ブーン。
ブスッ。
《熟練度が一定に達しました。スキル『麻痺針LV1』が『麻痺針LV2』になりました》
ピクピク。
よし、うまくいった。
はえー、私めっちゃ強くなってる。
あんなに苦労してた蛇も、今ではただの雑魚に。
やっぱり、進化ってすごいわ。
で、わざわざ麻痺させた訳だけど、寄生産卵を試すため。
やっぱり、寄生って言うんだし生きたままにした方がいいと思う。
うん。
で、どうやんの?
蛇を確保したのは良いけど肝心のやり方が分からない。
うー。
とりあえず念じてみる?
お?
おお!
なんか変形した!
お尻についてる針が引っ込んで、細い管みたいなのが出てきた。
しかも、体の中で何かできてる感じがする。
ふむふむ。
結構、準備に時間かかるね。
戦闘中に使う余裕はないかな。
管も結構ぽきっと折れそうだし、そのための麻痺針かな。
よし、準備完了。
なんとなく、もう産卵できるっていうのが分かる。
けど、その前に蛇の鱗の一部を剝ぐ。
万が一管が折れたらあれだし。
今度こそ準備完了!
寄生産卵!
おお、管を卵が通ってるのが分かる。
あと、ちょっと。
ふんっ。
お、一個出た。
でも、体の中にまだあるのを感じる。
とりあえず、全部出すか。
2個、3個、4個....8個。
ふう。
全部出せた。
全部で8個か。
少ないようで多い微妙な数。
どれくらいで生まれるかな?
どれ位、時間掛かるか分からないけど、流石に半年とかは待てない。
まあ、一日ぐらいは待ってみるか。
その間もスキルの練習とかしてればいいし。
一日経った。
麻痺針と持久がLv5になって、気闘法、探知、記憶、並列思考、演算処理、外道大耐性のレベルがそれぞれレベル1上がった時に蛇が暴れだした。
麻痺針のレベルも5になって、大分強力になってるはずなのにそれを無視して暴れだす。
うわぁ。
何この尋常じゃない苦しみ方。
唾をまき散らしながらグネグネしてる。
うわっ。
つ、唾が跳んできた。
あ、危ない。
汚れるところだった。
あ、そうだ。
蛇のスターテス見てみるか。
さっきマーキングもしたし丁度いい。
『エルローバラドラード LV3
ステータス
HP:134/358(緑)
MP:100/100(青)
SP:314/358(黄)
:234/358(赤)
平均攻撃能力:324
平均防御能力:324
平均魔法能力:102
平均抵抗能力:283
平均速度能力:304
スキル
「毒牙LV5」「龍鱗LV1」「暗視LV7」「熱感知LV4」「毒耐性LV5」
スキルポイント:40
称号』
お、HPが減ってる。
ん?
蛇の皮膚何か動いてない?
あれって、皮膚の下で私の子供が暴れてるってこと?
怖っ。
蛇のHPが切れた瞬間、蛇の体を食い破って8匹の蜂が出てきた。
大きさは私よりも小さくて、体の模様は私と同じ。
私をそのまま小さくしたみたいな奴。
な、なんだよ。
じっとこっち見て。
言っとくけど、私はお前たちの親だからな!
私を襲うなよ!
こっちみんな!
ん?
マジでこっち見なくなった。
あれ、もしかしてこいつら私のいう事聞く?
右手上げて!
左手上げて!
三回回って鳴いて!
おー、マジでいう事聞くじゃん。
私のいう事を聞くのが分かったら、次は能力の把握かね。
えっと、一番前の奴こっち来て。
そうそうお前。
よし、マーキング。
これでお前のステータスは…。
『レッサースモールイス・カトス LV1 名前 なし
ステータス
HP:117/117(緑)
MP:37/37(青)
SP:79/79(黄)
:79/79(赤)
平均攻撃能力:70
平均防御能力:48
平均魔法能力:24
平均抵抗能力:39
平均速度能力:69
スキル
「毒針LV1」「麻痺針LV1」「飛翔LV1」』
めっちゃ強いじゃん。
私レッサースモールの頃何てこんな強くなかったのに…。
ちくしょう、私の苦労は一体…。
まあいいや。
とりあえずお前たちは自由行動で。
ただし、進化できるようになったら戻ってくる。
蜂の巣か、猿の群れを見つけても戻ってくる。
この二つは守ってもらおうかな。
蜂の巣と猿の群れは勿論経験値になってもらうため。
なんだかんだ言って経験値効率は良いし。
というわけで、いってらっしゃい。
よし、これで今回の進化でやることは終わったかな。
この後は、寄生産卵をして仲間を増やしつつ本格的に迷宮の外を目指そうか。
不意にとてつもない悪寒が走る。
な、何これ?
やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい。
明らかに、今までと格が違う。
本能が警鐘を鳴らす。
その、恐ろしい奴が向こうから堂々と歩いてきた。
『地龍アラバ LV31
HP:4663/4663(緑)
MP:4076/4076(青)
SP:4570/4570(黄)
:4569/4569(赤)
平均攻撃能力:4610(詳細)
平均防御能力:4597(詳細)
平均魔法能力:4022(詳細)
平均抵抗能力:4138(詳細)
平均速度能力:4555(詳細)
ステータスの鑑定に失敗しました』
龍という名前とは裏腹に、そのフォルムは狼なんかに近い。
大地を踏みしめる四肢に、長く伸びた尾。
翼はない。
その、龍が私を一瞥した。
あ、だめだ。
食われる。
龍は自分の歩いた先にいた障害物を見ただけに過ぎない。
それだけで、このプレッシャー。
勝つとか負けるとかじゃない。
まず戦いすらできない。
ただ、静かに何処かに行くのを待つしかない。
幸い、力の差があり過ぎるが故に私を狙うことはないと思う。
はずだけど。
あぁ、なんで目の前に大きな口があるんだろう。
地龍のアギトが閉じた。