、彼女がいかに
をしているかは分かる。壊れない様に、客席を熱
狂させるように。レースにだけ勝つのではなく、
人気だけで勝つのではなく、全てで勝ちに行く彼
女が今
「私に……勝ちに来ている!!」
長らく忘れていた恐怖と興奮、待ち望んでいた
私のむこうを目指すに足るウマ娘。
いや、諦める事が出来なかったウマ娘だ。テイ
オーもマックイーンも確かに今、私を越えようと
している……しかし、私の血を滾らせ心を踊らせて
いるのは間違いなく彼女だ、だからこそ夢中にな
れる。
「だからこそ、譲らん!」
『さぁ、メジロマックイーン、トウカイテイオ
ーどんどんペースが上がってくる!』
『しかしその差を広げて行くシンボリルドルフ
、底無しのスタミナだ!』
『おや、これは……四番手、テイエムオペラオー
がみるみるうちに前へ出て行くぅ!!』
『爆発的な末脚です!冷静な彼女にしては珍し
い加速のかけ方ですね』
その実況と共に一瞬の寒気を感じたとある2人
のウマ娘は、後ろを振り向きたくなる衝動を必死
に押さえながら走る。
(なんですのこのプレッシャー!)
(なに!?これ、本気のカイチョーの……でも前に)
僕は、世紀末覇王だ!!
2人の間を駆け抜ける1人のウマ娘、まるで眼
中に無いかのように前へ前へと進むその姿は、1
つの"完成形"の様だった。
「ははっ……」
((笑ってる……!?))
マックイーンとテイオーは見た、オペラオーの
笑っている顔を……それも普段見せる輝かしい笑顔
ではなく、鋭く研ぎ澄まされた戦士の笑顔だった。
スタミナが持つか分からないほどの加速、いつも
の余裕を持ったレースとは違い全てを使いきる走り
だ。それを悟った先頭……シンボリルドルフは答え
る様に全ての力をその脚に込めた。
2人が並んだ、しかし加速したルドルフを追い越
す事は容易ではない。皇帝と覇王、プライドと頂点
を賭けたその走りは会場を沈黙させた。
(負ける訳にはいかない)
(後に続く訳にはいかない)
(私はまだ)
(僕はまだ)
((その景色を見ていない!!))
汝 ヴ
、 ィ
皇 ッ
帝 ト
の l
神 リ
威 ア
を に
見 捧
よ ぐ
舞
踏
「「ウォォォォォォォォ!!」」
雷が轟き、光が2人の王の道を照らす。
二条の流星が芝のコースを一直線に駆け抜け、ゴール
を超えていった……会場はまだ、沈黙に包まれている。
全てのウマ娘がゴールを過ぎた頃にやっと、沈黙を破
る声が響く。
『あ……こ、これはシンボリルドルフとテイエムオペ
ラオー同時にゴールです!!
順位を確定するため写真判定を行います、暫くお
待ちください!!』
思い出したかの様に、実況がアナウンスする。一方
、力を出し切ったルドルフは肩で息をし、オペラオー
は顔を上げる余力すらない。
『順位が確定しました!中央トレセン学園感謝祭、
特別企画レースを制したのは……』
その場にいる観戦者とウマ娘が1人を除いて掲示板
を注視する。ただ1人、下を向いたウマ娘は確信を持
って笑う……アナウンスと共に掲示板が灯る。
『テイエムオペラオー!!
1着はテイエムオペラオー、鼻差であの
皇帝シンボリルドルフに土を付けました!!』
『公式なレースではないとはいえ、ここまで白熱し
て沈黙の長かったレースを私は知りません。
この1回だけでなく、毎年やって通常のレースに
はないドラマを生み出すキッカケになって欲しい
ですね』
全てが歓声に包まれる、その場の全てがテイエムオ
ペラオー……このレースの勝者を祝福し、称えているの
だ。
「オペラオー、この場の皆に何かあるか?」
「……」
ルドルフはオペラオーに近づき、手を差し伸べる。
オペラオーはその手を取り、残された力で顔を上げる
。
「皆……覇王の活躍……楽しんで……くれたかな!!」
「……あぁ、私は楽しんだよ」
「……ZZZ……ZZZ」
力尽きたのか、オペラオーはルドルフに身体を預け
眠ってしまった。
「……全く、可愛い後輩だ」
「ズルイ!僕もカイチョーに」
「おやめなさい!もう」
ルドルフは眠ってしまったオペラオーを背中におぶ
り、トレーナーが大急ぎで向かっているであろう控え
室に向かう。自分を負かした相手が、呑気にスヤスヤ
と眠っている……その事実に笑いながらも、内心は悔し
さで一杯だった。
「次は、私が勝たせてもらうからな……覇王」
コツコツと足音だけが響く廊を進みながら、ルドル
フは決意した。
出る予定のなかったレース、URAファイナルズへの
参加……そこで再度、この覇王と共に走ろうと。
うちのエース達はオペラオー、ルドルフ、ライスで構成されています(アプリも)。
あと今回苦労したのは、縦書き。伸ばし棒が良い感じにならずアルファベットのlで代用するというね。じゃないと記号になって上手くいかないのよね。